6/28 横浜FC戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.6.28

6/28 横浜FC戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

水曜日に未消化だった2025明治安田J1リーグ第15節が行われ、横浜F・マリノスに3-0で快勝した。リーグ戦で6試合ぶりの白星を飾り、今節はホーム味の素スタジアムで連勝をめざす。

上位進出の契機にしたい一戦に、6月の特別移籍期間で獲得したアレクサンダー ショルツ選手が初めてスタメンに名を連ねた。横浜FM戦からメンバーを8人入れ替え、最後尾には今節を最後にヨーロッパへと旅立つ野澤大志ブランドン選手が2試合連続でスタメンに名を連ねた。最終ラインは右から室屋成選手、ショルツ選手、森重真人選手、バングーナガンデ佳史扶選手の並び。中盤は橋本拳人選手、高宇洋選手がボランチでコンビを組み、右に遠藤渓太選手、左に俵積田晃太選手が入った。2トップは東慶悟選手とマルセロ ヒアン選手を配置し、横浜FCの強固な守備ブロックに挑んだ。

1stHALF—開始早々の失点も徐々にリズムを作って後半へ

キックオフ直後からしばらくボールが落ち着かず、互いに蹴り合う展開になってしまう。すると前半4分、左サイドからクロスを上げられ、それをゴール前中央の位置で、ファーサイド側から走り込んできた櫻川選手に頭で押し込まれ、早い時間に先制を許してしまう。

守備時に5バックを敷く横浜FCを相手に、攻撃の糸口を探る東京。前線のヒアン選手をターゲットにサイドに展開するもシュートまではつながらず。

序盤はそのまま中盤で互いにボールが落ち着かず、横浜FCの櫻川選手に供給されるロングボールやセカンドボールの回収の出足が遅れてしまう展開が続いた。


前半20分ごろからセカンドボールの回収と中盤でのボール回しがスムーズに進み始めると、サイドの深い位置を佳史扶選手、室屋選手ら両サイドバックが狙う。高い位置取りから攻撃参加し、全体の攻撃に厚みが出始めるが、最後の局面で相手の分厚い守備に阻まれ、シュートまではつながらない。

チャンスになりそうな場面はいくつかつくったものの、ラストパスやクロスの精度を欠いて決定機をつくれず。そのまま1点ビハインドで前半を折り返す。この逆境に挑む選手たちに勇気を与えるべく、ゴール裏は選手たちがロッカーに下がるまで歌い続けた。

2ndHALF—長倉選手が2ゴールに絡む活躍で劇的な逆転で連戦を締めくくる

絶対に負けられない試合。後半立ち上がりから積極的にボールを動かす東京は、後半8分、相手陣内でこぼれ球を拾った遠藤選手が右足で狙うが、シュートは枠を捉えきれず。

後半14分、勝負を仕掛けたい東京のベンチが動く。3選手を同時交代。東選手、ヒアン選手、俵積田選手に代わって、仲川輝人選手、長倉幹樹選手、佐藤恵允選手を投入し、攻撃の活性化をはかる。

すると、徐々に東京が押し込む時間が増えていく。後半18分には流れる連係から決定機をつくる。佐藤選手が斜めに差し込んだボールを長倉選手がつなぐと、仲川選手がヒールで落として最後は遠藤選手が右足を振る。だが、このシュートは惜しくも枠の上に外れてしまう。

その後もライン間で積極的にボールを受ける長倉選手を中心に相手陣内でボールを回し、シュートの好機をつくり出していく。

後半34分、押し込んだ状態でボールを動かしながら攻めるなかで、高選手がペナルティエリア右側の際どい位置で倒され、VAR判定によりペナルティキックを獲得。キッカーは加入後初スタメンのショルツ選手。しかし、ゴール正面に蹴り込んだキックは相手ゴールキーパーが残した足に阻まれて失敗してしまう。

このままでは終われない東京を長倉選手が救った。

後半40分、右サイドから橋本選手が上げたクロスボールを、ファーサイドでヘディングで叩きつけて2試合連続ゴール。チームをよみがえらせる値千金の同点弾を挙げる。

さらに、追加タイムには長倉選手が左サイドから上げたクロスボールに佐藤選手が飛び込むも、これはクロスバーを直撃し、逆転ゴールとはいかなかったが、東京の勢いは止まらない。

その後も猛攻を続けるも、なかなか逆転のゴールをこじ開けることができないまま、9分の追加タイムも終わりに近づき長い笛が鳴るかに思えた。ラストプレーで再び長倉選手がペナルティエリア内で倒されて、2度目のペナルティキックを獲得する。

キッカーに名乗りを上げたのは、今日の試合前に先日達成したJ1リーグ戦500試合出場のセレモニーを行った森重選手だった。青赤に染まり、自身の名前を呼んで後押ししてくれるゴール裏に向かって、力強くゴール中央に蹴り込みネットを揺らすと、スタジアムの雰囲気は最高潮に達し、青赤劇場が完結した。

劇的な逆転勝利によって、守護神の新たな門出を祝った。試合後には興奮冷めやらぬファン・サポーターに野澤大志選手が挨拶し、連戦のラストを締めくくった。


MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 野澤大志ブランドン
DF 室屋成/森重真人/バングーナガンデ佳史扶(後半43分:長友佑都)/アレクサンダー ショルツ
MF 高宇洋(後半38分:小泉慶)/東慶悟(後半14分:仲川輝人)/橋本拳人
FW マルセロ ヒアン(後半14分:長倉幹樹)/遠藤渓太/俵積田晃太(後半14分:佐藤恵允)

SUBS
GK 波多野豪
DF 岡哲平/土肥幹太
FW 野澤零温

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
後半40分:長倉幹樹 / 後半45+13分:森重真人

<横浜FC>
STARTING Ⅺ
GK 市川暉記
DF 伊藤槙人(後半38分:岩武克弥)/ンドカ ボニフェイス/山﨑浩介
MF 村田透馬(後半38分:山根永遠)/駒井善成/山田康太(後半45+10分:熊倉弘貴)/新保海鈴
FW 室井彗佑(後半19分:小川慶治朗)/ルキアン/櫻川ソロモン(後半19分:鈴木武蔵)

SUBS
GK フェリペ メギオラーロ
DF 福森晃斗
MF 遠藤貴成
FW ジョアン パウロ

MANAGER
四方田修平

GOAL
前半4分:櫻川ソロモン


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、本日の試合の総括をお願いします。
A、試合の入りはあまり良くなかったですけれども、終盤までなかなかこじ開けられず難しいゲームであったと思いますが、最後まで諦めずにひっくり返すことができて、選手そして我々をサポートしてくださる会場に足を運んでくださるファン・サポーターのみなさんに本当に感謝しています。

Q、非常に厳しい日程の3連戦をうまく乗り越えたと思いますが、いかがでしょうか。
A、本当にシンプルで、総力戦という形で乗り越えました。練習で少し手を抜くとかやるべきことを少し抑えてという感じではなかったので、おそらく選手はこの連戦プラス練習もかなり厳しい状況だったと思います。ただ、いま僕らができることを省いて試合を迎える状態ではない、と。少々きつくても、長くても、彼らは表情を変えずにしっかりやってくれた結果が、このように出て非常にうれしく思います。試合のメンバーに入らない選手も常に(トレーニングで)相手の役をしっかりこなしてくれる。彼らの協力があって、ピッチに立つ選手の良いリハーサルというものができたなかで、こういう結果が出たことが非常にうれしいと思っています。

Q、後半の交代の意図と、逆転ができた一番の要因をどのように考えていますか。
A、一番の要因は最後までみんなが諦めなかった、そして我々をサポートして後押ししてくれる側のピッチで戦えたということが勝利につながったと思っています。交代もそうですけれど、前半からの流れのなかでは、トレーニングで我々がある程度押し込んだ状態を想定したリハーサルのなかで、距離感であったりサイドをどう攻略していくか、それに対して相手が中央を開けたところから中に入ってもぐりこんでいく。そこはとくに5バックの相手にはすごく大事なポイントだと思います。それが前半はサイドを攻略しきる前に中に入れたり、少し長い距離のスルーパスなど、自分たちの距離感が続かない前に一刺しを狙うような攻撃で相手にボールが渡ってしまうような時間帯もあったので、そこは後半修正して、ある程度表現できた部分はあったと思います。あとは連戦のなかで、選手の疲労や調子などそういうものを見極めたなかで彼ら3人を交代で入れて、それが本当に良い方向に進んだのであれば良かったと思います。

Q、ペナルティキッカーの交代は決めていたのでしょうか。また、2試合連続得点の長倉幹樹選手の評価をお願いします。
A、ペナルティキックはリハーサルで決めていました。2回目のペナルティキックは、僕は森重真人選手に「長倉」と。「モトキ」と言ったわけではないのですが、彼がボールを離さなかったので。いまロッカールームで「モトキ」が「モリゲ」に聞こえたなんて言っていましたけれど……。おそらくまったくそんなことはなくて、彼の記念すべき(J1リーグ戦500試合出場達成という)大記録というか、そういうなかでの彼の強い想いというものを僕は受け取って、彼に託して決めてくれたと思っています。

長倉選手に関しては、新潟で一緒にやっている部分もあるので、彼の特長であったり彼の良さというものが我々のクラブにまた違う大きなものを加えてくれると思っていますし、ここ数試合では評価というか、表現はしっかりできているのではないかと思います。ただ、この場にとどまらずまだまだ先へ、もっともっと素晴らしいプレーができると僕は思っていますし、もちろんそれはチームメイトの力を借りながらだと思っていますので、そういう部分でまた目線を合わせていければ良いと思っています。素晴らしい活躍だったと思っています。


[選手インタビュー]

<森重真人選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、前半早々に失点してしまいましたが、早い時間帯だったので、ここから取り返すことに意識を切り替えてプレーできていました。自分たちのサッカーで焦らずにチャンスを作っていこうと思いましたが、前半は相手のライン間でボールを受ける選手が少なく、攻撃の組み立てが難しい時間帯もありました。

後半に入って、長倉幹樹選手や仲川輝人選手がピッチに入って、前線から下りてボールを受けてくれる回数が増え、その組み立てからゴールに向かうシーンも増しました。長倉選手のポジショニングが良い起点になっていました。あのようなフォローに対して積極的にボールを入れていかなければ、試合を動かすことはできないと思っていました。彼の特長が先日の横浜F・マリノス戦を含め、チームを助けてくれました。

Q、ローブロックを敷く相手に対して、森重選手の縦パスや左サイドで高い位置取りをしていた選手らへの斜めのパスが有効的に見えました。
A、極論、センターバックのポジションから前線への縦パスが多いことが良いわけでもなく、後半のように前線の選手たちが間で受けて前を向くプレーやそこがさらに起点となって前線にスルーパスなどを供給する攻撃が好ましいです。そのような攻撃が増えることで、怖さが増すと思っています。そのような細かいプレーが、ディフェンスラインから時折出すロングパスや裏へ抜け出すパスを効果的にしてくれると思います。相手に的を絞らせない、今日で言えば、後半のような戦い方をベースにしていくことで攻撃に厚みが生まれてくると思います。

Q、勝利をもたらしたペナルティキックのシーンについて、その前のやりとりを含めて教えてください。
A、キッカーは俺しかいないだろ、ということにしておいてください(笑)。俺が蹴るしかないな、と。ボールをセットした時に、ゴール裏のファン・サポーターが何よりも頼もしく力強さを与えてくれました。どこを狙った、というわけではなく、正面に思い切って蹴り込みました。ペナルティキック獲得後に、徳を積もうと陰ながら仲川選手がゴール脇に散らばったペットボトルをきれいにまとめている姿も頼もしかったです(笑)。


<長倉幹樹選手>


Q、途中からの出場となりましたが、どのようなことを考えながら臨みましたか。
A、自分たちのペースでしたし、ゴールをとることが絶対に必要だったので、ゴールを決めることだけをめざしてピッチに入りました。

Q、そのなかでのゴールでした。振り返ってみていかがですか。
A、橋本拳人選手から良いボールがきたので、あれを枠に飛ばせたのが良かったです。良いボールをくれた橋本選手のおかげだなと思います。あの時間帯は、相手もブロックを敷いていて、崩すのが難しい状況でした。クロスが欲しかったですし、良いタイミングで良いボールがきて良かったです。

Q、劇的な逆転弾となったペナルティキックを獲得しました。
A、あれは、室屋成選手が自分の動きだしをみてくれていて、それに合わせた良いボールをくれたので、それのおかげです。自分はパワーでは勝てないので、身体の当て方とかで戦うしかないので、それが上手くいったかなと思います。

Q、途中出場のなかで、自身の良さを出せていたと思います。
A、自分たちがボールを持っている時間だったので、プレーもしやすかったです。そのなかでも決め切れない時間が続いていたので、それを変えるゴールを決めることができて良かったです。

Q、中2日の試合が続くなかで2連勝できたことは大きいと思います。次の柏レイソル戦に向けて、どのように準備していきますか。
A、今日の試合で先制点をとられたのは、開始4分の立ち上がりだったので、試合への入り方は改善しないといけないと思っています。次も勝って、3連勝できるように頑張っていきたいです。


<野澤大志ブランドン選手>


Q、今日の試合の振り返りをお願いします。
A、立ち上がりで失点してしまいましたが、あの時間で失点するのはそんなに大きな問題ではないと思っていました。相手は勝ちを意識して引いていたので、反対に僕らが押し込める展開を最後まで続けることができました。逆転勝利できたことで、本当にひと安心しました。

Q、東京でのこれまでの日々はいかがでしたか。
A、育てていただいたクラブだというのが本当に大きくて、そこへの感謝というのはとても大きなものがあります。沖縄にいた僕を見つけてくれて、本当にたくさんのものをこのクラブから与えてもらいました。クラブの存在、環境が、今の自分を作ってくれたと思うので、本当に感謝しています。

Q、ゴール裏に「大志よ、大志を抱け」といった横断幕が出ていました。今、どんな大志を抱いていますか。
A、もちろん大きな成果を得ることを期待していますが、サッカーを楽しんで、厳しいところで戦っていきたいと思っています。成功というよりは、一人の人間として、大きく、深く成長したいと思っています。

Q、最後に、ファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
A、本当にこのクラブには感謝しかないですし、クラブはファン・サポーターのみなさんのおかげで成り立っています。これからも僕は東京を応援していますし、ヨーロッパでも東京で育った選手として頑張っていきます。応援よろしくお願いします。


<アレクサンダー ショルツ選手>


Q、早速のスタメン出場でした。試合を振り返ってください。
A、一番最初のゲームということで、第一印象がとても大事です。周りのスタッフやチームメイトが自分のことを助けてくれました。試合については、試合開始早々の失点を除いては、とても良かったと思います。後半はハイラインを敷いて、相手のカウンターを早いところで止めることができていました。前半はプレッシャーもあり、ロングボールが多かったので難しかったですが、全体的に良かったと思います。

Q、相手の高さのあるフォワードに苦しんだ場面もあったかと思いますが、どういうことを意識して守備をしましたか。
A、空中戦が強い相手に対して、セカンドボールをとても意識していました。非常に強いセンターフォワードでしたが、横浜FCのチームスタイルとして、彼(櫻川選手)にボールを集めるところがあったので、体力が落ちてきた後半は良く守れていたと思います。

Q、コンディションがここから上がってくれば、もっと良いプレーが出てくると思います。次の試合に向けてどう準備をしていきますか。
A、これまであまり試合ができなかったなかで、90分間プレーし続けるのはとても難しかったです。 簡単ではなかったですが、自分の身体がよく頑張ってくれたと思います。これから一つずつ、コンディションを上げていけるように頑張ります。