“お客さん”の立場はもう卒業!
小平での勝負に勝つ覚悟を
MF 38 安斎颯馬
2024シーズンに挑む全青赤戦士を紹介していくスペシャルコンテンツ。果たして開幕を控えた選手たちは何を考え、どんな覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。クラブ愛、タイトルへの渇望、活躍への想い、そして果たすべき役割を胸に秘めた選手たちのストーリーとは──。2025シーズンからの加入が内定していた安斎颯馬が、新シーズン開幕前にプロ契約を締結。松木玖生と青森山田高校でチームメイトだった彼が、正式に青赤軍団の一員となった。2023シーズンに東京で受けた刺激に促された大きな決断。サイドハーフに加えて、サイドバックでの起用も想定される新シーズン、覚悟のプロ入りを決めた安斎はどんな輝きを放つのだろうか。
予定よりも早く正式に青赤の一員となった。2024シーズンもJFA・Jリーグ特別指定選手として早稲田大学ア式蹴球部とFC東京を掛け持ちするはずだった安斎颯馬が、新シーズン開幕前に加入を前倒してプロ契約。どちらの成長幅が大きいかを悩んだ末、小平での日々を選択した。
「大学もサッカー漬けはサッカー漬けなんです。でも昨シーズン、東京で4試合に出させてもらって、ファン・サポーターが入っていて、選手一人ひとりに殺気にも似た雰囲気があって、プロのスタジアムでしか感じられない緊張感があった。1試合だけでも忘れられないものです。そこでの成長をすごく感じましたし、あの舞台に立ちたいという想いが強くなった。あそこに立つためには、たまに1週間だけ練習参加するのではなく、しっかり小平で積み上げて、ポジションを勝ち取り、ピッチに立つ権利を勝ち取りたいという想いが強かった」
昨シーズンのYBCルヴァンカップでは、味の素スタジアムの強烈な雰囲気を2度味わった。明治安田生命J1リーグの終盤戦では、札幌ドームとレモンガススタジアム平塚で“敵地”も体験した。そんななか、湘南ベルマーレとのリーグ最終節で起用されたメンバー、彼らが見せた戦う姿勢は、2024シーズンに臨むチームにも受け継がれている印象がある。もちろん安斎もその一人だ。
「昨シーズンもピーターのサッカーを理解しているつもりでしたし、キャンプを通じてあらためて落とし込まれています。特にサイドはインテンシティが求められるところですけど、そこは自分の特長でもある」
“ピーター流”を知る貴重な人材でもある。だが、一年目は一年目。「今でも全然メンバーにも入れない立ち位置」と自らに厳しく、そこに妥協はない。今シーズンはサイドハーフとサイドバックの両方でプレーできる柔軟性を武器に、周囲を活かしながらフィニッシュワークに絡むプレーに成長の道筋を見出している。
プロ契約を結んだばかりの彼がポジションを競っていく相手は、実績と実力を兼備した強烈なライバルたち。だが、覚悟と自信がなければ前倒してプロ契約をするわけがない。“お客さん”の立場を捨てた安斎が、眼光鋭くレギュラー奪取とリーグ制覇を狙っていく。
「結果が出せなければ、スタメン組とは(序列が)ひっくり返らない。練習試合でもゴールにこだわっていきたい。今回の結論は本当に覚悟を持って出したので、まずは試合に絡む。その上でタイトルを狙うチームの一員として勝利に貢献したい」
Text by 後藤 勝(フリーランスライター)