PLAYERS FILE 2024<br />
KIMOTO YASUKI

COLUMN2024.2.17

PLAYERS FILE 2024
KIMOTO YASUKI

悩み続けた時期からの卒業
冷静と情熱の間で頂点をめざす
DF 4 木本恭生



2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは──。昨シーズンの悔しさと悩みを経て新たな視界を手に入れた木本恭生。自身の置かれた場所を見つめつつ、ポジション奪回とタイトル獲得へ熱く闘志を燃やす。冷静と情熱の間で彼が見せるパフォーマンスは必見だ。




寡黙な男の口が滑らかだ。悩む時間が多かった昨シーズンから打って変わり、すっきりとした表情を浮かべて言葉が弾む。木本恭生は落ち着きと血気の両方を携え、2024シーズンの開幕を迎えようとしている。

加入1シーズン目となった2022シーズンは、開幕からしっかりとレギュラーの座をつかみ、シーズンを通じてセンターバックの座を守り抜いた。ところが、さらなる飛躍を期待された昨シーズン、開幕スタメンをつかむなど前半戦はピッチに立ち続けたが、後半戦に入って立場が急変。ピーター クラモフスキー監督が求めるスタイルに適応が遅れてポジションを失い、一人もがく時間が続いた。

だが、それでも周りに理由や原因を求めることなく、自分自身と向き合うことで解決策を導き出し、シーズン終盤には大きく脱皮。新たな視界を手に入れた。

「昨シーズンは何をやってもうまくいかなくて自分から崩れてしまったところがあった。でも、最後のほうは開き直ったというか、『うまくいかなくても仕方ない』の気持ちになったことが、逆に良い方向に進んだ。そうやって取り組んだことで自分でも顔つきは変わったと思うし、気持ちとしては本当にすっきりしている。とにかく今シーズンは思い切りやりたい。本当にメンタル面で自分との勝負だと思う」

そうやってひと皮むけた男の言葉には自然と熱がこもる。

「ベテランの域に入ってきて、良いシーズンもあれば悪いシーズンもあるということが理解できた。試合に出ている時も出ていない時も、何よりチームが勝つために最大限やりたいし、自分たちの年代がもっと自覚を持ってやっていかなければと思っている。とにかく東京で勝ちたい、タイトルを獲りたいと強く思っているので、そこに焦点を当ててやっていきたい」

強さと高さを兼ね備え、正確なフィードと鋭い縦パスを武器にビルドアップの起点を担える。センターバックとして持っている能力は間違いない。レギュラー奪取、そして守備の要へ成り上がるため、ヤスが感情をむき出しに戦う。



Text by 須賀大輔(エル・ゴラッソ)