<マッチプレビュー>
リーグ戦3試合を消化したところで、ルヴァンカップの開幕を迎える。前後にリーグ戦を戦い、中3日で3試合を戦う過密日程になるが、国内三大タイトルのひとつとして、また過去に2度の優勝を経験したチームとして、内容とともに勝利も追い求めたい大会だ。
東京は今シーズン、グループステージで京都サンガF.C.、ガンバ大阪、セレッソ大阪と関西勢3チームと同じグループに入った。3月4日にリーグ戦で対戦した京都とは3月26日にルヴァンカップで対戦し、また明日対戦するセレッソ大阪とは4月15日にリーグ戦で対戦するなど、大会をまたいで近い日程で再戦を控えている。
お互いの手の内を探りながら、どちらの大会でも勝点を積んでいくためには、若い選手の台頭によるチームの総合力の向上が欠かせない。アルベル監督もルヴァンカップでは若手選手の積極的な起用を明言してきた。
3月4日の京都との一戦では、後半から若い選手をピッチに送り込み、彼らが自分の持ち味を存分に出そうと躍動することでチームを活性化した。2戦連続出場となった俵積田晃太選手は果敢なドリブル突破から相手ゴールに迫るプレーを見せ、リーグデビューとなった荒井悠汰選手は右サイドからカットインしてゴール前に鋭いクロスボールを供給。プロ契約後初めての出場となった寺山翼選手も、アディショナルタイム突入直後にリードを広げられながらも、頭を下げずにむしろチーム全体を鼓舞するなど最後まで諦めずに戦う姿勢を見せてくれた。
コロナ禍の影響があったにせよ、昨シーズンも特別指定だった荒井選手をルヴァンカップ初戦でデビューさせるなど、アルベル監督は若手選手の起用に積極的だ。明日、どのようなメンバー構成で臨むのか。どんな選手がどのような活躍を見せるのか。目前の一戦だけでなく、東京の将来を見据えても見逃せない一戦となるはずだ。
[アルベル監督インタビュー]
Q、中盤の人数が少ないなかで、メンバー構成をどう考えていますか。
A、戦線離脱している選手の有無に関わらず、ルヴァンカップは、若手選手の成長を促す場として活かしたいです。もちろん、良いバランスを保ち、リーグ戦ではなかなかチャンスを与えられていない選手と若手選手をうまく融合させた形で臨みたいと考えています。欧州では、インテンシティの高い試合を中3日で連続して毎週2試合ずつプレーし、選手たちはそれに耐えています。私が明日狙っていることは良いバランスを保ち、もちろん勝利をめざすこと、若手選手にチャンスを与え、彼らの成長を促すこと。その両方のバランスをうまく取り、明日の試合に臨みたいです。
例えば、そのバランスが保てず、若手選手を多く起用して難しい試合をしてしまうと、若手選手が自信を失うことに繋がってしまいます。同時に、リーグ戦でプレーするチャンスを与えることができていない選手たちに関しては、プレーする機会を与えることにより、いつでもリーグ戦で良いプレーができるように準備をして欲しいという思いがあります。ファン・サポーターのみなさんがタイトル獲得を願うことは、もちろん理解しています。ただ、我々が置かれているのは、中盤というポジションで怪我人が重なり、松木選手が代表で不在という状況です。ですが、ファン・サポーターのみなさんにも理解して欲しいことは、若手選手はプレーのチャンスがなければ成長しません。同時に、リーグ戦でなかなか機会を得ていない選手たちがルヴァンカップでもプレーするチャンスがなければ、彼らがリーグ戦に向けて良い準備もできません。ルヴァンカップで良いプレーをする選手が現れた時には、当然その選手たちはリーグ戦でどんどん起用していきたいというのが私の狙いです。
明日の試合は、リーグ戦でプレーするチャンスに恵まれていない選手が、自分はリーグ戦でプレーするにふさわしい選手だと証明するチャンスにもなると思います。若手選手に関しては、成長するチャンス、そして良いものを持っていることを証明するチャンスになってくれることを期待します。サッカーでは、あらゆるものを乗り越えていかなければいけません。ピッチコンディジョンもそうですし、あとは審判の判定もしかり、すべてのものを乗り越えて勝利をめざさなければいけません。自身のミスさえも、我々は乗り越えて勝利をめざさなければいけないのです。
Q、ここ2試合では、ボールを失うシーンが多く見られました。ミスを乗り越えるために必要になってくることはなんでしょうか。
A、京都戦で我々が失ったバランスを取り戻したいと思っています。まずは、試合に負けたとしても、選手たちが常に勝利をめざして戦っている状態をピッチで表現していきたいです。京都戦では、それを選手たちが示してくれました。是が非でも毎試合表現していかなければいけません。京都戦では、インテンシティの高い守備に我々は苦しみ、うまく試合をコントロールできませんでした。複数の選手が不在だったことも影響していましたし、そこは改善したいポイントです。京都戦から学ぶべきは、我々もしっかりとインテンシティの高い守備をすることです。相手が同様のことをしてきた際には、当然、すべてがうまくいかないかもしれませんが、時間の経過とともにしっかりとボールと試合を支配するプレーをすることが重要になります。京都戦から学ばなければいけませんし、改善していきたいです。
Q、安定した戦いを続けていくことが課題になると思います。ハイテンポな試合のなかでもプレーを落ち着かせるために必要なことは何ですか。
A、自分たちのプレーを心の底から信じることが必要です。信じ続けて、やり続けることでしか乗り超えることはできないと思います。それぞれの選手が信じ続けてやり続ければ、お互いが影響し合い、チームとして最終的に乗り越えることができると思います。高いインテンシティで守備をしてくるチームではなく、ブロックを下げて慎重に守備を固めるチームに対して、どう打開するかを我々はもっと学ばなければいけないと思っています。今シーズン、スタイルを貫きつつ勝利にこだわることを自分自身の目標としています。我々は東京独自のスタイル、今いる選手たちの長所を引き出すオリジナルのスタイルを確立しなければいけません。昨シーズンに続き、選手一人ひとりが成長することも目標の一つとして考えています。
[選手インタビュー]
<徳元悠平選手>
Q、コンディションはいかがですか。
A、コンディションは上がってきていますし、アルベル監督も自分の状態を見てくれていると思います。試合に出場できれば、遠慮せずに誰に対しても自分の意見を伝え、周りの選手の意見も聞いて、コミュニケーションを細かく取りながらプレーしたいです。
Q、東京のスタイルをキャンプから積み上げてきていると思いますが、慣れという部分ではどうでしょうか。
A、サッカースタイルについては理解できている部分はあります。ですが、東京に移籍して公式戦で出場したことがないので、イメージ通りプレーできるかは正直分かりません。長友選手や中村選手、バングーナガンデ佳史扶選手の動きを見ながら勉強しています。そこで得たイメージをピッチで表現できればと思います。まずは、早く試合に出たいです。
Q、ルヴァンカップが開幕しますが、この大会をどういう大会だと捉えていますか。
A、注目されている大会だと思います。クラブとしても優勝から3年経っているので、もう一度優勝してファン・サポーターと喜びを分かち合いたいです。2020シーズンに優勝した際は、テレビで見ていました。そのチームに今自分がいるということは、凄く嬉しいことですし、リーグ戦と同様に大事な試合になると思います。
Q、ここからリーグ戦にも絡んでいけるかどうかの大切な試合になると思います。
A、ルヴァンカップで出場し、リーグ戦にも絡んでいけるようにしたいです。初戦は、僕にとっても重要な一戦になると思います。横浜FC戦が中3日でありますが、まずはルヴァンカップに100パーセント以上の力を出し、チームの勝利に貢献したいです。
Q、キャンプではサイドバック以外でプレーする機会もありましたが手応えはどうですか。
A、サイドバックがボランチの位置までポジションを移動してプレーすることがありますし、チームで求められています。ボランチでのプレー経験がサイドバックでのプレーに活かされていると思います。中盤での出場機会があれば対応できることも証明できています。東京が強くなるためにプラスに考えて取り組んでいますし、ピッチで表現したいです。
Q、セレッソ大阪にはどんな印象を持っていますか。
A、足元が上手い選手が多いと思います。しっかり球際に行かないと簡単にかわされてしまいます。守備では、高い強度でプレーしながら、攻撃では、ストロングポイントを持っているので、良い守備から良い攻撃につなげていきたいです。
Q、アルベル監督から求められているプレーもあると思いますが、どんなプレーをしていきたいですか。
A、ポジショニングを考えながらポゼッションに絡んでいくことを意識したいです。周りの選手とコミュニケーションを取りながら、最善のポジションを取り、攻守において存在感のあるプレーをしたいです。
Q、結果というところで得点やアシストも狙っていますか。
A、毎試合、得点や結果を残すつもりで臨んでいます。自分だけにならず、周りの選手の特徴も活かしながらプレーすることも重要です。しっかり考えながら、自分の結果よりも、まずはチームの勝利のために走り戦いたいと思います。
Q、アウェイでの試合ですが、ファン・サポーターも多く駆けつけてくれると思います。意気込みをお願いします。
A、開幕戦のホームゲームで感じたファン・サポーターの熱量は、凄かったです。明日の試合は、アウェイですが、多く駆けつけてくれると思います。選手たちは、声援に応えられるように頑張ります。ルヴァンカップも、見に行きたいと思ってもらえるように戦っている姿を全員で見せたいですし、楽しみにして欲しいです。応援よろしくお願いします。
<木村誠二選手>
Q、ルヴァンカップへの意気込みをお願いします。
A、今シーズンはまだ試合に出場できていないので、しっかり結果を残して次に繋げたいです。ルヴァンカップは初戦なので勝って勢いをつけられるように頑張ります。
Q、コンディションはいかがですか。
A、常に試合に出る準備はしているので、コンディションは問題ないです。
Q、どんなことを意識してプレーしたいですか。
A、チームでボールを大事にしながら攻撃をしたいです。僕は守備の選手なので失点をしないことを意識し、自分の強みである身体能力を活かし、相手に負けないようにしたいです。
Q、セレッソ大阪の印象はいかがですか。
A、相手の攻撃陣は、高い能力を持った選手が揃っているので、守備では強度の高いプレスをかけ、相手の攻撃陣に自由にプレーさせないようにしたいです。
Q、これまでリーグ戦で出場機会が少なかった選手が出場するることになると思います。気持ちの強さを問われる試合にもなると思いますが、どのように戦いたいですか。
A、全員がリーグ戦に出場したいと強く思っています。相手は、最初から激しくプレーしてくるなかで、球際の部分では特に気持ちが大事だと思うので、気持ちで負けないように全員で声をかけ合いながら集中して、試合に入っていきたいです。
Q、直近のリーグ戦2試合で結果が出ていないなか、ここで良い結果やプレーを見せることで今までの立場を変えるチャンスだと思います。
A、守備の選手として、失点せずに勝つことができれば、それだけでも評価は上がると思います。チームが良くない時期は、僕のように試合に絡んでいない選手からすればチャンスなので、頑張るしかないです。
Q、普段組んでいない選手たちと試合に出場することになると思いますが、不安はありますか。
A、チームとして、めざしているプレーは共通理解ができています。細かい部分は、声をかけ合いながらプレーしていくことが必要になると思います。
Q、落ち着いているように見えますが、気持ちは高まっていますか。
A、かなり高まっています。開幕前に怪我をして試合に絡めていないですが、シーズンはまだ始まったばかりです。自分にとってこの最初の試合は凄く大事なので、しっかり結果を出していきたいです。緊張もしていませんし、明日は思い切りプレーしたいです。セットプレーでの得点も狙っています。
Q、セレッソ大阪戦でのプレーイメージはできていますか。
A、まずは、簡単にボールをさばきながらプレーしたいです。縦パスは通ればチャンスになりますが、良くないタイミングで縦パスを狙って、ボールを失った時のリスクは高いです。アルベル監督も好まないと思いますし、簡単にできるところは簡単にプレーし、上手くボールを循環させながら、相手が少しずれた時に、縦パスを狙うなど、臨機応変にプレーしようと思います。