5/21 湘南戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.5.20

5/21 湘南戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<1stラウンド2回戦・RB大宮アルディージャ戦のレビュー>

4月16日にアウェイで行われた1stラウンド2回戦。東京は前半から果敢なプレスとマルセロ ヒアン選手のスピードを活かすサッカーで優位に立つと、後半11分にヒアン選手が青赤移籍後初ゴールを決めて先制。東慶悟選手の浮き球パスに小泉慶選手が抜け出して落とし、さらにオーバーラップした長友佑都選手の折り返しを背番号19が押し込むという厚みのある攻撃で先手をとった。

しかし、後半37分に同点とされ、試合は延長戦に突入。すると延長前半8分のことだった。中盤でボールをカットした高宇洋選手がそのまま持ち上がって前方へ長いスルーパス。ここへ抜け出したのはヒアン選手。縦へ仕掛けると、相手ゴールキーパーをかわしてゴールへ流し込んで勝ち越しに成功する。


さらに延長前半のアディショナルタイムには、橋本拳人選手のフィードからヒアン選手が高速ドリブルで独走。左45度から鋭い右足シュートを叩き込んでハットトリックを達成し、試合を決定付けた。

チームにとってはリーグ戦未勝利が続いていたなかでの勝利。選手たちは「90分のゲームだったら追いつかれて引き分けだった。しっかり勝ち切らなければ」と気を引き締めていた。ただ、リーグ開幕から不発だったエースが圧倒的な決定力を見せつけ、彼の特長をチーム全体で引き出したという意味では、シーズン全体を通じても一つのターニングポイントになった試合でもあった。


1stラウンド3回戦のプレビュー>

リーグ戦の合間に迎えるのは、Jの聖杯を巡る戦い。2025 JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦、東京が臨むのはアウェイでの湘南ベルマーレ戦だ。この試合は1試合の結果で勝ち上がりが決まるノックアウト方式のトーナメント戦。つまり延長戦、ペナルティキック戦を含めて最後まで決着をつけるゲームとなる。

RB大宮アルディージャとアウェイで対戦した同2回戦は、延長戦までもつれ込んだ末にマルセロ ヒアン選手がハットトリックを達成して3-2で勝利。選手たちは最後の最後まで足を止めず、勝つために必要な“バトル”をピッチで体現した。

どんな内容でも、この試合にとにかく求められるのは勝利に他ならない。松橋力蔵監督も「次のステージに勝ち上がるために、みんなでエネルギーを出していくしかない。戦術的な部分はありながら、試合で起こることを踏まえて、次に進むために何をしなければならないのか、どういう判断が必要なのかも、いつも以上に明確にしていきたい」と勝利への道筋をイメージしている。

対戦相手の湘南ベルマーレは伝統的なハードワークに加え、山口智監督が組織的なサッカーを植え付けて上位進出を狙っている。今シーズンは開幕5戦無敗と好スタートを切り、少し伸び悩みながらも明治安田J1リーグ第12節ではFC町田ゼルビアに勝利した。直近のリーグ戦3試合は無得点に終わっているが、松橋監督は「完成度が上がってきているチーム。グループでも個人でも打開できる手強い相手」と気を引き締める。


東京としては第5節に対戦した際にスコアレスドローに終わっているが、「決定機を決めていれば……」という好内容のゲームだった印象は記憶に新しいところ。ただし、この試合で決定力不足という課題を残したのは事実。その後、チームとしても抱え続ける修正点となっていることは忘れてはならない。

ベテランの東慶悟選手も「すべてのチームが『あれを決めておけば勝っていた』とか『あそこを守れていたら』って言っていると思う。今のJリーグはそこがどっちに転ぶかで順位や勝点が変わる。長くこの世界でやらせてもらっていて、そこを改めてすごく感じる。だからこそ、そういった部分でこだわらなければいけない」と警鐘を鳴らす。


「惜しい」では勝ち上がっていけない。一発勝負になるだけに、試合の流れをどう引き寄せるかもポイントだ。東選手はこう続ける。

「ミスを恐れずにチャレンジすることが必要だけど、イージーなミスは絶対に避けなければならない。そこのバランスが重要。相手の逆を突いたり、矢印を変えたりしながら相手の躍動感を消していくことで相手を上回っていきたい。ピッチに立ったら年齢は関係ないし、最後はやっぱり何よりも勝ちたいという気持ち、やらせないという気持ちをどう出せるか。個人的にはプレーで見せるしかないと思っています」。

最後の最後、ペナルティキック戦までもつれた場合は、守護神に託されるものが大きくなる。出場機会を得る可能性がある野澤大志ブランドン選手は、大きな責任とプレッシャーが掛かる場面も想定しながら「自分に出番が来たら後悔のないように取り組みたい。(ペナルティキックが)5本あれば1本は止められると思っています」と心強いコメントを残した。

泣いても笑っても一発勝負。プレーオフラウンドへの勝ち上がりを懸けて、“力蔵トーキョー”がアウェイ湘南の地へと乗り込む。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、一発勝負のトーナメントになりますが、どのような点にフォーカスして臨みますか。
A、まずは勝つことです。何としても次のステージに進みたいですし、そこにエネルギーをすべて注ぐだけです。形式としてノックアウト方式ですし、勝つことが大前提ですが、90分のなかで起こり得ること、次に進むためにどうしなければいけないのか、という部分は多少リーグ戦よりは明確になるかもしれません。それ以外については何も変わらずに試合に臨むだけです。

Q、明確にしなければいけない部分とは具体的にどのような点でしょうか。
A、例えば、ポジティブな局面であれば、リードをしている時に、逃げ切るのか追加点を奪いに行くのか。反対に、リードされている時にどのように点を奪い行くのかという視点も踏まえて、よりハッキリさせる必要があると思います。

Q、対戦する湘南ベルマーレの印象を教えてください。
A、完成度が高いチームという印象です。前線には少ない人数で仕留めることができる選手たちが揃っていますし、局面における個々の打開もあるチームだと思います。加えて、チームとしての戦い方も狙いどころを含めてハッキリとしています。非常に手強い相手です。

Q、リーグ戦の対戦時はスコアレスドローに終わりました。
A、良いゲームでしたし、勝つことができた試合だったと思います。ですが、過去の情報や対戦は何の確約にもなりません。今のチーム状況を踏まえた戦いになりますし、力を注ぐだけです。


[選手インタビュー]

<安斎颯馬選手>


Q、浦和戦を振り返ってください。
A、先制できていたので、非常に悔しい試合でした。先制した後の試合展開を含め、アウェイの地で勝点を持って帰ってこなければいけない試合でした。繰り返してはいけない内容の試合だったので、しっかりと改善していきたいです。

Q、湘南ベルマーレのイメージと、勝つためにはどのようなことが必要になると思いますか。
A、アグレッシブにくるチームだと思います。勢いに押されて受け身に回ってしまうと、相手に隙を与えてしまうので、先制点をとり、その後も追加点を奪いにいくことが必要だと思います。失点をしてしまうと相手を勢いに乗せてしまうきっかけにもなるので、いかに失点をせずに試合を進めるかが重要だと思います。

Q、トーナメントでの一発勝負となります。どのようなことが重要になると思いますか。
A、リーグ戦もそうですが、トーナメントは負けてしまうと次の試合はなくなってしまうので、いつも以上に内容より結果を求めていきたいです。相手より強い想いを持って試合に臨むことが重要だと思います。


<森重真人選手>


Q、前節は後半途中からディフェンス陣の一角として入る難しい試合だったかと思います。
A、2-2に追い付かれたタイミングでピッチに入りました。まずは、試合を落ち着かせることに重点を置いていましたが、相手の勢いを止めることができず、自分が途中交代でピッチに入った意味を示すことができませんでした。やるべき仕事ができずに負けてしまったことが何より悔しいです。

Q、先日の浦和レッズ戦よりも出場時間が長くなる可能性もあると思います。
A、ピッチに立った時には、その出場した時間のなかで、しっかりと試合に入って仕事をすることを意識しています。同時に、試合を控えている嬉しさも感じていますし、何よりルヴァンカップのタイトルも獲りたいです。その想いを試合にぶつけたいです。コンディションはまだここから上がってくると思いますし、タイトル獲得のためには明日の試合はとても重要です。責任を持って、ピッチに立ちたいです。

Q、守備陣の安定、コントロールという面を託されることも多くあると思います。
A、失点が多いことや守備の仕方という面では改善の余地がありますし、コミュニケーションや立ち位置で改善できることも多いと個人的には感じています。チームの力になっていきたいです。

Q、ここまでのルヴァンカップ2試合はいずれも延長戦で決着がつく難しい展開でした。90分でしっかりと勝利を手にするために必要なことを教えてください。
A、まずはチームとして、攻守の安定やバランスを意識して試合を進めることだと思いますし、全体が連動して先制点を奪いにいくことが重要だと思います。先日の浦和戦では先制しながらも逆転負けをしましたし、守備の強度も当然求められます。自分たちが勝利するためには足りないところが多くあります。攻守に厳しさをもって、全員で点を奪いにいく。2点目、3点目と続けて点をとりにいく気持ちをもって、臨みたいと思っています。