<前節・セレッソ大阪戦のレビュー>
アウェイ・大阪の地からの船出となったピータートーキョーの2024シーズン。お互いにプレー強度の高い展開が続くゲームで輝いたのは、覚悟の移籍で青赤を新天地とした『71番』だった。
1点のビハインドで迎えた34分、松木玖生選手が放ったブレ球ミドルに鋭く反応。相手ディフェンダーの間を抜け出して右足アウトサイドでコースを変えてネットを揺らすと、両手を広げて歓喜のポーズ。ピーター クラモフスキー監督のスタメン起用に応え、東京デビュー戦でチームのシーズン初ゴールをたたき込んだ。
さらに75分、再び1点を追いかける展開から彼の決定力が東京に同点弾をもたらす。左サイドを豪快に突破したジャジャ シルバ選手が中央へ折り返し。そこに後方から走り込んで鮮やかにゴールへたたき込んだのだ。
飛び跳ねながらゴール裏のファン・サポーターに向かって両手を広げると、満面の笑みで左胸のエンブレムを力強く叩き、強いガッツポーズで喜びをアピール。「ずっと試合に出たかった。出たらやれる自信は本当にあった」という強い想いがゴールパフォーマンスに溢れ、「溜まっていたものが出た」という魂の咆哮が、ヨドコウ桜スタジアムにこだました。
「東京のファン・サポーターにようやく受け入れてもらえるのかなと思いました。僕を信じて取ってくれた東京、使ってくれたピーター監督に感謝して、もっともっと結果を残していきたい」
秘めたるポテンシャルの高さは言うまでもない。前線からの果敢なプレッシングでチームに貢献し、勝利への執念を燃やし続けている。「こうやって結果で残せて良かった。次も結果で応えたい。今日は勝点3を取れなかったけど、次は自分のゴールで勝ちをもたらしたい」とホーム開幕戦に想いを寄せる。
まさに一発回答の開幕戦。青赤のユニフォームを身にまとい、自身の進化と真価を見せつけるシーズンがスタートした。
<試合プレビュー>
就任2シーズン目を迎えるピーター クラモフスキー監督のもと、新たな船出となったJ1リーグ開幕戦は、セレッソ大阪に2-2で引き分けた。常に先行を許す苦しい展開となったが、新加入のMF荒木遼太郎選手が2得点を挙げ、アウェイで勝点1を獲得。センセーショナルなデビューを飾った荒木選手は「試合に出ればやれる自信はあった。それを信じて獲得してくれた東京と、起用してくれたピーター監督に感謝したい。もっともっと結果を残していきたい」と意気込みを語った。ここ2シーズンは満足な出場機会を得られず、苦しい時間を過ごしてきただけに、ゴール後の派手なセレブレーションについては「溜まっていたものが出たのかな」と笑顔を見せた。
期待の新戦力は荒木選手だけではない。開幕戦で出場機会がなかった小柏剛選手や高宇洋選手、そして遠藤渓太選手もJ1リーグでの実績は十分。今節は前評判の高いサンフレッチェ広島との対戦だが、遠藤選手は「どこが相手でも関係ない。ホームですから、僕たちが受けに回る必要はない。100パーセントの準備はできている」と力強く語った。2024シーズンのホーム開幕戦。東京は今シーズン最初の『You'll Never Walk Alone』を味スタに響き渡らせる。
今節のマッチデープログラムはこちら
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、セレッソ大阪戦の振り返りをお願いします。
A、試合のなかで、成長してきた部分も表現できていました。セレッソ大阪戦で表現できていたプレーを継続していくことが重要です。選手たちはタフなアウェイでのJ1リーグ開幕戦で、これまで積み上げてきたものを出し切ろうとしてくれました。献身性や強いメンタルをもって戦う姿勢がありました。そして、セレッソ大阪戦では多くの学びもありました。例えば、どのようにゲームをコントロールすべきか、どのような攻撃が相手にとって脅威になるのか。2得点を奪えたことは今後につながる良い兆候です。守備については、セットプレーから失点をしてしまいました。試合のなかで起こってしまったミスや失点から学んでいくことが大事です。守備の決まりごと、取り組み続けていることは良くなりつつあります。90分間、チームとしてめざす戦い方を出し切ることができるように積み上げていくだけです。
積み上げてきたものをサンフレッチェ広島戦で出していきたいです。我々のフットボールを作り上げ、前節からどれくらいパフォーマンスが改善したのか、今シーズンの東京がどのようなサッカーをめざすのかをお見せしたいと思います。
Q、キャンプ期間中には広島との練習試合もありました。どのような印象を持っていますか。
A、数週間後であろうと6か月後であろうと、対戦相手としてお互いが情報を持ち合わせています。相手をリスペクトしていますし、素晴らしい戦いになると思っています。ファン・サポーターのみなさんがワクワクする戦いをみせること、感動する試合を届けることが重要です。我々がめざすフットボールをここから一歩一歩作り上げることを意識しています。広島は前線からプレッシャーをかけてくることが予想されますが、まずはそのような相手に恐れるのではなく、良い機会と捉えることが重要です。勇敢に賢く戦い、相手のウイークポイントを突いていきたいと思います。エキサイティングかつ多くの得点が生まれる試合にしたいです。
Q、今シーズンは各ポジションの選手層が厚くなった印象です。
A、全員が良い競争をしています。試合や練習でどのようなパフォーマンスを出せているかが一番のポイントで、個々の良いプレーがチームとしてのパフォーマンスに繋がります。公式戦に出場できなかった選手たちが練習試合でどのようなプレーを表現できたのか、どれくらいの疲労度があったのかを総合的に見て判断しています。多くの選手を選びたいですし、11人以上の選手をピッチに送り出したいですが、フットボールはそうはいきません(笑)。毎日の意識や姿勢を見つつ、どのように取り組み続けているのかを見ています。シーズン中は全選手の力が必要です。選手それぞれにチャンスが巡ってきた時に、持っているものを発揮してくれると信じています。全38試合のリーグ戦と、ルヴァンカップ、天皇杯があります。試合数を考慮しても、総力が求められると思います。
[選手インタビュー]
<松木玖生選手>
Q、開幕戦は2-2という結果でした。内容、結果をどのように受け止めていますか。
A、試合内容は、自分たちが思い描くようなものではありませんでしたが、アウェイで開幕戦という難しい試合で、最低限の勝点1を持って帰ることができてまずは良かったと思っています。まだまだ修正できるところはあると思っています。
Q、新加入の荒木遼太郎選手が早速2ゴールを奪いました。荒木選手に対してどのようなプレーを期待していますか。
A、荒木選手の魅力はゴール前での質の高いプレーですし、得点に絡むプレーや、アシスト、キックの種類も豊富な選手です。守備の強度も高いですし、セレッソ大阪戦は攻守においてチームを支えてくれました。僕自身も常に荒木選手の動きを見ながら良さを引き出していきたいと思います。
Q、キャプテンに就任したことで、これまでの2シーズンと比べ、どのような気持ちの変化がありますか。
A、よりチームをうまくまとめないといけないなと思っています。だからと言って、何かを変えるわけではなく、日頃の練習から良いプレーを心がけて、仲間から認められるような行動や言動で示していきたいです。
Q、ホーム開幕戦を心待ちにしているファン・サポーターのみなさんに向けた意気込みをお願いします。
A、セレッソ大阪との開幕戦は、アウェイゲームと思えないほどの声量で応援してくれて、実際にそれがピッチでプレーする選手たちの力になりました。ホームではより大きな声援を届けてもらえると思っていますし、相手が戦いづらい雰囲気を一緒に作り出してほしいです。僕ら選手もみなさんの熱量に応えるような試合を見せます。
<荒木遼太郎選手>
Q、開幕戦の振り返りをお願いします。
A、試合展開としては、終始厳しい時間が続いてしまいました。守備の時間が長くなってしまったので、ゲーム運びは改善するべきだと思います。まずは、ボールを保持する時間を長くしていきたいです。そのためには、一人ひとりがボールを受ける立ち位置を修正する必要があります。キャンプではできていた部分ですし、開幕戦特有の硬さや独特な雰囲気がありました。そこを修正できれば、さらに良くなると思います。
Q、2ゴールの大活躍でした。どのような価値をもたらしそうですか。
A、リーグ開幕戦で2得点できたことは今後に良い形で繋がると思いますし、自信がつきました。ここから、もっとどん欲に前を向いて自信を深めていきたいと思います。
Q、目に見える結果を開幕戦で残すことができました。周囲からの信頼をさらに厚くなりましたか。
A、そのように感じる部分もあります。「試合に出場したら、やれる自信がある」と言っていたので、ゴールで示すことができて良かったです。得点後に感情が溢れ出ました。
Q、サンフレッチェ広島の印象を教えてください。
A、開幕前のキャンプでは広島と練習試合を行いましたが、メンバーも違いますし、僕自身もセレッソ大阪戦であらためて体感しましたが、練習試合と公式戦では全く違います。試合中に相手の隙を見逃さず、うまく対応して試合を進めていきたいですし、セレッソ大阪との試合で出た課題を修正することが一番大事だと思います。
Q、ホーム開幕戦に向けて、いまの心境を教えてください。
A、どちらかと言うと、ホームでプレーできることをずっと楽しみにしていました。ファン・サポーターのみなさんの前でゴールを決めて、ホームで勝点3を取りたいと思います。味の素スタジアムで戦えることを楽しみにしています。
<波多野豪選手>
Q、セレッソ大阪との開幕戦、波多野選手自身のパフォーマンスの振り返りをお願いします。
A、勝つことができず、悔しさが残ります。引き分けという最低限の結果をチームとして出すことはできましたが、2失点しているので、まだまだやらないといけないことが多くあります。チームとしてベースになる戦い方や、球際で迫力をもって臨みたいですし、セカンドボールを回収する回数も増やすことができれば、さらに良い試合ができたと思います。
Q、チームとして二度追い付くなど、ポジティブな点もあったと思います。
A、あの時間帯の負けそうな流れで追い付くことができたのは、これから良い未来があるのかなと思いますし、複数得点を奪えたので、あとはディフェンスの選手含め、堅く中を閉めながら守ることができれば問題ないと思います。一番後ろの僕からどんどん声を出していきたいです。
Q、今節の対戦相手、サンフレッチェ広島のイメージを教えてください。
A、強度の高いハードワークをしてくるチームです。ディフェンスライン含め、守備が堅い印象があります。多くの得点が動くようなゲームにはならないと思うので、僕自身、集中を切らすことなく90分戦いたいと思います。
Q、2024シーズンのホーム開幕戦です。
A、昨シーズンはホームでたくさん勝てていたと聞いています。その流れを今シーズンも継続して多くの勝利をファン・サポーターのみなさんに届けたいです。試合に勝って、気持ち良くシャーをやりたいと思います。