5/6 札幌戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.5.06

5/6 札幌戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
3連勝を目指して戦った前節のアビスパ福岡戦は、90分を通じてシュート2本に抑えられて敗れた。特にシュートを打てなかった後半の内容にはアルベル監督も厳しい表情を浮かべる。そこから中2日、大型連休の3連戦の締めくくりとして北の大地に乗り込んで北海道コンサドーレ札幌と対戦した。

前節からのメンバー変更として、森重真人選手、エンリケ トレヴィザン選手、バングーナガンデ佳史扶選手、小泉慶選手、アダイウトン選手がスタメンに復帰。また、早稲田大学在学中で特別指定選手の安斎颯馬選手がリーグ戦デビューを果たし、ペロッチ選手がリーグ戦では初めてスタメンで起用された。長距離移動を伴うアウェイ2連戦かつタイトなスケジュールのなかでの一戦だが、連敗阻止そして勝点3の獲得に向け、チーム一丸でこの一戦に臨んだ。

1stHALF—マンツーマンの守備に苦しみリードを許す

勝利のために先制点が欲しかった東京だが、ゲームの主導権の行方が定まる前の前半8分に先制を許してしまう。ハーフライン手前でボールロストすると小柏選手に運ばれてラストパスを許す。ペナルティエリア手前で受けた浅野選手が右足でのトラップから左足を振り抜くと、ヤクブ スウォビィク選手の逆を突いたシュートがゴールへと吸い込まれた。

東京に最初のチャンスが訪れたのは前半16分。松木玖生選手のコーナーキックを森重選手が頭で合わせる。惜しくも枠を外れたが、札幌ゴールを脅かすシーンになった。前半23分にはロングボールを収めたアダイウトン選手が単独突破でシュートまで持ち込むシーンも作った。

その後、ボールを保持されて、奪った後も札幌のマンツーマンの守備をかいくぐれない苦しい時間帯が続く。そのなかでもアダイウトン選手のドリブルやパワーを活かしてシュートまで持ち込む場面は作った。しかし、攻撃に厚みは作れず、どれも単発に終わる。

一方の守備では、前半28分に3人目の動き出しで小柏選手にディフェンスラインの裏を取られると、その折り返しを菅選手に蹴り込まれてリードを広げられた。

さらに悪い流れは続く。前半37分、VARのサポートにより佳史扶選手が福森選手をペナルティエリア内で倒したと判定されてPKを与える。これを金子選手に決められてリードを3点に広げられる。

何とか前半のうちに1点を返したい東京は、前半42分にまたもアダイウトン選手のフィジカルを生かした仕掛けからゴールに迫ると、こぼれたボールを松木選手が右足で狙う。コースを突いたシュートはクロスバーに嫌われ、セカンドボールに反応したアダイウトン選手のシュートも枠を捉え切れず。リードを詰め切れずに試合を折り返した。

2ndHALF—選手交代で流れを変え仲川選手が反撃の1ゴール

3点を追う東京は後半のスタートから3選手を入れ替える。ディエゴ オリヴェイラ選手、仲川輝人選手、青木拓矢選手を投入し、システムを変えて悪い流れを断ち切り、よい流れを引き寄せにかかった。

しかし、後半に入っても試合展開は変わらない。

後半4分にはセットプレーからピンチを招くも、スウォビィク選手のファインセーブでしのぐ。しかし、直後の後半5分にゴール前で細かくつながれて崩されると、最後は菅選手に流し込まれて4点目を献上した。

ここで試合はようやく落ち着いた展開になったが、依然として主導権は札幌が握ったまま。それでも東京は何とか反撃の糸口を探し、まずは1点を返しにいく姿勢を貫いた。後半28分には、右サイドを抜け出したアダイウトン選手のクロスを仲川選手が押し込んで、反撃姿勢がなんとかゴールに結びついた。


1点を返してからは東京のギアが上がり、追加点につながるチャンスも作り出した。しかし、クロスバーに当たったり、相手のブロックにあったりと、あと一歩が届かない。逆に、アディショナルタイムにはカウンターから金子選手にこの日2点目を決められ、タイムアップを迎えた。

公式戦3連勝と流れを変えて連戦に突入したが、ここに来て今シーズンリーグ戦初の連敗となった。来週はホームに戻って国立競技場で川崎フロンターレとの多摩川クラシコを戦う。川崎との大一番でリーグ戦での再起を誓う。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF安斎颯馬/森重真人/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶(後半10分:徳元悠平)
MF小泉慶/安部柊斗(後半0分:青木拓矢)/松木玖生
FW渡邊凌磨(後半0分:仲川輝人)/ペロッチ(後半0分:ディエゴ オリヴェイラ)/アダイウトン(後半32分:俵積田晃太)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF木本恭生

GOAL
後半28分:仲川輝人

<北海道コンサドーレ札幌>
STARTING Ⅺ
GK菅野孝憲
DF田中駿汰/岡村大八/福森晃斗(後半38分:中村桐耶)
MF金子拓郎/荒野拓馬/宮澤裕樹(後半28分:馬場晴也)/菅大輝/浅野雄也(後半38分:ミラン トゥチッチ)/駒井善成(後半28分:小林祐希)
FW小柏剛(後半19分:ルーカス フェルナンデス)

SUBS
GKク ソンユン
MFスパチョーク/ルーカス フェルナンデス

GOAL
前半8分:浅野雄也/前半18分:菅大輝/前半38分:金子拓郎/後半5分:菅大輝/後半45+3分:金子拓郎


[アルベル監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、最初の数分間で試合の流れが決まってしまったと思います。しっかりと集中した形で試合に入らなかったところもありました。中盤でも多くのボールロストがあり、それを札幌が上手く活かしてインターセプトしていました。特に最初の15分ほど、もっと背後を突くゲームプランを立てていましたが、それがあまりできておらず、足元でボールを受けることが多くなってしまい、そこでボールロストする場面が続き、札幌の先制点と追加点が生まれました。

この過密スケジュール、移動距離の長い遠征が二つ続いたことで疲労の影響もあったと思います。中2日のなか、九州、北海道への長い移動で疲労を上手く回復できなかったところにもつながったと思います。いままで何度もコメントしてきたように、このJ1リーグはとても拮抗したリーグです。それゆえにどのチームにも勝つことがありますし、敗れる可能性もあるリーグだと思います。だからこそ、どちらが先制点を決めるかが、試合結果に影響を及ぼします。今日、先制点、追加点を入れられてしまったからこそ、その後我々はよりゴールをめざさないといけない展開になり、ゴールの奪い合いの展開になりました。

前半は良いプレーができておらず、ただ、いくつかチャンスは作れていました。後半は交代で出場した選手たちも全力を出してくれてチームとしてもしっかりと戦ってくれました。前半とはまったく違った45分だったと思います。決定的なチャンスを作れていましたし、そのいくつかがもし入っていたとしたら、違った試合展開と試合結果になっていたと思います。

やはり早い時間帯に先制点を許してはいけないと思います。あそこで先制点を取られてしまったことがその後の試合展開に大きく影響を及ぼしました。今日のミスからしっかり修正して次につなげたいと思います。

サッカーの世界ではこういう試合もあります。すべてが上手くいかず、相手チームのすべてが上手くいく試合展開です。我々も決定的なチャンスを複数作れました。にもかかわらず、不運にもシュートがポストに当たり、ペナルティキックが与えられない場面もありました。

Q、ハーフタイムにどういう修正をかけましたか。
A、ボールロストを少なくしようとしました。そして、テンポよくボールを動かし、あらためて相手の背後を突こうと確認しました。それは事前のゲームプランとして準備していたモノでもありました。ただ、一つの失点でこれほど大きな影響を及ぼされることはあってはならないと思います。

Q、4失点目は相手のスローインに多くの選手が集まってしまう失点だったと思います。
A、サッカーは人生と同じでメンタルの状態がアクションに大きく影響を及ぼすと思います。物事が上手くいっている時には適切な判断やアクションを行えるものです。一方で上手くいっていない時には、それが続いているならなおさら、アクションや判断でミスが増えてしまうネガティブなサイクルが起こり得るモノです。今日はそのような展開だったと思います。

今日の前半、最初の15分での先制点と追加点が、その後の我々のプレーと試合展開に大きな影響を及ぼしたと思います。先制点であれほどまで影響を及ぼされてはならないと思います。前半のプレーはとても酷かったです。我々が酷いプレーをしていても、相手がチャンスを決めない試合もあります。しかし、今日に関しては我々のプレーが酷かったと同時に札幌の一つひとつのアクションがすべて上手くいき、すべてのチャンスがゴールで終わる形でした。

なかなかチャンスを作れず、その少ないチャンスがゴールにつながり勝利につながることがあるでしょう。良いプレーができていたとしても負ける試合もあります。それがサッカーの世界です。今日は我々のプレーは酷く、不運に恵まれ、相手チームのプレーがすべて上手くいく展開でした。

アウェイ2連戦の移動が疲労に影響を及ぼしたのかは分かりませんが、もしかしたら影響を及ぼしたかもしれません。Jリーグがこのスケジュールを決めたわけですが、少し理解に苦しむ部分があります。次はホームで試合がありますが、その後にはまたアウェイで試合が続くイレギュラーなスケジュールとなっており、理解に苦しみます。ただ、そのような障壁を乗り越えていかないといけないのが上をめざすチームです。その意味でも我々はこの障壁をしっかりと乗り越えていかないといけないと思います。


[選手インタビュー]
<森重真人選手>


Q、厳しい結果となりました。率直な今の気持ちを教えてください。
A、自分たちのミスからピンチを招いてしまいました。前半に3失点をして、自らを厳しい状況に追い込んでしまいました。大きな反省点です。

Q、守備面について、チーム内ではどのようにやりたいことを整理していますか。
A、整理できていないからこその1-5という結果だと受け止めています。自分たちがどのようなサッカーを見せていきたいかを整理する必要があります。何となく、というプレーを続けてしまうと今日のような展開になってしまいます。攻守において、中途半端な試合にもなってしまいました。

Q、来週は川崎フロンターレとの多摩川クラシコがあります。チームとしての課題、どこから手を付けていきますか。
A、まずは守備です。安定した守備がなければ、良いサッカーを展開できません。もちろん攻撃的なサッカーを展開していきますが、攻守のバランス感覚が重要です。攻撃だけやっていれば勝てるわけではないので、チームとして安定した結果を求めるのであれば、守備面の修正は必須だと思います。


<仲川輝人選手>


Q、厳しい試合結果となりました。今の気持ちを教えてください。
A、相手の気迫に負けた試合でしたし、今の僕たちに一番足りていない部分です。長距離の移動や連戦ということとは関係なく、戦う姿勢が相手より上回れていません。そこが、東京に今一番必要なことだと思います。サッカーどうこうの問題ではないですね。相手との1対1の場面から失点につながるシーンもありました。4失点目のように、ゴール前に東京の選手は揃っているのに、ボールを奪い切れない場面もありました。対人の場面ですべてにおいて負けていました。北海道コンサドーレ札幌も球際のところを積極的に狙っていたと思います。マンツーマン気味で守備をする相手に、ひっくり返すプレー、リズムよく味方にパスを受け渡す、ボールサイドに引き付けてスペースを作る、そのスペースを使う、といった動きが足りませんでした。

Q、仲川選手が味方を鼓舞する姿も見られました。
A、負けている状況だったので。後ろが数的同数の状況だとボールは奪えないので、そういう部分で声掛けなどをしていました。

Q、得点シーンについて振り返ってください。
A、自分自身、得点は奪えましたが外したシーンもありました。決め切ることで流れも変わったと思います。まずは先制点を相手に与えないことを自分たちは改善しないといけません。

Q、来週に控える多摩川クラシコに向けて、どのような準備をしていますか。
A、アビスパ福岡、札幌との2連戦で悔しい思いをしました。この悔しさを晴らすのは試合の場だけだと思っています。多くのお客さんが会場に詰めかけるなかで、どれだけ良いプレーができるのか。初心に帰るというわけではないですが、対人の強さなどを試合までに取り戻すために、激しく、厳しく練習していかないと個々の能力が高い川崎フロンターレに通用しないと思います。

Q、連戦でメンバーを一部変えたことが試合に影響したように見えました。
A、みんなの意識次第だと思います。チャンスを与えられた選手は、試合で結果を出さなければいません。ポジションが確立された選手はいませんので、1試合1試合で自分を表現することがチームのためにもなりますし、勝利にもつながります。試合に出場した選手が個人としてのパフォーマンスを反省すべきですし、チームとして乗り越えられるようにしたいです。上位をめざすため、悪い流れを断ち切るために、川崎戦はチャレンジャーの気持ちで臨まなければ、ファン・サポーターのみなさんに喜びを届けられないと思います。


<小泉慶選手>


Q、立ち上がりに先制点を許したことが響いのたでしょうか。
A、まず北海道コンサドーレ札幌が前半の立ち上がりから点の取れるチームということは分かっていたので気を付けていたのですが、15分も経たない8分で先制点を決められてしまいました。最初の立ち上がりがすごく大事だと思っていたのですが、そこで失点してしまったことで、札幌に複数得点許す展開になりました。僕たちとしては1点で勝敗が決まるゲームにしたかったです。今日は、他のどのチームとの試合よりも立ち上がりが大事ななかで、先に失点してしまったことで相手にリズムと勢いを持たせてしまいました。反省しなければいけないと思います。

Q、前節と同じような流れで、序盤は自分たちのリズムを出せない展開でした。
A、相手も違うので、毎回守備のやり方も違いますし、ビルドアップのやり方なども変わりますが、今日は入りの部分でセカンドボールをもう少しマイボールにできていれば違った展開になったと思います。戦術の違いや相手の特長もありますが、まず根本的な部分で負けていたかなと思います。

Q、長距離移動が伴うアウェイ連戦という厳しいスケジュールでの試合でした。
A、札幌はホーム連戦で僕たちはアウェイ連戦で、しかも中2日という状況ではありましたが、ピッチに立つ以上はスケジュールなど関係ないと思いますし、そのなかでも勝たないといけません。シンプルに自分たちの力のなさが、今の札幌との現実的な違いだと思います。スケジュールはあまり言い訳にしたくないというか、今日負けた理由はそれが理由ではないと思っています。

Q、この連敗をバネに次の試合では反発力を出していきたいですね。
A、国立競技場開催で、川崎フロンターレが相手なので、たくさんのお客さんが見に来てくれると思いますので、こんな情けない試合はできません。こうした試合を続けているので、上の順位を狙うには、チームとしても何かを変えないといけないのかなと思うので、みんなで話し合って川崎戦までに整理したいと思います。


<安斎颯馬選手>


Q、リーグ戦初出場かつ初のスタメン起用となりました。
A、チームが大敗してしまったので、率直に悔しい気持ちが強いです。ファン・サポーターのみなさんがここまで来てくれていたなかでこの試合結果だったので、申し訳ない気持ちです。

Q、今日出場することはいつ聞かされましたか。
A、今週の木曜から練習に参加していて、今日のスタメン入りを知らされたのは直前のタイミングでした。ただ、練習のなかでスタメン組に入っていたので、自分のなかではいける準備をしていました。昨夜はあまり寝付けなかったですね。

Q、どんな想いを持ってピッチに立ちましたか。
A、アビスパ福岡戦でチームが負けていたので、自分が出場して勢いをつけようと思っていたのですが、結果が伴わなくて個人としても失点に絡んでしまい、非常に悔しい気持ちで一杯です。

Q、随所にドリブルで相手を置き去りにするプレーもありました。
A、自分の強みは攻撃でチームにアクセントをつけられるところなのですが、今日は自分らしいパフォーマンスを発揮できませんでしたし、まだまだ消極的なプレーが多かったので、もっとやらないといけません。

Q、サイドバックでの出場についてはどう感じていますか。
A、自分としてはどこでもプレーできるのが強みですし、サイドバックの面白味というのも感じているので、サイドバックで出場することに違和感はないですね。

Q、試合にスムーズに入ったように見えました。チームメイトから何か声を掛けられていましたか。
A、試合前からみなさんに声を掛けてもらって、やりやすい環境を作ってもらいました。小泉慶選手からは「思い切ってやれよ」と言われましたし、近いサイドだと森重真人選手や渡邊凌磨選手も声を掛けてくれました。みんなが助けてくれたので結果で恩返しをしたかったのですが、不甲斐ないプレーになってしまいました。

Q、プロの舞台で自分が通用すると感じた部分はありましたか。
A、自分のストロングポイントとして、戦う部分や球際の部分は、ここでもやれると思いました。今日はまだまだという気持ちが強いですが、いちから見つめ直してこのピッチに戻ってこられるように練習したいと思います。

Q、今日のリーグデビューをきっかけに、どのような選手になりたいですか。
A、チームに勢いを付けられる選手、サイドバックとして攻守両面でチームを勝たせられる選手にならなければいけないと思っています。