7/1 柏戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
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INTERVIEW2023.6.30

7/1 柏戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
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<前節・名古屋グランパス戦のレビュー>

全員の矢印がひたすらに「前へ」と向いていた。

この勢いでプレーしていて、果たして後半も同じようにできるのだろうか。試合終盤には完全に足が止まってしまうのではないだろうか。

ピッチの外から見ていて心配になるくらい、東京の選手は、走って、走って、走りまくった。

相手にボールを奪われたら、即座に守備へとスイッチが変わり、ファーストディフェンダーが間髪入れずにプレッシャーをかけ、二度追いや三度追いをする。周りの味方も呼応してボールの出どころを予測し、チームが連動しながら前方向へとスライドし、ボールを刈り取りに行く。

そうして、ボールを再び手に入れると、ショートカウンターを仕掛けて一気にゴールへと迫っていく。ポジティブトランジションと言われる守備から攻撃への切り替えも、ネガティブトランジションと言われる攻撃から守備への切り替えも、その両方で東京は名古屋グランパスを上回った。

立ち上がりこそ、プレスの網目が粗く、背後をとられてカウンターを受けるシーンもあったが、後半に入ってからは網目が詰まって、奪われたボールはすぐに回収。セカンドボールの反応も先手を取り続け、終始ボールを自分たちの足元に置くことができた。

 なかでも光ったのは、鋭い読みでインターセプトして名古屋の攻撃の芽を潰したエンリケ トレヴィザン選手。奪った後のポジティブトランジションの判断も冴え、“攻撃的な守備”を体現し、ピーター クラモフスキー監督の初陣に華を添えた。



<試合プレビュー>

ピーター クラモフスキー体制の初陣となった前節・名古屋グランパス戦は2-0で勝利を飾った。監督就任からわずかな準備期間で細かい決まり事を整え、選手全員がハードワークして勝利をもぎ取った。新指揮官は選手たちの姿勢を称えつつも、「自分たちが夢見た場所に行くためには、やらなければいけないことがある」と、チームをさらに進化させる構想を思い描いている。

その一つがビルドアップだ。柏レイソル戦に向け、ビルドアップの構築に着手。「(ビルドアップは)進化していける部分の一つ。そこは改善できると思っているし、改善する意図を持ちながらどうやって得点を奪うかを考えていきたい」と言う。加えてスローインの確認に時間を割くなど、さらなる決まり事にも時間を割いて今節への準備を進めてきた。

柏は成績不振を理由にネルシーニョ監督がシーズン途中で退任。井原正巳監督が就任した後も、リーグ戦は2分け3敗と苦戦が続く。しかし、クラモフスキー監督は「柏はすべてを出し切って勝点を奪いに来る。自分たちもアグレッシブに戦いたい」と警戒を緩めない。東京は今節も、全力で勝利をつかみ獲る。


マッチデープログラムはこちら


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、継続性を持った戦いが勝利のポイントになりますか。
A、試合に向けた準備が重要です。1日も無駄にすることなく、どうすればチームが強くなっていくのかを考え、焦点を当てて積み重ねることが大切です。それが、次に対戦を控える相手チームとの戦い方や準備にも繋がっていきます。ピッチ上ではなるべく明確に選手たちへ落とし込むことを意識しています。そのなかで、我々の強度やフィジカル面を高めていき、一歩一歩前へ進めていきたいと思っています。常に限界の数値を上げていくことを、選手とスタッフは意識して取り組んでいます。

Q、ハードワークを習慣化しつつ、クラモフスキー監督が選手それぞれとプレーに対するコミュニケーションを図っているように見えます。
A、しっかりとプレーに表れない時もコミュニケーションを取っています。特に我々のプレーを表現するための根底には、高い集中力とハードワークが欠かせません。この2つはチームとして絶対的に表現しなければいけないポイントです。チームとしての決まり事を守ることは、運動量やハードワークに必然的に繋がっていきます。そのメンタリティを作ること、他のクラブが東京とは戦いづらいと思うようなチーム作りをベースとして考えています。

Q、練習におけるクラモフスキー監督の評価や満足度の基準を教えてください。
A、私にとって、明確な決まり事があります。その基準は選手たちも理解してくれています。選手たちには目をつぶっていても、味方の動きやプレーを表現できるくらいになってほしいと思っています。攻撃では、素早くゴールをめざすことや味方との連携、守備においては、連動した守備網を作り上げることが求められます。今お話ししたことを選手たちには落とし込んでいる途中ですが、表現できていること、できていないことが一つの基準になると思います。練習には、何かを乗り越える機会やチャレンジすることを盛り込むようにしています。100パーセントできないことも当然出てくると思いますが、そのための練習でもあると思っています。そういう場合は、我々スタッフが情報を与える、映像で確認するなどのサポートが重要です。

Q、柏レイソル戦に向けて、継続性が重要なのか、変化をさらに加えていくのか、戦ううえでのポイントを教えてください。
A、名古屋と柏は違った戦い方をしてきます。似ているような現象もありますが、まずは、自分たちのプレーを出し切ることが重要です。チームとしての決まり事を表現すること、相手のウィークポイントをいかに突けるか。最終的に、すべてはハードワークに繋がると思っています。勝点3を得るために、すべてを出し切るだけです。


[選手インタビュー]
<エンリケ トレヴィザン選手>


Q、クラモフスキー新監督の初戦となった名古屋グランパス戦は、充実した内容に見えましたが、監督交代で何が変化したのでしょうか。
A、名古屋戦だけではなく、ルヴァンカップの京都サンガF.C.戦も含めて、戦う姿勢が戻ってきたことが大きな要因だと思います。戦術的な変化も当然ありますが、何より一番変わったところは、戦う姿勢、ファイティングスピリットを前面に出せるようになったことだと思います。

Q、エンリケ トレヴィザン選手自身のパフォーマンスも非常に良かったように見えました。振り返ってみていかがですか。
A、私自身のプレーも良かったと感じていますが、チーム全体が非常に良いパフォーマンスを見せていました。大事なことは、ここからさらに成長していくことです。この良いパフォーマンスを継続して、もっと安定した試合を見せていきたいと思います。

Q、東京のセンターバックは選手層が厚く、ポジション争いも厳しいですが、どのような意識で試合への準備をしていますか。
A、確かに、良い選手が多く、レベルの高いポジション争いをしています。ですが、一番大切なことはチームの勝利ですし、調子の良い選手がピッチに立つことは当然です。そういう意味では、厳しいポジション争いがあることは、チームにとって良いことですし、味方同士がリスペクトしながら競争して、チームに良い結果をもたらすことが重要だと思います。

Q、セットプレーの場面では毎回、気迫のこもったヘディングを見せていますが、得点力をさらにアピールしたい気持ちはありますか。
A、そうですね。今シーズンは公式戦で2得点を決めていますが、どちらもヘディングでした。空中戦はストロングポイントだと自負しています。ここからさらに点を決めてチームに貢献したいと思っています。

Q、エンリケ トレヴィザン選手はコロナ禍の2021シーズンに来日しました。今シーズン、声出し応援が全面的に解禁された味の素スタジアムの雰囲気をどう感じていますか。
A、今シーズンの開幕戦となった浦和レッズ戦が印象的です。昨シーズン後半戦はケガのためにチームを離れていたので、浦和戦は来日してから初めて、大声援を経験した試合でした。味スタの雰囲気に感動しましたし、ファン・サポーターに応援してもらうことで、スタジアムの雰囲気が全く変わることを実感しています。

Q、柏レイソル戦に向けて意気込みをお願いします。
A、今、東京はチームとしてまとまりが生まれ、厳しく質の高いトレーニングができていますし、良い試合をお見せできる自信があります。ここから順位を少しでも上げていくために、何としても勝点3を獲って、ファン・サポーターのみなさんに喜んでもらいたいと思っています。


<小泉慶選手>


Q、クラモフスキー監督が就任し、名古屋グランパス戦では勝利を収めました。チームとして変わったところ、継続してできていることを教えてください。
A、監督が代わり、今まで出場していた選手と出場できずにいた選手がリセットされ、チーム内の競争が再び始まった印象が強いです。チーム内の競争が生まれ、選手それぞれが危機感を持って高い強度で練習できています。今までと違った緊張感や雰囲気も感じています。シーズン開幕から表現できている良い部分は継続する必要があると思いますが、勝てていなかったという視点で考えれば、良くなかった部分が多かったとも捉えています。日々のトレーニングの積み重ねや意識が試合に出る、ということをここ数試合で痛感していますし、その点は僕自身も忘れかけていたように思っています。キャンプではチームとしてできていたところも、シーズンが始まり、数試合を重ねることで、緩みが生まれていたようにも感じています。今は、選手それぞれが、プレーするうえで大前提として必要な部分を再確認して、取り組めていると思っています。

Q、名古屋戦では前への意識や圧力など強度の高さを感じました。クラモフスキー監督が就任して間もないなかで、狙いを表現できた結果がプレーに繋がったということですか。
A、強度の高い練習を短い期間で行い、その成果が試合で発揮されたと思っています。攻守の切り替えや球際で求められる強さは、選手たちも感じていたと思いますが、監督が代わったからではなく、各々の意識だと思っています。リーグ前半戦でも、名古屋戦のように表現できていた試合もありましたが、継続性が必要です。連勝することがここからもっとも必要になっていきます。優勝やACL圏内の順位を本気で狙うためには勝点3を積み重ねることが必須です。このような苦しい状況を招いてしまったのは僕ら選手ですので、自分たちでこの悔しい想いを取り返す試合を見せていきたいと思います。

Q、ここ数試合は右サイドバックで出場を重ねていますが、小泉選手自身、やるべきことはそれほど変わらないというスタンスですか。
A、どこのポジションで出場したとしても、高い強度が求められます。そこだけは、ボランチであろうがサイドバックであろうが、常に意識している点です。一つひとつのポジショニングやボールの動かし方は当然、ポジションによって違うので、プレーの賢さが求められると思っています。

Q、古巣対決となる今節に向けて意気込みをお願いします。
A、在籍年数としてはそれほど長い期間ではありませんでしたが、自分のことを応援してくれたファン・サポーターの方々もいらっしゃったと思います。今は、東京の一員として、古巣ということを意識しすぎることなく、東京が勝つためにできることを最大限プレーで示したいと思っています。どのようなことがあったとしても最終的に東京が勝てばなんでもいい、と思っているので、相手に関係なく、自分たちが勝利のためにやらなければいけないプレーを表現すれば“東京のため”に繋がると思っています。僕自身が良いプレーをピッチ上で示すことが古巣への恩返しにも繋がると考えているので、まずは自分自身にしっかりとフォーカスをして試合に臨みたいと思います。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、前節の名古屋グランパス戦もゴールを重ね、ここまでの調子の良さをどのように感じていますか。
A、コンディションはとても良いです。昨シーズンは怪我に苦しんだ時期も長かったですが、今シーズンはここまで怪我なくプレーできていることがコンディションの良さにも繋がっています。いつも通りのプレーを意識しているなかでゴールを重ねられていることも嬉しく思いますし、ここからさらにレベルアップしていきたいと思います。

Q、昨シーズン苦しんだ分、今シーズンにかける想いも人一倍強いように見えます。
A、チームとしてやるべきプレーを遂行して貢献すること、そのなかでゴールを決めることを常に意識しています。昨シーズンは、開幕前のキャンプ中に怪我をしてしまい、シーズンをとおして良いプレーを表現できずにいました。怪我をせずに練習から全力で取り組むことで、試合で良いパフォーマンスが発揮できる、とあらためて感じましたし、しっかりと良い準備を進めていきたいと思います。

Q、ここまで9ゴールの活躍ぶりですが、ご自身の得点感覚は今どのような状態ですか。
A、昨シーズンとは違い、得点を決めるための良い流れを感じています。良いリズムでゴールを重ねることができているので、継続していくことが重要だと思っています。

Q、柏レイソルとの対戦を控え、どのような心境ですか。
A、Jリーグには様々なクラブがありますが、柏レイソルに対するリスペクトの気持ちは常にあります。なぜなら、ご存知の方もいると思いますが、日本でプレーをするチャンスを私に与えてくれたクラブだからです。柏でも良い環境でプレーできていましたし、当時在籍していたスタッフや選手たちとは今でも、良い関係を築けています。敬意を持ってプレーはしますが、今は東京の勝利のために、プレーすることだけを考えています。

Q、東京を象徴する選手としてファン・サポーターから愛される存在ですが、ディエゴ選手自身はどのように感じていますか。
A、日本に初めて来た時は25歳でした。年齢的にも非常に良いタイミングだったと思います。柏がプレーする機会を与えてくれたことで今の自分がありますし、東京に移籍した後も応援してくださるファン・サポーターの方もいらっしゃいます。柏で過ごしたピッチ内外の素晴らしい時間に感謝しています。東京に移籍し、長い期間プレーさせてもらっています。私たちプロの選手はピッチ内外でお手本として振る舞う必要があると思っています。ただし、サッカー選手ですのでピッチ内で結果を残さなければなりません。そのような積み重ねが、ファン・サポーターのみなさんに認められているのかな、と思います。今の私があるのは、東京に関わるみなさんのサポートがあったからこそです。私自身の年齢を考えると、サッカー選手として先が長いわけではありません。東京でプロ選手としての最後を迎え、ブラジルに帰国することも大いにあり得るでしょう。それまでの時間、力の限り良いプレーをお見せしていきたいと思っています。