[アルベル監督インタビュー]
Q、いつも自分たちの成長が大事だと言われています。名古屋グランパスの印象を教えてください。
A、改めてみなさんにお伝えしたいのが今シーズンは少しずつ新しいプレースタイルを定着させることが我々の任務です。そして、当然我々はプロの世界にいますので、その成長段階の中でより多くの勝利と勝点をもぎ取ることにフォーカスしながら成長を促しています。もちろん選手の特徴をうまく引き出しながら勝点につなげていきたいです。今の選手たちの特徴をうまく活かしながらチームの成長も促していくのが今シーズンの目標です。来シーズンになれば次のフェーズにいくという、ミクシィさんの協力とともに、よりよい選手の補強をしたうえで来シーズンに行けることを期待しています。そしてルヴァンカップに関しては若い選手にチャンスを与えたいです。彼らの将来性を確認するには公式戦でのプレーを見なければなりません。プレー時間をなかなか与えられていない選手にもルヴァンカップでは与えていきたいです。それが今シーズンの大まかな方向性です。
その今シーズンを踏まえたうえで、目の前の相手の試合の特徴を捉えゲームプランを考えなければなりません。例えば前節の札幌戦、総合的に見ればいい試合だったと私は解釈しています。札幌はとても難しい対戦相手です。マンマーク気味にくるチームと対戦するのは難しいです。そして、ほんの少しですがポゼッション率で上回ることが出来ました。ピンチも何回かありましたがクバ(スウォビィク)がファインセーブで止めてくれました。我々も試合終盤に決定的なチャンスがありましたが数センチの差でゴールを決めることができませんでした。明日名古屋と対戦しますが危険なチームだと思います。ただ我々の選手はしっかりと勝負にこだわったプレーを今シーズンし続けてくれています。明日に関しても相手の特徴を踏まえたうえで我々のチームの成長も促していきたいです。それと同時に選手たちの長所をうまく引き出して明日も勝利をもぎ取ることを狙っていきたいと思います。
Q、札幌戦でいうと強度の高い相手に互角以上の戦いができた満足度はいかがですか。
A、各試合においてゲームプランをたててうまくいく時といかない時があります。そのゲームプランがうまくいったかどうかは当然多くの人は試合結果と紐づけて解釈すると思います。例えば、札幌の決定的なチャンスをクバがとめられずにゴールに決まってしまい我々が負けていたとしたらゲームプランは間違っていたと捉える人もいたかもしません。ただ、現場としては、ゲームプランは的を得ていたが、試合結果は期待通りではなかった展開も多くあります。例えば、広島も札幌と同じように前線から激しいプレスをインテンシティ高くしてくるチームでした。我々は広島に勝利を収めることができましが、ゲームプランがうまくいったかというと決してそうではなく、我々が期待していたプレーは出来ていませんでした。
明日の名古屋戦に関しては、また別のプレースタイルを持っています。選手の立ち位置としては札幌と似ている部分があるかもしれませんが、プレースタイルとしては両チームに明確な差があります。プレースタイルは違いますが、名古屋はクオリティの高い選手をそろえています。そういう意味では彼らから勝点3をとることはとても難しいと思います。ですが良いプレーでいい結果を出すために選手たちは良い練習積み重ねてきてくれています。そういう意味でも、私は落ち着いて自信をもって明日の試合を迎えることが出来ます。
Q、完成度が開幕したころは20%くらいと言っていました。100%をACL(AFCチャンピオンズリーグ)優勝レベルと定めていたと思いますが、現時点でのチームの完成度はいかがでしょうか。
A、25%です。今シーズンが終わる際に50%~60%の完成度までたどり着けるとすれば成功だと思います。ただチームの完成度と勝利の数は違った話です。今選手たちの勝負にこだわる姿勢とチームが納めている試合結果は100%満足しています。チームの完成度と選手たちの姿勢、勝点に対する満足度は全く違った評価基準です。選手たちは勝負にこだわって試合してくれています。選手たちが戦う姿勢、ボールがあるときもないときも努力の部分もそうです。その部分に関しては100%を超える形で満足しています。
Q、結果と成長は比例するものではないのでしょうか。
A、もちろん比例はしません。ただ、勝利というのは成長を促してくれる存在ではあります。なぜなら試合に勝てば選手はチームに対する信頼が増えるからです。ファン・サポーターもより満足してくれると思います。そしてメディアの方も私のことを批判することは減ってくるでしょう。それゆえに試合に勝った方がもちろんいいです。
Q、成長を促すために一番大事にしていることはなんですか。
A、成長を促す秘訣はほぼありません。チームの成長と料理をすることは似たようなものです。まずは時間が必要です。火力の調整も必要になります。塩の配分も重要です。料理の仕方が同じでも取り立ての新鮮な魚と何年も冷凍されていた魚だと料理の完成度には大きな差が出てきます。そのようなイメージです。
Q、名古屋のここ2試合の堅い守備を崩すために重要になることはなんですか。
A、彼らがどのゾーンにスペースを空けるか、そのスペースをついていくことがキーポイントになると思います。ただ相手は人数をかけて、多くの場合フィールドプレーヤー8人でブロックをつくり守備をしてくるので、それを打開するのは難しいです。また、クオリティの高い選手も揃っています。彼らの危険なポイントは守備だけでなく攻撃の部分でもあるので難しい試合になると思います。展開によってはボールポゼッション率でも名古屋が上回ることがあると思いますが、我々は勝負にこだわり明日プレーしたいと思います。今まで通り試合が終わるまで90分間戦い続けていきたいと思います。
Q、長谷川監督が昨シーズンまで指揮をとっていましたが監督自身が意識していることはありますか。
A、長谷川監督がFC東京の元監督だったことは重要視していません。ですが彼は偉大な監督だと思います。そういう意味でも彼が率いるチームであることは重要視しています。私よりも間違いなく日本のサッカーのことを深く理解しているからです。加えて、今まで複数のタイトルを勝ち取っている監督でもあります。そういう意味でも間違いなく明日の試合が難しくなることを予想しています。
[選手インタビュー]
<長友佑都選手>
Q、新しいスタイルに取り組んでいて、その中で成長していると思うのですが、手応えはいかがですか。
A、監督の新しい戦術をまずはしっかり理解して、吸収して、自分もピッチの中で成長しているなと感じますし、まだまだ課題もありますので、すべてを吸収しようと毎日取り組んでいます。
Q、中に絞る動きやインナーラップはこれまでのご自身のスタイルとは違うと思いますが、取り組んでみてどうですか。
A、最近、中でのプレーにはまっていますね(笑)。こんなに楽しんだな、と。本当に試合が楽しくて。サイドのレーンを駆け上がっていくのがサイドバックの役割だと思っていましたけど、現代サッカーは変わってきていますし、監督が求めることも変わってきているので、その監督の戦術をしっかりと理解して、今であれば、中でもプレーできないといけないので。海外でも色々な監督と一緒にやってきたので、順応するのにそんなに時間は掛からないと思っていますし、実際にピッチで体現できてきていると思います。
Q、この年齢になって新しいことを経験できることは貴重ですよね。
A、年齢関係あるんですかね?むしろ年齢を重ねたほうが柔軟になってきて、若い選手からも学びたい欲が頭の中でも湧いてきていますよ。逆のパターンじゃないですかね。年齢を重ねるほうが柔軟になるというのが自分の感覚です。
Q、新しいスタイルに取り組む中で、チームの状況は客観的な視点だとどう見えますか。
A、新しいことにチャレンジしていて、それはそんなに簡単なことではないですが、成長している実感はあります。みんなが楽しんでプレーしていて、僕自身もそうです。楽しむということが一番大事で、成長につながる要因だと思うし、成長の速度に関わってくると思います。まだまだ成長していけるなと感じています。
Q、疲れるのは身体よりも頭ですか。
A、いや、そこまで疲れていないですね。まったく疲れないということではないんですが、良いポジショニングでサッカーができているので、フィジカルの疲労は後半の最後のほうにズシンと来にくいですね。フィジカルがそれだけ良い状態なので、脳の疲労も軽減されています。良いサッカーができている、良いポジショニングができていることですね。自分自身のコンディションが良いこともありますが、取り組んでいるサッカーがフィジカルの疲労がきにくいところはあります。
Q、中央に入ってプレーするのが楽しいということですが、自分が良いポジションがとれているからこそ良い形でボールを受けられているという感覚ですよね。
A、自分だけではなく11人でプレーする競技ですから、どのポジションと自分がつながれるかというのは常に意識しています。今までは外に開いてプレーしていて、中との距離が遠かったりとか、逆に距離が短くて味方を苦しめるようなポジションをとることも多かったなと、今になって思えば感じることもあります。中で良い距離感でプレーできていますし、もちろん味方の状況や相手の状況で自分が開いて幅をとることも必要だし、サッカーを俯瞰して見ながらプレーできているところに成長を感じます。楽しめている、というのはそういう部分だと思います。
Q、明日は名古屋戦ということで、昨シーズンに一緒に戦った長谷川健太さんが指揮をとっています。そこに対する想いはありますか。
A、そもそも健太さんが僕を欲してくれなければ東京に帰ってくることができなかったということもあるので、この素晴らしいクラブに帰ってくることができたのは健太さんのお陰なので、恩を感じていますし、一方で健太さんのチームで貢献できなかったという想いは残っていて複雑な部分もあります。今は敵として戦いますが、短い時間でしたが健太さんから学んだこと、自分の成長を見せたいと意気込んでいます。
Q、若い選手からも学びたいということですが、松木選手は開幕からポジションを得てプレーしています。彼から刺激を受けている部分はありますか。
A、まず、プロで活躍するにはメンタリティが一番大事だと思っていて、その物怖じしない部分というのを彼は持っています。彼が成長して今後どんなステージでプレーするにしても、そのメンタリティは彼を成長させてくれるし、より一層の高みに導いてくれると思います。それを持っていること自体が頼もしいです。僕は彼の2倍くらいの年齢なんですが、それを感じさせない堂々とした振る舞いが彼の強みだと思います。そんな彼から吸収しようと必死に彼を見ています。
Q、札幌戦のセットプレーの後に、ハーフライン辺りで相手を強く止めたシーンがありました。昨シーズンに戻ってきてから今までの中で、一番コンディションが良いのではないですか。
A、心身ともに良い状態ですし、今も上がっていますね。色々な要素があると思うんですが、日本に戻ってきてからも代表での活動がありましたし、過密日程というのもありましたし、11シーズン海外でプレーしていたので、やっと日本の環境に順応してきたことも理由だと思います。Jリーグに順応してきたこともあります。
Q、右サイドバックでの起用が多いですが、慣れてきましたか。
A、右、楽しいですね。今までずっと左でやってきて、たまに右でプレーすることもあったんですが、「右は面白くないな」と思いながら、正直なところ苦手意識がありました。でも、ここにきて「右、めちゃくちゃ楽しいな。なんで俺、これまでやってこなかったんだ」というくらい楽しんでいます(笑)。コンディションもそうですけど、質の高いプレーを求めてやれると思います。
Q、このスタイルだと、ボールを奪われた時にも、立ち位置が良いから奪い返して切り替えるところが上手くできていると感じます。
A、内側をとることが多いので、上がる時は本当に良いタイミングじゃないと上がれないですし、そういった意味では、カウンター対策だったりとか、寄せるところといかないところの判断の質も上がっていますし、それはポジショニングが良くて余裕を持ってプレーできていることが大きいと思います。守備の時に内側に締めていると、相手もなかなかカウンターができないですし、良い状態で相手と対峙できるので自分もやられる気がしないですね。
<安部柊斗選手>
Q、リーグ戦では第8節浦和戦、第9節札幌戦と2試合連続のスコアレスドローとなりました。この結果をどう受け止めていますか。
A、2試合とも得点が取れていないことは反省材料です。今シーズン取り組んでいる後方からのビルドアップがうまくいく場面もありましたが、全体的にはまだまだ課題が多いと思っています。ただ、チームとしてめざすサッカーのイメージは統一できています。これからも失敗を恐れずにチャレンジして、成長に繋げていくことが大切だと思います。
Q、守備面では、2試合とも無失点に抑えたことに手応えを感じているのではないでしょうか。
A、浦和と札幌は戦い方が全く異なるチームなので、どちらも失点ゼロに抑えたことはポジティブに捉えています。アルベル監督のもとで組織的な守備に取り組んできましたが、その成果をある程度はピッチで表現できたと思っています。
Q、アルベル監督は常に「成長」という言葉を強調しています。チームの成長を実感していますか。
A、試合を重ねるごとに、チームとしての完成度が高まっていると感じています。ただ、内容が良くても勝たなければ悔しい想いをしますし、ファン・サポーターの方にも楽しんでもらえないと思います。結果にこだわり、試合に勝ちながら成長していきたいと思っています。
Q、今節は長谷川健太監督が率いる名古屋との対戦です。心境はいかがでしょうか。
A、自分がプロになったときから3年間、長谷川監督の指導を受けられたことに感謝しています。その恩返しのつもりで、自分が成長した姿を見せて勝利したいと思います。
Q、ファン・サポーターに向けて、試合への意気込みをお願いします。
A、みなさんの熱い応援が自分たちのモチベーションになっています。力をもらっている分を結果とプレーで返せるように、必ず勝点3を獲れるように頑張ります。今節も応援よろしくお願いします!