J3リーグから一歩ずつ階段を上ってきた。毎年30試合以上の公式戦出場を積み重ね、そうして27歳で切り開いたJ1リーグへの道。青赤にとっては既視感のある名前のサイドバックは、新たな夢を抱き、味の素スタジアムのピッチに立つ。
Q、まずFC東京からオファーを受けたときの率直な感想を教えてください。
A、涙目になるぐらい心の底からうれしかったです。ファジアーノ岡山に残るか、ほかのJ2リーグのクラブに移籍するかというタイミングで、正式にオファーをいただきました。J1リーグのクラブからの誘いを待ち続けてきたので、ようやく道が開けた、ここまでやってきたかいがあったなと思えました。僕の中では迷わず決断しましたし、胸いっぱいで泣きそうになるぐらいでした。
Q、今回の決断で大切にしたことはありましたか。
A、J1リーグをめざしてJ3リーグから一歩ずつここまでやってきました。自分から選ぶようなレベルの選手ではないと思っているので、話をいただいたときには既に気持ちは固まっていました。
Q、FC東京にはどんなイメージを持っていましたか。
A、FC東京のサイドバックは、ワールドカップに毎大会出場しているという印象があります。同じポジションとしてそんなクラブから呼んでいただいてうれしく思っています。今は少しでも多くを学ぼうという気持ちが強いです。
Q、これまで練習試合を含め、FC東京と対戦したことはありますか。また、外から見ていてサッカースタイルや監督の印象があったら教えてください。
A、これまで対戦したことはおそらくないはずです。パスをしっかりとつないでゴール前まで行くイメージは強いです。アルベル監督はアルビレックス新潟時代もすごく面白いサッカーをしているという印象を持っていました。その中でプレーしてみたいと思っていましたし、良いチームを作り上げる監督だと思っていました。
Q、左サイドバックで勝負することになると思いますが、ストロングポイントを教えてください。
A、もちろん対人能力や走りの部分が強みだと思っていますが、それはほかの選手も強みにしていることだと思っています。他の選手にはないという意味では、ロングスローは自分だけの武器だと思います。セットした状態でなくても、低めの位置から相手センターバックの裏のスペースまで投げ込む自信があります。相手が油断したときのロングスローはストロングポイントだと思いますし、小学校5年生ぐらいからずっと武器にしてきました。
Q、加入後は、厳しいポジション争いが待っていると思います。
A、岡山で積み上げて来た3年間で、自分もやれるという自信を持てるようになりました。今は遠慮することなく、やるだけだと思っています。まずは初めてのJ1リーグなので周りを気にすることなく、自分のプレーに集中していくことだけを考えれば問題ないと思います。それだけの自信があります。
Q、岡山では選手会長も務めていたそうですが、愛着も強かったのではありませんか。
A、選手会長は前任者の方が移籍して、スライドするカタチでたまたまそういう役回りになっただけです(苦笑)。ただ、サポーターのみなさんとは良い関係を築けていたと思います。自分はメッセージをもらったら返すタイプなので、いろんな応援の言葉をもらって励まされることもありました。街も県民のみなさんも、すごく好きでした。また来シーズン、個人としてではなく、チームとしてJ1リーグ昇格をめざすという気持ちもありましたが、こういうチャンスはなかなかないと思ったので。岡山のサポーターはきっと快く送り出してくれると信じてこういう決断に至りました。
Q、同郷でFC東京OBの赤嶺真吾さんや、上里一将選手とは連絡を取りましたか。
A、真吾さんには、東京から話があったときにすぐに連絡をしました。岡山でも自宅が近く、つい先日も食事をしたぐらい家族ぐるみでお世話になっています。話をしたら『おめでとう』という言葉をもらいました。上里さんも会ったときに報告して『やってこい』と背中を押してもらいました。
Q、これまでJ1リーグのクラブと対戦したときに、どんな感想、印象を持っていましたか。
A、FC琉球時代に、横浜F・マリノスと対戦した時の仲川輝人さんのプレーは印象的でした。毎シーズン、プロフィールには、対戦して嫌だった選手の欄に仲川選手と書くぐらいスピードが速く、これがJ1リーグなのかと思い知らされました。その選手とチームメイトになるので、すごく心強く思います。J1リーグの選手は、一人ひとりが局面を打開できる武器を持っているという印象を持っていましたし、まだまだ遠い存在だと感じていました。ですが、この1年でよりレベルアップできたと思っているので、やっていける自信はあります。
Q、ようやくという話もありましたが、年齢的にもキャリアのピークを迎える中でのJ1リーグ初挑戦です。このタイミングについてはどう感じていますか。
A、まずは来シーズンの開幕戦に出場することを目指していきたいと思います。そして、2年後のE-1選手権で日本代表に選ばれて4年後のワールドカップを見据えてやっていきたいと思っています。
Q、より具体的な目標ですね。
A、FC東京だったらそれぐらい成長できると思っているので。水沼(宏太)さんも今回のワールドカップ前に30歳を超えてから代表入りしていたので、そうしたチャンスをつかめる年齢だと思っています。まずはE-1選手権での代表入りを狙っていきたいと思います。
Q、ワールドカップを意識するのは、今大会の盛り上がりも影響していますか。
A、そうですね。年齢的にも(次の北米大会が)最初で最後のチャンスだと思っているので、より強い気持ちにはなりました。
Q、36歳で4度目の出場を果たした長友選手から学びたいこと、刺激を受けたいことはありますか。
A、メンタリティーの部分で、どんなときも先頭に立って声を発している選手だと思うので、プレーはもちろん人間的に大事な部分を一番近くで学びたいと思っています。
Q、名前の読みは違いますが、非常に既視感のある名前でもあります。きっと徳永悠平さんと間違えられることもあったのでは。
A、徳永悠平さんは日本代表にも入っていたし、ロンドン五輪にもオーバーエイジ枠で出場していたのでもちろん知っています。ただ、これからは徳永さんが僕に間違えられるぐらいのインパクトをここで残せていけたらと思っています。
Q、来季はどんな一年にしたいですか。
A、念願のリーグ優勝に向けて本当に力になりたいと思って決断した移籍です。みんなで笑って終われるシーズンにしたいと思います。
Q、これからホームとなる味の素スタジアムにはどんな印象を持っていますか。
A、実際にJ2リーグで試合をした時や、FC東京の試合をDAZNで見た時もすごく一体感のあるいいスタジアムだなと思っていました。赤嶺さんからもFC東京の応援はすごいよと聞いているので、その熱を早く実際に感じてみたいです。
Q、それでは最後に名刺代わりにファン、サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
A、徳元悠平という名前をぜひ早く覚えてもらいたいです。ユウヘイと呼ばれがちですが、自分の“シュウヘイ”という名前を早く覚えて呼んでもらえるような活躍をみせていきたいです。これからよろしくお願いします。
Text by 馬場康平(フリーライター)