周りに要求するということは、自分たちにはそれ以上のプレーが求められることを二人は分かっている。時には先頭に立って背中で引っ張り、時には一番後ろに回って尻を叩き、時には中心で全体に目を配る。どんな時でもチームを同じ方向に向かわせ、一体感を作り出すことが“最高の景色”につながることも理解している。誰が何と言おうと、この男たちは本気だ。自分を信じていくことで、勝利はついてくる。どうしてもリーグタイトルが欲しいモリゲと、何度でもあの喜びを味わいたいテルが覚悟を決めている。
──単刀直入に聞きます。お二人にとってリーグ優勝とは。
森重 思いはずっとあるよ。でも、それを実現するのが難しいから、こうやって悩みながらどんどんチャレンジしていくしかない。今まで獲れていないのは原因があるわけで、そこを掘り下げていく必要がある。今はピーターのもとで変わろうとしているところ。今日しゃべったことをチームとして積極的に取り組んでいくしかない。だって、最後は獲って終わりたいでしょ。それさえ獲れれば「サッカー人生に悔いなし」と言って終われる。そうなれば、もう満足です(笑)。
仲川 うーん、クラブが変わる上で絶対に必要なものがリーグタイトルですよね。それは僕自身が優勝して感じたことなので。昨シーズンは東京がリーグ優勝をできていない原因を探しながらやっていたけど、たぶんその答えはないと思う。地道に一歩一歩積み重ねていくことで優勝は見えてくるものなので、とにかく昨シーズンの順位は個人的にもめちゃくちゃ悔しい。何で勝てないんだろうとずっと考えながらプレーしていました。だから今シーズンは最初からピーターとやれるのが大きい。めざしているサッカーは結構難しくて、良くも悪くも修正しながらみんなで一つになって、ファミリーになって、一つひとつの問題点を解決しながら強くなっていく必要がある。そこが今の東京には一番必要だと感じる。そういう部分がハマってくれば本当に止められないチームになれると思う。モリくんが今シーズンで最後なのかは分からないけど、リーグタイトルを獲った時は死ぬほど嬉しいですからね(笑)。
森重 そういう最後になれば嬉しいし、悲しいね(笑)。
仲川 まあ、それは冗談として(笑)。ただ、そういった懸ける思いは僕にもある。今年で32歳になるし、モリくんはもっと年上。サッカー人生が短いなかでどれだけタイトルを獲れるかはすごく大事だし、自分としても三つ目のリーグタイトルを獲りたいと思っているから。でも、一人だけ頑張っても意味がない。みんなでチームとして目標に向かっていければ、最高の景色が見られると思います。
森重 テルも言っていたけど、本当に一体感が大事。それはチームだけでなく、クラブスタッフやファン・サポーターの人たちも含めて。それが全部かみ合わないと、そう簡単に獲れるものではないと思っているので。みんなの熱量が一つにまとまった時に大きな力になることも知っているので、一体感は大事にしていきたいですね。
──めざすはリーグ優勝。その上で2024シーズンはどんなシーズンにしたいですか。
森重 もちろんリーグタイトルは獲りたいけど、個人的にはもう一度、年齢の枠を越えたチャレンジをしたいと思っている。常にチームの力になれるように個人の準備をもっともっとやっていきたいですね。
仲川 前線の選手が結果と数字を出していければ、自ずと優勝に近づくと思うんです。ゴールとアシストは2ケタいきたいし、それがチームの力になると思っている。モリくんからオッケーをいただいたので、前線は自由にやらせてもらいます(笑)。
森重 そこは楽しく、好きなようにやってください(笑)。