<マッチプレビュー>
前節はホームで湘南に0-2で敗れ、連勝は2でストップした。相手の鋭い出足と運動量に押された内容だったが、試合後のディエゴ オリヴェイラはあくまでも前向きな姿勢を強調した。
「ここで顔を下げるのではなく、次節のセレッソ大阪に向けてしっかり準備をしたい。誰がピッチに出ても必死に戦い、必死に走り、ホームで勝つ姿をファン・サポーターに見せたい」
今節対戦するセレッソ大阪は、今月22日にYBCルヴァンカップ決勝を控え、試合に臨むモチベーションは高い。8月末まで長期離脱していたMF清武弘嗣がようやく本調子を取り戻してきたこともプラス材料だろう。東京はディエゴ オリヴェイラの言葉どおり、気持ちの強さ、球際の激しさで相手を上回り、ホームのファン・サポーターに戦う姿勢を示さなくてはならない。
攻撃のキーマンは今シーズン、自身初の10得点を挙げているアダイウトンだろう。本人は「シーズンが終わったときに一番得点を取っている選手になりたい」と語り、最後までゴール量産を狙っている。ラスト3試合、東京は総力を挙げ、今シーズンの集大成となる戦いを見せたいところだ。
マッチデ―プログラムはこちら
[アルベル監督インタビュー]
Q、セットプレーの配置やアンカーの周囲のスペースなどディティールのところでの再検討が必要だと思ったのですがいかがですか。
A、もちろんそういうディティールは大事になってくると思います。ただ、そこばかりに目が行き過ぎて、どういう風に負けたのかというと一発でやられたことを考えないといけないです。例えば、鹿島戦の安部選手が素晴らしいゴールを決めました。あれで1試合の戦術が素晴らしかったとなります。サッカーというのはミスが無ければもちろん失点はないです。湘南戦の失点でディティールという事であれば、スローイングからあのゴールが生まれています。細かい部分のディティールは突き詰めていかなければいけないですし、ミスを減らしていくことももちろんです。ただ、自分たちが一番失敗したのは最初からゴール方向に向かっていくことが足りなかったことです。湘南は若い選手たちを揃えて、ボールを保持する良いサッカーをしていると思います。ただ、そこで逆に先制点を取られる試合では若さが仇となってゲームコントロールを失うこともたくさん見られています。
私たちは、例えば、清水にも負けましたし、磐田にも負けました。ただ、年間順位表では私たちは上位争いをしていて、彼らは下にいるというのは、どういうことかなと。全体的に見なくてはいけないです。近年のリーグ戦は拮抗した形になっているということです。ですので、今シーズン段階的にスタイルを変更しながら獲得した勝点というのが今重要になってきています。全体的な俯瞰的な物事の見方だとすぐに結果に左右されて失ってしまいます。例えば今シーズン始まる前、このクラブはどういう道のりを辿っていたかというと、やはり降格争いをするのではないかと予想した方が多かったと思います。スタイルを変えて臨んだ1年。順位を上げました。そしてメンバーの編成もそこまで変わっていません。すごく悲しい夜を過ごしたことは自分もそうですし、もちろんみなさんにとってももっと上に行く希望があったから、難しい夜だったことは分かります。もちろん自分自身が一番責任に対して受け入れなくてはいけないと思っていますし、悲しみは感じています。ただ、全体的な俯瞰的な物の見方を失って選手の批判などに関して、自分にとっては考えられないです。
クラブがどういう立場で歴史を積み重ねてきたのか。これからどういうクラブになっていきたいのか。いつも言っている通り、一緒に旅をしようと言うのは、全員が一丸となって旅をしていかなければ物事は成し遂げてられないです。何回も言っていますが、このクラブで一番ビックなのは東京という名前です。それが重荷となってみんなにのしかかっています。私たちが考えなくてはいけないのが、東京という名前に見合ったクラブになっていかなくてはいけないということです。ただ、その名前が絶対その位置に素早くいかなくてはいけないという重圧に変わってはいけないです。リーグ戦でチャンピオンになったか。回数は何回か。これまでリーグ戦を戦ってきたなかで一番良かった順位は2位で優勝争いをしたのは何回ですか。落ち着いてください。それをクラブの周りにいるみなさんが理解できなければ常に悪い方向に進みます。なぜなら必要ないプレッシャーがかかってしまいます。自分は別に良いですが、選手たちが落ち着いて良い方向に向かわせるような重圧になっていかないです。
この試合でもちろん悲しいのは分かります。そして前半から私たちはもっと攻撃的にいかないといけないのというのも分かります。たくさんディティールの部分を突き詰めてやっていかないといけないのも分かります。そして湘南が良いチームで良い試合をしたというのも分かります。ですが、そのことだけで全てが悪いという風にとらえてしまってはいけません。その落ち着きがないと今東京のクラブの本当の立ち位置というのをしっかり見つめ直さないと良い未来は待っていないと思います。たくさんの仕事がまだまだ残っています。そして負けたときに責任を取るのは私ですし、一番悲しいのは自分自身と選手。ですので、これをしっかり変えていかなければいけません。もちろん難しい試合もこれからありますし、来年も悲しむ試合もあると思います。ただ、そういう悲しむ試合を少なくしていく。そしてどんどんチームのレベルをあげていくことが大事でちょっとずつ、ちょっとずつ上がっていくということです。
Q、湘南戦の開始10分間は完全に押し込まれました。これをC大阪戦では、例えば10-0で相手に押し込むのか、五分五分で押し込むのか。そこを変えていくことが必要になってくると思いますがいかがですか。
A、選手にも伝えましたが、例えば最初のハイプレスをしっかりと受け身にならずに、まずは相手コートでプレーしようというところで背後の選択が増えることは問題ないです。ただ、10分間相手に押し込まれるようなことがあってはならないです。ボールとともに試合を支配するというのには2つのことが重要です。ボールを保持すること、ただ、ボールを保持するだけではだめで、ボールを保持しながらゴールに向かう姿勢を見せることによって相手が恐れるというここまで持っていかなくてはいけません。それがボールを保持しながら守備をするということです。ですので、最初からボールを保持しながらゴールに向かっていくということを表現しなくてはいけません。常にボールと共にということは変わらないです。それが明日試されます。
Q、明日はどんなメンバーで臨みますか。
A、もちろんメンバーの入れ替えはあります。
Q、C大阪とは春先に対戦しましたが印象はいかがですか。
A、お互いにスタイルの入れ替わりがあったと思います。彼らはもっと強度の高いチームになっています。私たちはボール保持のところを追及してやっています。今C大阪は強度にフォーカスしたチームになっています。そして、プレッシングと素早い攻撃の切り替えを武器にしています。私たちはもちろん、もともと良いところとして持っていました。ただ、ボール保持というところを彼ら以上に追及しています。ですので、データでも出ていますが、先制点がいつも通り重要になってきます。みなさんに理解して欲しいのは1つです。どの試合も難しいのはもちろんですが、それは言った通り、だから最初から攻撃的に行くよとメッセージを選手たちに伝えました。最初はボール保持することにすらチームは怯えていました。今は怯えがなくなり、ボールを保持しながらゴールに向かう意識とともにやっていかなくてはいけないです。それは今シーズンあと3試合と来シーズンのところに繋げていくことが課題だと思います。
Q、先制点を決めたときは全勝というデータがありますが。
A、もちろんデータというのはいつか壊れるものだと思いますが、ですがそのデータから選手が最初から攻撃的に行くというメッセージにもなります。メッセージとしては最初から先制点を取りに行くんだという強い意識を持ってプレーしなければいけないです。最初スタイルを変えるときというのは難しいもので、ボールを保持して、これでミスしてボールを奪われてしまったらどうしよう、パスを失敗してボールを簡単に失ったら監督に怒られるんじゃないかなど迷いが、ボールを保持するスタイルにはそういったことが出てきます。それが乗り越えていくと自信につながってその後成熟につながると思います。完全に自信がついて成熟というのはチームの3年目の時期です。ピッチのなかだけでなく、ピッチ外のところでもしっかりとファン・サポーターのみなさんとコミュニケーションをとってクラブを良い方向に導けたらと思います。
[選手インタビュー]
<アダイウトン選手>
Q、今シーズンはここまで10ゴールを挙げています。得点王も狙える位置にいますが、そのあたりについてはいかがですか。
A、得点が取れてきたことについて、一つは神のおかげだと思っています。もう一つは、自分が今まで積み重ねてきた努力も関係していると思いますし、日本に来てからだけじゃないですが、日本に来てから常にやってきたことが、今シーズンは目に見える結果として出てきたのではないかなと思います。
Q、今シーズンのアダイウトン選手は、シュートを打つ場面が多く見られます。シュートに関して、ご自身で意識していることはありますか。
A、もちろん得点を取るためにはシュートを打たなければいけないので、常にシュートを打つことは意識しています。練習から、シュートの部分は意識しながらプレーしているので、試合の中でも自然にシュートを打てる回数が増えてきていると思います。シュートを打たなければ得点にはならないので、そういった回数は増やしていきたいと思っています。
Q、ファンたちは東京から得点王を出したいと思っているはずです。ご自身では、得点王を狙っている部分はありますか。
A、自分としても得点王は可能性がある以上、めざしていきたいと思っています。ただそれ以上に、目の前の試合を決勝戦のように真剣に戦っていかなければならないと思っているので、得点王になりたい気持ちはもちろんありますが、自分の中では目の前の1戦1戦をしっかりと戦うことのほうが大事かなと思います。その結果の中で自分が得点王になれたら、それはすごくうれしいことだと思います。
Q、今シーズンはアルベル監督の下で1年間戦ってきましたが、戦術が大きく変わったことに難しさを感じた選手が多くいらっしゃいました。ご自身はいかがですか。
A、難しさというところは少なからず感じていましたし、昨シーズンのような戦いをしたほうがやりやすかったと思う試合ももちろんありました。ただ、難しさを感じていたのは自分だけではないと思いますが、試合を重ねていくにつれて、監督が求めていることと自分たちがやれることの幅が広がってきたこともあり、今ではやれることがすごく増えてきて、監督の望んでいるプレーを自分たちも表現できてきていると思います。変化の年としてはすごくポジティブに捉えていますし、リーグ終盤の段階でこれだけの完成度でできているので、そこは来年につながるかなと思っています。
Q、今シーズンは9月にJ1通算200試合出場を達成しました。日本で長く活躍できている要因はどこにあると考えていますか。
A、自分の場合、忍耐強さが大事だと思っています。(母国とは)文化が全く違う中で、自分は忍耐力があったために、我慢強く文化に慣れようと思いましたし、その結果、日本で長いシーズンを送れているのかなと思います。
Q、日本の生活は楽しめていらっしゃいますか。
A、もう日本での生活が長いので、もちろん慣れましたし、落ち着いた環境ではあるので、慣れてからは本当に過ごしやすい場所だなと思っています。
Q、今シーズン途中からようやく声出し応援が可能となりました。スタジアムで声援が聞けるようになったことについてはいかがですか。
A、自分だけではなくて、どの選手も感じていることだと思いますが、ファン・サポーターの声援というのは試合中、自分たちにも届きますし、自分たちを後押ししてくれるような存在だと思っています。みなさんの声が聞けるようになった何試合かは、すごくポジティブに感じています。
Q、最後に、ファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
A、相手がどんなチームであっても自分たちが全力で試合をする。そこに尽きると思います。しっかりと勝利を目指して、ファン・サポーターのみなさんと喜びを分かち合えるような試合をしたいと思っています。
<渡邊凌磨選手>
Q、湘南戦は、ボールを保持しながら最後のフィニッシュのところがなかなか上手くいかなかった印象がありましたが、いかがでしたか。
A、最後のフィニッシュの部分までボールを保持しながら持ち込むことがチームでできていた部分は良かったと思いますが、得点まで結びつかない試合でした。練習でしっかりフィニッシュのところの精度をあげていきたいです。
Q、湘南戦から中3日でどんな準備を行いましたか。
A、今シーズンは、リーグ戦3試合なので、しっかり勝って終わろうとチームで話していますし、戦術的な大きなことよりも細かい部分の修正をチームで確認しました。
Q、あと3試合となりましたが、ここまで積み上げてきた新しいスタイルの浸透度はいかがですか。
A、1試合1試合良くなっていますし、チームでうまくいかないこともあると思いますが、我慢して続けることも大事だと思います。
Q、渡邊選手ご自身の感触はいかがですか。
A、監督が言っていることを、自分に落とし込み、どうアウトプットするかがすごく大事になるので、そこの試行錯誤はしています。来シーズンの高い目標に向かうにあたって周りとのコミュニケーションが大事になるので、そういうのをスムーズにできる3試合にできればと思います。
Q、チームとして波がどうしてもうまれると思いますが、それを小さくしていくために必要なことはなんでしょうか。
A、相手がどういう守り方をしてきても自分たちのサッカーができるように、一人ひとりの戦術理解を高めていかないといけないと思います。そのために練習と公式戦があると思うので、来シーズンは波が無くなれば良いと思っています。
Q、C大阪との勝点差を縮めるためにも大事な試合になると思いますが、相手の印象はいかがですか。
A、サイドバックの攻め上がりとクロスが危険だとみんな分かっていると思うので気をつけたいです。
Q、試合に向けての意気込みをお願いします。
A、今シーズンあと3試合で、ホームゲームは2試合しかないので、しっかり勝利をファン・サポーターのみなさんに届けたいですし、自分たちのサッカーをしながら勝点3をとれるように頑張りたいです。