長友佑都選手インタビュー<br />
「世界の扉はJで開く」

INTERVIEW2022.4.08

長友佑都選手インタビュー
「世界の扉はJで開く」

Q、ワールドカップの出場が決まりましたが、アジア最終予選は難しいスタートでした。
A、スリル満点の状況と試合が続いて、一方で、その状況をただ楽しんでいる自分がいました。

Q、それは経験があるからでしょうか。若い頃の自分が経験していたら違ったかもしれないですか。
A、若い頃の自分であれば、いっぱいいっぱいだったでしょうね。ただ、アジア最終予選は今回4回目なので、厳しい戦いを経験してきたのは大きいと思います。その経験があるのとないのとでは、あの状況の感じ方はまったく異なると思いますよ。

Q、経験が生かされたのは、最初の黒星から立ち直るタイミングでしょうか。
A、良い時というのは、経験はなくても別にほっといても良いんですが、チームが苦しい時や困難な状況に陥った時に、厳しい戦いの経験が活きるんですよね。どの監督もベテランを何人か必要としているのは、そういう時に選手をまとめてくれたり、経験を通じてポジティブな雰囲気をチームにもたらしてくれるからだと思います。

Q、長友選手としては、自身4回目となるワールドカップ本大会出場を狙っている中で、アジア最終予選が終わった直後には、Jリーグでの戦いが大事になるとコメントしていました。
A、それはそうですよ。東京で結果を残していかないと、ワールドカップの舞台にはつながらないので。だからこそ、アジア最終予選が終わった時には、東京に戻って、しっかりとJリーグで活躍しなければいけないなとさらに身が引き締まる思いでした。

Q、その気持ちは早速、戻ってからの長友選手自身の東京でのプレーに表れていると思いますが、日本代表の活動でチームのキャンプに参加できませんでしたが、試合をこなしながらチームのスタイルに急速にアジャストしているように感じます。手ごたえはいかがでしょうか。
A、手ごたえはすごくあります。1か月間キャンプをチームと一緒に出来なかったので、監督が求める戦術やサイドバックに求めるプレーや周りの選手との連携もゼロのところから入りました。ただ、それも経験が活きているなと感じます。これまで日本代表でもヨーロッパのチームでも、数多くの監督の戦術を学んできて、数多くのプレーヤーたちと連携を組んできたので、経験が戦術にフィットする時間を短縮させたのは間違いないと思います。

Q、これまで所属してきたチームでまったく同じ戦術はなかったかもしれないですが、積み重ねてきた中で、たくさんの引き出しから、「このサッカーはこういうエッセンスかな」と引っ張り出せるものがあるのではないですか。
A、多くの監督の下で学んで引き出しが多くあるというのと、ヨーロッパのチームでも日本代表でも選手の入れ替えが多くて、その中でどの監督も自分を起用してくれたのが自信となり、それが適応能力を磨いてくれたところはあります。


Q、例えば先日のヴィッセル神戸戦で、長友選手の戦術への適応能力を感じた場面がありました。ディエゴ オリヴェイラ選手の得点シーンで、長友選手のポジションとしては一番外に張るイメージがありますが、中央のエリアに入ってきて、中盤からのパスをフリックしてゴールにつなげました。一番外のエリアにアダイウトン選手が動き出したところで中にポジションをとって、チームの連動の中にしっかりと長友選手の動きが組み込まれているように見えました。
A、あの場面ですが、自分がボールを受けるべきなのか、それとも状況を見て味方に受けさせて自分は3人目の動きで関わるのか、その連動やつながりはすごく意識しています。昔の自分であれば、安部選手から東選手にパスが出ても、最初に僕がいたポジションにいたままだと思います。今の自分はその場面で、今ボールを受けるのは自分じゃないなと、柊斗から慶悟にボールが入った瞬間に、慶悟に対して柊斗に出せと指示をしているんです。映像を見ていただければ分かりますが、柊斗に出して僕が相手の一番嫌がるバイタルのゾーンに入っていきました。アダはサイドに張っていたし、ディエゴとつながる選手が1人かけているなと思ったので、つながりを作りにいって生まれた得点ではあったので、最後のフリックはズレてしまった部分もありますが、自分の連動や連携、つながりの狙いとしてはすごくはまった部分ではあったかなと思います。

<該当シーンは5:33

Q、ACLに出場するクラブとの連戦が続き、次節は中3日で浦和戦を迎えます。浦和のサッカーのイメージはありますか。
A、すごくいいサッカーをしているなと思います。昨シーズンもホームで戦って、戦術が明確にチームに落とし込まれているというところで、ロドリゲス監督は非常に優秀な方だなということを浦和と対戦した時に感じました。

Q、戦術的なベースもありつつ、柔軟に戦い方を変えられるチームにも見えます。
A、自分たちのサッカーだけにこだわらずに、相手の対策をしっかりとしたうえで自分たちをどう活かしていくのか。そういうところを相当取り組んでいるのではと試合をしながら感じました。

Q、そういう相手との試合になると、自分たちにもやりたいサッカーがある中で、チームとしての柔軟性も求めてられてきますね。
A、東京も相手の嫌がることをついていくのが狙いですから、相手の長所を連動して消していくことが出来ればしっかり勝利につながると思います。

Q、東京には長友選手、浦和側は酒井宏樹選手と、日本代表の両サイドバックがおり、そのマッチアップが注目されています。酒井選手と対峙したら負けたくないですよね。
A、もちろん!日本代表でもマルセイユでもチームメイトとして一緒にプレーしてきました。僕たちのホームで戦うわけで、そこはプライドもありますし、負けたくないという気持ちもあります。昨シーズン、彼にゴールを決められていますし、それが悔しかったです。マッチアップするとしたら余計ピッチの中ではバチバチいきたいですね。


Q、普段はすごく仲がいいのですよね。
A、すごく仲が良いですよ。家族ぐるみの付き合いです。ただ、プロである以上はピッチに立った時に敵なのであれば、絶対に負けたくない気持ちを出さなければいけません。

Q、バチバチのマッチアップも楽しみですが、東京のサッカースタイルでいうと、良い立ち位置をとって酒井選手を外して、長友選手が攻撃に上手く関わっていくところも見どころだと思います。
A、マッチアップももちろんあるかもしれないですが、東京のスタイルとして、そもそも目の前の相手と戦わないポジショニングをとれれば一番いいわけで、だからこそ特にボールを持っている時は相手の嫌がるポジショニングをとりながら、戦わずして勝つような局面を作りたいですね。立ち位置で勝負を決めるというか、目の前の相手と戦わなくていいような、ボールを貰っただけで勝負が決まるような立ち位置をとること。相手が嫌がるのはそういうプレーですし、それが東京の勝利に一番つながる戦い方だと思います。マッチアップにも期待しつつ、そうした戦術的な部分を楽しみにしています。