Q、明日、対戦する川崎フロンターレの印象について教えてください。
A、川崎フロンターレは長年同じプレースタイルでやってきているチームであり、完成度が高い印象です。一方で東京は昨シーズンからプレースタイルを180度変え、変革を行っているチームです。明日の試合に向けてやることは自分たちのプレースタイルを貫くこと、そして勝負にこだわって戦うことです。チームの完成度は川崎の方が高いですが、その差を埋めるために選手ひとり一人がクオリティをしっかりピッチで証明することが大事です。リーグで連覇しているチームのスタジアムで初戦を迎えるわけですから、当然難しい試合になりますが、勝利にこだわって良い結果を出したいと思っています。東京の選手もクオリティが高いし、始動から1か月間、素晴らしいプレシーズンを過ごして、新しいプレースタイルを作れているので、明日は素晴らしい戦いが出来ると信じています。
Q、明日は多摩川クラシコですが、監督にとって「クラシコ」とはどういうものですか。
A、世界には様々なクラシコがあって、どのクラシコも特に勝負にこだわる気持ちが強くなります。だからこそ私自身は自然体で戦うようにしています。特別な試合と理解しつつ、1試合と捉えることで冷静に戦うことができます。
Q、勝負にこだわりながら自分たちのスタイルを見せるとお話されましたが、なかなか両立は難しいと思いますが、川崎の持ち味を消すのか、それとも自分たちのスタイルを貫くのか、どちらを重視しますか。
A、私は常に、自分自身がもっとも重要であると捉えています。自分たちのプレースタイルを貫いて表現することができれば、勝てる可能性が高まると思います。ただ、サッカーの試合というものは色々な要素が関与します。例えば、先制点が、どのような形で、どの時間帯に、どちらのチームに入るのか。小さな運がどちらのチームに転がるのか、こぼれ球がどちらに流れるのか。色々な部分が試合の流れに影響する。それがサッカーという競技です。明日の試合に限っていえば、成熟度が高いチームと改革を始めたばかりのチームというのは明確な差があると思います。相手の長所を消しながら試合に臨むという戦い方もあると思います。けれども、相手の長所を消すことにフォーカスし過ぎると、自分たちの長所が消えてしまう危険性があると思います。今、我々は新しいプレースタイルとともに成長段階にあります。そういう意味でも、プレースタイルとともにこのチームがどのように成長していくか、そこを重要視しています。では今の時点で我々のプレースタイルの完成形を表現できるかというと、完成度は100には達していないわけですから、それは不可能です。特に試合の中では色々な出来事が起きるので、そこで色々と修正を加え、できるかぎり自分たちのプレースタイルを表現する努力が必要になります。チームのプレースタイル、完成度は、公式戦を重ねるごとに上がっていくと思うので、まだ始まったばかりです。
Q、前日の時点で、明日のスタメンは固まっていますか。
A、当然、監督同士というのは、相手チームのメンバーを予想して、戦略を考えるものです。誰もがすることですが、重要な選手数名に注意を向けることは私もしています。ただ、相手チームに注目する以上に、自分たちの選手たちがどのような状態なのか、全力を出せるのかということによりフォーカスしています。例えばマンチェスター・シティがどのようなプレーをしてくるかはどの対戦相手も知っているわけで、けれどもどの対戦相手もマンチェスター・シティの長所を消すことができずに試合を90分間戦っています。何が言いたいかというと、完成度の高いチームの長所を消すことがやはり難しいということです。自分たちのプレーを高いレベルで表現すれば、試合に勝つ可能性が高いと私は考えています。そういう意味でも、私は自分のチームにフォーカスしています。
Q、トップリーグカテゴリーの監督として迎える初めてのシーズンになると思います。落ち着いていると話していましたが、気持ちの高ぶりを感じることはありますか。
A、まずは落ち着いていますが、なぜなら53歳と年齢を重ねています。今までの人生において、様々な経験を積み重ねてきました。そういう意味でも、明日の試合に向けて、ナーバスにはなっていません。ただ、ワクワクしている気持ちはあります。16歳のころから指導者を始めましたが、その頃から毎試合情熱とともに臨むようにしていますし、今回も同じです。常に私が考えているのは、たかだかサッカーの1試合にしか過ぎないということです。人生において、サッカーの試合以上に重要なことがたくさんあります。そういう意味でも、極端に大きなものと捉えずに、落ち着いて明日の試合に臨みたいと思います。