PLAYERS FILE 2024<br />
HENRIQUE TREVISAN

COLUMN2024.2.17

PLAYERS FILE 2024
HENRIQUE TREVISAN

“世界9位”のセンターバック
チームのためにさらなる成長を誓う
DF 44 エンリケ トレヴィザン



2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは──。大怪我から完全復活のシーズンとなったエンリケ トレヴィザン。圧倒的な空中戦の強さと指揮官が志向するハイラインハイプレススタイルへの合致で、チームに不可欠な存在となっている。




今年も沖縄・国頭キャンプ中の1月20日に、チームメートから27歳の誕生日を祝われた。バースデーケーキを手に、「3回目の国頭キャンプで、またみんなに祝ってもらえてうれしかったよ」と喜びを口にした。

そんなナイスガイは昨シーズン、二度にわたる左肩関節脱臼からの復活を遂げた。

「怪我をして苦しい思いもしたよ。自分のキャリアでも初めての大きな怪我だったからね。でもね、家族の支えもあったし、何としてでもパワーアップしてここに帰ってきたかったんだ」

その言葉どおり、リーグ前半戦こそ9試合の出場にとどまったが、ピーター クラモフスキー監督の就任以降はハイラインハイプレス戦術の好戦的なスタイルにいち早くフィット。その高い身体能力で欠かせない存在となった。

その結果、国際サッカー連盟(FIFA)の公認調査機関である国際スポーツ研究センター(CIES)が発表した、世界のセンターバックにおける空中戦の勝率で9位にランクイン。名だたる各国代表選手たちが名を連ねるリストに入り、「僕もその記事を読んだよ」と喜んだ。

「空中戦は自分の持ち味でもあるからね。そこに自分の名前があってうれしかった。空中戦の強さを評価されたけど、空中戦だけじゃなくて他のことでも取り上げてもらえるように頑張るよ」

そして今シーズン、「僕にはまだまだ伸びしろがある」と言い、さらなるレベルアップを誓う。

「個人的には自分のプレーをもっと磨かなければいけないと思っているんだ。それはコミュニケーションだったり、ビルドアップにおけるパスであったり、本当に一つひとつのこと。今シーズンはゼロからのスタートだと思っている。コーチングスタッフも変わったし、個人的なレベルアップが必要になると思っている」

誕生日だけじゃない。共に笑い、共に喜ぶ。サッカーの魅力はみんなと一緒になって楽しむことだと知っている。

「ゴールを決めた選手が目立つのは当たり前のことだけど、だからといって(ディフェンダーの自分が何か)思うことなんてないよ。だって、サッカーはコレクティブなスポーツだから。みんなで得点して勝利を勝ち取るんだ。いつだってそうなんだ。勝利で自信も湧いてくるし、みんなと喜びも味わえるんだから最高だよ」

勝利の瞬間、ど派手なガッツポーズなんてしない。でも、周りで喜ぶ仲間たちを見て、いつもにっこりとほほ笑んでいる。心優しきブラジル人はその瞬間を味わうために、今シーズンも泥臭くチームを支えていく。



Text by 馬場康平(フリーライター)