まずは1ゴール──
得点への気持ちは誰にも負けない
FW 14 山下敬大
2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは──。怪我からの復帰へ向けて順調にリハビリを進める山下敬大。誰よりも彼のゴールを待ち望んでいるのは、思いがけない日々を過ごし続けてきた彼自身に他ならない。
復活のシーズンが幕を開ける。初めて青と赤のユニフォームに袖をとおしてから3シーズン目、「今シーズンこそ」と誰よりも強く意気込むストライカーが、味スタにゴールの雨を降らせようと意気込み、ピッチに帰ってくる準備を順調に整えている。
山下敬大にとって、この2年間は“不完全燃焼”としか言い表せない時間だった。2022シーズンに注目の日本人ストライカーとしてトーキョーにやってきたが、ノーゴールという結果でフィニッシュ。前シーズンにサガン鳥栖で9得点を挙げていた実績を考えれば、“期待外れ”と言わざるを得ない結末に終わってしまう。そして昨シーズンは期限付きで湘南ベルマーレへ移籍するも、夏に左ひざ半月板損傷の重傷を負ってシーズンを棒に振ってしまった。
東京に復帰し、年が明けた今シーズンもリハビリからのスタートで開幕には間に合わないが、少しずつできることが増え、ボールを蹴る目途が立ってきたことで表情には笑顔が戻ってきた。「焦りは禁物」と自分に言い聞かせ、復帰に向けて自分の体と向き合い、一日一日を大切に過ごしながらも、その先のことを考えられるようになってきた。
「もちろんフォワードはみんなゴールを取りたいと思ってプレーしているだろうけど、今シーズン、その気持ちは誰にも負けるつもりはないです。シーズン初めに目標を聞かれると、これまでは2桁ゴールを掲げていたけど、まずはとにかく1ゴール。東京のために1ゴールを取って、みんなで喜びたい気持ちでいっぱいです」
点取り屋としての能力に疑いはない。むしろ両サイドからのクロス攻撃がチームとして一つの形になりそうな今シーズン、ニアに迷いなく突っ込んでいき、点でも面でもクロスボールに合わせられる新背番号14のプレースタイルは合わないわけがない。
「うずうずしてしょうがないんですよ。東京に来てからずっと。まだまだやらなければいけないことは多いですけど、復帰したらめちゃくちゃ頑張りたいです」
今、誰よりもサッカーに、そしてゴールに飢えているであろう山下敬大。彼が2年間にわたって溜め続けてきた鬱憤を晴らす姿が待ち遠しくて仕方ない。
Text by 須賀大輔(エル・ゴラッソ)