[アルベル監督インタビュー]
Q、大差で敗れた後に大事なことはなんでしょうか。
A、福岡戦は試合のスタートから想像できうるもっとも悪い展開になりました。そのような展開が起こりうるからこそ、サッカーはとても魅力的なスポーツだとも言えます。福岡戦に向けて、大事なポイントを3つ掲げてトレーニングを行ってきました。試合のスタートで失点をしないということも心がけてゲームプランの中に落とし込みました。セットプレーの守備、ゴールキーパーからの長いゴールキックもしっかり対応しようと準備して試合に臨みました。しかし、その(注意していた)部分でやられてしまいました。その準備をしなかったら、もしかしたらあのような展開は起きなかったかもしれません。逆に準備をしたからこそ相手の武器でやられてしまったのかもしれません。理由を探すのが難しい展開です。後半の展開に関しては、福岡はカウンターアタックを大きな武器とするチームですから、彼らがリードしている展開は対戦相手にとってすごく難しい試合になります。福岡はしっかり守ってからのカウンターを発動する、期待する展開になるからです。逆に福岡はリードされると苦しむところがあります。だからこそ先制点を狙っていましたが、その逆になってしまいました。もちろん失点に絡む個別のミスもありました。センターバックのところで怪我が重なり、選手が不足していたこともあり、様々な要因からあのような試合になりました。10試合で5失点だったところ1試合で5失点してしまうのは、なかなか説明するのが難しいです。
明日は明確に福岡とは違った特徴を持ったチームとの戦いになるので、上手く気持ちを切り替えなければいけません。ボールとともにサッカーを楽しむチームと言えると思います。ハイプレスもかけてきて、試合を支配することを狙っているチームです。そういう意味でも、福岡とは特徴がまったく異なるチームと言えます。我々が今シーズンでやるべきことは、プレースタイルの完成度を高めることです。対戦相手の特徴が変わる中でも我々のプレースタイルを良い形で表現することが必要です。福岡戦の我々のボールポゼッション率は高かったです。けれども、効果的だったかというとそうではありません。今振り返ってみても、前半に関しては我々のゲームプランは的を射ていたと思います。相手のゴールキックから我々のミスが続いた2失点目がまた試合に大きく影響しました。それをしっかりと阻止するために、トレーニングでも相手のゴールキックへの対応に取り組んでいましたが、そこからやられてしまいました。ゲームプランが的を射ていなかったから敗れることもありますし、一方でゲームプランが的を射ていたのに敗れることもあります。
Q、サガン鳥栖は、アルベル監督の志向するスタイルと近いサッカーを展開するチームだと思いますが、エンターテイメント性が高い試合になる予感があります。
A、それはふたを開けてみなければ分かりません。そうなる予想はつきますが、サッカーの試合に影響を及ぼす要素は無限に存在するので、実際に試合が魅力的な内容になるかは始まってみないと分かりません。福岡戦がその典型的な例だと思います。失点が極端に少ない我々と得点がなかなか決まっていなかった福岡との試合で、福岡が大量ゴールで勝利するというのは誰も予想していなかった展開だと思います。一方で、攻撃的なチームが我々からゴールを奪えないという展開もありました。明日、誰もが見応えのある試合を予想していると思います。ただ、試合結果や展開は、どちらが先に点をとるかで大きく変わると思います。先日のレアル マドリーとマンチェスター シティのUEFAチャンピオンズリーグの準決勝の試合も、最後の展開は誰も予想していなかったと思います。サッカーというのは、やはり予想不可能なスポーツです。ただ、我々は1試合ごとに集中するわけですが、より大きな視野でチームの継続的な成長も見なければいけません。やはり今シーズン重要なのは、このチームのベースを構築することです。それがこのクラブの将来の成長につながると思います。
Q、福岡戦でブラジル籍3選手を前線に並べる選択をしました。今後の起用についてどのように考えていますか。
A、もちろん、3人並べることは今後の選択肢として持っています。そして、3人を並べることで前からの守備の圧力が下がるというコメントもたくさん目にしましたが、私はそうは思っていません。複数失点の部分については、前線からの守備が機能していないことが要因かというと、決してそうではないと考えています。重要なのは、選手一人ひとりの特徴を上手く引き出す組み合わせを探し出すことです。さらに私は国籍を重要視していません。それは新潟で指揮を執った2シーズンでも証明してきました。ブラジル籍選手だから3人並べるということではありません。
[選手インタビュー]
<山下敬大選手>
Q、古巣のサガン鳥栖との試合を迎えます。これまでも複数のチームに所属して、古巣との試合があったと思いますが、そういった試合で特別な気持ちが湧き上がるタイプですか。
A、燃えるか燃えないかで言うと燃えますよね。ただ、今は東京の選手ですし、チームでより多くの勝点とることに貢献したいという気持ちがあるので、鳥栖への気持ちが何かあるから燃えるということではないです。単純に、昨シーズン一緒に戦った選手たちと対戦しますし、僕のプレーも分かっている相手でもあるので、そういうチームと試合をやることが楽しみだと感じています。
Q、これまでのキャリアの中で、鳥栖ではどういった経験をしましたか。
A、すごく成長させてもらった1シーズンでした。初めてのJ1での挑戦ということもありましたし、シーズンを通して成長しているのを実感できました。自信もついてきましたし、逆に足りないことも分かりました。本当に濃い1シーズンでしたね。ゴール数という結果も残せましたが、それはチームメイトのお陰でした。こういう形で点が取れる、という自信がつきました。ただ、それはチームの色があるので、今は東京で求められていることをやるだけですね。
Q、東京での初ゴールも近付いている感覚はありませんか。
A、ゴール…とりたいですね…。自分自身がもうひとつ上のステージに上がっていくために乗り越えないといけないことだと思っていますし、できないことがあっても、一つひとつトライしていきたいという気持ちがあります。この古巣相手との試合を、自分の調子を上げていく一歩目にしたいんですよね。これからゴールを量産できる初めの試合にしたいんです。
Q、ヴィッセル神戸戦では、幻のゴールになってしまいましたが、山下選手らしいゴール前でダイビングヘッドという形でネットを揺らすことはできました。
A、ゴールにすごくこだわっていますが、チームのために走って、身体を張って潰れ役にもなって、そういうガムシャラなプレーというのが自分の良さでもあると思うので、まずはそれを見せたいですね。それをやり続ければゴールにもつながると思うんです。まずは自分のやれることにこだわりたいですね。
Q、今のチームのスタイルの中で、求められる役割がかなり多いのではないですか。
A、決まりごとという部分ではそこまで多くはないと思っていて、だからこそピッチの中で話し合って共通認識を持ってやれるかだと思います。
Q、ルヴァンカップグループステージ第5戦のジュビロ磐田戦では、山下選手のポストプレーから梶浦選手のゴールが生まれました。そこは関わった選手たちの共通認識の賜物だったと思います。
A、あのプレーは誰でもできます(笑)。自分自身は結果を残すこと、ゴールやアシストが必要だと思っています。いくら良いパスが1本つながったとしても、自分の自信になっていくかというとそうではないと思います。結果がついてきて自信がついてきて成長していくというサイクルが合っているので、自分としては結果に強くこだわりたいというのがありますね。
Q、途中出場であっても、限られた時間の中でペナルティエリア内でシュートまで持ち込める場面を作れていると感じます。
A、プロサッカー選手として、チャンスがあったりなかったりする中で、回ってきたチャンスを掴めるか掴めないかはその人次第だと思います。その場面で、僕は掴みたいですね。
Q、鳥栖は今シーズンまだ1敗しかしていないチームです。
A、敵にしたら怖いチームだというのは僕が一番分かっています。守備の仕方も相当細かいですし、昨シーズンよりもさらに強度が上がっている印象もあります。ただ、僕は負ける気がしないですね。今一緒にやっているチームメイトのことも分かっていますし、自分たちのスタイルを貫いてチームとして戦うことができれば、僕は勝てると思っています。先制点が大事ですね。先手をとることで優位に試合を進めていければ、自分たちのペースで試合を運べると思います。
<木本恭生選手>
Q、前節は福岡に1-5と、今シーズン最多失点で敗れました。これまでリーグ最少失点に抑えていましたが、福岡戦はどこに問題があったのでしょうか。
A、前半の2失点の時間帯が悪く、試合の流れを相手に渡してしまったことです。ただ、内容を見れば選手一人ひとりが役割を果たしていましたし、しっかり戦えていました。相手が打った5本の枠内シュートがすべてゴールになってしまったのは、不運だったとも感じます。長いシーズンにはこういうときもあると割り切って、ネガティブなイメージを引きずらないように切り替えたいと思っています。
Q、今シーズンから東京に移籍しました。ここまでの手応えはいかがでしょうか。
A、アルベル監督のサッカーに慣れてきたこともあり、昨シーズンよりも自分の特長を出せている場面が多いと感じています。東京はチームの雰囲気が明るくて、良い意味で予想を裏切られました。ピッチ外でもチームにとけ込めているので、それがプレーにも良い影響をもたらしているように思います。
Q、アルベル監督がめざしている新しいスタイルについて、現時点での完成度はどのくらいだと感じていますか。
A、監督はFCバルセロナが基準ですから、理想はとても高いです。正直、この1年で完璧なレベルになるとは思っていませんし、とにかく選手が成長しなければいけません。課題はたくさんありますが、プロとして試合で結果を出しつつ、同時に成長していけるように意識しています。
Q、ファン・サポーターに向けて、今節の意気込みをお願いします。
A、今シーズン、東京はホームで1試合も負けていません。これは毎試合、みなさんが最高の雰囲気を作ってくれている結果だと思っています。前節はアウェイで敗れてしまいましたが、連敗は許されません。みなさんの力を借りて必ず勝利したいと思いますので、今節も引き続き熱い応援をよろしくお願いします!