アルベルトーキョーの進化を楽しむ【選手編】<br />
~2022青赤戦士、マストチェックのススメ!~

COLUMN2022.5.16

アルベルトーキョーの進化を楽しむ【選手編】
~2022青赤戦士、マストチェックのススメ!~

アルベルトーキョーの進化を楽しむ【選手編】
~2022青赤戦士、マストチェックのススメ!~

東京ファン・サポーターのみなさん!

いきなり失礼しますが、少しだけ個人的な話にお付き合いください…。

私、2020シーズンまでサッカー新聞「エルゴラッソ」の東京担当記者を務めていました。その節はみなさんには毎週の記事にて長らく大変お世話になりました。担当を外れる際にもSNSなどでたくさんの愛あるお声をかけていただき、いまでも感謝しかありません。

記者業を離れ、いまの私はみなさんと同じ感覚で東京を楽しめるように変化しました。取材現場からは遠ざかり、全国のエルゴラッソ記者の統括と事業開発という、完全にビジネス畑の仕事の日々。試合は専らDAZN視聴&スタジアム観戦も記者席ではなく息子を連れてチケットでレッツゴーです。仕事面でも観戦面でも、取材をして記事をアウトプットするという専門職に近い記者時代には見えなかった景色がたくさん存在しています。それは、ファン・ユーザー視点と言い換えられるかもしれません。

もちろん、これは普段会社で働かれているファン・サポーターのみなさんにとっては、何も特別なことではないですよね。そんな多忙な生活のなかで、仕事を忘れる一時の楽しみとして「サッカー」、「東京」が存在している方も多いと思います。

記者のときは、どうしても「やれ戦術だ、選手の考察だ」と小難しく考えることが日常でした。もちろん当時培った知見や観点は頭の片隅に置きながらも、とてもワクワク、ときに歯がゆく、喜怒哀楽を込めて純粋な気持ちで「サッカー」や「東京」を楽しめています。ちなみにこの記事、第13節・磐田戦の直後に書いています。現在リーグ3連敗…みなさまのお気持ちもお察しいたします(苦笑)。

今シーズン開幕時に優勝予想をする機会がありました。

心のなかで「東京、今シーズンあるんじゃねえ?」と思っていました。普通は、昨シーズン低迷したチームが新監督を迎えたシーズンでいきなり優勝はあり得ないでしょう。ただ、私はもう冷静な記者ではありません(笑)。以前なら安直に「優勝」の二文字が頭に浮かんでくることは絶対になかったのですが、東京を純粋に見つめるいまの私は自然と楽天的な思考になっているのかもしれません。「これ、今シーズンは強いでしょ」。まさしく、“脳みそファン要素過多”状態です。はい。

とはいえ、これは何も、まったく根拠のない意見なわけでもないのです。

私が今シーズンの東京をイチオシする理由。それは充実の戦力が、満を持して攻撃的なスタイルにチャレンジしていることです。

スタイルの行き来が激しかった東京の歴史。近年は主に守備的なスタイルのチーム体制時に結果を残す傾向がありました。マッシモ フィッカデンティ監督時代、長谷川健太監督時代が好例です。

ただ、やっぱり良い選手がいるときに、攻撃的なサッカーでどこまで戦えるか見てみたい。そんな思いを腹の底にしまっていた方々もいるのではないでしょうか。その待望のときが久々にやってきたわけです。「スタジアムで試合を観たい」と思わせる戦いを、いまの東京の選手たちは高いレベルでできるポテンシャルがあります。

それでいて、アルベル監督。意外とシビアな一面もありますよね。パスを繋いでいくスタイル構築には時間がかかるなか、素早い速攻や強度の高いプレー、ハードワークといった勝利に不可欠な要素も漏れなく押し出します。理想論者と思いきや、結果も重視する。この両立を見るに、余計に試合の楽しみと勝者への期待が高まるのです。

今回クラブからは「ぜひ選手にスポットをあてた記事をお願いします」と言われていました。あれ、自分の話ばかりで全然選手のこと話していない…。だって、今季は攻撃的なサッカーのもと魅力的な振る舞いをする選手がたくさんいて、とてもじゃないけど書ききれないというのが正直なところです。

何より一番は、選手みんなが大なり小なり新たな一面を出しているところがいいですよね。

ビッグセーブ連発の守護神
新加入の守護神、ヤクブ スウォビィク。抜群です。仙台時代同様に東京でもビッグセーブでスタジアムを沸かせていますが、私が気にしているのは足元のプレーです。確かにミスもあるのですが、思った以上にしっかりパスをつなげていますよね。みなさん、そう思いません?本人は開幕前に「僕は新しいことを吸収することの大切さを知っている。東京のスタイルに適合したい」と話していました。そんな彼の姿勢は、いまのプレーからも垣間見えます。努力家、素晴らしいです。


楽しさの始発点になるディフェンダーコンビ
森重真人、木本恭生の両センターバック。モダンですよね。守るだけでは事足りない現代のディフェンダー。森重は長らく高精度のキックでチームを下支えしてきましたが、ここに今季木本が加わり新たに器用なコンビが誕生しました。木本が入れる縦パスも森重同様にときに鋭く、ときに滑らか。アルベル監督のサッカーになり、この2人が攻撃の起点役としてより重要キャストにもなっています。サッカーは相手ゴールに近づくに連れてワクワクするものですが、今シーズンの東京は「後方でのプレー=森重と木本がボールを持ったタイミング」こそが、そのワクワク感の始発点。ここは見逃せません。


イケメンハツラツフレッシュレフティ
言わずとしれた、“イケメンハツラツフレッシュミッドフィールダー”こと、松木玖生の魅力はもう皆さんご存知でしょう。もう、キラキラもギラギラもしています。ただ、まだ一度も生で松木のプレーを観たことがない方は、これスタジアムで観たほうがいいですよ。東京の新スター候補らしく、なんてたってよく動く、よく走る。それでいて体が強いこと。観ていてプレーが爽快、痛快で、動きが勝手に向こうから目に飛び込んでくる感覚です。常に背筋が伸び、良い姿勢でピッチを駆ける姿に、スタンドから釘付けとなること間違いなし。彼はいま、戦術的にも徐々に重要な存在になってきていますので、サッカーを見る目を養っていくことで余計に理解が深まる選手でもあります。わかりやすく楽しみたい方にも、玄人視点で注視したい方にも、うってつけです。


攻撃万能な青赤のエース
看板の攻撃陣。アダイウトンの豪快突破、国立競技場でスーパーゴールを決めたレアンドロのテクニック、永井謙佑の爆発的スピード。それに今季は紺野和也の変幻ドリブルも加わっていますが、なかでも私が心から応援しているのが副キャプテンのディエゴ オリヴェイラ。正直、かつてはもっとムラッ気がある選手だったのが、東京で長く在籍して自覚と責任が増し、それが毎試合の献身性につながっています。ディエゴの身を粉にしたプレーは、最近では感動すら覚えます。なんでしょう、彼にはずっと良いプレーをしてきながらも勝者になれないジレンマというか、いまでは背中に悲哀も感じるのです。だからその分、年々「勝ちたい」という一心がひしひしと伝わってきます。攻撃万能な青赤のエース。これまでのスキルフル&パワフルなプレーに加え、魂あふれる今季のディエゴも必見です。




つらつらと書かせていただきました。一つ確かに言えることは、今季の東京はここ数年とはまた違った、目に見えて楽しさが伝わってくる戦いをしてくれています。ファン・ユーザー視点で見つめるようになったいまの私自身、ボールと人がたくさん動くことでとてもエンタメ感満載なチームだなと率直に感じます。それにアルベル監督のSNS発信も、皆さんとチームの距離を縮める一役を買っていますよね。インタラクティブな時代、この距離感は大事です。

攻撃的スタイルという板の上で、多彩なキャストが踊り踊る。チーム組織の練度がより高まれば、選手たちの個性が足し算ではなく掛け算となってその魅力が増幅していくのがアルベル監督のサッカーです。今季、それがどこまで到達するかが楽しみです。

最後に、みなさんにこれだけは伝えたかった大切なメッセージを。ちょうど先日見返していた懐かしのネタ番組「爆笑オンエアバトル」風にお届けいたします。

「新しい東京をつくるのは…監督・選手のみなさんとクラブスタッフのみなさん、そして味の素スタジアムに向かおうとしている…あなたたちです!」

それではまたお会いしましょう!最後までお付き合いありがとうございました(笑)。

Text by 西川結城(エルゴラッソ)