6/26 札幌戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW<br />
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INTERVIEW2024.6.25

6/26 札幌戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW
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<前節・湘南ベルマーレ戦のレビュー>

殊勲のヒーローは試合前のウォーミングアップでレモンガススタジアム平塚のピッチに出てきた時から、昨シーズンのリーグ戦最終節で見た光景を思い出していた。

「昨シーズンは(小泉)慶がゴールを決めたあと、ゴール裏に向かって走っていったんだよな。もし自分も決めたら、あそこに走って行くようにしよう」

アウェイに乗り込んだ2024明治安田J1リーグ第19節。ちょうどリーグ戦前半戦を折り返すタイミングで迎えたゲームは、序盤から多くのシュートを浴び、圧倒的な劣勢を強いられた。時折訪れるカウンターのチャンスで仕留めきれず、それでも“守護神”野澤大志ブランドン選手のファインセーブを含め、チーム一丸となってゴールを守り抜いていく。

そして試合終盤を迎えつつあった後半34分、ギリギリのところで耐え続けたチームに救世主が現れる。

左のウイングとして送り込まれた徳元悠平選手は、投入直後のプレーで右サイドから崩しにかかるチームメイトの動きをしっかりと見ていた。

安斎颯馬選手とのコンビネーションでニアゾーンを攻略した中村帆高選手からグラウンダーのパスが逆サイドへ流れてくる。そこへ長友佑都選手が中央へ入り込んでいく。

まさに瞬時の判断だった。

「本当はファーサイドに入ろうかなと思ったんですけど、佑都さんが入ってきたのが見えたので自分は止まっておこうと。その数秒の判断がゴールを呼び込んだと思います」

右サイドから供給されたグラウンダーのパスが、目の前に転がってくる。ボール、ゴール、相手と味方のポジションのすべてを視野に入れながらステップを合わせ、自慢の左足をコンパクトに振り抜いた。

ファーストタッチとは思えないような正確な一撃。スライディングでブロックにくる相手ディフェンダーの股を抜き、低弾道で撃ち抜いたシュートがゴール右下隅に突き刺さる。まるでスローモーションを見ているかのようなゴールだった。

「帆高からボールが来た瞬間から自信がありました。打った瞬間もすぐに『入った』って分かるくらいしっかりミートできた。監督も練習からポストの横にミニゴールを置いて、ミドルシュートで隅を狙うようにとずっと言われていたので、その成果が実ったのは嬉しかったですね。大志のセーブは見ていて本当に気持ちが乗ったし、試合に出たらチームを助けたいという気持ちがありました。今まで溜め込んできたもの、溜め込んだ運が自分のところに来てゴールという結果につながった。それでファン・サポーターの皆さんに喜んでもらえたのも良かったです」

ふと気づくと、殊勲のヒーローは早送りしたかのようなスピードで一目散にゴール裏スタンドに向かって走り出していた。

半年前に見ていたシーンをウォーミングアップで思い出し、自分のゴールで再現したのだ。そしてスタンドに飛び込まんとするほど歓喜のダッシュを見せた先で、チームメイトから愛情溢れる手荒い祝福を受けた。

「なかなかホームで勝てないなかでも背中を押し続けてくれたのはファン・サポーターの皆さんですし、本当に感謝の気持ちを込めて飛び込んで行きました。(歓喜の輪は)みんなからの愛というか、あれをされるのがサッカー選手にとっての喜びです」

値千金のゴールを叩き込んだ43番は試合後に想いの丈を笑顔で語り、「リーグ戦半分の地点で報われて、またここからもう一段階引き上げて東京のために戦いたい」と続けた。今シーズン、ベンチにすら入れない悔しい時期を経験した男が、鮮やかなゴールでチームを救い、さらなる進化を誓った。前半戦折り返しとなるアウェイゲームで手にしたのは、まさに全員で勝ち取った勝点3。その中心に背番号43がいた。



<マッチプレビュー>

2024明治安田J1リーグ第18節のジュビロ磐田戦はホームで1-1と引き分け、続く湘南ベルマーレ戦はアウェイで1-0の勝利を収めた。湘南戦で無失点に抑えたゴールキーパーの野澤大志ブランドン選手は「押し込まれていてもタフに戦うことが大事だった。相手が隙を見せたところを見逃さないようにすれば問題ないというメンタリティを表現できた」と胸を張った。試合終盤はその手にシュートが吸いつくように見えるほどビッグセーブを連発。守護神を中心に粘り強く守り、勝利を引き寄せた。

東京はシーズン前半戦を6位で折り返し、今節の北海道コンサドーレ札幌戦から後半戦に突入する。ピーター クラモフスキー監督は「私は勝負の世界の人間ですから、1位をめざします。前半戦でもっと勝点をとれたかもしれませんが、このクラブの旅路として、山の頂点に届く位置にはいます」と、前半戦のパフォーマンスに一定の評価を与えながら、タイトルに向けて闘志を燃やしている。「夢を達成するためには改善が必要です。規律を守りながらハングリーに戦っていきたい」

 5月の前回対戦は2-1で逆転勝利を飾ったが、札幌は決して簡単な相手ではなかった。しかし、味の素スタジアムで求められているものは勝利のみ。2連勝でシーズン後半戦に弾みをつけたい。


今節のマッチデープログラムはこちら


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、湘南ベルマーレ戦では、苦しい時間を乗り越え、無失点で勝利しました。
A、さらに得点を奪えるようにしていきたいです。そして、攻撃の部分で全体的に成長を促していきたいですし、合わせて守備面の強化、シャープな対応、無失点で試合を終えることを求めていきたいと思います。

Q、シーズン序盤に比べ、得点力についてはどのように捉えていますか。
A、うまく相手の動きを見て、作り出せているチャンスの回数は増えてきていると感じています。作り出したチャンスが得点に直結するように練習から改善と成長を進めていくことが重要です。今シーズン、ちょうど半分の位置に来ましたが、振り返るとオープンプレーから奪えた得点が多くあります。自分たちのプレーや攻撃における戦い方の部分に磨きをかけることで、得点も必然的に増えてくると考えています。シーズンの前半戦は終わりましたが、ここから我々のフットボールを展開して、成長した姿をシーズン後半戦で披露していきたいと思います。

Q、リーグ後半戦の初戦は北海道コンサドーレ札幌との一戦になります。
A、タフなチームです。彼らはリーグの順位に満足していないことでしょう。勝点3を掴み取るために、全力でぶつかってくると思います。ミハイロ ペトロヴィッチ監督は非常に素晴らしいチーム作りをされている監督です。そのようなチームを相手に我々はチャレンジする姿勢で、どのような戦いができるかを証明しなければいけません。エキサイティングなゲーム展開になると思いますが、多くの得点をホームでお見せしたいと思います。



[選手インタビュー]
<野澤大志ブランドン選手>


Q、湘南ベルマーレ戦は攻め込まれる時間も多いなか、完封勝利に大きく貢献しました。
A、難しい展開の試合内容でしたが、勝ち切れたことを前向きに捉えたいと思います。もちろん、戦術的な部分の反省や僕自身守備の選手として自陣の深い位置まで相手に侵入を許さない組織的な守備を構築していくことが重要ですが、湘南戦のように相手に主導権を握られる試合内容でも、勝ち切れたことがまずは良かったと思います。

Q、ジュビロ磐田戦と比べ、前節の湘南戦は守備面の改善が図れていたと思います。
A、試合を重ねることで、良い方向に進んでいくと思っていますし、守備面の連携などもここからさらに良くなっていくと思っています。僕自身にフォーカスしても、試合に出場し続けることでパフォーマンスも向上していくと思いますし、良い守備が安定感のある良い攻撃に繋がると感じています。逆に良い攻撃が前向きな守備を生み出すことにも繋がると思うので、攻守両面の成長と改善が、チーム全体を良くしていくと思っています。

Q、今シーズンは、 U-23日本代表の活動も多くありますが、クラブと両立する難しさはありますか。
常に東京に貢献したいという想いがあるので、チームを離れている時期は寂しさもあります。ただ、U-23日本代表に選ばれることは、チームとしても個人としても誇らしいことなので、その瞬間に与えられた場所で全力を尽くそうと、気持ちを整えることを意識していました。

Q、今節の北海道コンサドーレ札幌戦からシーズン後半戦がスタートします。東京がタイトル争いに食い込むために必要なことはなんだと思いますか。
A、自分たちのサッカーを表現するうえで、ミスが出ることは仕方ないと思います。ミスをしても、そこから前に進み続けるメンタリティを持って戦うことが大切です。全員が、今の順位よりも上に行けるはずだと感じているので、日々の練習のなかでもっと高め合っていきたいと思います。



<白井康介選手>


Q、久しぶりの出場となった前節の振り返りをお願いします。
A、試合展開として、1-0で勝っている状況で途中から出場する難しさはありましたが、相手に得点を与えないことを最優先に考えてプレーしました。前がかりに来ていた相手の背後のスペースをうまく突くカウンターも意識はしましたが、まずは守備に重きを置いて入りました。

Q、押し込まれていた状況かつ右ウイングでの出場でした。意識したことはなんですか。
A、湘南ベルマーレ戦のようにウイングのポジションで出場する、あるいは試合途中に一つ前や反対サイドに代わってプレーすることは今シーズン一通り経験をしています。ウイングでプレーする時には、サイドバックの選手がどのようなプレーを求めているか、どのような動きが手助けになるのかを分かっている面が僕自身の一つの強みだと思っています。

Q、今節からリーグの後半戦に入ります。ここからの意気込みを教えてください。
A、ここからもっとチームに貢献していきたいと意気込んでいたタイミングの負傷離脱はとても悔しかったです。僕自身の武器である推進力をもう一度ピッチで表現したいですし、監督もインテンシティの高さを選手たちに求めています。チーム全体で高い強度でプレーできていた試合は良い内容でしたし勝利に繋がっています。自分自身のスプリントや推進力、ハードワークで勝率が少しでも高まるように貢献していきたいです。


<ディエゴ オリヴェイラ選手>


Q、湘南ベルマーレ戦は、ディエゴ オリヴェイラ選手が入ってから攻撃の流れが生まれたように見えました。
A、湘南は組織的な守備とハードワークをはじめとするフィジカルの強さがあるチームで我々としても非常に難しい試合展開でした。そのなかで、ピッチに立った選手たちがそれぞれの役割を表現したこと、全員が同じベクトルで戦えたことが勝利に繋がったと思います。私だけが何かをしたという訳ではなく、チーム全員でハードワークできた成果だと思っています。

Q、34歳の誕生日を迎え、湘南戦の会場ではチームメイトやファン・サポーターから多くの祝福がありましたね。
A、試合日が誕生日と重なったこともあり、多くのお祝いの声をかけていただきました。また、チームメイトからは試合前日のホテルでも祝っていただきました。このような環境でサッカーができること、ファン・サポーター、チームメイトには感謝しかありません。良い成績で今シーズンを終え、今度は違った形で、全員で喜びを分かち合えるようなお祝いをしたいですね。