3/12 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.3.12

3/12 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
いよいよアルベルトーキョーが味の素スタジアムでのお披露目の日を迎えた。およそ3か月ぶりとなるホームゲーム。春の到来を告げる暖かな陽気と詰めかけたファン・サポーターの期待感に満たされたスタジアムで第一歩を踏み出した。

青木拓矢選手が出場停止となったアンカーには木本恭生選手が起用され、センターバックには開幕戦以来の出場となるエンリケ トレヴィザン選手が森重真人選手とコンビを組んだ。

序盤の主導権を握ったのはサンフレッチェ広島だった。キックオフと同時に厳しく前から追い込みをかけて、東京のビルドアップを乱してくる。出足の鋭い相手のプレスの前に、東京は効果的にボールを運ぶことができず、前半の半ばが過ぎるまではボールロストからゴール前に迫られる場面が続いた。流れが変わり始めたのは前半25分を過ぎた頃から。前半27分には相手のパスを松木玖生選手がインターセプト。ディエゴ オリヴェイラ選手に預けるとショートカウンターを発動。ディエゴ選手は左サイドのスペースへパスを流し、アダイウトン選手を使う。抜け出したアダイウトン選手がゴール左斜めの位置から豪快に狙ったが、シュートは惜しくもゴール右へと逸れた。前半33分には中盤の攻防から相手が攻撃に出るところでボールを奪取。ディエゴ選手が相手選手につぶされながらボールを残すと、これを拾ったアダイウトン選手が大きく右サイドへと展開する。ここに走りこんでいた紺野和也選手が、ワントラップ後に縦に抜けて右足でシュート。相手ディフェンダーにブロックされたこぼれ球を再び紺野選手が左足でプッシュしたが、これもゴールを割ることができず、スコアレスで試合を折り返した。

変化をつけたい東京は、後半の頭から動く。エンリケ選手に代えて三田啓貴選手を、渡邊凌磨選手に代えて長友佑都選手をピッチに送り出した。

交代を機に主導権を握りたい東京だったが、試合はセットプレーで動いた。後半15分、左からのフリーキックを三田選手が蹴ると、ファーサイドで森重選手が競り勝ってヘディングシュート。相手ゴールキーパーの頭上を越えたボールはゴール左上へと吸い込まれ、東京が先制点を挙げた。勢いに乗った東京は止まらない。得点直後の後半16分には三田選手のパスを受けたディエゴ選手がスルーパス。安部柊斗選手がペナルティエリア内に抜け出して正面やや右寄りからシュートを放つ。これは相手ゴールキーパーの攻守に阻まれたが、こぼれ球にアダイウトン選手が詰めて、ゴール右隅へと冷静に流し込み、一気に広島を突き放した。

リードを奪ってからは、広島に押し込まれる場面が続く。後半29分にはペナルティエリア際でフリーキックのピンチを迎えるが、ゴール上を狙ったシュートはヤクブ スウォビィク選手が鋭い反応で手を伸ばしてセービング。耐えていた東京だが、後半29分に一瞬のスキを突かれる。最終ラインの背後にスルーパスを通されると、抜け出した鮎川峻選手にスウォビィク選手との1対1を決められて1点を返される。

相手の勢いを受ける展開が続く中で、交代カードを切りながら打開を図ったが、ボールを保持して試合をコントロールするところまでは至らず。しかし、ピンチの場面でスウォビィク選手を中心に守備陣が粘り、1点のリードを守ってホーム初陣で大きな勝点3を手に入れた。


[アルベル監督インタビュー]

Q、試合を振り返ってください。
A、広島さんの激しいプレスを打開することがなかなかできない形でスタートしました。ほぼマンマークのような形でプレスをかけてくるチームの守備を打開するのはすごく難しかったです。
キックオフから10分、15分はなかなか打開できず、それもあってか良い感覚で試合をスタートすることができませんでした。そのあと、決して良いプレーができるようになったわけではありませんが、ある程度落ち着いてプレーできるようには改善されていきました。
攻撃の部分においてもシンプルなミスが多かったですし、と同時に守備でも我々のプレスの出足が遅れることが多くあり、良いプレーができていなかった前半でした。
ハーフタイムに修正して、後半のスタートから立ち位置を4-2-3-1のような形に修正しました。木本が久しぶりにワンボランチでプレーしていましたが、疲れが見えたのでダブルボランチに修正しました。右サイドの守備のところでも長友佑都を投入して、彼の経験とともに守備の改善を図りました。そして、もう少し試合を落ち着かせるために三田を中盤に投入して、彼の技術力と判断力を生かしたいというのも狙いにありました。
そのような流れの中、セットプレーで先制点をとれたのは素晴らしかったです。先制点のあとに相手が前がかりにきた際に、奪ってからの素早い攻守の切り替えから追加点をとれたこともプラスでした。2-0で試合を進めている中で、我々のミスからボールを失い、ショートカウンターで1点を失ってしまったのは残念なことでした。
後半、ある程度試合をコントロールできていた時間帯もありましたが、継続的にできていたわけではなく、最終的には90分を通じて試合をコントロール下におけない流れが続いてしまったことは残念です。
まだチームは成長しはじめたばかりで、構築しはじめたばかりです。エンリケも久しぶりに公式戦に復帰したということもあります。木本が初めてボランチとしてプレーしたところで機能しなかったというのも、シーズンのスタートではありうることだと思います。今日の試合結果に満足するのではなく、自分たちに矛先を向けることが重要になると思います。今シーズンは日々努力を重ね、成長することがもっとも重要です。そして、今日のように選手がピッチで全力を発揮することも必要になってきます。すぐに次の試合がやってきますから、短い時間の中で、しっかりと準備をすることに集中したいと思います。

Q、相手のプレスを予想されていたと思いますが、それでも苦しんだ要因はなんでしょうか。
A、相手のディフェンスラインのところで数的同数で、前線も数的同数でプレスをかけてきました。彼らの守備は、そのような数的同数のリスクを伴った形だと思います。
相手がリスクを冒してハイプレスをしてくる中で、我々がそれを上手くはがして打開できていれば、そこから決定的なチャンスを複数作れていたと思います。しかし、今日はそれが上手くできませんでした。それが上手くできなった際に、試合のコントロールを失ってしまいました。
青木がこの前の試合で退場してしまったので、木本が以前はボランチでプレーしていたこともあるので起用しましたが、東京では通常のポジションではないボランチでプレーするしかなかったというチーム状況も、今日の内容に影響したかと思います。

Q、その中でも、監督が指示している勝負に徹することは評価できると思います。
A、まさしく勝点3をとれたことは嬉しく思いますが、そして勝った時こそ自分たちに矛先を向けて反省する必要がもっとあると思います。選手たちは高いクオリティを持っています。チームはまだ成長段階です。今日のような上手くいかない試合もあると思います。ただ、シーズンが始まって4試合目にしてはじめて、試合スタートからなかなか良い感覚でプレーできなかった試合だと思います。

Q、改めて森重選手をキャプテンに選んだ理由と彼のパフォーマンスへの評価をお願いします。
A、まずは彼がチームを代表する選手であると評価したので、彼をキャプテンに選びました。チームメイトから高く評価されている選手のひとりです。そして、このクラブで長くプレーし続けていることも評価しました。そして引退したあともこのクラブを背負っていくような人物だと見ています。そして今シーズン、彼がキャプテンとして多くのことをチームに提供してくれていることに感謝します。彼はキャプテンとして適切な行動をとり続けてくれています。(2ndキャプテンの)ディエゴとともに、チームを正しい方向へとチームを導いてくれています。そして、3rdキャプテンとしてあと4人のベテラン選手を選びましたが、彼らを含めてチームを良い方向に導いてくれていることを誇りに思いますし、感謝しています。


[選手インタビュー]

<森重真人選手>

Q、待ちに待ったホーム開幕戦でした。前半は苦しい展開だったと思います。
A、苦しい展開でした。試合で勝てたことは嬉しいですが、内容が伴っていなかったので、まだまだやるべきことは多いと感じています。

Q、青木選手がいない中、特に守備面はどこに注意していましたか。
A、やるべきことはシンプルだったので、それを大きなミスなく行う事だと思っていました。その中で自分たちのバリエーションだったり、アイディアが不足していたかなと感じています。

Q、今シーズンの初ゴールは三田選手のボールに合わせた形でした。どのような感覚でしたか。
A、頭に当てるのが精いっぱいだったので、運よく良いところに飛んで行ってくれたという状況でした。

Q、中々難しい展開の中で、振り返ってみると、どのようにすれば広島のプレスがはがせたと感じますか。
A、自分たちがやってきた事に拘り過ぎていたかなと感じたので、もう少し柔軟に立ち位置をとることだったり、ポジショニングなどを変えたりしても良かったかなと感じました。

Q、アルベル監督も前半は戦況を見つめる感じに見えました。ピッチ上では相手をはがすために選手たちはどのような声を掛け合っていましたか。
A、自分たちもどのようなやり方で行こうかと迷っていたところもありました。そこの部分は今日の試合を終えて、監督としっかり話をしすり合わせて次の試合に向けて取り組んでいきたいと思います。
勝ちながらチームが成長できるのはいいことなので、今日に関しては、本日最低限、勝点3を取れたことはいいことですが、自分たちで試合内容をもっともっと良くするんだ、という事を頭に入れて準備していきたいなと思います。


<アダイウトン選手>

Q、攻撃のリズムがつかめない時間帯もありましたがどんなことを意識していましたか。
A、立ち上がりから相手は組織として守備が出来ていたため攻撃するのが難しかったです。ですが、今日の試合に関しては戦うことを意識していましたし、そこに関しては徹底してプレーしたいと思っていました。

Q、アダイウトン選手の追加点は良さが出たと思いますが振り返ってみていかがでしたか。
A、こぼれてきたボールに対して相手のキーパーのポジションを見ながら落ち着いて決められました。

Q、チームとして状況が悪くなる展開でも失点せず戦えているのはなぜでしょうか。
A、失点を減らしてゲームを支配して勝利するのは監督が求めているゲームプランです。うまくいかない時もありますが、練習を重ねていくごとに力をつけていければと思います。失点を減らしているのと試合を支配することをめざしています。 

Q、ゴールを含めて高い位置で守備をしてボールを奪い、速攻に展開出来ていますが継続して続けていきたいですか。
A、前線から奪いきる守備をしてカウンターにつなげるサッカーは攻撃のパターンの一つなのでゴールにつなげるためにクオリティをあげていきたいです。 


<安部柊斗選手>

Q、相手が前からプレスをかけてくるチームという情報はあったと思いますが、立ち上がりからそれをまともに受けてしまったように見えました。
A、相手の強度も高くて、結構はめられながらどう打開するのかが分からないまま前半が終わってしまいました。上手くハーフタイムに修正できた部分もあったのですが、全体を通して自分たちが求めているようなサッカーはできなかったという印象です。

Q、前半の中盤あたりでは、高い位置でボールを奪ってショートカウンターからチャンスを作るシーンもありました。それでも前半は物足りなかったですか。
A、前から奪うというのは自分たちの意図でもあるので、そこは狙い通りではあったんですが、逆にそれしか自分たちの狙うサッカーはできなかったなという感じです。本当はプレスをはがして、しっかりとボールをコントロールして相手を押し込んで試合を進めたかったです。

Q、試合の中で改善していくという点で、ピッチの中でのコミュニケーションはどうでしたか。
A、今日は選手同士の距離が遠くて、センターバックが持った時にサイドバックに渡してもはまってしまう状況になっていたので、もっと距離を近くにしようという改善するための声掛けはしていたのですが、それもなかなか上手くはまらずにプレーしていました。

Q、後半に多少改善ができた要因はどこにありますか。
A、立ち位置というか、フォーメーションも多少は変えたのでフィットしたところもありますが、それでも良かった時間はゴールが奪えたところだけだったので、もっと長い時間ボールを保持することができれば、落ち着いたゲーム展開になっていたんじゃないかと思います。

Q、新しいスタイルに取り組んでいる中で、トライ&エラーで成長していく段階だと思います。次の試合に向けて成長するための改善点はありますか。
A、強度を高くして前からマンツーマン気味にプレッシャーにこられた時の外し方というのは、考えていかないとルヴァンカップの磐田戦でも、リーグ戦の京都戦でも同じことになってしまうので、もっと自分たちが型にはまり過ぎないで流動的に動いて相手の出方を見極めて考えながらプレーしないと、ボールを保持しながらというスタイルは難しくなってしまうと感じています。

Q、個人戦術というよりはチーム戦術としての改善でしょうか。
A、常にトライアングルを作りながらというのはあるので、足元だけではなくて裏を狙うというのも必要になってくるので、つなぐところなのか、ボールを前に出すところなのかも見極めてやらないといけないです。

Q、ただ、勝ち切ったという部分は評価していいのではないですか。
A、監督も試合後には内容は良くなかったけど勝点3をとれたことは大きいと言っていたので、内容が悪くても勝てたことは収穫でもあるので、そこはポジティブに捉えていいのかなと思います。


<三田啓貴選手>

Q、後半からの出場でしたが、振り返ってみていかがでしたか。
A、良い部分も出せましたが守備に追われる時間も長かったので、もっとチームを助けられるプレーが出来れば良かったです。

Q、試合に出るにあたって意識したことは何でしょうか。
A、前半を見ていて、ボールが落ちつかない状況だったので、出場したら流れを変えたいと思っていました。多少は出来た部分はありますが、リードしてからはロングボールが多くなって自分にボールが来ないことが多かったので、自分自身としては満足していないです。

Q、もっとボールに関わって役割を果たしたかったということですね。
A、アルベル監督からも言われたのですが、もっとボールに触りながらゲームを落ち着かせたかったです。出来たこと出来なかったこと半々という試合でした。

Q、先制点は苦しい中でチームの流れを作る得点でしたが、1点目のアシストは狙い通りでしたか。
A、森重選手は狙っていないですが、早いボールを流し込むということは練習から取り組んでいたので得点が決まってよかったです。

Q、2点目も攻撃の起点になっていましたがいかがでしたか。
A、1点目の直後で引くのではなく高い位置から守備が出来きたのが得点につながったと思います。ボールを保持しながら崩していくのと速攻で攻撃を仕掛けるのを上手く組み合わせていければと思います。

Q、本来ならもっと落ち着いた試合展開が出来たのでしょうか。
A、できると思います。まだ新しいスタイルになって期間も短いので、この内容に満足してはいけませんし、勝利したことでファンサポーターには喜んでいただけたと思いますが、試合内容には満足していないので、そのことを忘れずに練習から取り組んでいきたいです。