11/5 川崎フロンターレ戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.11.04

11/5 川崎フロンターレ戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<マッチプレビュー>
変革を掲げた今シーズンのラストゲームを迎える。

リーグ戦33試合を終えた現在の順位は6位。昨シーズンの9位と比較すれば成績は上がっているが、その数字以上に成長を意識する1年だったと言えるだろう。ここまで30試合に出場している松木玖生は、シーズンを通したチームの変化をこう振り返る。

「開幕前は後ろから前になかなか運べない状況だった。今はボールを保持しつつ、縦に速いショートカウンターもできるようになってきた」


「ボールを愛しなさい」というアルベル監督のスタイルは少しずつ、着実に浸透してきた。まだ課題は少なくないが、選手それぞれがチームの成長に手応えを感じるまでになっている。

今節の対戦相手は、多摩川を挟んで良きライバル関係にある川崎。今シーズンの開幕戦では0-1で敗戦しているだけに、チームの成長を測るうえでは格好の相手と言えるはずだ。相手は優勝も懸かっている状況だが、松木は「自分たちには関係ない」と語り、今回の多摩川クラシコを「来シーズン以降、自分たちがどんなサッカーを見せるかを示す一戦」と位置づける。

未来に向けて、東京が今シーズンの集大成を示す。

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[アルベル監督インタビュー]

Q、今日で今年最後の囲み取材になりますが、今シーズンありがとうございました。
A、感謝するのは私の方です。一緒に旅をするというフレーズの通り、みんなで旅をする、それはみなさんを含めてなので、みなさんが温かく迎えてくれることは我々にとっては大切なことです。みなさんの記事というのは、クラブにとってはすごく重要な一部です。そういう意味でも私の方こそみなさんに感謝をしたいと思います。

Q、チームが日々積み重ねているところを見てきましたが、この1年あっという間に感じました。監督はいかがでしたか。
A、今は短く感じますが、その場にいるときにはやはり長いシーズンだと感じていました。コロナで3シーズンにわたって誰にとっても難しいシーズンが続いたと思います。今この瞬間、早く経ったと感じるのは、やはり選手たちが順調に成長してくれたからだと思います。選手たちの成長を、日々実感できたが故にそれに喜びを感じ、幸せを感じたが故に結果的に振り返ると、早く時間が過ぎたように感じます。

Q、明日の試合は1年の集大成となると思います。
A、先日もお伝えした通り、1試合に限定すると、その1試合はいろんな要素で結果が変わってきます。だからこそ、良くも悪くも、その試合だけがシーズンの総括になるととらえてはいけないと思います。誰もが、今シーズンの段階的な成長を見届けてくれたと思います。例えば、先日の名古屋戦でも成長した姿を表現できていましたが、試合には負けています。ただ、負けたとはいえチームが成長しているというのを人々は感じたと思いますし、名古屋のファン・サポーターのなかにも勝ったけど後味は決して良くないという人々もいたのではないでしょうか。そして、アウェイに応援に来てくれた東京のファン・サポーターのみなさんも試合に負けたとはいえ、温かいサポート、試合の後にも歌を歌ってくれたのはチームの成長を彼らも目撃したからではないでしょうか。だからこそ、明日の試合でチームが今シーズン成長した姿を改めてピッチの上で表現できたら嬉しいですが、だからと言って、そうではなかったとしてもチームが成長したことに疑いの余地はありません。

Q、東京にとって今シーズンはチャレンジの年だったと思いますが、振り返ってどんな思いがありますか。
A、まずは、ポジティブなシーズンだったと思います。名古屋戦で勝っていれば、(川崎戦が)3位のポジションにあげるための試合になっていたと思えば、悪くない立ち位置にいると思います。ですが、試合の結果ではなく、サッカーのクオリティに関してフォーカスしたいです。改めて選手たちが短期間の間に成長したということは決して簡単ではないということをみなさんには強調したいと思います。

Q、先日(チームの成長度合いを)聞いたときに60%にたどり着いたと言っていましたが、それは想定内でしたか。
A、まずは、私が言う完成度100%というのは、勝者のメンタリティの塊であり、すべての試合に勝つのが当たり前というなかでプレーをして、内容でも結果でも証明するのが私にとっての完成度100%です。それをイメージしつつ、今シーズン、チームがシーズンを終えて40~60%ほどまで完成度が高められれば十分満足できるだろうという予想、期待を込めて私はシーズンを始めていました。そして、結果的に私が予想していた、40~60%のところで、期待値のなかでは一番良い60%まで完成度を高められたというのは、選手たちの貢献のおかげです。では、来シーズンというのは、シーズンが終わるころに完成度80%にたどり着けたとしたら、それは成功に値すると思います。残りの60~80%の20%を埋めるというのは、これまで以上に難しくなっていきます。チームに加わる選手も重要になってきますし、当然今いる選手も含めて来シーズンも選手たちに今シーズンのように毎回のトレーニングで多くのことを求め、それがクリアできたら更に難しい課題を与え、選手が成長せざるをえない環境を我々が準備することが重要です。今シーズンのスタートでは、0の状態でプレシーズンが始まりました。来シーズンは60%の完成度とともにスタートできるので、スタートの位置が全く違います。新加入選手たちが短期間でうまくチームに適応し、持っている才能をチームに表現できるようになることがその成長の20%に含まれています。そして来シーズンが終わるころに80%にたどり着いていることを期待して日々努力していきたいと思います。その後に、80~100%をどう埋めるのかというのはまた来年話しましょう。チームの完成度を高めるために忘れてはいけないのが、勝負にこだわって戦い続けることです。それは忘れてはいけない部分です。完成度が80%を超えて100%に近づけば近づくほど、チームは当たり前のように勝負にこだわることができるようになり、それをピッチで表現することができるようになるはずです。それができると上位争いに食い込むことができると思います。

Q、開幕戦とはお互い違ったチームになっていると思いますが、いかがですか。
A、改めて明日の試合、どちらが勝ってもおかしくない試合だとは思います。明日、私がイメージしているのは、今シーズンの最終節を迎えるにあたって、今チームは川崎や横浜F・マリノスだったり、どのチームに対しても怯えずにピッチに飛び出す準備がすでに整っているということです。明日、もちろん負ける可能性も我々にはあります。ですが、対等に彼らと戦えるんだと確信とともに明日、選手たちがピッチに飛び出せることは間違いないです。一方でシーズン当初は、相手チームの名前を聞くと少し、おどおどする形になっていたのが、明日は川崎相手でも、そうではないというのが大きな違いだと思います。それがベースとしてあります。


[選手インタビュー
<森重真人選手>

Q、シーズン最終節を迎えます。この1年でのチームの成長をどう感じていますか。
A、新しいサッカーへの挑戦を前向きに捉えて、やり続けることで方向性が見えてきて、終盤になって少しずつ自信を持って試合ができるようになってきたように思います。まだ課題はありますが、選手たちが主体的に課題を解決しようと取り組むことで、良い循環が生まれていると感じます。

Q、シーズンを振り返ると、なかなか結果が出ない時期もありました。キャプテンとして、どのような意識でチームと向き合っていたのでしょうか。
A、結果が出るまでに時間がかかることは分かっていたので、うまくいかない時でも自分たちがめざしている方向を疑わないように、集中してサッカーに取り組めるように意識していました。今は少しずつ、理想の集団に近づいている感覚があります。サッカーについてみんなで議論しながら、楽しく、厳しくトレーニングができています。その点は長友(佑都)選手や東(慶悟)選手の姿勢を見て、若い選手が良い影響を受けていることも大きいと思います。

Q、今シーズンは練習後、選手同士で話し合う場面が多く見られました。
A、東京が取り組んでいる“ボールを愛する”サッカーは、プレーの選択肢が多いので悩みが尽きません。選手同士が話し合わないと解決できないことが多いのですが、その作業が楽しいからこそ、主体的にサッカーに取り組めているのかもしれません。

Q、来シーズン、東京をどのようなチームにしていきたいと考えていますか。
A、見ていてワクワクするような、楽しいサッカーが理想です。そのためにはもっとゴールを奪える、攻撃的なサッカーをめざさなくてはいけないと思います。今シーズンはファン・サポーターが我慢することも多かったと思いますが、来シーズンはもっと楽しんでもらえる1年にできると信じています。今節は、みなさんがそう期待できるような、来シーズンにつながる試合にできるように頑張ります。


<松木玖生選手>

Q、高校サッカーで優勝した後、次の試合相手が前年度にJリーグで優勝したチームだった訳ですが、対戦する前はどんなイメージでしたか。
A、ここ近年で絶対王者と言っていいチームだと思いますし、メンバーは多少変わりましたが、試合を見ていてとても良いチームだと思っていました。

Q、プロ入り初出場、初スタメンを果たしましたが、アルベル監督からはどんな指示を受けていましたか。
A、プロの舞台でサッカーすることは初めてでしたし、監督からも落ち着いてプレーをすれば大丈夫だと声をかけてもらいました。ディエゴ選手も自分に話しかけてくれたり、自分がピッチに溶け込みやすい環境でした。

Q、スタメンに選ばれると決まったときはどのような心境でしたか。
A、楽しみだと思いました。

Q、実際にピッチに立ち、レアンドロ ダミアン選手や家長昭博選手など、高校サッカーでは見かけないレベルの選手と相対したわけですが、どう感じましたか。印象に残っている選手はいますか。
A、家長選手、ダミアン選手のほかにも全員のレベルが高いと感じました。自分は高校からプロになったばかりで一気にスピード感が違う中での試合だったので、最初はイメージができませんでしたが、慣れていくうちにそういった選手たちにも負けないような試合ができたかなと思います。ダミアン選手の決勝点は、プロとはこういうものだ、と感じさせられました。

Q、あのゲームで惜しくも相手ゴールキーパーに好セーブされたミドルシュートを放つなど、強烈なインパクトを残しました。現在シーズン終盤ですが、今の松木選手がもう一度あの試合に出場したら、出来ることは変わりますか。
A、今のサッカーだと自分がやることは前の試合とは違うと思います。試合にずっと出場し続けて経験も積んでいるので、今やれることは開幕戦のときより多くあると思います。

Q、前のサッカーと今のサッカーでどのような違いがありますか。
A、前からプレスをかけることは開幕戦のときも今も変わらないと思いますが、ビルドアップの仕方は変わったと思います。

Q、1年間プロとして過ごして、考え方が変わった部分はありますか。また、ここは成長した、というポイントを教えてください。
A、アルベル監督になってから「ボールを愛する」ということを教えてもらい、それが自分の成長にも繋がっています。プレースタイル的にポゼッションしながらゴールに向かうというところは自分の中で成長した部分ではあります。

Q、東京は、多摩川クラシコでは2018シーズン、松木選手が中学生の頃から勝っていませんが、なにか特別な雰囲気は感じますか。
A、開幕戦のときはそのような雰囲気は感じませんでした。クラシコだからという気持ちにはなりませんが、目の前の試合に絶対に勝つつもりでいます。ただ勝てていないという部分を考えると、最終節で勝ちたいという思いが出てきます。

Q、アルベル監督のサッカーとは、どんなものだと思いますか。
A、ボールを保持しながらゴールを目指すというサッカーであり、選手ひとりひとりに対したプレーの変化が求められていると思います。ボールを繋ぎながら前にスペースがあったら鋭いカウンターで攻めることもできますし、臨機応変の強いチームだと思います。

Q、意気込みをお願いします。
最終節をホームで戦えることは自分たちにとって大きなことでもありますし、良い試合の終わり方をして来シーズンに繋げたいです。


<塚川孝輝選手>

Q、開幕戦の時点では川崎フロンターレの選手だった塚川選手。2連覇しているチームにとっての開幕戦はどんな雰囲気だったのですか。
A、2連覇をしていましたが、ゼロからのスタートだと考えていました。川崎フロンターレにとって、初戦は勢いに乗れるか乗れないかの大事な一戦であり、2連覇をしたことは誰も考えておらず、今シーズンの初戦としてみんな気持ちも入って戦っていたと思います。

Q、対戦相手である東京は新監督に代わったばかり。どのようにスカウティングされて、どのような対策が練られていましたか。
A、歴史ある多摩川クラシコですし、ただの1試合ではないという雰囲気はみんな感じていました。この戦いに勝つか負けるかということはこれからのチームのモチベーションに関係する戦いであると捉えていました。東京の対策として新しくめざすことに対しては、とても時間がかかることだと思いますし、どこかで隙はあると思い戦っていました。試合の入りからどんどん前から圧をかけて主導権を握ることは考えていたと思います。

Q、63分にチャナティップ選手と交代でピッチに入りましたが、塚川選手に課せられたミッションは具体的にどんなものでしたか。なにを感じながらプレーしていましたか。
A、初戦ということで、この試合に勝つか負けるかで勢いに乗れるかが関わってくるためチームのために勝つための準備をして、勝つという気持ちで試合に入りました。0-0の状況だったので、勝ってこいというメッセージは伝わっていました。結果的に1-0で勝利できたので監督から与えられたタスクはできましたが、個人としては悔しく課題の残る試合だった覚えがあります。

Q、FC東京の選手で気をつけていた選手はいますか。
A、ディエゴ選手はボールが収まり、ゴール前での得点感覚もある選手なので、そこで一発入れられることが怖く自分個人としても注意をしていた部分ではあります。

Q、松木選手に関してはなにかありましたか。
A、高校を卒業して開幕戦で川崎相手に堂々とプレーをしていて、「本当に高校生か?」と思ったことを覚えています。

Q、川崎の強さは、どんなところにあると思いますか。
A、たくさんの要素があると思いますが、常にサッカーを考えていることだと思います。ストイックな選手がとても多いですし、連覇するというなかなかできないことを川崎は成し遂げているところは一喜一憂しないということが関係していると思います。自分が驚いたことは、勝っていても喜ぶのは試合が終わった直後のロッカールームだけで、スタジアムを出るときには切り替えているということでした。今まで自分がいたチームは喜びを次の試合までもっていくことが多かったですが、川崎は勝った後の切り替えがあり、勝つことが当たり前ということがあのチームにはあったと思います。そこのメンタリティーもすごかったと思います。

Q、FC東京の選手として古巣と戦うことになりますが、塚川選手のポジションから誰に警戒し、どんなプレーを心がけたいですか。また、どんな心境ですか。
A、警戒する選手は家長昭博選手だと思います。家長選手は1人でゲームを作ることができますし、展開を変えることができます。ですが、家長選手を封じ込めることができれば、川崎のやりたいサッカーをやりにくくはできると思います。そこで自由に時間を与えてしまうと川崎のリズムになってしまうと思いますし、ポジションが被るかはわからないですが、自分も意識して相手の展開にならないように家長選手を止めたいと思います。

Q、シーズン途中の移籍ですが、川崎と対戦することはどのように感じていますか。
A、率直にとても楽しみです。とてもお世話になったチームですし、選手もいい人ばかりで、自分にとっては苦しい時期でもありましたがそれ以上にいい思い出も多いです。お世話になった仲間たちとピッチで戦えることがすごく楽しみです。

Q、アルベル監督のサッカーとは、どんなものだと思いますか。「つなぐサッカー」と言われていますが、鬼木監督との違いは。
A、アルベル監督と鬼木監督の違いというより、どのような選手がいるか、誰が出場するかという違いだと思います。つなぐサッカーをするということはボールを上手く扱い周りをよく見ないといけません。その中でチームの色はあると思っていますし、川崎は家長選手が時間を作ってくれてチームでボールを持つことができます。東京はそういう面もありながら、前線の個の選手の力がより強力なので、そういうところを上手く活かしていきたいと思っています。

Q、意気込みをお願いします。
A、移籍したタイミングで最終節が川崎フロンターレになることを知っていました。ポジションを勝ち取らなければ、この試合に出場することもできないですし、共に1年半戦ってくれた仲間たちとこのピッチで戦いたいと思っていました。このピッチに立てる権利を勝ち取るために自分は頑張ってきたので、最終節でしっかりピッチに立って勝ちたいと思います。