9/23 鳥栖戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2023.9.23

9/23 鳥栖戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

リーグ戦では4試合勝利から遠ざかっている東京。今節はホーム味の素スタジアムにサガン鳥栖を迎えた。東京にとって鳥栖は苦手中の苦手とする相手。直近の成績では8試合連続で敗れており、通算対戦成績も13勝7分14敗と負け越している。この一戦からクラブは設立25周年の記念試合を戦うだけに、節目となるタイミングで苦手意識を払しょくし、勝利で25周年を祝いたいところ。

特に鳥栖は、1999年に東京がJリーグに参入した最初の対戦相手でもある。鳥栖戦ではじまった東京の歴史が、25周年の節目に同じ鳥栖との試合をきっかけにまた新たに積み上がっていく。

東京は、東慶悟選手と小泉慶選手が警告の累積で出場停止。代わりに、U-22日本代表から戻ってきた松木玖生選手、そしてディエゴ オリヴェイラ選手がスターティングメンバーに名を連ねた。また、長友佑都選手が右サイドバックに回り、左サイドバックにはバングーナガンデ佳史扶選手がスタートで起用された。

1stHALF—終盤に攻め込むものの2点のビハインドを負う

立ち上がりからお互いにボールを保持して相手ゴール前に侵入し合う展開。両チーム通じた最初のチャンスは鳥栖だった。前半4分、右サイドからのクロスを富樫選手に頭で合わされるが、ヤクブ スウォビィク選手が飛びついて食らい付き、右ポストに直撃した。

東京の反撃は前半8分、ペナルティエリアの外でボールを持ったディエゴ選手がドリブルしながら縦パスをペナルティエリア内に入れる。相手選手に当たり味方にはつながらなかったが、そのまま相手と競りながら強引にゴール前まで持ち出すと、相手ゴールキーパーとの1対1の場面でシュートを放ったが、惜しくもゴール左へと逸れた。

お互いにゴール付近までボールを持ち込むものの決定的な場面を作れずにいたが、前半18分に均衡が崩れる。ペナルティエリア外からゴール前にループパスを入れられると、ゴール目前で長沼選手に押し込まれて先制点を許す。

さらに前半30分にはペナルティエリア際にロングボールを入れられると、エンリケ トレヴィザン選手と富樫選手が競り合った際にエンリケ選手のファウルをとられてペナルティキックを与えてしまう。前半32分にペナルティキックを富樫選手に決められて、ビハインドを2点に広げられた。

まずは1点を返したい東京は、前半38分に自陣からボールをつないで右サイドのスペースへとボールを送り込む。仲川輝人選手が呼応して抜け出すと、そのままペナルティエリア内に侵入してゴール右前までボールを運ぶ。ゴールキーパーを誘い出してゴール前にクロスボールを入れたが、ディエゴ選手のシュートは相手にブロックされた。

ビハインドを追う東京はボールを保持して鳥栖陣内で試合を進めていくが、ゴール前にこそ迫るものの、決定的な場面を作るには至らなかった。

2ndHALF—タワラのプロ初ゴールで逆転

後半開始早々に東京が反撃の狼煙を上げる。

後半9分、左サイドに開いている佳史扶選手にボールを預けると、ニアサイドに鋭いクロスボールを供給する。待ち構えていたアダイウトン選手が頭で流し込んで東京が1点を返した。


東京の勢いは止まらない。後半14分、またも左サイドを活用し、佳史扶選手が鋭いクロスボールをゴール前に入れる。アダイウトン選手が頭で合わせにいったボールが、ゴール前にいた渡邊凌磨選手まで流れると、トラップしたボールを渡邊選手が押し込んで試合を振り出しに戻した。


逆転に向けて、交代カードを切りながら攻勢を強めていく東京。ジャジャ シルバ選手、俵積田晃太選手、白井康介選手、木本恭生選手、寺山翼選手をピッチに送り込み、鳥栖ゴールへと迫っていく。

ボールを保持した勢いをゴールにつなげたい東京。スコアを動かしたのは後半42分だった。ペナルティエリア内に侵入して渡邊選手がゴール右斜め前からシュートを放つと、一度は相手ゴールキーパーに阻まれたが、ゴール左前にこぼれたボールを俵積田選手が詰めて逆転ゴールを決めた。


俵積田選手にとってはうれしいプロ初ゴールが、東京の25周年を祝う決勝弾となった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF長友佑都/森重真人(後半40分:木本恭生)/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶(後半33分:白井康介)
MF松木玖生/原川力(後半40分:寺山翼)/渡邊凌磨
FW仲川輝人/ディエゴ オリヴェイラ(後半28分:ジャジャ シルバ)/アダイウトン(後半33分:俵積田晃太)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
MF塚川孝輝

GOAL
後半9分:アダイウトン/後半14分:渡邊凌磨/後半42分:俵積田晃太

<サガン鳥栖>
STARTING Ⅺ
GK朴一圭
DF山﨑浩介/ファン ソッコ/原田亘
MF河原創/手塚康平(後半43分:藤田直之)/菊地泰智/堀米勇輝(後半40分:樺山諒乃介)
FW長沼洋一/富樫敬真(後半21分:河田篤秀)/岩崎悠人(後半21分:横山歩夢)

SUBS
GK岡本昌弘
MF森谷賢太郎/福田晃斗

GOAL
前半18分:長沼洋一/前半32分:富樫敬真


[ピーター クラモフスキー監督記者会見コメント]


Q、試合を振り返ってください。
A、エキサイティングなチーム同士の戦いでした。ファン・サポーターにとってはエンターテイメント性の高い内容だったと思います。前半に関しては、前半の終盤までは試合を支配することができませんでした。前半を0-2で折り返しましたが、1点、2点と取れてもおかしくない形もありました。そのなかで、後半に入ってからは自分たちの特長を出すことができました。信念を持って戦い続けることができたと思います。最後まで応援してくれたファン・サポーターのみなさんを笑顔で帰らせることができて、とてもうれしいです。

Q、ハーフタイムにどのような指示を出しましたか。
A、ハーフタイムに、自分たちが磨きをかけなければいけない点を映像で確認しました。解決方法は前半の終盤のシーンにありました。自分たちが信念を持ちながら、選手たちは戦い続けてくれましたし、だからこそファン・サポーターに勝利を届けることができました。戦い方としては、一歩一歩進みながら発展しているところですが、今日は一歩前に進むことができたと思います。もっと自分たちが良くなっていくために、自分たちに焦点を当てて、しっかりと積み上げていきたいです。自分たちの戦い方を信じたことによって今日のような結果が出せました。日々、自分たちを磨きながら、夢見るチームに近付いていければと思います。まだまだやるべきことはたくさんあります。着実に成長していきたいです。

Q、バングーナガンデ佳史扶選手を代えた理由を教えてください。
A、交代した時間帯で、足がつり始めていたため、フィジカル的な要因で交代させました。彼は少し前まで怪我でメンバーを外れていたため、現在フィジカルを作り上げている段階です。今日はしっかりと出場時間のなかで力を出し切ってくれました。交代した後は、フレッシュな選手がきっちりと仕事をしてくれました。


[選手インタビュー]
<アダイウトン選手>


Q、劇的な逆転勝利となりました。試合の振り返りをお願いします。
A、前半は2失点をしてしまう、非常に悪い内容でした。後半を迎えるにあたって修正し、最後まで諦めない姿勢でプレーできたことが、逆転勝利に繋がったと思っています。最終的に勝利できましたし、良い試合になったと思います。

Q、前半は攻撃の形を生み出せないシーンが続きましたが、ハーフタイムにはどのような修正をしましたか。
A、もちろん、前半もピッチ内で良い流れを生み出すために修正を試みましたが、うまく形にならず、プレーで表現できませんでした。ハーフタイムにクラモフスキー監督から、相手のスペースが生まれているエリアについて指示を受けました。監督の指示やアドバイスをピッチ内でうまく表現できたことが逆転勝利に繋がったと思います。

Q、逆転勝利のきっかけとなった1点目の振り返りをお願いします。
A、バングーナガンデ佳史扶選手から素晴らしいクロスが自分のもとに送られてきたので、頭でしっかりと合わせるだけでした。

Q、長く勝てていなかったサガン鳥栖を相手に逆転勝利を得ました。この勢いをどのように継続していきたいですか。
A、今日も非常に難しい試合でしたが、長く勝てていなかった鳥栖から勝点3を獲得できて本当にうれしく思います。今日の勢いを大切にし、残りのリーグ戦にしっかりと活かしていきたいと思います。


<バングーナガンデ佳史扶選手>


Q、5月以来の公式戦スタメン出場となりました。試合を振り返ってください。
A、あまり良い試合の入り方ができず、前半は攻撃をうまく組み立てることができませんでした。後半に入る前にチームとしてしっかりと修正できましたし、久しぶりのスタメン出場で、アシストでチームの勝利に貢献できたことはうれしく思いますが、守備面の強度や攻撃の細かいところの課題や修正すべきところが多くありました。来週もガンバ大阪戦が控えているのでしっかりと切り替えて臨みたいと思います。

Q、1点目のピンポイントクロス、2点目の起点となるクロス、特長を活かしたプレーで勝利に大きく貢献しました。
A、得意とする形を出すことができました。クラモフスキー監督には、トレーニングからあの位置にクロスを供給することを求められていました。今週のトレーニングから、佐藤由紀彦コーチと1点目のシーンのようなクロス練習を重ねてきました。“練習どおり”の形で力をうまく抜いて蹴り込むことができました。佐藤コーチに感謝しています。

Q、練習の成果が早速、試合で活きましたね。
A、佐藤コーチとは、蹴り方についてどのように踏み込むかなど一から見直しました。川崎フロンターレ戦後から佐藤コーチとじっくり話し合ってきたので、練習の成果を感じることができました。

Q、25周年を記念する特別な試合で、佳史扶選手や俵積田晃太選手などアカデミーから昇格した選手が活躍した試合になりました。
A、リーグ戦が今の順位で、ルヴァンカップも準々決勝で敗退してしまい、タイトル獲得のチャンスがほとんどなくなってしまい、目の前の試合に勝つこと、次に繋げることが必須だと思っています。僕ら若い選手たちが下から突き上げていくことが求められていますし、アカデミーからトップチームに昇格した選手たちがより力を発揮していきたいと思います。俵積田選手の決勝ゴールは本当にうれしかったです。

Q、次節もホームでの一戦となります。ここからの試合に向けた意気込みをあらためて教えてください。
A、チームとしても個人としても目の前の試合に100パーセントで向かうだけです。しっかりと切り替えて臨みたいですし、ガンバ大阪とは前回の対戦で負けていますので、東京の良いサッカーをみせて、勝利に繋げたいと思います。


<俵積田晃太選手>


Q、プロ初ゴールを決めました。得点シーンを振り返ってください。
A、自分自身、プロデビューから何試合目での得点なんだと思い、うれしい気持ちが半面、自分の実力不足を感じているのが半面です。クロスが上がってくるのを信じていたので、あのポジションをとっていて良かったです。

Q、得点後すぐにファン・サポーターの元に向かう姿が印象的でした。
A、ゴールパフォーマンスを決めていたわけではないですし、得点後は何も考えていなかったですが、気が付いたらファン・サポーターの元に向かっていました。アカデミー時代から応援してくださり、プロで結果が出ない期間も応援していただき支えてくださっていたファン・サポーターにようやくゴールという結果で恩返しできたので、勝手に足が向かったんだと思います。

Q、途中出場でしたが、得点シーン以外でも惜しいシーンを作るなど高いパフォーマンスを発揮されていましたね。
A、コンディションが良いのかどうかは分からないですが、まだ足りない部分が多くあることを感じた試合だったので、その足りない部分を分析して突き詰めて、継続的にチームを勝利に導けるように成長したいと思います。

Q、前節の川崎フロンターレ戦では途中出場でしたが、途中出場の難しさを感じたと話していました。本日はどのようなことを意識して試合に出場しましたか。
A、途中出場の難しさは変わりませんが、より自分のやるべきことに集中して、やることを意識してプレーした結果ゴールに繋がったので、どのような場面でもまずは自分のやるべきことを意識してプレーすることを継続していきたいです。

Q、ファン・サポーターにメッセージをお願いします。
A、苦しい時期もいつも応援していただき、支えてくださったファン・サポーターの方には感謝の気持ちでいっぱいですし、これからは勝利を届けるという恩返しをしたいと思っています。まずは次節、ガンバ大阪に勝って2連勝できるように頑張ります。