【バックナンバー】FC東京NEWS Vol.167 インタビュー/東慶悟

TOKYOism2019.11.01

【バックナンバー】FC東京NEWS Vol.167 インタビュー/東慶悟

リーグ初制覇を目指して「最後の1秒まで」戦い抜く

今シーズンの東京は夏場以降、味の素スタジアムがラグビーワールドカップ開催で使用できないため、アウェイでの連戦を余儀なくされてきた。そんな厳しい試合日程の中でも上位をキープし、初のリーグ優勝を狙える位置にいる現状をキャプテン東慶悟が激白する。

過酷なアウェイ8連戦 最後まで戦い抜く

――8月末から続いているアウェイでの8連戦をどのように感じていますか?
「そもそもアウェイで戦うこと自体が難しいですし、夏場から11月中旬までアウェイでの連戦が続いています。そんな中、10月末までの6連戦で2勝2分2敗という戦績が示すとおり、簡単ではないなと改めて感じています。当然、相手チームのホームゲームとなるので、相手は勢いがありますし、立ち上がりからすごいプレッシャーを掛けてくるので、戦い方がとても難しい。ただし、ここまでは大崩れすることなく、しっかりと勝点を積み重ねられていると考えています」

――逆転負けを喫した第28節鳥栖戦はフラストレーションの残る試合だったのでは?
「チャンスを数多く作れていたし、決めるべきときに確実に点を取っておくべき試合でした。勝ち負けには理由があり、偶然はないと僕は考えているので、終盤に逆転された現実としっかり向き合わなければなりません。リードした状況で残り時間をどのようにコントロールしていくべきだったのか。これは常に僕たちの課題でもありますが、負けたからと言って感情的にならず、しっかりと敗因を見極めようとチーム内で話し合いました」

――そういったチームの姿勢が次の神戸戦の勝利につながりました。
「第26節鹿島戦以来、流れの中で得点を決めることができなかったのですが、前半だけで3点を取ることができ、リードしたまま、効果的に時間を進めることができました。反撃にあった終盤も3バックに変更するなど、臨機応変に守備を固め、着実に勝点3を奪うことができたと思います。アルトゥールシルバ選手のミドルシュートが決まるなど、シーズン前半には見られなかった得点パターンも生まれました。流れの中でもセットプレーでも点が取れるようになれば、攻撃に厚みができるし、初めて先発した選手や出場機会に恵まれなかった選手が活躍すれば、チームにとっても刺激になります。シーズン終盤に向けてとても重要なアウェイ戦でした」

――長谷川健太監督も2018シーズンの監督就任時、リーグ優勝するためには、チームに勢いをもたらす新しい力が必要だと話しています。
「優勝を争っている今こそ、若い選手にはもっとチャレンジしてほしい。センターバックの渡辺剛選手はチームの勢いに乗って今シーズン、チャンスをつかんだ選手の一人だと思うし、ほかの若い選手たちも思い切ったプレーを見せてほしいですね。監督もそういう選手の出現を待っていると思います。新しい力はチームを一気に活気づけるし、そういった雰囲気や人材が今、チームにあると思いますから」

――10月末、長谷川監督の契約更新がクラブより正式発表されました。
「長谷川監督が東京に就任して、チーム全体が変わったと思います。規律に厳しい監督のもとで今まで以上に戦う集団になり、サッカーの内容自体も1年目より2年目と、さらに成熟度が増してきていると思います。昨シーズンからいろいろな選手が加入し、あるいはチームを離れましたが、メンバーが代わってもチームのベースはブレていません。良い、悪い。できている、できていない。それをはっきりと指摘してくれる監督ですから、選手としてとてもやりやすいですし、成長できている実感があります。こういった状況をもっともっと積み重ねていきたいし、来年につなげる意味でも今シーズンはいい結果を残さなければならないと考えています」

――今シーズンはキャプテンとしてチームを率いています。
「常にやらなければならないという責任を感じています。チームを変えていきたい、強くしたいという気持ちがありましたし、僕自身も変わりたい、もっともっといい選手になりたい、という気持ちがあります。僕がどんな威勢のいい言葉を発してもキャプテンに相応しいプレーを見せなければ、みんなに響かないし、試合に出場し続けて戦う姿を見せながら、チームのみんなに向かって発言していくことが大事だと思います。ただ、ここからが重要です。やってきたことを最後まで続けなければならない。東京で優勝したいし、その想いが強い選手たちがいますから」


約3カ月ぶりの味スタ 勝利に懸ける想い

――11月23日の第32節湘南戦は8月以来、約3ヶ月ぶりのホームゲームになります。
「ホームで早く戦いたいですね。味の素スタジアムのあの雰囲気が待ち遠しい。今シーズン、味スタでのホームゲームは12勝3敗と勝率もいいですから。青赤のファン・サポーターでスタンドがびっしりと埋まると相手チームもかなりのプレッシャーを感じるはずです。アウェイ8連戦が始まる前に僕は『首位で帰ってきます』と宣言したので、約束どおり、首位で味スタに戻ってきたいです」

――同じスタジアムで開催されたラグビーワールドカップでは熱気にあふれる試合が続きました。
「あのような熱狂を今度は自分たちが作り出したい。僕たちは首都東京のクラブとしてJリーグを盛り上げていきたいと思っているので、残りのアウェイ戦でいい結果を残して味スタに戻り、満員の中でプレーしたいと思います」

――クラブがホームラスト2試合のテーマとして掲げている「最後の1秒まで」について想いを聞かせてください。
「これまでの経験から、サッカーは最後の最後まで勝負が分からないスポーツだと僕自身、痛感しています。どんなに優勢に試合を進めていても最後にやられることがあれば、苦しくても最後のワンプレーでひっくり返すこともあります。最後まで諦めずに戦い抜く。最後の1秒まで、チーム全員で気を抜くことなく、てっぺんを目指して、戦い抜くことが大事だと考えています」

――東選手は東京に加入した2013年以来、常に「シーズン終盤までヒリヒリするような緊張感の中で戦いたい」と言い続けてきました。
「このような状況はプレーヤーとして幸せなことだと思わなければなりません。だからこそ最後の試合まで楽しもうと思っています。多くのチームメイトと同じように僕自身も、しびれるような緊張感の中でリーグ優勝を争った経験はこれまでありませんが、逆に言えば、怖い物知らずとも言えます。僕たちには失うものが何もないですから、挑戦者として初優勝を目指してひたむきにやっていきたいと思います」

――最後に、ファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
「シーズン後半戦はアウェイでの連戦が続きましたが、遠くのスタジアムにも大勢のファン・サポーターのみなさんが駆け付けてくれて、本当に感謝しています。味スタでの今シーズンのホームゲームはあと2試合ですが、一人でも多くの友だちを誘って、味スタに来てほしい。満員のスタジアムは僕たちを勇気づけてくれますし、チームの士気が格段に上がります。東京を愛する多くのファン・サポーターのみなさんと一緒にシーズン『最後の1秒まで』戦いたい。応援をよろしくお願いします!」