8/19 横浜FM戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.8.19

8/19 横浜FM戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

中断明けの2連勝を含め、ピーター クラモフスキー監督が就任後、リーグ戦では4勝1分1敗と高い勝率を誇る東京。5試合でクリーンシートと堅守が武器になりつつあるなか、今節は、ここまでリーグ最多得点を誇り優勝争いを展開する横浜F・マリノスとの一戦を迎えた。

ゴールマウスは3試合続けて20歳の野澤大志ブランドン選手が守り、エンリケ トレヴィザン選手が出場停止となるセンターバックには木村誠二選手が起用され、森重真人選手とコンビを形成した。また、松木玖生選手が不在となったボランチには前節の京都サンガF.C.戦で1624日ぶりにリーグ戦でゴールを決めた東慶悟選手が入り、トップ下には渡邊凌磨選手が起用された。

そして、京都戦で戦列に戻って来た仲川輝人選手が、満を持して日産スタジアムでの古巣戦でスターティングメンバーに復帰。“青赤のテル”として思い出の地に帰って来た。

今節の横浜FM戦、次節のヴィッセル神戸戦と、順位表のトップ2に位置するチームとの対戦が続く。ピータートーキョーにとっては試金石となる試合だ。一つでも上の順位をめざしていく足掛かりとして。6月に味スタで喫した逆転負けの悔しさを晴らしたい一戦に臨んだ。

1stHALF—流れを引き戻しディエゴールで追い付く

キックオフ直後は王者のパスワークに押し込まれた。スタートポジションにとらわれず選手が流動的に立ち位置を取りながらボールを動かしてくる横浜FMに主導権を握られた。そして前半12分には先制点を許す。ワントップのアンデルソン ロペス選手が起点となり裏に抜け出した宮市選手に野澤選手と1対1のシチュエーションを作られる。ここは野澤選手のセーブでしのぎ、素早いセカンドアクションから西村選手にもシュートは許さなかったが、こぼれ球を永戸選手に流し込まれた。

リーグ戦では3試合ぶりとなる失点も東京は下を向かなかった。攻守でやるべくプレーを徹底してリズムをつかみ直し、素早い攻守の切り替えからカウンターに出て行くシーンが増えていく。その流れのまま前半23分に同点ゴールを奪う。右サイドで仲川輝人選手が相手をかわして中央に運びながら左サイドのスペースへ展開。俵積田晃太選手は迷いなく縦に仕掛けていき、左足でクロスを入れると、ニアサイドに入って来たディエゴ オリヴェイラ選手が押し込んだ。


スコアがイーブンに戻ってからは東京が中盤で引っかけたところから一気にカウンターに出る回数が増えていく。ディエゴ選手のキープや俵積田選手のドリブルが横浜FMを翻弄した。流れを引き寄せつつあったが、逆転ゴールを奪うには至らず、1-1のまま前半を折り返した。

2ndHALF—2度のクロスバー直撃シーンを作るも…

後半はゲーム展開が一気にテンポアップ。攻守の入れ替わりが激しい45分となった。

後半5分には横浜FMがチャンスを作る。この試合、両チームを通じて最初のコーナーキックを得ると、サインプレーから松原選手がシュート。しかし、ここは東京の守備陣が身体を張ってブロックした。

後半19分には東京が同時に3枚の交代カードを切る。アダイウトン選手、ジャジャ シルバ選手に加え、東京デビューとなる原川力選手がピッチに送り込まれた。その直後には決定的なチャンスが訪れる。左サイドで受けたアダイウトン選手が力強いドリブルでゴールに向っていき、ペナルティエリアに侵入してシュート。ブロックされたこぼれ球を拾ったジャジャ選手もシュートまで持ち込む。どちらも強烈なシュートであったが、ネットを揺らすことはできなかった。

蒸し暑く、熱気に包まれたスタジアムでの戦いは、残り15分に入って消耗戦に突入していく。両チームの選手たちが力を振り絞りながら2点目を奪いにいった

そして、後半39分から40分にかけて東京が怒涛の猛攻を仕掛ける。この試合で初めて得たコーナーキックを原川選手が右足でニアサイドに入れたボールをアダイウトン選手がバッグヘッドで合わせたが、ファーサイドに流れたボールはクロスバーを叩いた。その1分後には渡邊選手が魅せる。右サイドから入れようとしたクロスを一度はブロックされるが、セカンドボールを拾い、中央にカットインしながら右斜め45度の位置から左足を振り抜く。相手ゴールキーパーが一歩も動けなかった強烈なシュートだったが、これもクロスバーに弾き返されてゴールならず。

すると6分のアディショナルタイムに突入した直後に予想外の結末が待っていた。

後半45+1分に渡辺選手に低弾道のミドルシュートをゴール右隅へと叩き込まれる。チャンスの数と攻守の切り替えの部分で互角以上の戦いを演じながらも、最後は横浜FMの地力の前に勝点を持って帰ることができなかった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介/森重真人/木村誠二/長友佑都
MF東慶悟(後半19分:原川力)/小泉慶/渡邊凌磨(後半45分:徳元悠平)
FW仲川輝人(後半35分:塚川孝輝)/ディエゴ オリヴェイラ(後半19分:ジャジャ シルバ)/俵積田晃太(後半19分:アダイウトン)

SUBS
GKヤクブ スウォビィク
DF木本恭生

GOAL
前半23分:ディエゴ オリヴェイラ

<横浜F・マリノス>
STARTING Ⅺ
GK飯倉大樹
DF松原健/畠中槙之輔(後半19分:上島拓巳)/エドゥアルド/永戸勝也(後半36分:角田涼太朗)
MF渡辺皓太/喜田拓也/西村拓真
FWヤン マテウス(後半0分:井上健太)/アンデルソン ロペス(後半28分:ナム テヒ)/宮市亮(後半19分:水沼宏太)

SUBS
GKオビ パウエル オビンナ
MF山根陸

GOAL
前半12分:永戸勝也/後半45+1分:渡辺皓太


[ピーター クラモフスキー監督記者会見コメント]

Q、試合を振り返ってください。
A、両チームとも良いフットボールができていましたし、自分たちの良さを出し合う戦いになりました。本当にエンターテインメント性の高いフットボールだったと思いますし、我々にチャンスもあり、勝てた試合でもありました。選手たちは、強いパフォーマンスを出すために献身的に必死に戦ってくれました。そのなかで結果を出せなかったことは残念ですが、この痛みをもっと自分たちの力に変えられるように強くなりたいと思います。

Q、横浜F・マリノスの攻撃をどのように止めようとしたのでしょうか。
A、全体的に狙い通りの守備はできていました。横浜FMが良いスタートを切って最初の20分から25分ほどはボールをうまく動かしながらプレーしていたと思います。前半の終盤くらいから自分たちでゲームをコントロールできるようになってきました。全体的に自分たちの使いたいスペースや相手の裏を取ることはできていましたし、ハーフタイムにそこを確認しながら後半も良い部分を出せていました。しかし、自分たちのシュートが2回ほどポストに当たり、2点目を決めるチャンスがあったなかで、終盤に決勝点を奪われてしまったことを残念に思います。

Q、東慶悟選手のポジショニングについてはいかがでしょうか。
A、使えるスペースを見ながらうまく戦えていましたし、良いスペースを使うこともできていたと思います。そこから良い攻撃につながって得点になりそうなシーンも多くありました。今日の試合で良かった点も多くあったと思うので、ポジティブな部分を伸ばしていき、改善しなければいけないところは改善して前に進んでいきたいと思っています。


[選手インタビュー]
<仲川輝人選手>


Q、今日の試合の振り返りをお願いします。
A、どちらに転ぶか分からない試合展開だったと思います。そのなかで、決めきる力の差とゴールに繋がる運を引き寄せる力の差を感じた試合でした。惜しい試合だったね、と結果的には勝ててないですし、結果を出すためにシビアになること、もっと結果を追い求める姿勢を示さないといけないと思いました。

Q、復帰後初となる約80分をプレーしたなかで、今日の出来はいかがでしたか。
A、50、60パーセントの出来でした。もっと動いて、チャンスを作るプレーを生み出したいと思います。スタートから出場できたことは正直、楽しかったです。負けてしまったこと、同じ相手に二度負けてしまったことは本当に悔しいです。先ほども話したとおり、今日の試合で感じた差を縮めていかないと僕たちが掲げる“優勝”には届かないと思います。

Q、試合前には“どのような感情になるか分からない”とおっしゃっていましたが、あらためて日産スタジアムでプレーして感じたことを教えてください。
A、横浜F・マリノスの温かいファン・サポーターの雰囲気もあって今日もプレーすることができましたし、東京のファン・サポーターのみなさんも、古巣対戦である僕を応援で鼓舞してくれました。声援に応えるためにも勝ちたかった、申し訳なかった、というのが正直なところです。多くの課題はありますが、まだまだやれること、伸びしろもあると思います。連敗しないように次の試合に向けて準備していきたいと思います。

Q、強い相手に勝ち切るためへの進歩を示すためにも次節は上位相手に重要な試合になります。あらためて、意気込みをお願いします。
A、上位チームを倒さなければ僕らも上には行けませんし、勝率の良い国立競技場では絶対に負けたくはありません。今日の敗戦を力に変えて、ファン・サポーターのみなさんも含めて一丸となって戦いたいです。最高な雰囲気を作り出してください。よろしくお願いします。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、もちろん優勝争いをしている相手なので難しい試合になることは分かっていましたし、そのとおりの試合で結果も難しいものになりました。試合内容は悲観するようなものではありませんでしたが、最後の結果が出なかったことですごく悔しい想いをしました。もう終わったことはしょうがないですから、次に進んでいくしかないと思います。次の試合も難しい相手ですが、しっかりと休養して準備をしていきたいと思います。

Q、ショートカウンターから同点ゴールを決めました。ゴールシーンを振り返ってください。
A、良いカウンターから俵積田晃太選手の良いクロスボールが入ってきて、ゴールを決めることができました。ゴールできたことは嬉しいですが、チームが負けてしまったので悲しいです。

Q、次は国立競技場での東京にとっては非常に重要な試合になります。意気込みをお願いします。
A、次の試合も難しい試合になります。次の相手であるヴィッセル神戸も優勝を争っているチームですから、ホームゲームではありますが難しい試合になると想定しています。今日の試合に出たミスをしっかりと修正して、良い試合ができるように準備をして臨みたいと思います。


<木村誠二選手>


Q、リーグ戦では久しぶりのフルタイム出場でした。試合の振り返りをお願いします。
A、自分たちのズレや食い違いのようなものから1失点目をしてしまいましたが、前半のうちに同点に追い付き、試合のなかで立て直すことができました。ですが、最後のところ、アディショナルタイムで失点してしまい、横浜F・マリノスの粘り強さと僕らの隙、どちらも出てしまった瞬間でした。自分たちの修正、改善しなければいけない点だと思います。

Q、攻撃に圧力をかけてくる横浜FMを相手に守備面でどのようなことを特に意識しましたか。
A、頂点の位置に身体が強いアンデルソン ロペス選手がいたので、簡単にボールを入れさせないこと、押し込まれる時間帯でも相手のボールホルダーに無理に行かず、中央の位置を固めること、最後の局面で身体を張ってやらせない意識はチームとしてあったと思います。その点に関しては良かったと思います。

Q、試合終盤で失点を喫して負けてはしまいましたが、90分を通したプレーの手応えなどはありましたか。
A、今は試合が終わったばかりですし負けてしまったので、悪い部分のプレーしか思い浮かばない状況ですが、僕自身のコンディション自体は良いなかで試合に臨むことができました。そのなかで最低限できるプレーはできたと思いますが、ビルドアップのパスがズレてしまったり、浮いてしまったり、守備面で相手への対応が若干遅れてしまった部分もあったとスタッフから伝えられました。僕自身が正しいと思っているポジションが違うのか、合ってはいるが対応が遅れてしまったのか、などしっかりと話し合って修正していきたいです。チャンスを得た時に、次こそは勝ちたいと思います。


<原川力選手>


Q、加入後初の公式戦となりました。1-1の難しい状況のなか、どのようなことを意識して試合に臨みましたか。
A、試合展開を見て、まずは守備のところを意識しました。両チームともに中盤を飛ばすようなオープンな展開になっていました。ボールにうまく関わりながらアタッカーの選手たちも同じタイミングでピッチに入りましたので、彼らの特長を活かしてカウンターから仕留められるような攻撃を意識しました。チャンスはあったので、カウンターを仕掛ける時も相手を見ながらプレーできれば、さらに多くのチャンスが生まれたと思います。

Q、得意とする精度の高いキックから決定機に繋がるプレーもありました。今日の試合の出来はどれくらいでしょうか。
A、先週の練習試合で90分間出場できたこともあり、コンディション面や自分のリズムでプレーできている手応えはあります。ここから試合出場を重ねて、さらに良くなっていくと思います。カウンターで仕掛ける時間が多かったので、相手陣地で押し込んだ後のマイナスで受けるプレーやミドルシュートなどのチャンスを常に窺っていました。もっとボールを受ける、要求するプレーを増やしていきたいと思います。

Q、次節へ向けた意気込みをお願いします。
A、試合を見ていても、まずは守備の強度が求められていると思っています。僕自身、攻撃で違いを出せる選手ですので、ボールを受けた時に他の選手との違いを見せられるように、どのタイミングでボールが欲しいか、など連携面を含めて、練習と試合を重ねて良くしていきたいと思います。