7/31 第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)準決勝vs清水エスパルスユース MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.7.31

7/31 第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)準決勝vs清水エスパルスユース MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
暑い夏の風物詩ともいえる日本クラブユースサッカー選手権(U-18)。第47回目の開催となった本大会は、群馬県で開催されたグループステージを1勝2分と負けなしで突破し、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023EASTでも成績を残している川崎フロンターレU-18を2-1、横浜F・マリノスユースを4-1と下し、準決勝に駒を進めて東京に帰ってきた。

1stHALF—緊張感漂う前半。先制点を許してしまう

東京のキックオフで開始した試合は前半5分、相手ディフェンスラインのボール回しに前線からプレスをかけ、相手のパスミスを誘発。奪ったボールを右サイドに展開し、ボールを受けた金子俊輔選手が対峙した相手を華麗にかわし、ゴール前に素早いボールを送る。渡邊翼選手が飛び込むもうまく合わせ切れず。

その後も前線にボールを運ぶが、相手ディフェンスの堅い守備にあい、思うようにシュートまで持ち込むことができない。次第に清水エスパルスユースが幅を使った攻撃でボールを握る時間を作り始め、ゴール前までボールを運ばれるシーンが目立つも、永野修都選手を中心に最後のところで身体を張り、相手に自由を与えない。

しかし、前半35分。清水にコーナーキックを与えると、ニアサイドで西原選手が頭で合わせて先制を許してしまう。その後も、一進一退の攻防が続いたが、追いつくことはできず前半を0-1で折り返す。

 

2ndHALF—大量4得点の猛攻で、決勝へ駒を進める

後半に入り、東京は反撃の狼煙をあげる。後半開始早々の4分、トラップミスを逃さず、鈴木楓選手がボールを素早く奪取すると山口太陽選手とパス交換。前線に抜け出した佐藤龍之介選手にボールを送ると、相手選手と競り合いながらうまく運び、巧みな深い切り返しから左足でシュートを放つ。シュートは惜しくも相手に防がれるが、一連の流れからコーナーキックを獲得する。菅原悠太選手が左足で入れたボールを、永野修都選手が相手選手に競り合いながらも、うまく頭でミートさせ、早い時間にイーブンの状態へ持ち込むことに成功する。

ここから東京の攻撃力はギアが一段、二段と上がる。

後半13分には後藤亘のゴールキックから、佐藤龍之介選手がドリブルで抜け出し右足を振り抜く。相手ゴールキーパーがはじいたこぼれ球を山口太陽選手が冷静に流し込み同点弾から間もなく逆点すると、その後も勢いは止まらず、続く後半20分には、敵陣の深い位置に流れたボールを拾った相手に対し、菅原悠太選手が猛プレスを仕掛ける。二度追い、三度追いと勢いを止めることなく相手のパスコースを限定しながらプレッシャーをかけ、味方も連動し、高い守備陣形を形成。相手ゴールキーパーも強度の高いプレスに対してクリアが苦し紛れになると、鈴木楓選手が敵陣高い位置でボールを回収。細かなパス交換から山口太陽選手に繋ぐと、ゴールエリア左の角度のない位置から左足を振り抜く。ゴールキーパーの足に当たって勢いは失われたが、気持ちの乗ったボールはゴールへと吸い込まれ清水を突き放す3点目を獲得する。

勢いが増す東京は後半28分、自陣右サイドで激しい競り合いからボールを奪取した金子俊輔選手がカウンターを発動。ペナルティエリア正面の位置まで独走し、左サイドに展開。味方の折り返しを再度ゴール前で受けた金子俊輔選手が冷静にゴール前で合わせ、勝利を決定づける4点目を決めてリードを広げる。その後も冷静に試合を進め、後半40+4分に清水に2点目を与えるも、4-2で試合終了。3年ぶりとなる決勝の舞台へ駒を進めた。

 

MATCH DETAILS
<FC東京U-18>
STARTING Ⅺ
GK後藤亘
DF永野修都/石堂純平/沼田青瑳(後半37分:佐々木将英)/金子俊輔
MF渡邊翼(後半27分:吉田綺星)/佐藤龍之介/田邊幸大(後半27分:田中希和)/鈴木楓(後半39分:伊藤ロミオ)/菅原悠太
FW山口太陽(後半37分:尾谷ディヴァインチネドゥ)

SUBS
GK小林将天
DF兼子貴成
MF古賀竣/大町彪悟

GOAL
後半4分:永野修都/後半13分:山口太陽/後半20分:山口太陽/後半28分:金子俊輔

 

<清水エスパルスユース>

STARTING Ⅺ
GK大石息楓
DF岩﨑海駕/岩本昇悟/有村柊人/岩尾健琉
MF太田成美/星戸成(後半8分:岡田珠羽)/矢田龍之介/小竹知恩(後半25分:仲野丈翔)/西原源樹
FW田中侍賢(後半35分:田代寛人)

SUBS
GK柴﨑海翔
DF石川成希/村上太郎/平誠太朗
MF中山温樹/岩永京剛

GOAL
前半35分:西原源樹、後半40+4分:西原源樹


[奥原崇監督 試合後コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、清水エスパルスユースの試合をいくつか観て、非常に力のあるチームだと思っていました。押し込まれる時間帯が生まれてしまうことは、ある程度想定していましたし、どれだけ辛抱強く戦えるかがポイントでした。被シュート数も多かったと思いますし、そのなかで前半を1失点に抑えられたこと、本来であれば、試合中に選手間でコミュニケーションを取って修正することが望ましいですが、ハーフタイムに良い会話ができて、選手たちをもう一度奮い立たせることができました。そこが大きかったと思います。

Q、ハーフタイムにどのような修正を指示したのですか。
A、簡単に言うと“選手間でしっかりと喋ること”です。私たちは、双方向で会話することを基準にしています。その部分が滞っていましたので、戦術的なところよりは、会話の滞りをなくすところを修正しました。

Q、決定力の部分で清水を上回った要因を教えてください。
A、具体的な部分はお伝えできませんが、日々の練習で積み重ねてきたことが、結果として実ったこと、それに対して選手たちが自信を持ってプレーできていたことが要因だと思います。

Q、2点目のシーンを含め、大事なところで佐藤龍之介選手の活躍が決め手になった印象を受けました。
A、彼自身、ボールフィーリングに関して今日は良くない日だったのかな、と思いますが、メンタル面を含めてうまく試合のなかで立て直してくれました。3年生の選手の声がけをはじめ、仲間の支えがあるからこそ、佐藤龍之介選手が成長できていると思います。

Q、山口太陽選手のストライカーらしい2得点でした。
A、彼自身、怪我もあり苦しい時期がありました。その時期に食事面から見直し、身体作りが改善されたことにより、以前に比べるとボールの収まりも数倍良くなったと思います。合わせて、高い決定力を備えているので、“まだまだこんなもんじゃない”と思っています。

Q、3点目に繋がる菅原悠太選手のプレスバックが非常に効いていました。
A、この大会で彼の運動能力の高さが数値としても証明されています。前節の横浜F・マリノスユース戦の3点目もそうですし、彼の守備能力の高さ、攻撃でアクセントになるプレーは1年生ながら良く戦えていると思っています。

Q、優勝まであと1勝となりました。
A、勘違いせずに戦いたいと思います。プレミアリーグでは苦しんでいますし、前期は2勝しかできていません。ここまでチーム全体で積み上げてきたものがあり、そのなかで、怪我や代表活動から戻ってきた選手たちも合流し、チーム力が上がってきていると思います。最後まで謙虚さを失わず、今まで通りの試合をしていきたいと思います。


 [選手インタビュー]

<山口太陽選手>


Q、本日の試合を振り返ってください。
A、前半の入りが良くなく、失点してしまいましたが、ハーフタイムに全員で話し合い、チーム全体で切り替えられたことが良かったと思います。後半は永野修都選手が、早々に1点取り返したことで勢いづいて、2点、3点と複数得点ができました。その良い流れのなかで自分も得点できたことが良かったです。

Q、ご自身1点目のシーンを振り返ってください。
A、佐藤龍之介選手がシュートを打った時に、こぼれるな、と思っていました。偶然にも自分の前にこぼれてきたので、決められて良かったです。こぼれ球は常に狙っているので、決めきることができて良かったです。

Q、2点目は左足を振り抜き、気持ちで決めた得点だと思います。
A、シュートはゴールキーパーに当たって入りましたが、練習から取り組んでいたパターンだったので、準決勝の場面で左足の特長を活かすことができて良かったと思います。

Q、次の試合に勝てば優勝です。
A、大会が始まってから優勝をめざしてやってきたので、自分ができることを全て出し切り、絶対に優勝します。


 <永野修都選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、今大会では初めて、先制されてしまう展開となり、そのまま前半を終えました。厳しい試合内容となりましたが、ハーフタイムで気持ちを切り替えることができ、後半でしっかりと逆転できたことは良かったと思います。後半開始してすぐ、良い時間帯にセットプレーで得点することができて良かったと思います。

Q、ハーフタイムを終えて後半から、勢いがつきました。
A、味の素フィールド西が丘という東京のホームで、多くのファン・サポーターのみなさんが応援に来てくれていました。気持ちでは負けていなかったので、ハーフタイムに、ピッチ上で話すことを改めて確認しました。負けてはいましたが、絶対に逆転できるという気持ちで後半に臨みました。後半開始早々のセットプレーで同点に追いつけたことが良かったと思います。

Q、得点シーンを振り返ってください。
A、グループステージの時から、良いボールが入ってきていて、今日も良いボールが上がってくると思っていたので、そこに対して絶対に決めるという気持ちが得点に繋がったと思います。

Q、多くのファン・サポーターのみなさんが応援にきていました。
A、先制されている環境のなかでも、声援は聞こえていて、それが逆転するというモチベーションにも繋がっていました。今日の結果は声援があってこその結果です。応援してくださった、ファン・サポーターのみなさんに感謝しています。

Q、決勝戦に向けて一言お願いします。
A、決勝はこれまで以上に厳しい試合になると思いますが、東京のエンブレムを背負っているという誇りを持ち、戦いたいと思います。応援してくれるファン・サポーターのみなさんや家族、メンバーに入ることができなかった選手の想いも背負い戦い、優勝を掴み獲りたいと思います。


 <佐藤龍之介選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、前半は難しい展開になりましたが、ハーフタイムに良い話し合いができました。プラスな声がけもあって、後半は良い入りができました。良い流れで得点を重ね、後半に関しては完璧なゲームになったと思います。

Q、後半は特に佐藤龍之介選手の良さが発揮されていたように見えます。
A、後半はチームとしても個人としても、良いプレーができていたと思います。4点目のアシストは、シュートを打つこともできましたが、ゴールが決まる確率、勝つための最善の選択を優先して、冷静にプレーできました。

Q、今日の試合も多くのファン・サポーターが駆けつけてくれました。
A、とても力になりました。僕たちのプレーに対して、熱い声援を届けてくれましたし、とても励みになりました。東京ファミリー全員で掴み取った勝利だと思っています。

Q、決勝に向けて意気込みをお願いします。
A、リーグ戦では良い結果を出せていませんが、このようにファン・サポーターのみなさんをはじめ、チームがひとつになって戦ってきたことで決勝の舞台にたどり着けたと思います。最後の試合も全員で戦って、“日本一”を西が丘で掴みたいと思います。引き続き、熱い応援をよろしくお願いします。




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