<マッチレビュー>
リーグ戦との過密日程で戦う天皇杯3回戦は、フクダ電子アリーナに乗り込み、J2リーグに所属するジェフユナイテッド千葉と対戦した。
スターティングメンバーは、リーグ戦の柏レイソル戦からセンターバックの岡哲平選手を除いて全員を入れ替えた。ゴールマウスは波多野豪選手が守り、右サイドバックは中村帆高選手、左サイドバックは長友佑都選手、もう一人のセンターバックは森重真人選手が務めた。そして中盤は原川力選手と東慶悟選手がダブルボランチを形成し、トップ下には松木玖生選手を配置。前線は荒木遼太郎選手を頂点に右ウイングに遠藤渓太選手、左ウイングにジャジャ シルバ選手を並べた。
1stHALF—互いにチャンスを作る一進一退の攻防
千葉のペースで進む時間が長かった前半の45分だった。
立ち上がりこそ、ボールを握る姿勢を見せた東京だが、次第に千葉の前線からのプレスに苦しみ主導権を明け渡す。前半10分には敵陣でのパスミスからカウンターを食らい、決定的なピンチを招いてしまう。右サイドから田中選手にクロスを入れられると、ファーサイドでドゥドゥ選手に頭で合わされてあわや失点かと思われたが、ここは懸命に戻った中村帆高選手が身体を投げ出してブロックした。
前半22分になってようやく東京もゴールに迫る。前線からプレスをかけ、ジャジャ選手が奪ったボールを松木選手が右サイドに展開。遠藤選手が冷静なトラップから右足を振るが、こちらもディフェンダーにブロックされた。
その後は一進一退の展開。前半39分には自陣でのパスのズレを突かれ、林選手にシュートまで持ち込まれるが、ここは波多野選手の好セーブでしのぐと、前半43分には前半最大のチャンスを作り出す。原川選手の縦パスをきっかけに左サイドを崩し、遠藤選手と長友選手とつなぎ、最後はエリア内で原川選手が右足を強振。シュートは枠を捉えたが、こちらもゴールキーパーにセーブされ、スコアに動きはなく試合を折り返した。
2ndHALF—松木の華麗なゴールで先制も追い付かれ延長へ
後半開始から鋭い出足でゴールに迫っていったのは東京。後半4分には鮮やかな形から先制点を奪う。
岡選手の縦パスを受けたジャジャ選手が前を向いてスルーパス。ディフェンダー間で受けた松木選手が足裏を使った華麗なターンで抜け出すと、最後は落ち着いてゴールに流し込んだ。
この1点で完全にリズムをつかんだ東京は、勝負を決める2点目を奪いにさらに攻勢にかかる。しかし、後半14分の決定機では遠藤選手がシュートを枠に飛ばせず、後半26分には途中出場の野澤零温選手が右サイドを抜け出し、シュートまで持ち込むがゴールキーパーの正面に飛び、追加点を決め切れない。
後半28分には俵積田晃太選手の折り返しから松木選手が左足で合わせるも、ゴールの外側に外れた。
こうなると、段々と千葉も息を吹き返し、後半29分に決定機を作る。髙橋選手のフィードに日高選手が抜け出して打ったシュートはポストに直撃し難を逃れるも、後半34分に林選手に右足でシュートを決められてスコアを振り出しに戻された。
5分のアディショナルタイムは、東京が勝ち越し点を狙って押し込む時間を長くしたが、結局、2点目は奪えずに1-1のまま延長戦に突入した。
EXTRA TIME—立ち上がりの失点を守り切られ…
勝ち越しを狙った東京だが、開始から1分も経たない内に失点を喫する。右サイドで押し込まれ、佐々木選手のシュートを波多野選手が一度はセーブするも、こぼれたボールを呉屋選手に蹴り込まれ、逆転を許す展開で延長戦がスタートした。
ベンチはすぐに動く。仲川輝人選手と徳元悠平選手を投入し、まずは同点をめざして仕切り直す。しかし、なかなかリズムを取り戻せないまま時間が経過していく。延長前半15分には右サイドで得たフリーキックを原川選手が直接狙ったが、ボールは落ち切らずにゴール上へと外れた。
残りの15分で何としてでも追い付かないといけない東京は、延長後半6分には木本恭生選手を投入し、長身の岡選手を前線に上げてパワープレーに打って出る。
延長後半9分にはカウンターからゴール前でヘディングシュートを打たれたが、ここは波多野選手がファインセーブで何とかゴールを死守する。しかし、全体が間延びしてしまった状況で思うように攻撃の形を作れないまま刻々と時間は過ぎていき、追いつけないままタイムアップ。先手をとりながら、逆転を許す形で天皇杯の戦いを終えた。
MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF中村帆高/森重真人/長友佑都(延長前半6分:徳元悠平)/岡哲平
MF松木玖生/東慶悟(後半23分:小泉慶)/原川力(延長後半6分:木本恭生)
FW遠藤渓太(後半23分:野澤零温)/ジャジャ シルバ(後半23分:俵積田晃太)/荒木遼太郎(延長前半6分:仲川輝人)
SUBS
GK野澤大志ブランドン
GOAL
後半4分:松木玖生
<ジェフユナイテッド千葉>
STARTING Ⅺ
GK鈴木椋大
DF髙橋壱晟/松田陸/メンデス/日高大(後半37分:佐々木翔悟)
MF小林祐介/風間宏矢(後半18分:高木俊幸)/横山暁之(延長前半0分:田口泰士)
FW林誠道(後半37分:呉屋大翔)/佐久間太一(前半8分:田中和樹)/ドゥドゥ(後半18分:小森飛絢)
SUBS
GK高木和徹
GOAL
後半34分:林誠道 / 延長前半1分:呉屋大翔
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、試合の振り返りをお願いします。
A、残念な結果となり、非常に心を痛めています。我々は本当に勝ちたいという気持ちで試合に臨みましたが、勝利できずに非常に残念です。ここからまた盛り返していきたいと思っています。ジェフユナイテッド千葉には、おめでとうと伝えたいです。本当にタフな試合でした。厳しい戦いになってしまったと感じています。
Q、延長戦に入って、ボールが収まらなかったり、あるいはボールを回収しながら前進することが難しい時間帯が続きましたが、原因をどう考えていますか。
A、相手チームがセカンドボールに上手く対応していたため、そういった時間帯になってしまったと思っています。そのなかでも、選手たちは全てを出し尽くして戦ってくれました。非常に悔しい気持ちですが、ここから自分たちがどう反応するか、そして次の試合に向けて時間がありますので、しっかりとチームで団結して、準備していきたいと思っています。
[選手インタビュー]
<東慶悟選手>
Q、今日の試合を振り返ってください。
A、自分たちで試合を崩してしまったと思います。1-0で勝っている時にバタバタせずに、もっと冷静になって、相手が点をとりに前がかかりになっているところでカウンターを仕掛けたりすることが必要だったと思います。
Q、久しぶりの出場となりました。どのようなことを意識して試合に入りましたか。
A、うまく試合をコントロールすることが自分の役割だと思っていました。できている時間帯とできていない時間帯がありましたが、得点をとったあとはもっと落ち着いて試合を運べれば良かったです。その他にも得点をとれるチャンスもあったので、しっかりととり切りたかったです。
Q、前半はチームとして勢いに乗り切れていませんでした。
A、守備の仕方がはっきりとできていなかったので、後半の入りからはマンツーマン気味にしたところがハマったと思います。前半からできれば良かったという考えもありますが、バランスも重要で90分間で考えていかなければいけません。後半に良い形で得点をとれていたので、その後の試合運びは改善しなければいけません。
<遠藤渓太選手>
Q、久しぶりのスタメン出場でした。どのようなことを意識して試合に入りましたか。
A、3日後にアルビレックス新潟戦が控えていますが、この試合の結果が新潟戦にもつながってくると思っていました。一発勝負のトーナメント戦なので、スタートからしっかりやっていこうとみんなで話していました。自分自身としては、前半の重要な場面であまり良さを出せませんでした。あのように本当に決め切らなけらばいけないシーンで決め切れないと、チームの結果にも響いてくると思います。いつまでも「慣れるために」とか「試運転」とかも言っていられないですし、自分も含めみんなが結果に対して責任を負わないといけないと思います。
Q、後半は勢いがあったように感じました。
A、センターバックにプレスをかけて、サイドバックへのプレッシャーをかけることをやめました。その結果うまく回るようになったと思います。できれば、前半のうちから修正できれば良かったです。個人的な話をすれば、やはり自分のところで決め切るチャンスを決め切らなけらばいけなかったという反省があります。
Q、次の試合に向けて意気込みを聞かせてください。
A、今日の結果には自分たちも含め、ファン・サポーターのみなさんも落胆していると思います。それでも次の試合はやってくるし、そこで応援してくれる人たちのためにも、自分たちは勝利をめざしてプレーしなければいけないと思います。もちろん今は良い気分にはなれませんが、矢印を次の試合に向けてやっていきたいです。