4/2 横浜FM戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.4.02

4/2 横浜FM戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
代表で活動していた長友佑都選手、松木玖生選手がチームに戻り、ルヴァンカップのグループステージ第3戦を挟んで久々にリーグ戦が戻ってきた。東京の4月は、延期になった試合を含めて中2、3日で立て続けに7試合を戦う過密日程。そのスタートが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸、浦和レッズという3クラブとの連戦となった。

初戦はアウェイの地に乗り込み、横浜FMとの一戦。相手はこの一戦を創設30周年の記念試合と位置づけ、クラブ全体で並々ならぬ意欲を持って臨んできた。ACL集中開催の都合で消化試合数が多いとはいえ、順位表で東京よりも上に位置する相手。昨シーズンの厳しい敗戦の借りを返す一戦でもある。

前節の京都サンガF.C.戦から東京のメンバー変更は1ポジションのみ。小川諒也選手に代わってエンリケ トレヴィザン選手が左サイドバックで起用された。

ハイプレス、ショートカウンター、ボール保持という似たスタイルを持つチーム同士、お互いの持ち味を存分に発揮する展開になった。立ち上がりは横浜FMの勢いに押される展開が続くように思えたが、東京は細かいパスワークからワイドな展開で相手を揺さぶる。起点になった右ウイングの紺野和也選手がサイドチェンジを多用し、左ウイングのアダイウトン選手を使って横浜FMゴールへと迫った。ともにペナルティエリア付近までボールを運ぶ中で、東京が先制を許す。前半8分、右サイドの深い位置からクロスボールを入れられると、ゴール前でマークを捕まえきれず、西村拓真選手にヘディングで合わされた。

ただ、東京もすぐに反撃に出る。失点から4分後の前半12分、相手がディフェンスラインでボールを動かすところへハイプレスを仕掛け、ディエゴ オリヴェイラ選手がボール奪取。そのままショートカウンターを発動すると、数的優位な状況でディエゴ選手は右サイドのスペースへパスを送る。前線に飛び出してきた安部柊斗選手がボールをコントロールしてペナルティエリアに入ると、ゴールキーパーとの1対1を冷静に決めて同点に追いついた。前半18分には木本恭生選手からのスルーパスから右サイドのスペースに長友選手が抜け出してそのままゴール前へ。味方選手もゴール前にいる中で、長友選手はシュートを狙ったが枠をわずかに逸れた。

前半中盤あたりから相手にボールを保持される時間が続く中で、東京はハイプレスの手を緩めずにチャンスを作り出す。前半21分には、相手がディフェンス間でパスをするところに紺野選手が猛プレスを仕掛けてボールカット。ゴールキーパーとの1対1でのシュートは止められ、セカンドボールをディエゴ選手、さらにアダイウトン選手も詰めていったが3度続いたシュートも粘る横浜FM守備陣にブロックされる。前半33分にはハーフライン付近左寄りの位置で安部選手がボールを奪うと、ディエゴ選手が前線へと運ぶ。逆サイドの紺野選手までボールを動かし、紺野選手が得意なエリアから左足のシュートを放ったが、ゴールのわずか左上へ。そのゴールキックのクイックスタートを松木選手が狙って奪うとすぐさまシュートへと持ち込むが、これはゴール右へと外れた。

両チームともにハーフタイムに交代カードを切る。東京はアダイウトン選手に代えて永井謙佑選手を投入した。立ち上がりも球際の激しい攻防が予測されたが、一瞬の隙を突かれる。後半1分、エンリケ選手の背後のスペースを狙われ、左サイドの深くまで侵入されクロスをあげられると、ゴール前でアンデルソン ロペス選手に合わされてゴールに流し込まれる。反撃に出たい東京は前線からのプレスの手を強めるが、相手のパスワークにはがされてしまう。徐々にサイドを起点に相手陣内深くまで入る場面が増えてくると、東京は流れをつかむために交代カードを切る。後半22分に紺野選手に代えて三田啓貴選手を、青木拓矢選手に代えて渡邊凌磨選手を投入する。

少ないタッチでボールを動かしてパスワークのテンポを上げながら、右ウイングの三田選手と左ウイングの永井選手が相手ゴールに迫る場面を作れるようになってくる。しかし、ここから反撃を、という後半30分に松木選手が2枚目の警告を受けて退場となった。攻勢の出端をくじかれる形になり、数的不利な状況の中、終盤には安部選手に代えて山下敬大選手を投入して状況の打開を試みる。しかし、ボールを落ち着かせて攻撃に出ることができず、1点の差を詰め切れずにタイムアップを迎えた。

勝利こそ逃したものの、前半は相手を上回るチャンスを作り出し、チームとしての成長をピッチで示した。中3日で連戦は続く。ホーム味の素スタジアムに戻る次節に向けて切り替え、ヴィッセル神戸との一戦に向けた準備を進めていく。


[アルベル監督インタビュー]

Q、今日の試合を振り返ってください。
A、5分、10分ほど少しナーバスな形でスタートしてしまい、その時間帯に失点してしまいました。また、試合開始直後に不適切な形でイエローカードが出されてしまいました。けれども、その後チームは上手くリアクションしてくれました。前半だけでも7本のシュートを打って、多くのチャンスを作っていました。
相手はサイドバックが中央にポジションをとって、中央で数的優位を作ろうという意図があったと思います。その中で、そのサイドバックの背後のスペースが空いてくるところに、素早い攻守の切り替えからチャンスを多く作れていたというのが前半の展開だったと思います。
そして、後半スタート直後に我々のミスから相手のウイングをフリーにさせてしまい、失点してしまいました。けれども、チームはその後に良いリアクションをして、立て直して、チャンスを作ることもできていました。ピッチに残された10人は、引き分け、そして勝利をめざして最後まで戦い続けてくれました。その姿勢を私は心から誇りに思っています。
サッカーというのは結果がつきものです。私は当然それを受け入れています。そして、今日の試合結果に関わらず、選手たちがピッチの中で示してくれた戦う姿勢というのを今後も常にピッチで表現してほしいですし、それが我々の突き進むべき道だと思います。今シーズン、さらに引き続き成長していきたいと思います。

Q、昨日の囲み取材でもプレースピードの話がありましたが、今日の試合で横浜FMはここ数試合の相手よりもプレースピードが速かったと思います。この相手に対して(東京が)見せたプレースピードをアベレージにしたいという考えでしょうか。
A、今日の試合については、私はそうは思いません。今日の試合はウイングが主役になるような試合展開だったと思います。マリノスも幅をとるウイングを起用して、そこからチャンスを作ろうとしていました。そして、我々もウイングを上手く活かして、前半は特に多くのチャンスを作ることができました。
今日の試合においては、ボールポゼッション率、そしてプレースピードというのは重要度が低かったと思います。マリノスはウイングを生かしたスピードのある攻撃が特徴のチームだと思いますし、彼らはそれを表現していました。


[選手インタビュー]

<安部柊斗選手>

Q、横浜FMを相手に十分やれていた部分もあったと思うのですが、どう振り返りますか。
A、前半は良い形で、前線でボールを奪ってショートカウンターというのがはまっていました。前半のスタッツだとこちらがシュート7本で、相手が1本という結果だとハーフタイムに言われて、そのまま後半はいけると思っていました。後半立ち上がりの自分のパスミスで引っかかって、カウンターでそのまま失点しまい、そこで流れが崩れてしまったかなという印象があります。

Q、後半に入って、前半ほど前からいけなくなったり、ボールを持てなくなった原因はなんでしょうか。
A、ハーフタイムでも前からいこうと話していましたが、マリノスが立ち位置などを変えてきたので、そこに苦しんだところはあります。

Q、2失点目の場面で、安部選手が狙ったパスは今シーズンのめざすところだと思いますが、そこでひっくり返されてしまった部分は反省点ですか。
A、自分は永井選手を狙ったんですが、永井選手の特徴を踏まえると、足元より裏に出すべきだったと思います。自分がしっかりと判断をしていれば、あそこでボールを奪われることはなかったと思うので、自分の判断ミスも反省しなければいけないですし、足元につけるのであればもっとしっかり通すというところを突き詰めないといけないです。

Q、今シーズンリーグ初ゴールも決めました。狙い通りの形だったのではないですか。
A、ショートカウンターは東京のスタイルですし、インサイドハーフがあそこに出ていけるというのもこのチームの強みでもあります。広島戦でも同じような形があって外してしまったので、その良い改善ができました。


<長友佑都選手>

Q、強度の高いマリノス相手に戦えた部分もあったかと思いますが、失点した部分を含めて試合全体を振り返ってください。
A、前半の早い時間に失点してしまい、試合を難しくしてしまいました。また、自分たちにも数多くのチャンスがありながら決め切れなかった。敗因はそこかなと感じています。自分にも責任があると感じています。

Q、めざしていくスタイルとして、今日のようなハイテンポなサッカーは指標になるかと思いますが、今後に向けていかがでしょうか。
A、ハイテンポで、スピーディな攻撃、ショートカウンターでうまくいった部分もありましたが、ボールを保持して落ち着かせる時間も必要だったと思います。前半から前に急ぎ過ぎて、ボールを失いカウンターを受ける場面がありました。ショートカウンターで行くところ、もっとボールを保持するところの使い分けは、チームとしてもっと明確に一人ひとりが判断していければと思います。

Q、少しマリノスの戦い方に合わせてしまった感じがありますか。
A、少しそのような部分はありました。自分たちのチームもスピードのあるウイングの選手もいますし、裏を狙っていくという部分は良かったと思います。マリノスも裏を狙っていく部分はうまいチームですし、中盤を使いながら崩していくのもJリーグトップクラスのチームだと感じました。だからこそ、今日はボールを保持する時間がもっとあれば違った展開になったかなと思います。

Q、ワールドカップのグループリーグの組み合わせが決まりましたがいかがですか。
A、ワールドカップという最高の舞台で最高の相手と試合が出来ます。もちろん厳しいですが、どの国と試合しても厳しい予選になります。
僕も代表で134試合出ていますがほとんどの強豪国とは戦ってきました。スペインとドイツは134試合のなかでも今まで試合したことがなく、本当にワールドカップの優勝候補だと思いますし、そういうチームと真剣勝負で戦えるということは、僕らサッカー選手もなかなか経験出来ないですし、ファン・サポーターのみなさんに熱い試合を見せることが日本サッカー界においても大きな意味を持つと感じています。
ベスト8を狙うとなると、ベスト16やグループリーグで強豪国とあたって、そこで勝てないと目標は達成できないので、自分たちが試されていると思っています。


<三田啓貴選手>

Q、試合のなかで感じたことを教えてください。
A、横浜FMはこのスタイルを長くやってきているチーム。自分たちは今年から取り組んでいますが、その差で試合の主導権を握られたかなと思います。

Q、ボールを奪ったところから良い攻撃ができていたと思いますが、手応えも感じていますか。
A、前半ベンチから見ていて、奪ったボールを相手に簡単に奪い返されてしまうシーンが多いと感じていました。自分が入ったらそこでうまく時間を作ったり、ボールを大事にすることを心がけていましたが、うまくいった場面といかなかった場面両方あったと感じています。そこはチームとしての課題も同じだと思います。

Q、途中出場してどういうところを変えようと心がけましたか?
A、一人少なくなるまでは、右サイドでプレーしましたが、勢い良く試合に入ることができたと思いますし、流れが傾きそうな雰囲気がありました。
ただ、(松木)玖生の退場は全員の責任ですし、10人になってからも全員で前線から奪いにいくという姿勢は変わらなかったと思います。
そこは常々監督に言われていることですし、今年チームが掲げているプレーでもあるので、そこを10人でも見せられたことは良かったです。
 

Q、4月は連戦で、中3日で味スタでの神戸戦を迎えます。意気込みを聞かせてください。
A、この4月は本当に総力戦だと思います。全員が良い準備をして、全員で同じ方向を向いて戦います。ホームでは絶対勝ちます。


<永井謙佑選手>

Q、出場するまで試合をどのように見ていましたか。
A、少し守備のラインが低く、前線から守備に行けていませんでした。相手からボールを奪った後に自分たちのボールを保持する時間が短かったと思います。 

Q、出場する際に監督からどんな指示をされましたか。
A、前線から守備に行くように言われました。2度追いしないとボールを相手から取れないと思っていましたし、自陣深くで守ってしまうと、奪った直後に前半のようにボールを奪われてしまうことが多かったので、前線から守備に行くように心がけました。
失点の時間帯が早かったので反省しなければいけないですが、2点目を取れるように個人としても精度をあげたいです。 

Q、深い位置までボールを運べていましたが、あと一歩ゴールに何が足りなかったですか。
A、個人の精度の問題もありますし、もっと回数を増やす必要があると思います。練習からこだわることが大事ですし、一本合わせられれば自分の中でも変化が生まれると思います。ゴールに向かってペナルティエリアに侵入する回数を増やしていき、相手に脅威をあたえたいです。

Q、ひとり少なくなってから、ピッチ内ではどのような意思統一をしていましたか。
A、ディフェンスラインが下がらないように前線からいこうと伝えました。危ないシーンが何度かありましたが最後まで失点しないで守ってくれていたので、今日であれば同点に出来るように力をつけていきたいです。