2/26 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.2.26

2/26 名古屋戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
土曜日のFC町田ゼルビア戦に続いて、味の素スタジアムでのホーム2連戦。先週末に味わった悔しさを晴らすべく、本拠地での今シーズン初勝利をめざす。

東京はミッドウィーク開催という過密日程も踏まえて、前節からスターティングイレブンを5人変更。ゴールキーパーには野澤大志ブランドン選手、3バックは中央にエンリケ トレヴィザン選手を置き、右に土肥幹太選手、左に岡哲平選手を配置。ウイングバックは安斎颯馬選手を左、白井康介選手を右に起用し、ボランチには高宇洋選手と小泉慶選手が並んだ。インサイドハーフにはエヴェルトン ガウディーノ選手と青赤初スタメンの佐藤恵允選手、1トップに長身の山下敬大選手という布陣で臨んだ。

また、FC東京U−18所属の北原槙選手が初めて公式戦でベンチ入り。今年の沖縄キャンプに帯同して力強いプレーを印象付けていたが、ここでトップのメンバーに名を連ねることになった。もし起用されれば15歳7か月19日でJ1リーグの最年少記録を更新するだけに、出番が巡ってくるかどうかにも注目が集まる。

一方の名古屋グランパスは東京と同じ3-4-2-1システムを採用。元東京の徳元選手が左から、内田選手が右から果敢なアタックを仕掛けてくるウイングバックは、しっかりと警戒しておきたいところだ。東京にとっては3試合連続の“ミラーゲーム”となるなかで、フレッシュなメンバーを起用して攻撃にいかなる変化を加えていくのか。

1stHALF—ゴール前に詰めた山下が青赤初ゴール!

お互いに様子を見るような序盤から先に攻撃で持ち味を見せたのは東京だった。前半13分、右サイドから小気味良くつないだところで高選手が右へ展開。白井選手がクロスを入れたところで安斎選手が倒されてフリーキックのチャンスを得る。これを安斎選手自身が右足で直接狙ったが、惜しくも相手ゴールキーパーに阻まれてネットは揺らせない。

立ち上がりは最終ライン深くでプレーするシーンが目立ったが、少しずつ高い位置で持てる時間帯が増え、裏を狙う動きやくさびのパスを入れながら崩していくプレーなど攻撃に工夫を加えていこうとする。

前半23分には相手に押し込まれるなかで決定的なループシュートを打たれるが、ゴールキーパー野澤選手のスーパーセーブで難を逃れた。

そして前半31分、東京らしい鋭い攻撃が結実する。中盤で小泉選手が素早く寄せたこぼれ球を白井選手が受けて中央から縦へ力強くドリブル突破。ここからのパスを左に抜け出した佐藤選手が受け、相手の立ち位置を見ながら冷静に折り返すと、ゴール前に詰めたのは山下選手。期限付き移籍や負傷による長期離脱を経験してきた背番号14が待望の青赤初ゴールを決め、東京が先制点を奪うことに成功する。また、佐藤選手にとっては東京での初アシストとなった。


その後はピッチの11人が高い集中力を見せてゴールを守り切り、東京が1点をリードして前半を折り返した。

2ndHALF—鋭いアタッキングで2点の追加点を奪い今シーズンホーム初勝利

ともに交代なしで迎えた後半、先にビッグチャンスを作ったのは東京だった。

後半5分、佐藤選手が右サイドから中央へ仕掛け、ペナルティエリアに進入したところでマークに来た相手ディフェンスのリズムを崩すようなワンフェイントから鋭く右足を振り抜く。これは惜しくも左に外れたが、高い位置でのプレーからゴールに襲いかかるシーンが徐々に増えていく。

東京がボールを保持する時間が長かった前半に対し、後半は名古屋がポゼッションしながら押し込む展開が目立つなかで得意の鋭いアタッキングが追加点を生み出すことになる。

後半14分、エヴェルトン選手が右サイドで小泉選手と長いワンツーから猛然と縦へ突破。この右クロスは中央で相手にクリアされたが、そのボールが相手に当たってゴール前にフワリとこぼれ、落ち際を佐藤選手が巧みにヒールで流し込んで追加点。背番号16が青赤初アシストに続いて初ゴールを決め、東京がリードを2点に広げた。ゴール裏スタンドは「ワッショイ」チャントに合わせて揺れ、1ゴール1アシストの活躍を見せたアタッカーには大きな「ケイン!」コールが送られた。

殊勲の先制弾を決めた山下選手、追加点を演出したエヴェルトン選手に代えて、後半16分にマルセロ ヒアン、俵積田晃太の両選手を投入して前線を活性化していく。後半19分にはVARのサポートを受けた末に名古屋のゴールが認められて1点差に詰め寄られてしまうが、その後も東京が集中した守備と速攻を見せる。

後半25分には俵積田選手が左サイドのタッチライン際を独走し、中央へカットインした瞬間に縦のスペースに鋭いスルーパス。ここに佐藤選手が飛び出す素晴らしい攻撃を見せる。このシュートはゴールキーパーに防がれて惜しくもゴールネットは揺らせなかったが、相手を少し引き込んでの鋭い攻撃でチャンスを見いだしていく。

後半39分にはエンリケ選手に代えて森重真人選手をピッチに送り込み、3バックの中央に配置。後半45分には白井選手、佐藤選手に代えて長友佑都選手と仲川輝人選手を投入。しっかりと試合をクローズするべく交代枠を使っていく。

そして6分間の後半アディショナルタイムも中央をしっかりと締めて集中した守備を見せると、味の素スタジアムに3度目の歓喜が訪れる。

俵積田選手が右サイドをカウンターで独走してゴール前へパス。仲川選手のシュートがゴールキーパーにストップされたこぼれ球に後方から安斎選手が走り込み、ダイレクトで右足を合わせて追加点。東京が試合を決定づける3点目をたたき込んだ。


試合はこのまま3-1でタイムアップ。スタメン起用されたフレッシュなメンバーが躍動し、昨シーズンまで大きな武器にしていた鋭い攻撃が冴えてホーム味の素スタジアムで見事な勝利。引いた相手を崩す攻撃に課題を残しつつも、誰がピッチに立っても遜色ないサッカーができることを証明し、東京が2勝1敗と白星を先行させることに成功した。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF岡哲平/土肥幹太/エンリケ トレヴィザン(後半39分:森重真人)/白井康介(後半45分:長友佑都)
MF安斎颯馬/高宇洋/佐藤恵允(後半45分:仲川輝人)/小泉慶
FW山下敬大(後半16分:マルセロ ヒアン)/エヴェルトン ガウディーノ(後半16分:俵積田晃太)

SUBS
GK波多野豪
DF木本恭生
MF北原槙
FW野澤零温

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半31分:山下敬大 / 後半14分:佐藤恵允 / 後半45+6分:安斎颯馬


<名古屋グランパス>
STARTING Ⅺ
GK武田洋平
DF宮大樹/三國ケネディエブス/原輝綺(前半41分:浅野雄也)
MF徳元悠平/椎橋慧也(後半30分:加藤玄)/稲垣祥/和泉竜司(後半30分:永井謙佑)/内田宅哉
FW山岸祐也/マテウス カストロ(後半39分:森島司)

SUBS
GKピサノ アレックス幸冬堀尾
DF野上結貴/佐藤瑶大
MF中山克広/山中亮輔

MANAGER
長谷川健太

GOAL
後半20分:椎橋慧也


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、平日のナイトゲームで多くのファン・サポーターのみなさんに会場へと足を運んでいただき、みなさんの目の前で勝利を届けることができたことに非常に満足しています。みなさんの応援があって、後押しされての勝利だと思っています。

試合の内容に関しては、我々が望んでいるような内容ではないというのも承知をしています。自分たちがもう少しイニシアチブを持ったなかで展開できるケースを増やしていかなくてはいけませんし、さらにゴールを生み出すためにはそういうことが必要になると考えています。 守備は少し重かったかもしれません。まだまだ対応の甘さがあるなかでの1失点だったので、さらに上げていかなくてはいけないと思います。 ただ、ゲームの中での一瞬一瞬のチャンスというものをしっかり三つものにできたということは非常に評価できることだと思います。やはりゴールは勇気を与えてくれると思うので、この勝利を次節にしっかりとつなげていきたいと思っています。

Q、1ゴール1アシストと初スタメン起用の期待に応えた佐藤恵允選手の評価をお願いします。
A、非常に評価できると思いますし、彼はもっともっとできる選手だと思っています。さらに彼の本来の良さというものを前面に出していく準備は怠らず、続けてほしいなと思っています。

Q、北原槙選手が15歳でベンチ入りしました。北原選手をベンチに入れた理由と評価について教えてください
A、沖縄キャンプで北原選手を見た時から、十分にJ1リーグの舞台で戦える選手だと僕は思っていました。1対1の駆け引きのなかでのギリギリでの判断やアイディアという部分では、非常に長けたものを持っている選手です。今回の試合に関しては非常にプレスの強い相手ではありましたが、2-0の時点で時間帯によっては起用する考えがありました。その後1失点してしまったことによって守備に追われる時間はおそらく増え、カウンターの場面というのが攻撃で成立すれば多くなるであろうと考えていました。

そこでも十分に彼のフィード能力や相手の矢印を折れるようなパスが通用すると思っていましたし、人をかわすこともできるので、試合に出して良いなとは思いました。ボランチの疲労の度合いを見ながらでしたが、今回スタメンで起用しているボランチの二人は疲れた様子を見せることなく動けていたので、今回は北原選手にとっては残念だったかもしれませんが、起用には至りませんでした。

Q、開幕後2試合から前線の3選手を全員入れ替えました。評価について教えてください。
A、攻守においてもう少しできるだろうと序盤は思っていました。守備に関しての約束事は意識しながらも、少し単純なエラーが続いたなかで、どうしても守勢に回る部分もあり、自分たちの攻撃力という部分では少し力を発揮できなかったのかな、と。ただ、ポイントポイントでは、彼らの能力を発揮した得点でもあったと思います。決定的なチャンスというのはゴールキーパーとの2対1の場面なんだと伝えてきました。佐藤恵允選手は良い判断をしてくれましたし、山下敬大選手の得点につながりました。2点目はエヴェルトン ガウディーノ選手がしっかり絡んでくれました。必ずしも彼らは内容に満足してはいないとは思いますが、勝利に結びついた活躍をしてくれました。次につながる試合になったのではないかなと思います。


[選手インタビュー]
<佐藤恵允選手>


Q、初スタメンとなった今日の試合の振り返りをお願いします。
A、自分たちがボールをコントロールして押し込むシーンもありましたが、試合中盤は相手に押し込まれる時間が長くなってしまい、失点もしてしまいました。ですが、そのなかで終盤にショートカウンターから得点も奪えましたし、良かったと思います。チームとしてもう少しボールを握って、相手を崩しながら前進していく意識でいました。うまくいかない時間もありましたが、今日の勝利から反省すべき点は改善して、次の試合に臨みたいと思います。

Q、スタメン出場にあたり、松橋力蔵監督からはどのような指示がありましたか。
A、攻撃的なポジションとして、相手のマンマークをしっかり回避しつつ、生まれたスペースをチームメイトが有効的に使えるように、前を向いたプレーがチームとして出せるようにと指示がありました。チームとしてめざすスタイルと僕個人の特長がうまく融合できた印象です。

Q、東京加入後初ゴールがチームを勝利に導きました。
A、ゴールとしてはラッキーな形でした。試合を通じて泥臭くプレーできましたし、そのような選手に対してボールが転がってくるのは、今までのキャリアのなかで多く経験してきました。それを偶然と捉えるか、必然と捉えるかは自分次第ですが、初ゴールを素直に喜びたいと思います。(ヒールのシュートを選択したのは)咄嗟の判断ですし、あのようなオシャレなシュートはキャリアのなかで初めてかもしれないです(笑)。きれいに決まって良かったです。

Q、試合後にはファン・サポーターのみなさんと喜びを分かち合うシーンもありました。
 A、最高の雰囲気でした。ホームである味の素スタジアムで移籍後初ゴールを決めることができて何より嬉しいです。僕自身、東京出身ですし、幼いころはスタンドで試合を観戦していました。応援していた側から選手として“応援していただく側”になれたことはとても感慨深いです。とても良い雰囲気でプレーできたことに感謝しています。


<山下敬大選手>


Q、東京加入4シーズン目で移籍後初ゴールとなりました。
A、色々あったなかで、監督とコーチ陣、トレーナー含めて、ここまで支えてきてもらいました。リハビリも含めてやはり恩返しがしたかったですし、今日決められて本当に良かったですし、勝てて良かったです。ちょっと喜び過ぎてあまり覚えていないですが、佐藤恵允選手が良いボールをくれて、流し込むだけでした。白井康介選手が佐藤選手に出したと思いますが、佐藤選手がシュートを打ってもこぼれたらここに来るだろうなというポジショニングもしていましたし、パスがきてもいいようなポジショニングもしていたので、これは自分の良さが一つ出たかなと思います。

Q、身体を張ってチームのためにという姿勢を見せた試合でした。
A、本当に久々のスタートからの出場で気合いも入っていましたし、自分の最大限できることをやろうと思っていたので、まずは勝てて点をとれてホッとしていますね。

Q、この1点が次にどのようにつながっていくと思いますか。
A、自分にとって本当にとても大きな1点だなと思っています。今の自分に本当に必要だったと思っていますし、次も貪欲にゴールを狙っていきたいです。


<安斎颯馬選手>


Q、最後のゴールシーンを振り返ってみていかがですか。
A、マルセロ ヒアン選手にボールが入った瞬間から何か起こるなと思っていたので、冷静にゴールに流し込むことができました。まずは枠内に抑えて入れることを意識しました。あの時間帯に追加点を奪うことができて良かったです。

Q、得点直後にゴール裏スタンドの前で喜んでいましたが、どんな気持ちでしたか。
A、自分自身は怪我でキャンプにほとんど参加できなくて、なかなかコンディションが上がらず、苦しい時間過ごしていました。あのゴールはそういった悔しい気持ちや苦しい気持ちが全面に乗ったゴールだったと思います。

Q、今日は左ウイングバックでの出場でしたが、どんなことを心掛けていましたか。
A、前節は負けていて、今回は比較的フレッシュな選手が前線にいたので、ここで新たな力、フレッシュな力を発揮できるように心掛けました。

Q、誰が出ても効果的なサッカーができるということを証明できた試合だと思います。
A、本当にチーム全員の力で戦わないと上位は絶対に見えてこないと思います。これからも連戦が続くと思うので、試合に出場している選手も出場していない選手も全員の力で勝利に向かっていければと思います。