<試合プレビュー>
いざ、4度目のリーグカップウィナーへ。ピータートーキョーが新たな旅路に出航する。
4月17日(水)に行われる2024 JリーグYBCルヴァンカップ2回戦、FC東京はJ3のY.S.C.C.横浜と対戦。一発勝負で勝ち上がりが決まる試合は、ニッパツ三ツ沢球技場に乗り込んでの“アウェイ”ゲームとなる。
同大会は今シーズンからフォーマットが変更されている。昨シーズンまではJ1クラブと当該シーズンのJ2降格クラブが参加し、グループステージからプレーオフステージを経てノックアウトステージで覇権を争う形式だったが、今シーズンはJ1からJ3まで全60クラブによるトーナメント方式に変更。J1クラブは2回戦からの出場となり、東京もここで大会初戦を迎えることになった。
YS横浜とはクラブ史上初めての対戦(FC東京U-23を除く)。未知の相手ではあるが、今大会で過去3度の優勝経験を持つクラブとして絶対に勝ち上がらなければならない一戦となる。
チームは先週末に行われた2024明治安田J1リーグ第8節東京ヴェルディ戦で終了間際に追いつく意地を見せた。前半に2点を先行され、さらに退場者を出して数的不利となる展開を強いられながら、チーム一丸となって苦境を跳ね返し、遠藤渓太選手の2ゴールで2-2のドローに持ち込んで勝点1を手にした。
一人少ない状況下で、走力で上回る戦いを見せたこともあって激戦の疲労が懸念される。さらに今回の試合もU-23日本代表の3選手が不在となるが、リーグ戦では2試合続けて途中出場した選手が得点を決めるなど活躍している。前節で結果を残した遠藤選手も「彼らがU-23日本代表に行って、『やっぱりアイツら頼りだったんだ』と思われたくなかった」と語るなど、起用された選手が奮闘。誰が試合に出ても変わらない選手層の厚さを見せている。
また、同大会は“若手の登竜門”とも言われているだけに、これまで出場機会に恵まれなかった選手たちの奮闘にも期待したいところだ。ピーター クラモフスキー監督は「負けたら終わりの大会。選手起用はコンディションを見ながら判断していきたい。(年齢が)若くても若くなくても、試合に出る準備ができていて、力があれば関係ない。自分たちのフットボールができる準備をしていきたいと思う」と語っており、フレッシュなメンバーの起用も考えながら一戦必勝を期す構えを見せている。
思えば2007年7月8日、長友佑都選手が初めて青赤のユニフォームに袖を通してJリーグ公式戦のピッチに立ったのが、他ならぬヤマザキナビスコカップ(当時)の三ツ沢だった。36番を背負い、JFA・Jリーグ特別指定選手として出場した彼のその後の成長と進化は、改めて説明するまでもないだろう。
今回の試合はミッドウィークに行われるアウェイでのゲームだが、起用された選手にとっては今後に向けたターニングポイントになる可能性がある。指揮官の采配を見ながら、そんな視点で観るのも興味深い。
まずは一戦必勝。誰がピッチに立っても変わらぬアグレッシブな戦いを披露し、しっかりと勝ち上がることで4度目の頂点をめざす旅路を歩み始めたい。
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、Y.S.C.C.横浜とのJリーグYBCルヴァンカップ初戦です。若手の起用を考えていますか。
A、試合に勝つためのメンバーを連れていきますし、それを今考えているところです。もちろん、各選手のメディカル観点の情報も確認しながら、試合前日の練習を踏まえて決めていけたらと思います。若かろうが若くなかろうが、私にとっては関係のないことです。準備ができていて力さえあれば、17歳であろうと最年長だろうと、自分たちのフットボールができるようにメンバーを選んで準備していくだけです。
Q、U-23日本代表の3選手が不在です。
A、それも一つのプロセスだと思っています。メンタルの面もそうですし、自分たちのプレーや自分たちが毎日やっていることをしっかりと伸ばしていくことが、成功や大きなことへの一歩になります。今、チームは良い方向に進んでいると思いますが、継続してもっとやっていかなければいけません。
Q、ルヴァンカップが今シーズンからトーナメント方式となりました。昨シーズンとの違いや難しさをどう感じていますか。
A、違いはもちろん、勝てば次に進めて負ければそこで終わるということです。開催方式の違いはありますが、私にとっては何も変わりません。毎週プレーできるチームを選ぶこと、我々のフットボールができるように、強いメンタリティを持って戦い、試合に勝つということ。それは、ルヴァンカップであろうとリーグ戦であろうと変わりません。スタメンの11人がしっかりと戦う準備をして、サブに控える選手たちがしっかりとインパクトを残せるように、そして最後までしっかりと戦えるようにスタンバイするだけです。
Q、練習後、安斎颯馬選手に声を掛けていました。どんな言葉をかけましたか。
A、東京ヴェルディ戦の後にも話しました。あの試合で、安斎選手には色々なプレッシャーがかかっていたのかもしれません。安斎選手の退場を受けて、チームとしてどう反応していくのか、チームとしてのメンタリティが大切になりました。クラブのために、そして安斎選手のためにそれを乗り越えていく。良く2点のビハインドから追いつくことができたと思います。3点目も入りそうでしたが、時間がなくなってしまいました。安斎選手と話したのは、前向きでいてくれということです。私たちは100パーセントサポートしていく、そういった話をしました。
Q、ヴェルディ戦やその前の川崎フロンターレ戦のように、中を閉じて対策を講じるチームが増えてくるかもしれません。それをどう上回っていきますか。
A、中を閉じてくれば他のスペースが空きます。そこを素早く見付けていくこと、そして前進できれば良いと思います。自分たちのプレーを、戦い方を伸ばしていきたいです。
[選手インタビュー]
<寺山翼選手>
Q、東京ヴェルディ戦を土壇場で追い付く形で終えて、中3日で連戦となります。JリーグYBCルヴァンカップは違う大会ですが、あらためて連戦のなかでチームを立て直す良い機会になりそうです。
A、リーグ戦とは異なり、負けたら終わりという大会なので、危機感を常に持って戦わないといけない試合だと思います。相手に合わせず、自分たちのサッカーをしっかりと表現することが大事になります。
Q、寺山翼選手ご自身としては、ヴェルディ戦で途中から出場してゴールにも絡みました。コンディションもパフォーマンスも上がってきているなかで、さらに公式戦で継続したいタイミングではないですか。
A、与えられた時間のなかで自分のプレーを出して、そのなかで出場時間が伸びていくことが大事ですし、それがスタメン入りにつながると思います。自分が与えられた時間、与えられたポジションでしっかりと結果を出すことにこだわっていきたいです。
Q、先日の試合ではボランチよりも1列前のポジションで起用されました。その際も、与えられた役割などは自分のなかで整理したうえで試合に入れていましたか。
A、10人という(分かりやすい)状況もありましたが、ベンチでピーター クラモフスキー監督が指示を出してくれた時に、自分のやるべきことはスッと整理できたし、そのなかでチームとしても意思の疎通が図れていました。そこに自分もうまく乗ることができました。
Q、もし、次の出場機会でポジションがボランチに戻った場合にも、また自分としてやるべきことは整理されている状態ですか。
A、ボランチはボランチで見える景色も変わります。今までやってきたことを出すだけだと思いますし、試合には毎日の練習で常にやっていることしか出てこないと思います。それを良い形で出せたらいいですね。一番大事なのはゲームコントロールの部分です。うまく味方を使いながら、自分も良いところを出しながらプレーしたいです。ボール奪取のところは自分の長所だと思うので、そこで奪い切るところやゲームを作るところは、周りとも声を掛け合いながらチームとしてやっていきたいと思います。
Q、Y.S.C.C.横浜は現在J3リーグに所属するチームです。寺山選手が順天堂大学に所属していた時に天皇杯で東京と対戦した際と同じような気持ちで臨んでくることが予想されます。
A、僕も当時は絶対に勝ってやるという気持ちが強かったですし、正直なところ、立場として失うものがなかったという状況もありました。東京の胸を借りて戦っている気持ちでした。今回は僕としては逆の立場で、相手は死に物狂いで向かってくると思うし、それを受けてしまってはいけません。自分たちの情熱や気持ちで相手の必死さを上回るくらいでないと、隙を見せると食われてしまうと思うので、相手に合わせずに自分たちが自分たちのプレーに集中して相手を食うことが大事だと思います。
Q、まだ大会のスタートではありますが、大きなタイトルを狙っているという意識はありますか。
A、もちろん、負けたら終わりという危機感は持たないといけないですし、ぬるく入ると難しい試合になります。チーム全体が集中しないと、こういう大会はカテゴリーに関係なく何が起こるか分からないので。ピッチに立つ一人ひとりが自覚を持ってプレーしたいと思います。
<岡哲平選手>
Q、連戦のなかでリーグ戦とは違う大会を戦ううえで、チャンスにつながる可能性もあると思います。
A、連戦のなかのJリーグYBCルヴァンカップですし、自分にも出番が来ると思いながら準備をしてきました。リーグ戦でも常に出場する準備はしてきましたが、なかなかチャンスを掴めていないなかで、東京ヴェルディ戦が終わった直後から、このルヴァンカップで結果を残してやろう、と思っていました。調子は悪くないですし、やれる自信もあります。
Q、キャンプからシーズンに入っても練習試合が多く、そのなかでも常に高いパフォーマンスを維持されています。
A、最初は基本的な戦い方に合わせるのに苦労しましたが、今はやるべきことをやれば良い、という状態までもってこられています。
Q、調子が上がってきたここ数試合では、ディフェンスラインからしっかりとパスで組み立てていくところがチームの基盤にありますが、ビルドアップの部分の手応えはどうですか。
A、ビルドアップの部分では周りも結構サポートしてくれて、課題の部分でもあるのですが、『自分のところにボールが来ないでほしい』という消極的な姿勢ではなくて、自分が起点になってボールを動かしてやろうという気持ちでプレーできています。
Q、J3リーグに所属する相手としては相当なモチベーションで臨んでくると思いますが、岡哲平選手自身もチャレンジャーという立場で、気持ちの部分でも強い状態で相手と向き合えるのではないですか。
A、自分もチャレンジャー精神でいます。ただし、叩き落すという強い気持ちも持っています。すごく緊張するタイプだったのですが、今はそんなこともないので、平常心で準備ができています。それに、自分がU-18に所属していた時に、FC東京U-23の一員としてニッパツ三ツ沢球技場でY.S.C.C.横浜と試合をしたことがあって、プロとして戦う感覚を体験した場所です。「やれる」という自信をつけた場所ですし、それを本当にプロとなった今、証明したいです。
<佐藤龍之介選手>
Q、Y.S.C.C.横浜とのJリーグYBCルヴァンカップ初戦を迎えます。
A、今シーズンはトーナメント方式になり、負けたらルヴァンカップ自体が終わりになってしまいます。自分の舞台は勝利することでしか続いていかないと思うので、勝つことで自分の舞台を作っていきたいと思います。
Q、リーグ戦とは違う大会を戦ううえで、どんなプレーをしていきたいですか。
A、いつもの試合もそうですが、ルヴァンカップでは特に試合に飢えている選手が多いと思います。そのなかでそれぞれが自分のプレーを出しつつ、チームとしてまとまっていかないと勝てないと思うので、そこのバランスというのは、みんなで話し合いながらやっていきたいです。ただ、勝利でしか評価されないと思うので、最後、笛が鳴った時に勝っていられるようなサッカーをしたいと思います。
Q、国立競技場での2連戦と東京ヴェルディとの一戦を終えて、チームの雰囲気はいかがですか。
A、直近のリーグ戦3試合は、結果的には悪い試合はなかったので、チームとして良い雰囲気でやれています。試合に出られていない選手も、集中を切らさずにトレーニングを重ねられているので、全員がチームのために準備できていると思います。
Q、アウェイの地での一戦となります。ファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
A、試合に飢えている選手が多いですし、その気持ちはピッチの上でしかファン・サポーターのみなさんに届けられないと思います。気持ちを全面に出して、観に来て良かったと思ってもらえるような試合にしたいです。応援よろしくお願いします。