【バックナンバー】FC東京NEWS Vol.165 インタビュー/三田啓貴

TOKYOism2019.10.08

【バックナンバー】FC東京NEWS Vol.165 インタビュー/三田啓貴

『アウェイ連戦を乗り越えなければ優勝は見てこない』

7月17日、約3年半という期間を経て東京に帰ってきた三田啓貴。アカデミーで育ったレフティは、多くの経験をとおして心身ともに磨きを掛け、満を持して青赤のユニフォームを再び身にまとった。“東京のタマ”はどんな想いで復帰したのか。今の心境と、今後の戦いに向けた意気込みを聞いた。

勝てる集団になった 厳しい雰囲気でできている

――7月17日、神戸から東京に復帰することが発表されました。どんな想いで加入されたのでしょうか。
「オファーをもらったときに『優勝を目指している』と言われて、力になりたいと思ったし、長谷川健太監督のもとでプレーしたいという気持ちがあったので加入を決めました。一度チームを離れましたが、アカデミーで育ってきた東京には特別な想いがあり、ファン・サポーターの存在が常に心の中にありました。いつかは戻ってきてプレーしたいという気持ちをずっと持っていたので、声を掛けてもらったときは本当にうれしかったです」

――3年半ぶりの東京復帰となりました。
「離れていた3年半の間に仙台、神戸でいろいろな経験をして、成長して戻ってくることができたと思っています。継続して試合に出場できたことで自信がつき、落ち着いて試合に入れるようになりました。メンタルの部分は本当に鍛えられましたし、技術的な部分では、簡単にボールを失わないことや、チームのために働くところは成長したと思います。また、神戸ではアンドレス イニエスタ選手をはじめ、世界的な選手たちとプレーし、盗めるところがたくさんありました。能力の高い選手がいる中でスタメンを勝ち取っていく難しさもありましたが、そういった経験も自分にとってプラスになりました」

――味スタ“再”デビューとなった第21節C大阪戦での“タマ”コールもそうですが、ファン・サポーターの期待は大きいと思います。
「そうですね。ファン・サポーターの方たちと話したときに『帰ってきてくれてうれしい』、『待ってたよ』と声を掛けていただいたことがあって、本当に期待の大きさを感じましたし、すごくうれしかったです。その反面、プレッシャーもありますが、プレッシャーを感じていてはいいプレーができないので、〝自分にできることをやる〟という意識で試合に臨んでいます」

――加入して1カ月以上が過ぎました。チームの雰囲気はどう感じていますか?
「自分が在籍していたときよりも〝勝てる集団〟になったと感じています。要求しあう声が増え、ときには厳しく言い合うこともあります。普段のトレーニングから厳しく、いい雰囲気で取り組めていると思います。特にキャプテンの東慶悟選手が率先してチームをいい方向に導いてくれていると思います」

――実際にプレーしてみて感じたことは?
「昨シーズンから長谷川監督のもとで取り組んできたことで基盤ができ、堅い守備や迫力のある攻撃ができていると思います。特に守備は僕が以前在籍していた頃よりも質が数段上がっています。守備の約束事をしっかりと全員が理解していますし、それを統率している森重真人選手の存在が大きい。昔から感じていましたが、僕の中では森重選手が日本で一番のDFです」

――長谷川監督が「さすが東京出身の選手。チームに溶け込んでサッカーを理解するのが早い」と話していました。ご自身の出来はいかがですか?
「アカデミー出身の選手も多くてやりやすいですし、自分でもチームに馴染むのは早かったと思います。ただ、納得できるプレーもあれば納得できないプレーもあって、今はそれが半々くらい。攻守の切り替えや相手のパスコースを消す動き、マークの受け渡しなどはもっとチームのやり方に合わせることが必要です。そこは長谷川監督と映像を見ながら確認しているので、早く体に覚えこませて、それができた上で攻撃で違いを作っていきたいと思っています」

――攻撃で違いを作るという点では、第21節C大阪戦でセットプレーからアシストを記録しました。
「今シーズンはセットプレーからの得点が少ないことは聞いていました。セットプレーはここ数年任されてきたので自信を持って蹴ることができています。結果を残せたのは良かったですが、自分としてはもっとアシストやゴールを記録していきたいですし、チームメイトとのコンビネーションを合わせていきたいと思います。もちろんセットプレー以外でも得点に絡みたいし、守備でも貢献しないといけません。シーズンが終わったときに後悔しないように意識して取り組んでいます」

――セットプレー以外の部分ではどんなプレーを見せていきたいですか?
「チームのベースとなっているハードワークをこなしつつ、自分のところにボールが入ったら時間を作ったり、攻撃に変化をつけるプレーをしていきたいと思っています。東京の攻撃のカギになるのはディエゴ オリヴェイラ選手や永井謙佑選手らFWの選手たちなので、相手はそこを抑えるために対策をしてくると思います。僕ら2列目以降の選手たちがボールを前に運ぶプレーや、得点に絡む動きで前線の選手を助けていきたいと思います」


アウェイの雰囲気を楽しむ そのくらいの余裕が必要

――東京に加入するときに立てた目標はありますか?
「もちろん優勝です。昨シーズンの東京は、後半戦以降に調子を落としてしまいましたが、それを経験しているからこそ今シーズンはいい意味で変わると思いますし、そのために自分が呼ばれたと思っています。チームが苦しいときにプラスアルファの働きをして、力になっていきたいです」

――第24節札幌戦からリーグ戦アウェイ8連戦が始まりました。
「味スタの最高な雰囲気の中でしばらく試合をできないのは寂しいです。ただ、それを乗り越えていかないと優勝は見えてこない。僕個人としてはアウェイの試合に対して苦手意識はなくて、アウェイの雰囲気も楽しめる。そのくらいの余裕、メンタリティが必要だと思います。アウェイだからといって意識し過ぎずに、目の前の一戦をしっかりと戦うことが重要です」

――移動が続く難しさとかもあると思います。
「それはもちろんありますが、移動は今までも経験してきていますし、慣れていますよ。アウェイの戦いは続きますが、東京でしっかりと練習して試合を迎えるので、そこまで気にならないと思います」

――9月はルヴァンカップ準々決勝第2戦G大阪戦(9月8日)が唯一のホームゲームです。
「天皇杯で敗退してしまい、残っているタイトルはルヴァンカップとJ1リーグだけなので、そこは絶対に獲りたい。この試合で使用するNACK5スタジアム大宮はホームスタジアムではないですが、個人的には得意なスタジアムです。ルヴァンカップは2試合の結果で勝敗が決まるので、第2戦をホームで戦えることは大きい。みなさんの前でしっかりと勝ち上がりを決めたいですし、ホームゲームが少ない中で関東で行われる試合なので、たくさんの方に来ていただいて、一緒に戦ってほしいです」

――ファン・サポーターの方々にメッセージをお願いします。
「東京のファン・サポーターは、アウェイでもたくさんの方が来てくれるのでとても心強いです。首位でアウェイ連戦に突入することができましたし、11月に味スタに帰ってくるときも首位でいられるように精一杯戦います。たとえ会場に来られなくても、離れた地でともに戦ってください!」