3/2 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.3.02

3/2 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

いよいよ味の素スタジアムに青赤軍団が戻ってきた。ピータートーキョーは前節、セレッソ大阪との開幕戦で2度のビハインドを追いつく粘り強さを見せ、2-2で勝点1を手にした。そしてホーム開幕戦で対戦するのは、浦和レッズに完成度の高さを見せて白星スタートを切ったサンフレッチェ広島。シーズン初勝利をめざすゲームは、15:03にキックオフを迎えた。

スターティングイレブンはセレッソ大阪戦から二人が変更。センターバックに森重真人選手が入ってエンリケ トレヴィザン選手とコンビを組み、新加入の遠藤渓太選手が左ウイングで起用されて青赤デビュー。J1リーグ優勝の味を知る仲川輝人選手と左右のアタッカーに並び立った。

1stHALF—守勢も反撃姿勢を見せてスコアレスで後半へ

立ち上がりから相手の激しいプレスを警戒して、深い位置でボールを奪ってもリスクをかけずに前線へ送り込む東京。最初のチャンスは前半9分、左サイドから遠藤選手がピッチを横切るようなドリブルで中央へ運んで右サイドへ展開すると、オーバーラップした長友佑都選手のクロスに、ファーサイドで待ち構えたバングーナガンデ佳史扶選手が左足でダイレクトボレーを放つ。これは惜しくもゴールの上へ外れてしまったが、右サイドバックのクロスに左サイドバックが合わせるという積極的な攻撃を見せていく。

前半19分、相手にカウンターで右サイドを破られ、カットインから加藤選手にシュートを打たれるが、これは相手選手に当たって枠を外れて難を逃れる。

何とかペースを握りたい東京だが、前半23分に再びピンチを迎える。相手の大きな左クロスにファーサイドで強烈なダイレクトボレーを許すが、ここで波多野豪選手が鋭い反応でストップ。さらにこぼれ球を拾われてシュートされるが、今度は佳史扶選手が身体を張ったブロックでゴールを守り切る。

前半34分には左サイドから素早いアタッキングでチャンスを作る。徐々に押し込む展開から原川力選手が鋭い出足でインターセプト。ここからディエゴ オリヴェイラ選手がポストに入って左サイドへつなぐと、遠藤選手が縦へ仕掛けながらペナルティエリア角付近へパス。ここで荒木遼太郎選手が相手を背負った状態からターンして右足で狙うが、ボールは惜しくもバーの上へ。攻撃陣がそれぞれの持ち味を発揮しながらゴールに迫った。

さらに前半38分、右サイドの深い位置から長友選手が折り返すと、中央でディエゴ選手、松木玖生選手が狙うもシュートには至らず。ゴール脇にこぼれたボールをディエゴ選手が中央へ戻すが、これは相手にクリアされてしまい、ゴールまであと一歩のところまで迫りながら押し込むことができなかった。

前半アディショナルタイムは2分。前線から積極的に寄せてくる広島に対してペナルティエリア内で懸命に守るシーンもありながら、攻守で随所に個々の武器を見せて奮闘。スコアレスで前半を折り返した。

2ndHALF—失点直後に“タロウ弾”で追い付く

メンバー変更なく臨んだ後半5分にカウンターからチャンスを生み出す。自陣深くでボールを奪った東京は、右サイドからつないで松木選手が中央へ。これをディエゴ選手が巧みにターンして前を向き、そのままドリブルでペナルティエリアまで持ち込んでいく。だが、相手をかわしたところで芝に足をとられてしまい、シュートを放つには至らなかった。

後半10分に左サイドのスローインから佳史扶選手が相手選手を股抜きでかわして仕掛けると、利き足と逆の右足で強烈なミドルシュート。惜しくもゴール上に外れたが、積極的な姿勢が光るシーンとなった。

うまく耐えながらチャンスを窺っていた東京。後半19分には相手の強烈なロングシュートを波多野選手がファインセーブでコーナーキックに逃れたが、その前のプレーに関してVARが判定をサポート。オンフィールドレビューの結果、ディエゴ選手のハンドでペナルティキックの判定に。これを決められ、広島に先制点を許してしまう。

1点を追いかける東京は、ここでディエゴ選手、遠藤選手に代えて小泉慶選手とジャジャ シルバ選手を投入。反撃を期す選手交代が功を奏し、直後の後半26分に同点弾が生まれる。

右サイドでキープした仲川選手の縦パスに長友選手が全速力でオーバーラップして折り返す。これをニアサイドで受けた荒木選手が相手ディフェンダーに囲まれながら足元の技術で巧みにマークをはがし、力強く右足を振り抜いてニアサイドを撃ち抜き、すぐさま試合をタイスコアに戻した。荒木選手は開幕戦での2ゴールに続いて2試合連続のゴール。多くのファン・サポーターに後押しされた味スタデビュー戦で見事に結果を出してみせた。

バランスを取りながら勝ち越しゴールを狙う東京は後半37分、仲川選手と原川選手に代えて俵積田晃太選手、東慶悟選手をピッチへ送り込む。すると交代選手がいきなり決定的なチャンスを生み出す。

左サイドでボールを受けた俵積田選手が縦へ仕掛けて敵陣深くまで進入すると、そこで相手選手に倒されてペナルティキックを獲得。しかし、これはVARのサポートにより、ペナルティエリア外でのファウルと判定され、フリーキックでのリスタートに変更となる。荒木選手のキックは相手のブロックに阻まれてゴールネットを揺らすことはできなかった。

6分間のアディショナルタイムも勝利をめざして激しい攻防が繰り広げられた。俵積田選手が長い距離のドリブル突破でゴールに迫れば、波多野選手は相手のクロスボールを正確なステップとキャッチでがっちりセーブ。そして試合終了間際には、ジャジャ選手の縦パスに長友選手が抜け出し、相手ゴールキーパーとディフェンダーの間に鋭いグラウンダーのクロスを供給する。ここに荒木選手と俵積田選手が滑り込んだが、わずかに届かなかった。

試合はこのまま1-1でタイムアップ。開幕戦に続いてビハインドを背負う展開となったが、スタジアムに詰めかけた32,274人のファン・サポーターに後押しされ、チーム一丸となって勝点1をつかみ取り、開幕から2試合連続のドローという結果になった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF長友佑都/森重真人/エンリケ トレヴィザン/バングーナガンデ佳史扶
MF松木玖生/原川力(後半37分:東慶悟)/荒木遼太郎
FWディエゴオリヴェイラ(後半25分:小泉慶)/遠藤渓太(後半25分:ジャジャ シルバ)/仲川輝人(後半37分:俵積田晃太)

SUBS
GK野澤大志ブランドン
DF木本恭生/白井康介

GOAL
後半26分:荒木遼太郎

<サンフレッチェ広島>
STARTING Ⅺ
GK大迫敬介
DF塩谷司/荒木隼人/佐々木翔
MF中野就斗/川村拓夢/東俊希/満田誠
FWピエロス ソティリウ/加藤陸次樹/大橋祐紀

SUBS
GK川浪吾郎
DF山﨑大地
MF松本泰志/志知孝明/エゼキエウ/野津田岳人
FW井上愛簾

GOAL
後半24分:大橋祐紀


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、強度の高いゲームでした。両チームとも持っているものを全て出したエンターテインメント性の高い試合だったと思います。自分たちが持っている良い要素も出せましたし、今作っているものが出せたました。そのなかで、自分たちの改善点を見ながらやっていかなければいけません。そして、我々のフットボールを作っていけるように継続していくことが大事だと思っています。データで確認しても、非常に強度の高い試合でした。勝利をめざして選手たちが全てを出し切って戦ってくました。後半は非常に強度を高くして戦えて、決勝点を奪うために最後まで戦ったと思います。最後まで選手たちの背中を押し続けてくれた、ファン・サポーターのみなさんに感謝したいです。

Q、1点を取られたあとに選手を交代し、松木玖生選手と荒木遼太郎選手を前のポジションに上げました。あの交代はあらかじめ準備していたのでしょうか。
A、交代プランの一つとして考えていたものです。セットプレーでペナルティキック与えて失点をしたのは残念でしたが、その失点をする前からプランとして使おうと思っていました。サンフレッチェ広島を相手に、我々のプレーをしていくなかで、効果的な交代を行いました。選手たちは失点した後も良い反応をしてくれましたし、自分たちのメンタリティや特長、キャラクターをしっかりと出して戦ってくれました。同点にするために必死に自分たちのプレーを出し切り、決勝点を奪うために戦ってくれました。

Q、交代後、全体のスピードが上がり、アグレッシブになった印象を受けました。交代後のメンバーで前半から戦うというプランはありますか。
A、オプションの一つとしてあります。それから、後半立ち上がりから内容的に難しいものがありましたが、最初の交代で良い変化を加えることができ、広島に対してそれまでとは違う攻撃を仕掛けることができました。選手たちが非常に良くやってくれました。

Q、カウンターが多く、最終ラインから中盤へのビルドアップができていなかったように感じました。
A、自分たちがどういったフットボールを作っていくかということを理解しながらやっていくことが大事です。それは、自分たちがファン・サポーターのみなさんに誇りに思ってもらえる、そしてエンターテインメント性の高いものをやっていくことです。試合を分析すると、自分たちが後ろからつないで、広島が嫌がることをできている部分もありました。

そのなかでポジティブな部分もあり、もう少し自分たちが試合をコントロールしながら進めることができる部分があったと思います。それによりコンパクトになっていたので、自分たちが使えるスペースもありました。そういったものを攻撃のなかで積み上げていくことが大事だと思っています。選手たちも毎日全てを出し切って、良い選手、良いチームになろうとしてくれています。自分たちのパフォーマンスを保ちながら改善していくこと、ポジティブな部分を自分たちに付け加えていけるように、そして自分たちが夢見たチームになれるようにしていきたいと思っています。それを、東京を愛する全てのファン・サポーターのもとで達成していきたいです。


[選手インタビュー]
<荒木遼太郎選手>


Q、本日の試合を振り返ってください。
A、前節も一緒で先に失点してしまい、流れ的にも厳しい試合でしたが、なんとか引き分けることができたことを前向きに捉えたいです。戦い方としては、もう少しマイボールの時間を増やしていきたいです。試合中に選手同士で話し合って改善できたらいいなと思っています。

Q、得点シーンを振り返ってください。
A、背負っていたのも分かっていたので、かわし切れなくても枠に飛ばせば入るかなと思っていたので、イメージでシュートを打ちました。流れを変えるには得点をとるしかないと思っていたので、あの時間帯に決めることができて良かったです。

Q、本日はホーム開幕戦でした。味の素スタジアムでのプレーを楽しみにしていたと思います。
A、やはりファン・サポーターの声援が非常に力になりました。きつい時間も多くありましたが、その声援に支えられたと思っています。

Q、この勝点1を3にしていくために、チームとしてどのように積み上げていく必要があると思いますか。
A、まずは、失点をしない守備が必要になると思います。そのうえで、チーム全体の意識の問題でもあると思うのですが、一人ひとりがもっと顔出す意識を持つべきだと思います。

Q、次節に向けて意気込みをお願いいたします。
A、次こそは自分のゴールで勝点3を取れるようにしていきたいです。早く勝利してファン・サポーターと一緒に喜びたいです。


<遠藤渓太選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、何分に交代しても良いという気持ちでガムシャラにプレーしました。後半はカウンターの応酬になってしまいましたが、もう少し自分たちで試合をコントロールしたかったです。

Q、殴り合いのような試合展開で、遠藤渓太選手のポジションで意識したことは何ですか。
A、自分のところで溜めを作ろうと思っていました。カウンターの時は優位性をもって味方を使い、逆サイドからのクロスに入っていくことを意識していました。

Q、前節はコンディションを考慮して出場を回避して、試合を観たうえで今日の試合に挑んだと思います。チームを外から見て感じた部分はありますか。
A、全体的にもっとボールを保持して、試合を動かしたいと思っていました。あとは失点した後に、すぐに1点を取り返すことができたのはチームとして良いことなので続けていきたいです。

Q、良い流れもあったなかで、逆転とはいきませんでしたが、今のチーム状況から次の試合に勝つためにどのように改善していく必要がありますか。
A、今日の試合も最後に惜しいところまでいけたので、やるべきことをやれば結果は付いてくると思います。細かいところをサボらずに徹底して取り組んでいければと思います。


<森重真人選手>


Q、試合の振り返りをお願いします。
A、全体的に押し込まれる時間が長くなってしまいましたが、最低限の失点で抑えることができたからこそ、勝点1を得ることができたと思います。

Q、最終ラインからサンフレッチェ広島の攻撃や強度の高いプレーはどのように見えていましたか。
A、前に前に、勢い良く攻守においてアグレッシブに来る戦い方は脅威でした。途中からうまく修正して対応できたシーンもありました。その点については良かったと思います。

Q、開幕前のキャンプでは練習試合で対戦をしました。
A、練習試合と公式戦とでは全く異なります。スキッベ監督が就任してから、アグレッシブな戦い方で、相手としてはとても戦いづらいです。前半は押し込まれるシーンもありましたが、失点をせずに後半に折り返すことができたことが試合全体を振り返っても良かった点でした。

Q、失点後、悪い雰囲気が漂う前に同点に追いつきました。ここから2点目、3点目と得点を重ねるために重要なことを教えてください。
A、チャンスを作ることはできていました。あとは、最後の仕上げの部分だと思います。フィニッシュの精度やクオリティをチームとして求めていきたいです。劣勢な試合展開でも、少ないチャンスをものにし、勝利に繋げていきたいです。

Q、今シーズン初スタメンのピッチ上で昨シーズンとどのような違いや変化を感じましたか。
A、全員がチームのために攻守においてハードワークする姿勢を感じましたし、それが少しもできていないと試合に絡むことができない選手層の厚さも出てきています。荒木選手や途中から出場したウイングの選手たちをはじめ、攻撃陣のクオリティが高くなってきている印象で、頼もしく感じています。