<アルベル監督>
Q、キャンプが終了しましたがいかがでしたか。
A、プレースタイルの変更を選手たちが前向きに捉えてくれているということを今日も表現できていたと思います。ベースを構築することは簡単ではありませんが、それを構築し始めることが十分できているという良い実感があります。これからは完成度を高めるという地道な努力が必要だと思います。
当然難しい状況のなかでミスというのは出てくるでしょう。今日も一つ大きなミスがあり、そこから失点に繋がってしまいましたが、決してそれは気にしてはいません。攻撃の部分でもミスがありました。前半多くの決定的なチャンスをつくりながらも、それを決めきれなかったのもある意味でミスと言えます。守備でも攻撃でもミスをしないというのは重要になってきます。失点に繋がるミスというのは記憶に残りやすいですが、前半にあった決定的なチャンスを決めきれなかったというミスを忘れてはいけません。
いずれにせよ今はプレシーズン中です。この3週間で我々がめざしたい方向性というのは明確にアピールできました。ただし、まだ基礎工事が始まった段階です。
Q、練習を見ているとシンプルなことを求めているように見えます。
A、まさしくシンプルなことを求めており、シンプルにプレーすることこそが難しいというのがサッカーだと思います。概して人間は物事を複雑に考えすぎる傾向があります。
我々はキーパーとともにビルドアップを構築しようとしているわけですが、物事をシンプルに捉え、キーパーにもシンプルなプレーを求めています。キーパーがシンプルにビルドアップに関わることができれば、チームとしてはあたかも複雑なビルドアップを完成できているように映るかもしれませんが、それはシンプルなプレーを続けることによってなし得ているものだと思います。
前線のフィニッシュのゾーンにおいては、一人ひとりのイマジネーション、クリエイティビティが重要になってきます。相手のゴール前でのフィニッシュについて監督ができることは非常に少ないです。
Q、ある程度メンバーを固定して戦ってきたように見えますが、ベースを構築する上では同じメンバーでプレーすることが重要ということでしょうか。
A、まさしく我々に多くの時間は残されていません。加えて、選手一人ひとりの特徴をこの短期間でより深く把握しなければいけないということがあります。あと2週間で開幕戦を迎えます。当然、ある程度メンバーを固めてこの3週間に臨みましたけれども、これで確定ということではもちろんなく、ただチームの完成度を高めるためにはそのようなアプローチが適切だと思ってやってきました。今後、段階的にメンバーの修正・変更を加えていくことになると思います。
私は若手選手の成長、活躍をとても期待しています。ルヴァンカップなどの機会を上手く活かして若手選手の活躍、成長を促していきたいと思います。
Q、ベースを構築するキャンプに長友選手が参加できなかったことを監督はどう捉えていますか。
A、彼がキャンプにいないことはやはりマイナスですけれども、彼は素晴らしい経験とプレーの質をもった偉大な選手です。それ故に彼は短期間でチームのプレーに適応してくれると思います。そして、今まで積み重ねてきた経験とともに代表に貢献していることと同様に、東京にとっても大きな貢献をしてくれるでしょう。
彼は明確な強い個性をもった経験豊富な私にとって重要な選手であることは間違いありません。我々に大きく貢献してくれるでしょう。ただ彼と同じようにすべての選手を平等に扱わなければいけませんし、活躍すべき選手が活躍するというのが監督としてやるべきことです。
ただ、まだ不在な選手が彼のような偉大な選手ということは、我々にとってはある意味で大きなプラスだと思います。
加えて、まだ個性を把握しきれていない若手選手の成長、活躍ということは私が待ち望んでいることです。育成部門にもダイヤの原石がいると思います。まだプレーは見ることができていませんが、とても楽しみにしています。
チーム内にポジションの競争があることはとてもポジティブなことです。
キャンプ中に大きな怪我がなかったことも我々にとって大きなプラス材料です。多くのスタッフの良い仕事があったことで、大きな怪我を避けてプレシーズンを過ごすことができました。
<森重真人選手>
Q、これからさらにクオリティを上げていくには、何が必要になってくるでしょうか。
A、試合のピッチの中でどういう現象が起きているのかというのをしっかり理解して、それを意識しながら練習するというのを繰り返すしかないと思います。
Q、新しいサッカーの浸透についてはどのように感じていますか。
A、間違いなく1試合目より2試合目、2試合目より3試合目のほうが僕たちもスムーズにできてきていると思っていますし、また今日のゲームで監督が求めていることがどういうことなのかというのを、映像を見ながら細かくすり合わせています。その繰り返しを続けていくことで、みんなの中で監督の意図していることがイメージできるようになってくると思います。試合をして、分析をして、という繰り返しが自分たちも一番分かりやすいです。
Q、キャンプ中でも複数のポジションをプレーしています。
A、最初にキツイポジションをやっておいて良かったなと思います(笑)。後ろに下がるのは楽ですが、後ろから前にいくのはキツイから。チームのバランスとか、ボールの動かし方とか、中盤で難しいと思っていたこともひとつ後ろのポジションになると全体が見えて、どうすればいいかがなんとなく分かってきたので、ポジションによって見え方が違うことが感じられたのは、この3週間のキャンプですごくポジティブだったと思います。
Q、ボールを保持することについて、キャンプの中で強調していた点はなんですか。
A、リズムやテンポというのを大事にするので、早く動かせる時は早く動かして、敵が寄せてきていないならドリブルでボールを運ぶ、そうしたプレーの判断も、試合をやるごとに、実際に前を向いてターンしていいんだとかドリブルを使っていいんだ、というようにわかってきたので、そういったすり合わせというのは引き続きやっていきたいと思います。
<渡邊凌磨選手>
Q、最近は試合によって左右両方での起用がありますが、実際プレーしてみていかがですか。
A、右サイドと左サイドでは景色が違いますし、自分のできるプレーも違いますが、練習しながら、さらに質の高いプレーができるように引き続き取り組んでいきます。
Q、戦術理解の手応えはどうですか。
A、難しいと感じることもありますし、監督が言っていることにプラスアルファで考えられている事もあります。監督のサッカーを理解するのは早い方だと感じていますし、ここからプレーに落とし込んで改善していく技術、能力を向上できるように続けて取り組んでいければと思います。また、サイドバックは守らないといけないポジションですので、そこの点も取り組んでいきたいです。
Q、本来、中盤のポジションでのプレーが多かった中で最近はサイドバックをやってみて、ほかの選手にはない強み、長所はありますか。
A、おそらくですが、サイドバックのみをやってきた選手よりボールを失う回数が少なかったり、視野は広いと思います。相手との駆け引きの面も含めて、そこは長所かなと思います。
Q、現在サイドバックでの出場が多い中、より前のポジションで勝負したい希望はありますか。
A、元々、前線で出たいという欲はありません。良くも悪くも、自分がどのポジションが適正なのかというのもよくわかっていないので、自分の中でどこのポジションが好きとか嫌いとかはありません。自分はアルベル監督から与えられたポジションを全力でやるだけです。
Q、ポジショニングを早くとっていたり、監督の戦術理解度が高いと感じます。プレーしてみて感じているところはありますか。
A、他の選手はわかりませんが、自分自身、難しく考えすぎないで、サッカーの本質というか根本的なところを整理できているから、迷いがないプレーにつながっているのかなと思います。しっかりと役割を果たしていきたいと思います。