2024 CAMP INTERVIEW<br />
高宇洋選手×小柏剛選手 対談(前編)

INTERVIEW2024.2.02

2024 CAMP INTERVIEW
高宇洋選手×小柏剛選手 対談(前編)

向上心と野心を燃やす二人と青赤の出会いはどんな未来を生むのか──。すっかりチームにも馴染み、開幕に向けてアクセルを踏んでいく。ここから青赤で、新たな瞬間を刻んでいくことになる。これからどんな幕開けを見せるのか。誰よりも彼ら自身が新天地での希望に満ちていた。ずっと楽しそうに喋り続けるから、少し質問を差し込む程度でアッという間に予定の時間が過ぎてしまった。果たして二人は何を饒舌に語ったのか。


──加入からここまで振り返ってみていかがですか。
小柏剛 どうですか。
高宇洋 加入する前から持っていたイメージとだいたい同じだったかな。ボールを一緒に蹴っていても、個で強烈な選手がたくさんいると感じる。そういった意味ではイメージどおりでした。最初はそこに合わせていくことと、自分が今までアルビレックス新潟でやってきたことをどう融合させていくかを考えて、少なからず迷いながらやっていたところもありました。今はもうアジャストできていると思います。
小柏 僕は少し怪我があってチーム練習への合流が遅れたんですけど、色々な原因があってまだ完全には戻れていない。早く自分のことも知ってもらうためにも、周りを知るためにも、早く一緒に練習したいと思っています。練習を外から見ているけれど、中に入らないと分からないところもあるので、ヤン(高宇洋)みたいに具体的なイメージとの違いはちょっとまだ分からないですね。



──二人は同学年です。初めて会った時のことを覚えていますか。
 初めて会った時のことはあまり覚えていないんですけど、おそらく中学くらいから対戦はしていたので、その時かな。中学は大宮アルディージャU15にいたよね。
小柏 いたいた。初めては、いつだったのかな。
 やっぱり試合じゃない? 川崎フロンターレU-15と対戦して、「すごいフォワードがいるな」と思って、それが剛だった。
小柏 あなたもフォワードだったけど(笑)。
 ハハハハ。
小柏 僕は真面目にサッカーをやっていたと思うんですけど、なんかヘラヘラして人に話しかけてくるタイプの選手だった。
 ヘラヘラって(苦笑)。まあ、フォワードだったので。
小柏 いやいや、ポジションは関係ないでしょ(笑)。
 ちょっと強がって自分の世界に入ってないといけないじゃん。フォワードって。
小柏 僕は覚えている試合があるんだよね。ヤンにいきなり話しかけられた。おそらく川崎のトップチームの練習場かな? 天然芝グランドでの試合で話しかけてきたのを覚えていて。でも、なんでこんなに仲が良いのかは分からない(笑)。
 確かに言われてみればそう。一番仲が良いかも。
小柏 それで合ってる? 
 合ってる(笑)。



──会話の内容は覚えていますか。
 全然覚えていないです。いつからちゃんと話すようになったのかも覚えていないかも。
小柏 市船(市立船橋高校)の時は?
 高円宮杯プリンスリーグ プレミアEASTで対戦しているはずなんだけど、そこではそれほどしゃべっていなかったと思う。でも、大宮には結構仲の良い選手がいっぱいいたから、剛ともみんなで一緒にしゃべっていた記憶はあるんだけどな。
小柏 いつだっけ。オレが明治大学経由でプロに入った時は、もうガンバ大阪にはいなかったでしょ。
 いないね。
小柏 昨シーズン、新潟で久々に会って、ちょっとしゃべったよね。そう考えると、そんなに接点ないのに、なんか馴れ馴れしいな(苦笑)。
 いや、お互い様だろ(苦笑)。

──選手としてはお互いをどう見ていましたか。
 あんまり変わらないですよ。剛は小学校の時は群馬のチームだったんですけど……。
小柏 その時から知ってるの?
 奥抜侃志選手と2トップだったでしょ。その時からすごい二人がいるって話題になっていた。速くて、力強いドリブラーで、そこから大宮に行ったって聞いて。群馬から通っているらしいよって話していたのを覚えている。
小柏 そうそう通ってた。
 ずっとこのまんまですよ。身長もそうだし、顔も、プレースタイルも。
小柏 ヤンは全然違うよね。
 変わったね。フォワードだったから。
小柏 変わったよ。フォワードでフィジカル系じゃなかった?
 いやいや、違うって。剥がす系(苦笑)。
小柏 剥がす系だったか(苦笑)。でも、中学の時からフィジカルがしっかりしていたよね。なぜか周りからはヤンって呼ばれていて。当時は結構強烈だと思っていたのに、市船に行ってボランチをやっているって聞いて、絶対に潰す系の選手になっていると思っていたら、実際にそうなっていた(笑)。



──確かに、どうしてボランチにコンバートされたんですか。
 卒業後に(市船の)監督と話したら、当時のチーム事情もあったけど、僕のプレーを見た時からボランチにするって決めていたらしくて。
小柏 へー。
 プロをめざすんだったらフォワードには外国籍選手もたくさんいるし、剛みたいな抜きんでたスピードや身長もないし、生き残っていくためには自分の守備力やボール奪取、予測、それまで前線をやっていた経験である程度の技術はあったから。攻守両面に関われるポジションという意味でボランチという判断だったと聞きました。小学1年くらいでサッカーを始めて、ずっとフォワードだったんですけど、父(高升/元中国代表ミッドフィルダー)にも聞いたら「ボールを蹴り始めた時から、後ろのポジションになると思っていた」ってずっと言っていたらしいです。それで、本当になっちゃったから父もすごいですよね。遺伝子もあるのかな。それは年を重ねるごとに思います。
小柏 その運動量キャラはいつからなの?
 ボランチをやっていたら自然と。
小柏 市船は本当に嫌だった。原(輝綺)や金子(大毅)、杉岡(大暉)もいたでしょ。普通にプロになった選手がたくさんいた。なんで優勝できなかったの?
 得点が取れなかったからかな。プロになったのは全員ボランチから後ろの選手でしょ(苦笑)。




多士済々が集う新天地では、チームをまとめ上げるうえで不可欠なパイプ役としても期待される。二人は「いきなり入ってきてそれは難しい」と謙遜するが、年齢的にも経験値も打ってつけの存在に他ならない。すでにベテラン、若手とも積極的にコミュニケーションを図っている。気づいたらチームに欠かせない存在になっている可能性は大だ。

──話を東京に戻します。ピッチ外のチームの雰囲気はどうですか。
 年齢バランスの部分では、年上の選手と若手が多いと感じました。期限付き移籍から戻った選手も含めて、僕たちぐらいの中堅の層が少ないと思っていた。そこに僕らが入ったイメージです。あと、僕は川崎にいた時から、東京ってちょっと怖い印象がありました。
小柏 何となく分かるよ、言いたいことは。
 アカデミーからトップまで怖いイメージがあった。やっぱり分かるよね? それを(東)慶悟君に話したら、「みんなそう言うんだよね」って言っていた。でも、実際に入ってみたらみんないい人でした(笑)。
小柏 チームの雰囲気は明るいよね。変にグループがなくて、みんながみんなと話しているイメージ。それぞれの関係が深いかどうかはまだ分からないですけど。

──明るくて同学年と言えば、波多野豪という選手もいますが。
 マジでうるさいっす(苦笑)。でも、本当にいい雰囲気を作り出していると思いますよ。あいつがいなかったら静かになってしまう。まあ、ちょっと疲れている時とかは音楽を止めてくれって思いますけど(苦笑)。
小柏 あの音楽で、豪が近づいて来たなって分かる(笑)。
 結構遠くからでも分かるよね。
小柏 僕は豪のほうが出会いをちゃんと覚えています。中学1年のJリーグ選抜で一緒になって、その時から仲が良いです。



──チームをうまくまとめるうえで、中堅どころの選手は重要な役割を果たすことになるかと思います。
 まだ加入したばかりなので、急に世代をつなげることは難しいと思います。ただ、僕自身としてはボランチというポジション柄もあるので、周りとも合わせていきたいですし、ピッチ外でもコミュニケーションをとりたいので、色々な人と話をしようと思っています。でもまあ、年下からは加入二日目くらいでナメられていますね(笑)。そのくらいのほうが接しやすいし、チームに入りやすかったので、それはそれで良いかなと思っています。
小柏 僕も新加入でいきなりパイプ役になるのは難しいと思いますけど、大学時代も北海道コンサドーレ札幌でも、年齢に関係なく普通にしゃべっていたので、いつもどおりの感じで過ごして、自然とパイプ役みたいな存在になれれば良いなと思っています。

──学年は一つ上ですが、遠藤渓太選手も含めて同世代がこうして同じチームでプレーすることは楽しみですね。
 まさか東京で一緒になるとは思わなかったです。それぞれ関東圏の別々のチームで対戦していたのに、こうして同じチームになったのはすごいなと思います。
小柏 確かに。まさかこのメンバーと一緒のチームに……って不思議な気持ちです。でも、個人的には東京は大学時代にも練習参加させてもらって、憧れのチームでもあったので、違和感はないです。

──期待されるのはホットライン開通ですか。
 僕がボールを奪って、パスを出して、剛に決めてほしいですね。
小柏 でも、まだやってないからどんなものかも分からないでしょ(苦笑)。
 でも、本当に驚異的な選手なので。僕が新潟にいた時から「剛がいるかどうかで札幌の出来が違う」という分析もあったので。本当に素晴らしい選手だと思います。
小柏 急に褒めるやん(笑)。

──実際にプロで対戦したのは昨シーズンが初めてだったと思いますが、どんな分析をしていたんですか。
 怪我が多め……。
小柏 おい、それ映像じゃねぇだろ、絶対(苦笑)。
 新潟戦が復帰戦だったよね? 前半戦で対戦した時は復帰戦で、後半戦では怪我をしていたので、どっちもスカウティングの映像には出てこなかったよ(苦笑)。
小柏 ヤンのプレースタイルは市船のころから比べても、めっちゃうまくなったと思います。
 めっちゃ上からじゃん(苦笑)。
小柏 お前、うまくなったよ(笑)。
 でも、それはかなり言われます。新潟に行ってから本当に言われるようになった。
小柏 パスとかつなぐキャラじゃなかったよね。
 G大阪の時は走って、潰して、簡単につけてって感じでした。新潟に行ってからは、自分でもうまくなったと思いますし、第三者からもそうやって言われることが本当に増えました。
小柏 すごく変わったなって思いました。




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Text by 馬場康平(フリーライター)