東慶悟という男

COLUMN2024.3.22

東慶悟という男

アビスパ福岡戦前日練習のこと。

東慶悟選手とバングーナガンデ佳史扶選手が接触して、東選手がその場に座り込んでしまった。大事には至らなかったが、足の痛みは引いていない様子だった。

その後、福岡戦の帯同メンバーが発表される。佳史扶選手が心配そうにメンバーリストを見て、ホッとした声で「良かった、ケイゴさんメンバーに入った」と呟いた。

心優しい佳史扶選手だ。試合前日に怪我をさせてしまった選手がメンバー入りを逃してしまったら気が気じゃなかっただろう。

そんな佳史扶選手にスタッフが、「福岡戦、ゴールを決めてケイゴのところに喜びに行こう」と話すと、「やります!」と力強く答えてくれた。

そして佳史扶選手が東選手を探し、謝りに駆け寄った。不安そうな顔をしている佳史扶選手に東選手は、「お前は全部力が入ってるんだよ。緩急緩急!」と笑顔でアドバイスを送り、ハイタッチをした。



迎えた福岡戦。有言実行をした佳史扶選手がゴール裏に喜びに行くと、ベンチメンバーも駆け寄ってきた。そして、満面の笑みで佳史扶選手を祝福した東選手。そんな二人を見て胸が熱くなった。




3月21日、東選手の怪我が発表された。
本人は、「ファーストプレーだったから、恥ずかしいし申し訳ないし、すぐには言えなかった。代わりに入る選手がアップする時間を少しでも確保できれば。でも、本当に勝てて良かった」と話す。


今シーズンの東慶悟はとにかく走っている。
練習でも練習試合でもとにかく走ってチームに声をかけ続けている。

少しの時間、その声がなくなると思うと寂しいが、充電期間を経て帰ってきた東慶悟を温かく迎えて欲しい。

こんなにも東京のことを。仲間のことを。ファン・サポーターのことを考えている男はいないのだから。