INTERVIEW2021.12.24

ヤクブ スウォビィク選手インタビュー

Q、まずは東京への加入の話の前に、スウォヴィク選手が初めて日本に来て2年半プレーした仙台についてのお話をお聞かせください。
A、私、そして私の家族にとって仙台での生活はとても幸せなものでした。そして仙台のファン・サポーターから多くの支援をいただきました。いい思い出しかありません。クラブスタッフのみなさんにも感謝していますし、デビュー戦となったセレッソ大阪戦はいまも覚えています。もちろん東京との試合もありましたし、幸せな記憶しかありません。

Q、仙台からの発表されたプレスリリースには「必ずまたJ1で会いましょう」という愛のある言葉がありました。クバ(スウォヴィクの愛称)選手はここから東京の一員として継続してJ1の舞台で戦います。
A、2021シーズン、仙台のJ2降格という結果にはもちろんがっかりしています。ただ、自分自身は練習から試合とすべて全力で臨んでいました。その中で、日本のビッグクラブである東京からオファーをいただけたことはすごくうれしかったですし、このクラブで多くのものをチームメイトとともに勝ち取りたいです。 

Q、対戦相手として東京の印象はいかがでしたか?
A、2019シーズン、私が初めて日本に来たとき、東京は優勝争いをしていました。順位表の一番上にいた強いチームという印象です。常に試合ではクオリティのある選手たちがいいプレーをするチームでもあります。 

Q、2021シーズン、東京は仙台に2勝をあげましたが、どちらの試合でもクバ選手のビッグセーブが光っていました。
A、覚えています(笑)。ただ最後は仙台が敗れてしまいましたね。僕らはベストを尽くしましたが、東京にはクオリティの高い選手が揃っているのでその結果になってしまいました。 

Q、東京の選手で印象に残る選手は誰ですか?
A、ディエゴ(・オリヴェイラ)ですね。彼とはPKで2回対決したので印象深いですね(笑)。彼のPKの蹴り方は独特で、本当にうまい選手だと思います。GKからすると難しい蹴り方ですが、今度は同じチームですし、練習で彼に蹴ってもらえばどんなスタイルにも対応できるような気がします(笑)。 

Q、東京には優れたGKがいますが、日本のGKのレベルについてはどういう印象ですか?
A、もちろん東京には有能なGKがいますし、湘南の谷晃生選手も素晴らしいタレントの持ち主です。広島の大迫敬介選手や同じ仙台でプレーした小畑裕馬選手もそうです。将来有望でポテンシャルに満ちた選手たちが増えている印象です。日本のGKも質が高まっているのは間違いないです。 

Q、クバ選手の母国・ポーランドはイェジー・ドゥデク選手やヴォイチェフ・シュチェスニー選手など名守護神をたくさん輩出しています。以前磐田でプレーしたクシシュトフ・カミンスキー選手も活躍しました。
A、それはポーランドサッカー界にとても重要なことです。ヨーロッパのビッグクラブで多くのGKたちがプレーしてきましたし、現在も在籍しています。いま名前が挙がった選手以外にもアルトゥール・ボルツ選手(セルティックで中村俊輔、サウサンプトンで吉田麻也とともにプレー)やウカシュ・ファビアンスキ選手といったGKたちも素晴らしいです。日本ではカミンスキーが素晴らしい功績を残したことで、自分が日本に行くことにつながったという事実もあります。ポーランドのGKの実力を自分もしっかり東京で発揮していきたいと思っています。 

Q、ところで、クバ選手は何歳でGKを始めたのですか?
A、随分と昔の話なので・・・(笑)、確か5,6歳の頃だったと思います。兄が先にサッカーを始めていて、自分が一番小さかったのでそこで僕がGKをやることになりました。GKはセービングのときに倒れたり、高いところから落ちたりするのでみんな嫌がっていたんですが、自分にとってはそれが普通で気にならなかったですね。そのあと、DFもやった経験はあります。大きなアカデミーに所属していたのですが、僕のプレースタイルがあまりテクニカルなタイプではなかったので(笑)、コーチから「GKはどうだ?」と勧められました。そこでGKグローブをもらったことも一つのモチベーションになり、そこからはGK一筋です。 

Q、名GKが多いので、ポーランドでは人気ポジションだと思っていました。
A、どこの国の子どもたちも、みんな最初はストライカーになりたがると思いますよ(笑)ドゥデク選手やボルツ選手が活躍したときはGKも人気が出ましたが、なんと行ってもポーランドといえばロベルト・レヴァンドフスキ選手ですからね。だからFWに憧れる選手が多いと思います。

Q、キャリアを見ていくとポーランドの国内クラブでプレーしてきていますが、2015年に一度イングランドのレディングと契約直前まで進んだというニュースを読んだことがあります。
A、あのときは約1週間、テストに受けに行ったという経緯でした。ただチームのGKの枠が埋まってしまったり、その直後に自分もケガをしてしまったので、思うように話が進みませんでした。ただ、いつかは海外で自分のポテンシャルや実力を試したいと思っていたので、その初めての舞台が日本になったというわけです。ポーランド時代からその思いはずっと持ち続けていました。 

Q、Jリーグで2年半プレーしてみて、来日当初と現在では日本サッカーのイメージに違いはありますか?
A、私の意見としては、日本は素晴らしい国でありリーグです。ほかのアジアの国はわからないですが、素晴らしいリーグだと思っています。

Q、東京は2022シーズン新たにアルベル監督が指揮します。2021シーズンまでアルビレックス新潟を率いていましたが、アルベル監督のチームのサッカーをご覧になられたことはありますか?
A、数試合ではありますが、新潟時代の試合を観ました。どんなサッカーをするのか、どんなプレーを求められるのかを確認する上でもチェックしました。ボールを繋ぐスタイルという印象で、GKやDFからの攻撃のビルドアップも求められると思います。元々GKはしっかりゴールを守る、シュートストップをすることが役割でしたが、いまの時代はそこから求められるものが多岐にわたっています。足元の技術やキックもそうです。おそらく東京の新しいスタイルではそうしたものが多く要求されることになるでしょう。自分のスタイルとしては練習から要求されるものをしっかり吸収し、学び、そして高めていくというものです。しっかり適応できるように前向きな姿勢で取り組みたいと思います。

Q、東京は2021年、失点が多かったことが課題でした。ファン・サポーターがクバ選手に一番期待するのはシュートストップでしょうが、DF陣を含めてどう守備を改善していきたいですか?
A、どんなチームでも一人だけでゴールを守ることもできないですし、一人だけで点を取ることもできません。FWからGKまで全員で攻めて、守ること。私の場合はその中でもよりDFとコミュニケーションをたくさん取って、具体的にはコンパクトな陣形をしっかりキープしながら守りきれるようにしていきたいです。

Q、このチームで成し遂げたい明確な目標はありますか?
A、常日頃からあまり個人的な目標は掲げないのですが、まずはチームとしてはしっかりいい方向を向いて結果を出したいです。そしてより多くのトロフィーを獲得できればいいですが、まずはしっかり戦い、ファン・サポーターのみなさんが「本当にいいチームだよね」と誇りを持っていただけるような集団になっていきたいと思っています。そんな言葉がいろんなところから出てくるようなプレーを、選手たちは続けなければいけません。 

Q、最後に、日本の首都・東京で生活する上で、楽しみにしていることは?
A、東京は本当に大都市で、世界的にも素晴らしい街だという印象です。家族も楽しみにしていますが、大切なのはどこにいたとしても家族と一緒に常にいられるということです。一つ楽しみなのは、仙台からよりもディズニーランドに行くのが近くなることですね(笑)。そのほかの名所も楽しみにしています。私は日本食も大好きで、寿司も焼き肉も最高です。納豆?最初にトライしたときはダメでしたが、徐々にですね(笑)。

text by YUKI NISHIKAWA