4/22 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.4.22

4/22 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
週の半ばにルヴァンカップが入る連戦のなか、東京はサンフレッチェ広島とのアウェイゲームに臨んだ。勝利から遠ざかっていたが、3日前のルヴァンカップでは、ガンバ大阪を相手に1-0で勝利して流れを変えた。この試合では、ボールを保持するスタイルも取り戻し、試合の主導権を握りながら勝利し、自信を取り戻した。

リーグ戦で5試合ぶりかつ今シーズンアウェイ初となる勝利をめざす今節は、リーグ戦の前節と同じスターティングメンバーで臨んだ。トップ下に安部柊斗選手を起用し、小泉慶選手と松木玖生選手がダブルボランチを組む形。サブメンバーには負傷離脱していたバングーナガンデ佳史扶選手が戻ってきた。

1stHALF—中村選手の1ゴール1アシストと安部選手の今季初ゴール

試合はいきなり動く。前半の5分、ペナルティエリア左角の外の位置でフリーキックを得ると、松木選手がゴール前に鋭いボールを入れると、ファーサイドに流れたボールに飛び込んできた中村帆高選手が頭で合わせる。相手ディフェンダーの死角から飛び込んできた中村選手の勢いに乗ったヘディングシュートがゴール右隅に流れ込んで東京が先制に成功した。


その後は、反撃に出るホームチームの勢いを受ける時間が続く。前半14分にはワイドに揺さぶられ、ゴール前で森島選手にフリーの状態でフィニッシュを許すが、シュートはゴールの上へと逸れてことなきを得た。相手の強度の高いプレスを前にボールを前に運べない時間が続くが、東京はワンチャンスを見逃さなかった。

前半28分、ボールを相手陣内深くに持ち出す場面を作ると、ディエゴ オリヴェイラ選手がドリブルしながらペナルティエリア内へスルーパスを通す。右サイドを駆け上がってきた中村選手が抜け出すと、ゴール前にマイナス方向のパスを入れる。待ち構えていた安部選手がワンタッチで合わせてゴール左隅に流し込み、東京がリードを広げた。


試合の流れを掴んだかに思えたが、前半39分には高い位置をとっていたディフェンスラインの背後を狙われてカウンターを受けると、森島選手にゴール左隅に決められて1点を返される。勢いに乗って広島に押し込まれる展開も想定できたが、ここから東京が球際の強度を高めて中盤の攻防に持ち込み、1点のリードを守って試合を折り返した

2ndHALF—攻撃のリズムは掴めないがリードを守り切る

後半に入ると耐える展開が続く。相手の出足の速さと強さの前にマイボールをつなぐことができず、相手陣内に入っても攻撃が単発で終わってしまう。

流れを変えようと交代カードを切るが、自陣に押される流れを変えることができない。終盤にはディフェンスラインにもテコ入れをしてクロージングを視野に入れた戦いを展開する。

終盤にはアダイウトン選手が前線で身体を張ってボールを収め、味方が陣形を押し上げる時間を作り、相手を自陣から遠ざけながら試合を進めていく。試合はそのままリードしたままタイムアップを迎え、リーグ戦では今シーズン初のアウェイゲームでの勝利を果たした。

ボールを保持しながら試合を進めるスタイルに取り組んでいる東京だが、リーグ戦で勝利から遠ざかっていた流れを変えたい一戦で、割り切って勝負に徹して勝点3を手にした。小泉慶選手は「勝ちながら修正していきたい」と今後への展望を口にする。次節、ホーム味の素スタジアムに戻り、今度は自分たちのスタイルを貫いて勝利をめざす。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF中村帆高(後半31分:長友佑都)/木本恭生/森重真人/徳元悠平(後半37分:エンリケ トレヴィザン)
MF安部柊斗/小泉慶/松木玖生
FW渡邊凌磨(後半37分:東慶悟)/ディエゴ オリヴェイラ(後半31分:アダイウトン)/仲川輝人(後半22分:バングーナガンデ佳史扶)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
FWペロッチ

GOAL
前半5分:中村帆高/前半28分:安部柊斗

<サンフレッチェ広島>
STARTING Ⅺ
GK大迫敬介
DF塩谷司/荒木隼人/佐々木翔
MF越道草太(後半17分:中野就斗)/川村拓夢/野津田岳人(後半17分:エゼキエウ)/東俊希(後半33分:ピエロス ソティリウ)/満田誠/森島司
FWナッシム ベン カリファ(後半0分:ドウグラス ヴィエイラ)

SUBS
GK川浪吾郎
DF志知孝明/山﨑大地

GOAL
前半39分:森島司


[アルベル監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、選手が全員揃った際にはJ1の強敵にも拮抗した試合ができることをあらためて証明できたと思います。そのレベルに達した際には一つの試合においては、先制点をどちらが取るかによって展開は変わってくるものです。今日は、幸運に恵まれて早い時間に先制点を取ることができました。そして、前半においては背後のスペースを狙うのと落ち着いてプレーする、そのバランスをとってプレーできていたと思います。そして、後半において広島はホームですから、同点、逆転を狙って前がかりにきたという展開でした。それに対応するために交代カードを切り、うまく対応できたと思います。ホームでより攻撃的にきた広島の攻撃をうまく対応するために、我々はさまざまな判断を下し、カードを切り、それがうまくいきました。良い形で相手の攻撃を阻止して勝利できたことをうれしく思っています。このJ1において広島は最も強いチームの一つだと思います。スキッベ監督のことも称えたいと思います。彼は、経験豊富で偉大な監督であり、人物だと思うからです。クラブとサポーターのみなさんも称えたいと思います。素晴らしい雰囲気のなかで試合ができたことをうれしく思います。最初から最後まで応援し続ける素晴らしいサポーターが、ここ広島にはいると思いました。そして審判陣も称えたいと思います。今日の試合のレフェリングはとても難しかったと思います。

Q、昨季から広島に対して全勝していますが、相性の良さを感じますか。
A、そこは気にしていません。我々が鳥栖に連敗が続いているのを気にしていないことと同じように。サッカーには連勝や連敗があるかもしれませんが、その数字は信じていません。リーグ戦は長い戦いです。1試合1試合ではなく、重要なのはシーズンが終わった時にどの順位にいるかです。

Q、5試合ぶりの勝利でチームの雰囲気はいかがですか。
A、なかなか勝てない時期が続きましたが、プレシーズンでの広島との試合では良いプレーができましたし、開幕戦での浦和戦でも良いプレー、良い感覚がありました。ただ、その後は毎試合ずつ選手がケガで離脱する展開が続いてしまいました。ただ、ネガティブな展開の裏にはポジティブな展開も存在します。怪我人が重なってしまったがゆえに若手にどれだけの可能性があるのか試すことができましたし、彼らの成長を促すことができました。彼らの成長があって、今我々は三つの大会すべてで上をめざす準備が整ったと思います。私はこのクラブにおいて、スタイルを変えるためにやってきました。それはいま一歩一歩進んでいると思います。同時に若手の成長を促せればと思っています。それも並行して進められていると思います。

Q、バングーナガンデ佳史扶選手を前線で使った意図はなんですか。
A、その質問を待っていました。ベンチに長友佑都選手と佳史扶選手というサイドバックの選手二人がいることに疑問を抱いた人も多かったと思います。誰もがいろいろな経験から学ぶものです。たとえば、中村帆高選手が怪我から復帰した際になかなか試合勘を取り戻せなかったのがありました。渡邊凌磨選手も安部柊斗選手も同様です。佳史扶選手は攻撃的なサイドバックでウイングでもプレーできます。前のポジションであればミスをしても必ずしも大きなミスにはなりません。長友選手は日本サッカーの歴史において最も素晴らしい選手の一人だと思います。彼は右でも左でもプレーできます。試合展開によってさまざまな打開策を提供してくれます。長友選手はこのチームの、そして日本の魂だと思います。


[選手インタビュー]
<中村帆高選手>


Q、得点シーンを振り返ってください。
A、練習からセットプレーの練習をしていたので、僕は信じてゴール前に入っただけです。松木選手のボールが良かったのが全てだと思います。あの得点はチームの形として獲れた得点だと思います。最近はセットプレーで得点を獲れていなかったので、良かったです。今日のようにセットプレーの得点から試合が決まることもあるので、これからもしっかりとチームとしてやっていきたいです。

Q、アシストシーンはボールを奪ったあと、とても長い距離を走っていました。
A、縦に速いゲームになると想定していた中で、奪ったあとの相手3バックのライン間はチームとして狙って行こうと話していたなかで、相手選手も高い位置をとっていたので、走り込めばチャンスになると信じて走りました。ディエゴ オリヴェイラ選手も良いボールを出してくれたので、冷静に中を見てクロスを上げました。チームとして狙っていたことでしたし、安部柊斗選手が決めてくれたので良かったです。

Q、以前のサンフレッチェ広島戦でもゴールを決めていました。
A、あれはプロ初ゴールでした。ですが、今日はあまりそのことは考えていなかったです。

Q、チームとして戦うことを続けていました。
A、前半は両チームとも良いところを出し合っていました。チームとして後ろで停滞させずに、前に推進力を持ってやっていこうと話していたので良かったと思います。ですが、後半は守備の時間が長く、苦しい時間が続いていました。チームとしての戦う姿勢や覚悟があったので、結果として2-1で守り切って勝つことができました。現実的にみると、後半の試合は個人としてもチームとしても先のない試合をしてしまったので、今日の試合をしっかりと分析して、なぜそうなったのかを次に向けて改善していきたいです。

Q、個人的に次の試合に向けた課題を教えてください。
A、個人的には、チームとしてサイドバックの選手がチャレンジした背後のスペースを使われるシーンが多くあります。セレッソ大阪戦でも僕の判断ミスで失点まで繋がってしまっているので、個人的にはもっと隙を作らないようにしていきたいです。ただ、僕一人では解決できることではないと思うので、木本恭生選手や森重真人選手とも話して、良い攻撃をするために、まずは守備を安定させたいです。

Q、4月のリーグ戦初勝利となりました。次にどのように繋げたいですか。
A、勝てていないなかで、今日も試合内容を振り返ると良くはないですが、勝って反省できることはポジティブだと思います。今日は選手もファン・サポーターのみなさんも勝利を喜んで良いと思いますが、次の試合に今日の勝ちは関係ないと思っているので、しっかりと今日の試合を振り返り、隙を作らないようにもう一回やっていきたいと思います。


<安部柊斗選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、前半の良い時間帯に2点を取り、良い流れで進めることができましたが、前半の終わり間際に失点してしまったことが反省です。後半は攻め込まれる時間が長くなりましたが、全員で我慢強く戦い、勝てたことは非常に大きかったと思います。

Q、勝利に対して強い気持ちが伝わる試合でした。
A、リーグ戦では勝利から遠ざかっていました。「今日は必ず勝って帰ろう」と試合前から選手間で話していました。勝てたことが本当に大きいです。

Q、安部柊斗選手のゴール、中村帆高選手との阿吽の呼吸を感じました。
A、中村帆高選手が僕の動きをしっかりと見てくれていました。そのまま前に走り込むのではなく、一旦止まったタイミングでボールを送ってくれました。中村選手の落ち着きを感じたアシストでしたね。

Q、安部選手自身も、得点前のポジショニングは瞬時の判断ですか。
A、そうですね。相手が自分よりも先に前へ走る動きが見えたので、一旦止まってボールを受ける動きに切り替えました。中村選手が良いボールを送ってくれたので、あとは枠に流し込むことだけを考えて蹴り込みました。

Q、リーグ戦では2試合連続でトップ下のポジションでプレーされていますが、感触はどうですか。
A、まずはゴールを狙うことを最優先に意識していますし、トップ下というポジションですので、得点を奪うことが求められていると思います。自分の持ち味である、運動量を攻守において発揮することも意識しています。

Q、今日の試合を迎えるにあたって、チーム内でどのような話をされましたか。
A、水曜日のルヴァンカップでは、リーグ戦にあまり絡めていない選手たちが気持ちを前面に出して勝利に繋げました。その良い流れをリーグ戦でも続けていこうと今日のメンバーで話をしました。勝利に飢えていたなかで、耐える時間が本当に長かったですが、勝てて良かったです。

Q、4月のリーグ戦では初勝利となりました。
A、ようやく勝利を手にできました。ここから大型連休期間には連戦も控えていますし、この流れを継続して勝利をめざしていきたいと思います。

Q、怪我人も復帰し、ここからチームの調子も上がりそうですね。
A、連戦も控えているので、総力戦になると思います。プロとして、目の前の試合で結果を残さなければ、次はないと思っています。東京には素晴らしい選手が多くいますので、常に競争心を持って、切磋琢磨していきたいと思います。


<森重真人選手>


Q、今日の試合を振り返ってください。
A、今日の試合は誰も満足してはいないと思います。ただ、勝ちながら修正していければ良いと思います。このような試合でも、勝つことで落ち着いて改善に取り組めると思いますし、見え方も変わってくると思うので、勝てたということだけは良かったと思います。

Q、90分間全員が走り、戦っていたことが勝利に繋がったと思います。
A、前半は良いシーンも何度かあったのですが、後半に入り押し込まれている時間に、どのような形で、自分たちの時間を取り戻すのかが重要だと思います。今日は取り返すことができず、守備をすることに切り替えました。

Q、苦しい時間に東慶悟選手や長友佑都選手が入ってきました。その選手がチームをまとめたということも大きかったですか。
A、やはり、誰が出場するかは分からない状況のなかで、全員がチームのために戦っていることが、今の東京の姿だと思っています。そこはベテランがしっかりとまとめる仕事をして、若手選手に積極的にチャレンジする環境を与えられれば良いと思います。

Q、4月のリーグ戦では初勝利となりました。
A、修正を積み上げるしかないと思うので、今日は内容も良くなかったですし、課題は多くあると感じています。少しずつ整理されてきているので、さらに整理し、それを表現する時間も増やすことをやっていくしかないと思っています。


<松木玖生選手>


Q、勝利を大きく手繰り寄せた先制点を振り返ってください。
A、先制点とセットプレーからの得点は、試合を動かすと言われています。しっかりとしたボールを蹴れば、東京には決めてくれる選手が多くいるので、次もフリーキックやコーナーキックで得点に繋がるボールを供給していきたいと思います。

Q、狙いどおりのキックでしたか。
A、ゴールキーパーに触られないように高いボールを狙いました。ファー側にボールが流れてしまいましたが、試合前、中村選手にはファーに欲しいと言われていて、話し合ったとおりファーサイドにポジション取りをしていたので、決めてくれて良かったです。

Q、得点に絡むプレーを求めていたなかでのアシストでした。
A、アシストという形で得点に関わることができましたが、得点は常に狙っています。ゴール前に飛び込む動きなど、ボランチで得点を取れる選手は評価されるので、そういう選手になっていきたいです。

Q、この1勝の価値は大きいと思います。
A、まずは勝点3を取ることが大切です。今日の試合、アルベル監督の求めるサッカーを表現できませんでしたが、アウェイの地で勝点3をしっかり取れたことは良かったと思います。

Q、次節に向けて意気込みをお願いします。
A、アルビレックス新潟の印象は、パスを回しながら3人目の選手が積極的に関わるチームだと思っています。守備の強度を高めて、ボールを握るサッカーを徹底して表現したいと思います。