4/5 G大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.4.05

4/5 G大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
1勝1敗で迎えたルヴァンカップ グループステージの3戦目。ここで勝って帰れれば勝ち越して前半戦を折り返せることになり、プライムステージ進出に向けて優位に立てる。その重要な一戦を任されたのは、ゲームに飢える男たちだ。

最後方は3試合連続で野澤大志ブランドン選手が守り、右サイドバックでは鈴木準弥選手が今シーズン公式戦初スタメン。直前に行われたサガン鳥栖戦で長期離脱からピッチに戻ってきた青木拓矢選手もスタメンに名を連ね、第1節のセレッソ大阪戦に続いて、16歳の佐藤龍之介選手も右ウイングでスタートからピッチに立った。前線では第2節の京都サンガF.C.戦でプロ初ゴールをマークした熊田直紀選手が、今節ではプロ初スタメンの座をつかんだ。

今シーズンのアウェイゲームはリーグ戦とカップ戦を合わせても未だ勝利がない東京。“フレッシュ”な顔ぶれでアウェイ初勝利を挙げるべく、ガンバ大阪との一戦に臨んだ。

1st HALF-耐える展開で身体を張るも終了前に先制を許す

立ち上がりはロングボールの蹴り合いとなったが、次第にゲームは落ち着きを見せる。スペイン国籍の指揮官が率いるチーム同士の対戦とあり、ショートパスでボールが動くようになっていった。ファーストシュートこそガンバ大阪に譲るも前半7分には熊田選手がゴール前で左足を振り抜く。目の前にいたディフェンダーにブロックされたが、可能性を感じさせるシュートだった。

ただ、その後は主力組を並べてきた相手に主導権を握られる時間が続いてしまう。たとえボールを奪っても、つなぎの段階でのパスが乱れて相手に渡ってしまい、シュートまで持ち込まれる回数が増えた。それでも森重真人選手と木村誠二選手を中心にはじき返しゴールは割らせなかったが、ボールを保持する時間はほとんど作ることができない。

前半38分になって東京がカウンターで反撃に出る。アダイウトン選手が強引に左サイドを切り裂いてゴール前まで運ぶと、シュートは打ち切れなかったが、逆サイドにこぼれたボールを鈴木選手がダイレクトで合わせてコーナーキックにつなげた。

このプレーをきっかけにゲームに動きが出て来る。前半41分には相手ゴールキーパーまでプレスにいくが、巧みなビルドアップではがされて一気に自陣までボールを運ばれてしまう。最後は森重選手が対応して相手のシュートミスを誘ったが、ゴール前に抜け出されかねない危険なシーンだった。

苦しい展開ながらも無失点で折り返して後半につなげたいところだったが、終了間際にゴールを奪われる。左サイドからペナルティエリア内に侵入され、杉山選手に豪快に蹴り込まれて1点ビハインドで前半を折り返すこととなった。

2nd HALF-終盤に2点を追加され敗れる

ハーフタイムにディエゴ オリヴェイラ選手と西堂久俊選手を入れ、守備時の形に修正を加える。相手のアンカーのネタ ラヴィ選手をディエゴ選手がしっかりとケアし、ビルドアップを封じにかかった。

ただ、試合の流れは変わらない。ガンバ大阪のほうが判断も切り替えも早く、ピッチを大きく使いながらボールを動かされてしまう。後半8分にエリア内で決定的なシュートを打たれるが、野澤選手のファインセーブに救われた。

次第にガンバ大阪のペースが落ち始め、東京が相手の陣地でボールを動かせるようになってきたのは後半15分過ぎ辺りから。両サイド深くまで運んで押し込めるようになり、クロスの本数が増えていった。

しかし、同点のチャンスを作れないまま時間だけが経過。途中、野澤零温選手や荒井悠汰選手を入れて前線に厚みをもたせ、左サイドバックには西堂選手をスライドさせる攻撃的な布陣に切り替えるが、不安定なビルドアップからショートカウンターを食らうシーンが続く。後半42分には勝負を決定付けられる2失点目を喫すると、後半アディショナルタイムにはロングカウンターから3点目を許し、厳しい結果で終えることとなった。

週末にはホーム味の素スタジアムに戻って中3日でリーグ戦を戦う。アウェイ連戦での悔しさを晴らすために、湘南ベルマーレ戦では、内容はもちろん勝利を追い求めて戦う。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF鈴木準弥/森重真人/木村誠二/長友佑都(後半36分:荒井悠汰)
MF塚川孝輝(後半0分:ディエゴ オリヴェイラ)/青木拓矢(後半10分:寺山翼)/松木玖生/佐藤龍之介(後半19分:野澤零温)
FW熊田直紀/アダイウトン(後半0分:西堂久俊)

SUBS 
GK児玉剛
DF東廉太

GOAL

<ガンバ大阪>
STARTING Ⅺ 
GK東口順昭
DF半田陸(後半36分:髙尾瑠)/三浦弦太/クォン ギョンウォン(後半25分:福岡将太)/黒川圭介
MFネタ ラヴィ/ダワン/杉山直宏/山本悠樹(後半16分:山本理仁)/ファン アラーノ(後半16分:福田湧矢)
FWイッサム ジェバリ(後半25分:山見大登)

SUBS
GK石川慧
MF倉田秋

GOAL
前半43分:杉山直宏/後半42分:福田湧矢/後半45+1分:杉山直宏



[アルベル監督記者会見コメント]

Q、試合を振り返ってください。
A、私にとって、このカップ戦は若い選手にチャンス与える重要な大会と認識しています。今日も多くの若い選手を起用しました。彼らは多くのミスをしたことでしょう。若い選手たちにはミスをする権利があると思います。若い選手たちのミスによってボールを奪われ、相手のカウンターアタックを発動させてしまい、多くの失点をしました。しかし、若い選手を誇りに思っています。あらためて次のルヴァンカップでも若い選手にチャンスを与えたいと思っています。例えば熊田選手が将来性豊かな選手として注目を浴びています。彼が素晴らしい選手に育つには多くのチャンスを与えないといけないと思います。だからこそ、今日も若い選手がチャレンジして、ミスをして負けました。

ガンバ大阪はボール持たせると危険なチームだと分析していましたし、新しい監督とともに成長しているプロセスにいるチームだと思います。前半はミスが多く相手にボールを譲ってしまい、守備に追われる展開になってしまいました。特にサイドで数的不利を作られ、打開される回数も多く、終盤の失点もそこから生まれてしまいました。後半はスタートからさらに多くの若手を起用し、同点、逆転に向けて戦いに臨みました。ガンバ大阪は主力選手を揃えてきました。それに対して多くの若手を起用しながらも、後半のほうが改善を試みてくれたと思います。後半の終盤は若い選手たちが、同点、逆転に向けて相手ゴールへの意識を強めたことはとても素晴らしかったと思います。ただ、そこでミスをしてカウンターを受け、複数の失点をしてしまったことは残念です。

私は若い選手にチャンスを与え続けたいと思いますし、ルヴァンカップは若手にチャンスを与える絶好の機会だと考えています。ロッカールームでも選手たちに直接伝えました。私がいる限り若い選手にチャンス与え続けると。この場を借りてベテランの森重選手、長友選手、ディエゴ選手が、難しい状況のなか、若い選手を支え続けてくれていることに感謝しています。

Q、システムを4-4-2に変えた意図はなんですか。
A、前半は中盤でボールを失うことが多かったです。ブロックを下げないようにするためには、中盤を下げないことが重要になってきます。今日、佐藤龍之介選手はよい動き、よいプレーをしていたと思いますが、まだ16歳です。前半は、中盤を支配できないため守備ブロックがズルズルと下がってしまう傾向があったと思います。後半、その改善を試みました。そして、熊田選手には引き続きプレー時間を与えて成長を促しました。

今日は、若い選手たちにプレー機会を与えることを十分に考慮して交代カードを切りました。前半の修正点を改善するための交代でもありますし、同時に若い選手たちにプレー機会を与えるための交代でもあり、バランスを上手く保つ形で交代カードを切りました。例えば青木選手をスタメンで起用しましたが、彼は試合勘を取り戻すためにまだまだ時間が必要です。


[選手インタビュー]
<熊田直紀選手>

Q、試合を振り返っていかがですか。
A、チームとして完敗の試合内容でした。プレー強度や技術面で相手のほうが上だったと思います。 

Q、最終ラインの位置も低く、セカンドボールを拾われる時間帯も続く内容を前線からどのように見ていましたか。
A、ボールを持っている時のポゼッションの精度を高めていかなければならないと思いますが、僕個人として五分五分のボールをしっかりと収めることができれば、チームとしての攻撃の時間をしっかりと作ることができると思っています。

Q、クロスの本数も少ない試合でした。
A、そうですね。クロスが上がってくる回数は多くはなかったですが、クロス以外でも得点につながるプレーを増やしていきたいと思います。

Q、フル出場はしたものの苦い経験となったと思います。この経験をどのように生かしていきますか。
A、手ごたえを得られた試合にはなりました。次はどのような状況であれ、チームを勝たせられるように、頑張っていきたいと思います。



<佐藤龍之介選手>

Q、セレッソ大阪戦に続いてスタメンでの出場となりました。試合を振り返ってください。
A、素直に悔しいです。前半は守備の面で後手に回ってしまい、厳しい時間が続いていました。個人として守備面で隙を見せなかったことは、今日の試合を振り返って唯一評価できる点だと思います。

Q、強度は高かったと思いますが、攻撃面での持ち味を出せていなかったと思います。
A、守備の時間が長く、体力的にもきつくなってしまい、攻撃での持ち味が出せませんでした。基礎体力がまだまだ足りていないと思います。 

Q、チーム全体でミスが多く間延びしてしまっていたかと思います。
A、ハーフタイムで修正し、後半は少し改善できていたと思います。ですが、前半の間にコミュニケーションをとって改善できていれば、もう少し試合内容も変わっていたと思います。

Q、前回のセレッソ大阪戦では、人生で一番濃い60分間と話していましたが、今日の試合はどのような時間になりましたか。
A、今日も、成長につながる素晴らしい時間だったと思っています。ミスがなければ成長することはできないと監督も言っていますし、そういう面では全く無駄にはならない時間でした。

Q、今日の試合を次にどのように繋げていきたいですか。
A、常にトップチームでの出場を狙いながらU-18の試合でも変わらない姿勢でやっていく事が大事だと思っています。


<野澤大志ブランドン選手>

Q、最初の失点シーンを振り返ってみていかがですか。
A、防げなくはないシュートでした。チームとして上手くいっていなかった前半を、失点せずに終わらせることができなかったので、ゴールキーパーとして試合を難しくしてしまった責任はあると思っています。

Q、2失点目と3失点目に関しては、得点を狙いにいって受けたカウンターからの失点でした。どのような気持ちでしたか。
A、特に、2失点目を防ぐことができれば、チームとしては勝利の可能性を残すことができたと思うので、悔しいです。

Q、この試合に負けたことで、3試合で勝点3という結果となりました。
A、グループステージはあと3試合ありますが、自分は、その3試合で今シーズンのルヴァンカップを終わらせたくないですし、なんとしてでも3試合は勝ちたいと思っています。ただ、チーム全員が、今日のような試合内容ではダメだと思っているし、一人ひとりがもっと戦わないといけないと感じていると思います。 

Q、この敗戦は、苦い経験だったかと思いますが、次に向けてどう生かしていきたいですか。
A、次の試合に出られることが確約されているわけではありません。ゴールキーパーは、一人のリーダーとしてチームを指揮しないといけないポジションだと思っているので、次の試合で精一杯表現していきたいです。


<松木玖生選手>

Q、試合を振り返っていかがですか。
A、個人としてミスも多く、チームも前進できないなか、自分たちのミスからボールを奪われてカウンターを受けてしまうシーンが多く、実際に失点につながってしまったので、修正が必要だと思います。

Q、相手のカウンターを受けたことにより、チーム全体が間延びしていました。中盤の位置で松木選手が相手の選手を複数人ケアするシーンもありました。
A、サイドでボールを奪われた後、リスク管理のところで、中盤とディフェンスの選手間で意思の疎通が上手くできなかった場面もありました。ボールを簡単に奪われないサッカーをしなければならないと感じていました。

Q、ここから控える夏場の試合を考えると、ボールを握る時間を増やすことが求められてくると思います。今日の試合が今後の教訓になったと感じていますか。
A、今日はとても悪い内容でした。ビルドアップの時に、自分たちのポジショナルなプレーを表現できませんでした。これを良い収穫と捉え、次の湘南ベルマーレ戦は、相手も独特なサッカーをするチームですので、そこに順応したサッカーを見せたいと思います。

Q、熊田選手の特長を生かしきれない試合になってしまいました。今後、熊田選手をどのように生かしていきたいですか。
A、普段の練習からコミュニケーションを取って、すり合わせをしっかりしていきたいです。熊田選手もまだ公式戦は2試合目の出場なので、連携面はまだこれからだと思っています。もちろん、合わせていかなければならないですが、自分を含めて1年目の選手たちをもっと生かせるようにしていきたいと思います。

Q、中3日後に控える湘南ベルマーレ戦をどのような試合にしたいですか。
A、気持ちを切り替えて、勝点を積み重ねるだけです。絶対に勝ちたいと思います。 

Q、寺山選手と話す場面もありましたが、
A、サイドバックとセンターバックの間にスペースが空いていたので、ボランチがそこに落ちるプレーをすることで、相手にボールを奪われにくいと寺山選手が伝えてくれたので、僕と寺山選手でそこを意識しながらプレーしました。ボールを回せる場面もあったので、良いオプションになったと思っています。

Q、チームとして前向きのバランスになったということでしょうか。
A、結局、シュートを打てていないので、良くなかったと思っています。チームとして前進する形は生み出せたと思っています。

Q、そこから高い位置にボールを運ぶために必要なことはなんでしょうか。
A、選手同士の距離感や個々の技術が足りなかった印象です。自分を含め、多くの選手がボールを奪われるシーンが目立ってしまいました。ボールを簡単に奪われない、個人戦術も磨いていきたいと思います。