5/27 神戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.5.27

5/27 神戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
国立競技場での多摩川クラシコで川崎フロンターレに勝利し、鹿島アントラーズとのアウェイゲームで勝点1を持ち帰って来た東京。この流れを大切にしたいなか、首位のヴィッセル神戸とのアウェイゲームに臨んだ。

この試合でJ1リーグ通算450試合出場となる森重真人選手とエンリケ トレヴィザン選手が3試合ぶりにセンターバックのコンビを組み、3日前のルヴァンカップでメンバーに入らなかった長友佑都選手と仲川輝人選手はスタメンに名を連ねた。

5月最後の試合で迎えた首位との対戦。上位勢との試合が続き、勢いをつけてきた東京にとって、自信と結果をともに持ち帰りたい一戦を迎えた。

1stHALF—好機を決め切れず終盤に連続失点

3日前のルヴァンカップから連戦となるメンバーが半数を占めたが、試合の入り方は悪くなかった。ボールを動かし、セカンドボールの回収でも神戸を上回っていた。前半5分には早々に神戸ゴールに迫る。左サイドで押し込み、渡邊凌磨選手のインスイングのクロスボールをファーサイドで仲川選手が折り返す。ゴール前の選手には合わなかったが、ゴールに近付く好機を演出した。

時間が経過していくと、次第に神戸の圧力が増していく。球際の強さや推進力が際立ちはじめ、東京は試合のペースを握られてしまう。前半20分には右サイドを汰木選手に突破されてクロスボールを入れられると、ファーサイドに流れたボールを武藤選手にワンタッチボレーシュートで流し込まれて先制を許す。

失点直後にも立て続けにピンチを迎えるが、ヤクブ スウォビィク選手のスーパーセーブに救われた。

前半36分には安部選手と仲川選手のワンツーからペナルティエリアに侵入すると、クロスボールのこぼれ球を安部選手が詰めるが、シュートは右ポストに直撃した。

絶好機を逃すと、前半終了間際に失点を重ねる。

前半41分、自陣でつなごうとしたボールを初瀬選手に奪われると、ゴール前に速いクロスボールを入れられる。ゴール正面に飛び込んできた大迫選手を捕まえられず、冷静に流し込まれた。さらに前半44分には大迫選手のスルーパスに抜け出した武藤選手に3点目を献上した。

2ndHALF—2度のPKを決めるも1点差を詰められず

3点を追う状況の東京は、後半開始から交代カードを切る。東慶悟選手と渡邊選手に代えて青木拓矢選手と塚川孝輝選手を投入し、流れを変えようと試みた。

反撃の狼煙を上げたのは後半14分。小泉慶選手がファウルを受けてフリーキックを得ると、徳元悠平選手が直接ゴールを狙う。シュートは壁に当たったが、高く上がったボールの競り合いのなかで神戸にハンドがありペナルティキックを獲得する。このチャンスをディエゴ オリヴェイラ選手が冷静に決めて1点を返した。

このゴール以降、東京の出足が鋭くなり、押し込む時間を長くしていく。シンプルに前線に送り込み、そのセカンドボールを拾うことで厚みのある攻撃につなげていく。後半26分にはコーナーキックからエンリケ トレヴィザン選手が惜しいヘディングシュートを放った。

ラスト15分以降はピッチ上に大きなスペースが生まれ始め、オープンな展開に突入する。一人で局面を変えられる俵積田晃太選手を入れた東京は、サイドを起点に突破の糸口を探った。しかし、試合を締めようとする神戸を前に効果的な攻撃を見せられない時間が続く。

時間が刻一刻と過ぎていくなか、後半39分にはまたしてもセットプレーの流れからペナルティキックを獲得する。今度は後半終盤に投入されたペロッチが冷静に決めて1点差にまで迫った。

5分のアディショナルタイムに入ってからも、何とか同点ゴールをめざして東京は前に向かう姿勢を失わなかったが、あと1点が届かずにタイムアップ。首位から勝点を奪うことはできなかった。

1週間後にはホーム味の素スタジアムに戻って横浜F・マリノスと対戦する。前半戦ホームラストゲームで勝利し、また流れを取り戻したい。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF長友佑都/森重真人/エンリケ トレヴィザン/徳元悠平
MF小泉慶/東慶悟(後半0分:青木拓矢)/安部柊斗(後半36分:ペロッチ)
FW渡邊凌磨(後半0分:塚川孝輝)/ディエゴ オリヴェイラ/仲川輝人(後半31分:俵積田晃太)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF木本恭生
MF寺山翼

GOAL
後半14分:ディエゴ オリヴェイラ/後半40分:ペロッチ

<ヴィッセル神戸>
STARTING Ⅺ
GK前川黛也
DF初瀬亮/山川哲史(後半25分:尾崎優成)/マテウス トゥーレル/本多勇喜
MF齊藤未月/山口蛍/佐々木大樹(後半33分:井出遥也)/汰木康也(後半45+2分:リンコン)
FW武藤嘉紀/大迫勇也(後半33分:ジェアン パトリッキ)

SUBS
GK坪井湧也
MF 扇原貴宏/アンドレス イニエスタ 

GOAL
前半20分:武藤嘉紀/前半41分:大迫勇也/前半44分:武藤嘉紀


[アルベル監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、我々のミスで試合に負けたと思っています。選手には、あらためてしっかりと理解して欲しいと思います。もちろん神戸のことはリスペクトしていますが、我々がしっかりと良いプレーをすれば、どんな相手にも上回れるプレーができることを理解してほしいです。

選手たちにも伝えましたが、今日の試合、最初の10分、15分は良い内容でした。集中してスタートできていましたが、その後に続いた簡単なミスから相手にチャンスを与えてしまいました。ピッチの中央でボールロストしその流れから神戸の先制点が生まれ、2失点目も我々のミスがきっかけでした。0-2の状況でメンタル的なダメージを受けていたのでしょう。前半の終盤に3失点を喫してしまったことも残念でした。

ただ、後半の45分間に関しては、気持ちをしっかりと切り替えて、戦えるチームであること、そうしたメンタルを持っているチームであることを証明してくれました。しかし、それが45分間だけでは足りません。90分間を通じて証明し続けないといけません。後半は相手を明確に上回ることができていたと思います。我々が同点に追い付く勢いを持っていたと相手も感じていたのでしょう。だからこそ、神戸は時間を使うようなプレーをしていたと思います。あらためて、今日の試合は我々のミスで負けたと思っています。

Q、前半が上手くいかなかった原因は強度の部分が大きいでしょうか。
A、まさしく指摘された部分だと思います。1対1で戦う姿勢とその強度が前半は足りませんでした。毎試合、勝利を収めるために90分間戦う姿勢を表現し続けないといけないと思います。それができるように改善と努力を重ねています。

我々がめざしているプレースタイルは、難易度がとても高いものであり、そのスタイルに良い形で適応するのに苦しんでいる選手がいるのも事実だと思います。それは私も理解していますし、認めています。スタイルの変更のプロセスでは、当然ミスは起こるものです。そのミスを上手くカバーするには、戦う姿勢と強い個性が必要だと思います。その部分でも明確に改善した成果をこのクラブに残したいと考えています。

今シーズン、勝利にこだわるメンタリティをしっかりと落とし込もうと戦い続けています。今日の後半のような戦う姿勢を、毎試合、90分間表現し続けないといけません。後半の方がより選手たちも必死に戦い、勝利をめざして走っていたと思います。それは体力の問題ではなく、メンタルの問題です。勝利にこだわるメンタリティ、そしてプレーテンポの速さが、今、我々が求めているものです。


[選手インタビュー]
<森重真人選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、プレーの判断、ボールを回すテンポも遅く、全体的なプレースピードが遅い試合になってしまいました。僕らの弱さが出てしまったと思います。

Q、言い訳にはできないと思いますが、中2日の試合日程も影響しましたか。
A、仮に、疲れが溜まっていて、良いプレーができないのであれば、今節の試合出場を回避すればいいだけの話かと思います。日程を言い訳にしない、と決めてプレーする必要があることは、以前、似たようなことを話した記憶があります。全選手が分かったうえで試合に臨みましたし、それぞれの弱さ、自分自身に負けてしまっていては、相手に勝つことはできません。前半の戦いぶりは、その点に尽きると思います。

Q、後半に2点を返し、チームとしての意地を見せられたかと思います。
A、相手が前半に3点を決めていたことで、ペースダウンした部分もありました。後半は球際で強さを出せていましたが、前半からなぜできないのか、と思うところもあります。良いプレーを表現し切れていないことについては、自分たちに問題があると思いますし、何度も言っていますが、その点を改善できない限り、前には進めないと思います。

Q、ヴィッセル神戸戦までの準備や確認の時間が短かったことも影響していますか。
A、確認が不十分だったわけではないと思います。戦術としては、前線からハイプレッシャーをかけるわけではなく、ディエゴ オリヴェイラ選手に相手のボランチへのパスコースを消させることを最優先として試合に臨みました。ですが、実際に試合が始まると、シンプルに長いボールを蹴ってきていたので、ボールの出所に対しては厳しくいくべきでした。試合に臨むにあたり、事前に準備することと試合の中でフレキシブルに対応することや修正することを両立することが大切だと思います。


<青木拓矢選手>


Q、アンカーでの出場となりました。手応えはありましたか。
A、良い流れはできていると思いますが、継続が一番難しいことだと思うので、しっかりと続けていきたいと思います。

Q、青木選手が動くことで、周りの選手も動くきっかけになっていたと思います。
A、それはありました。プレーで示すことができればいいと思います。

Q、チームとしての今後の課題は何ですか。
A、今日に関しては、後半は気持ちで得点できたと思います。ですが、今後は自分たちの意思で、ゴールを奪えるようにしたいと思います。

Q、前半で3点差がついてしまいましたが、その影響から落ち着いて試合を運ぶことが難しくなりました。
A、前半はベンチから見ていて、ピッチの中では少しそのように感じているのではないかと思っていました。そこを整理して試合に入ることができればいいと思っていました。

Q、前に進めるためには、メリハリが必要になるのでしょうか。
A、ボールを大事にする時と前に勢いを持っていく時と使い分けることが大事になると思います。今日はそれができていなかったので、前までボールを運んだのにゴールキーパーまで下げてしまうシーンなどもあり、全体を通して中途半端なプレーが多かったと思います。

Q、前半はペースが掴めず、後半に入って良さが出る時間が多い試合展開となっています。
A、絶対に波はあると思います。後半からの出場は2回目となりますが、北海道コンサドーレ札幌戦もそうでしたが、悪い流れの時に連続で失点してしまうことは良くありません。悪い流れの時でも、最低限1失点で抑えるようにしないといけないと思います。今日のように3失点してしまうと、同点に持ち込むことも難しくなってしまいます。悪い流れであれば、悪いなりに割り切ることも必要だと思います。

Q、そのようにできない要因はなんでしょうか。
A、今日の試合については、調整する時間が少なかったことも影響があったと思います。

Q、ハーフタイムまで流れを変えることができない要因にも繋がりますか。
A、やはり、試合中にピッチに立っている選手だけで変えることができれば一番良いと思います。選手たちが話しながら自分たちで変えられるようなチームにならないと、上位にはいけないと思います。


<ペロッチ選手>


Q、J1初ゴール、おめでとうございます。ディエゴ オリヴェイラ選手から、日ごろのトレーニングのなかでペナルティキックのことでアドバイスなどをもらっていましたか。
A、ありがとうございます。ペナルティキックに関しては蹴り方を教えてもらうということはありませんが、いつも練習が終わると彼とペナルティキックの練習をしています。日本に来てから、ピッチの中のことも外のこともディエゴ選手から教えてもらっています。彼には感謝の気持ちで一杯です。

Q、日本で実績を残しているディエゴ選手から学んでいることはなんですか。
A、ディエゴ選手は日本で様々な経験をしています。彼からは「我慢強くやらないといけないよ」と、いつもアドバイスをいただいています。

Q、ペナルティキックを蹴る際にはどのような話をしましたか。
A、ディエゴ選手から「蹴るか?」と声を掛けられて、自分も素直に蹴りたいと伝えました。自分のことを信用してくれていると感じましたし、しっかりと決めることができて自信につながりました。その点についても、ゴールを決める機会を譲ってくれたディエゴ選手に感謝しています。

Q、ペナルティキックを蹴る時点で2点のビハインドがあり、また神戸のファン・サポーターがゴール裏にいるなかでプレッシャーが強かったのではないですか。
A、いつも練習をしていますし、いつもどおり蹴ることを考えていました。正直に言うと、集中していたので相手のファン・サポーターについては気になりませんでしたし、いつもと同じキックをすることを心掛けていました。