ACL出場クラブ3連戦エルゴラッソ連動企画<br />
ヴィッセル神戸番記者プレビュー

COLUMN2022.4.04

ACL出場クラブ3連戦エルゴラッソ連動企画
ヴィッセル神戸番記者プレビュー

4/6(水)vsヴィッセル神戸(味の素スタジアム)

予行演習を生かすのはどちらか

開幕以来、いまだ勝利なしの神戸。2日はホームに京都サンガF.C.を迎えたが、後半に先制点を挙げるものの逆転負け。暫定で指揮官を務めるリュイス プラナグマ監督の初陣だったが、勝利の女神は依然として微笑んではくれなかった。

それでも、京都戦は多くの収穫を得た。リュイス監督のもとで新たな戦術を採用し、選手はそれをピッチで体現。インテンシティの高いプレッシングをしかける京都に対し、ポゼッションを旗印とするチームが一定の機能性を発揮したことは、新たな指揮官のもとで結果を出していける自信を育むきっかけにもなった。

この京都戦の経験は、同じくアグレッシブな守備を持ち味とする今節のFC東京戦でも確実に生きてくる。京都戦では両ワイドに選手を配置し、相手のハイプレスを逆利用する明確な狙いも見せていたが、フォーメーション的にも近いFC東京を攻略する、まさに予行演習になったとも換言できる。

ただ、予行演習という切り口で見れば、FC東京にも同じことが言えるか。前節対戦した横浜F・マリノスは神戸と同じくポジショナルプレーが信条だ。攻守におけるスピード感など違いはあるが、相手の嫌がるポジションをとってボールを動かし、ボールポゼッションで試合の主導権を握っていく方向性は同じ。ディエゴ オリヴェイラらがしかける強度の高いハイプレスで、ゴールキーパー飯倉大樹も加わるビルドアップを強襲することは神戸攻略の一つの狙いどころになるはずだ。

その反対に、神戸もコンパクトな陣形を維持することを前提に高い位置からのプレッシングを重視しており、ポジショナルプレーの“ルーキー”とは思えぬ確かな技量を見せるFC東京のビルドアップを、大迫勇也や山口蛍ら経験豊富なプレーヤーがけん引するボールハントで遮断できるかも注目。神戸が良い流れをつかめばアンドレス イニエスタの魔法の出現頻度は増す。予行演習で出た反省をうまく今節に生かしたチームが勝利に近づくことになりそうだ。

また、本マッチアップにおける関心事の一つといえば、FCロストフから神戸に期限付き移籍で加入した元FC東京の橋本拳人の動向だろう。すでに出場選手登録も完了し、現在、コンディションを上げている段階と話す橋本は「気持ちの部分では100%準備はできている」と闘志を見せる。同じく元FC東京の武藤嘉紀は負傷離脱中だが、橋本の出場が実現すれば、両チームのファン・サポーターにとって見逃せない瞬間になることは確実だ。

Text by  小野慶太(エルゴラッソ ヴィッセル神戸担当)