<前節・アビスパ福岡戦のレビュー>
シーズン2度目のリーグ戦3連勝を懸けた2024明治安田J1リーグ第21節のアビスパ福岡戦。ホーム味の素スタジアムでの連勝を狙ったゲームは、変則システムを敷いてきた相手との探り合いでスタートした。
福岡が従来の3バックではなく、東京の良さを消すべく守備時に4-4-2のフォーメーションを採用。俵積田晃太選手、安斎颯馬選手の両ウイングをサイドバックがマンツーマン気味に抑えながら、1トップのディエゴ オリヴェイラ選手を2枚のセンターバックでケアする形をとってきた。東京としては福岡の持ち味でもある堅い守備網をどう崩すかがポイントとなっていく。
最初のビッグチャンスが生まれたのは、前半18分。左サイドで細かくパスをつなぎながらジャブを打って攻めどころを探ると、原川力選手の短いパスを受けようとした小泉慶選手が寄せてきた相手を見ながらグルンと鋭くターンし、相手選手を置き去りにして縦パス。テクニカルな持ち替えで一瞬にしてチームを前向きにすると、これを受けた松木玖生選手が前方へスルーパス。ペナルティエリア付近まで抜け出した仲川輝人選手が受けたところで次々に選手がボールに絡んでいき、ディエゴ選手が落としたところに松木選手が左足でミドルシュート。まさに波状攻撃と言える迫力あるアタックで福岡ゴールに迫った。
後半開始からは味の素スタジアムで勝利を手にしたい東京が完全にペースを握る時間帯に。だが、福岡の堅守を崩し切れずにいると、後半17分にクロスからニアに入り込まれてワンチャンスを決められ、先制点を許してしまう。
その後も荒木遼太郎選手が鋭い直接フリーキックを放ち、俵積田選手がカットインから右足で狙うなどチャンスを作ったが、反撃は実らず。無失点、連勝がともに2でストップしてしまう悔しい黒星を喫した。
<マッチプレビュー>
アウェイ柏へ乗り込む一戦。前節はアビスパ福岡を崩しきれず、ワンチャンスを決められて0-1で敗戦。ホーム味の素スタジアムでの連勝、そして無失点での3連勝を狙った試合で悔しい黒星を喫してしまった。東京の良さを消しにきた相手に対して、臨機応変に対応することができず、今シーズンのチームが苦しむパターンに陥ってしまった形だ。
今週水曜日にはパリ五輪に臨むU-23日本代表が発表され、野澤大志ブランドン、荒木遼太郎の両選手が選出された。惜しくも松木玖生選手のメンバー入りはならなかったが、頼りになるキャプテンは「まずは東京で、目の前のゲームでしっかり勝てるように、気持ちは切り替えています」と、従来どおり一戦必勝のスタンスを崩さない。
5月に行われた柏レイソルとの前回対戦は、激しい撃ち合いの末に3-3のドロー。開始早々に失点を喫しながら、出足の良さと抜群の距離感で鮮やかなサッカーを展開し、松木選手のビューティフルなジャンピングボレーなどで3-1と逆転に成功。しかし、東京が退場者を出したことで流れが一変。後半開始早々に犬飼選手のスーパーゴールで1点を返されると、。数的不利の状況に耐え切ることができず、同点弾を許し、引き分けに終わってしまった。
東京としては前回対戦の反省、福岡戦の課題を糧に戦いたいところ。そして、もう一度上をめざすためにも是が非でも勝利が求められる試合となる。今週は青赤育ちで海外に羽ばたいた久保建英、橋本拳人の両選手が練習に参加。“世界基準”をチームに伝え、刺激を与えてくれた。東京ファミリーの力も柏戦に向かう選手たちを後押しする。
そのうえで期待したいのが、松木選手の活躍だ。すべてを自分のプラスに捉えて前に進めるメンタルの持ち主。心中は察して推し量るしかないが、こういうタイミングで結果を残すのが“松木玖生”。青赤のキャプテンがいかなるプレーを見せてくれるのかにしっかりと注目しておきたい。
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、前節は相手の対策もあり、攻撃の組み立てが難しい場面もありました。今週はどのような改善を図りましたか。
A、試合それぞれにチャレンジしなければいけない局面が必ずあります。アビスパ福岡の良い守備も当然ありましたが、我々が改善しなければいけないことはアタッキングサードの攻略とプレーの選択、そして最後の仕上げの部分だと思います。狙いとするエリアまでボールを運ぶことはできていますが、攻撃の終わらせ方に課題があります。拮抗した試合展開でいかにチャンスを確実にゴールへと繋げられるかが重要です。シーズン序盤にも同じような局面がありましたが、チームとして成長と改善をし、ここまで来ました。それによって、多くの得点と結果に繋がりました。福岡戦で得た学びを次の成長に繋げていきたいと思います。
Q、アタッキングサードの攻略について、ポイントを教えてください。
A、各選手のピッチ上での判断と我々スタッフの指示、両方のバランスが重要です。我々の強みは誰が出場してもチームとしての狙いや戦術をしっかりと理解し、それぞれの良さをピッチで表現できることだと思っています。
Q、福岡戦の前半は守備面の良さがありましたが、攻撃面に課題が残ってしまいました。
A、接戦の状況で試合展開を大きく左右するような現象は少ない試合でした。我々は攻撃面でいうと、もう少しシャープに戦う必要がありました。間延びしてしまう時間帯に相手の直線的なプレーがうまくはまり、セカンドボールを拾われる回数が増えてしまったことが最終的に失点に繋がってしまいました。0-1で敗れた悔しさはありますし、攻撃面の課題を改善し、良い形で終わらせられるようにしていきたいです。ゴールに向かうプレーで相手に脅威を与え、自分たちの戦い方に磨きをかけていきたいと思います。
[選手インタビュー]
<安斎颯馬選手>
Q、アビスパ福岡戦では左ウイングでスタメン出場でした。どのような意識でプレーしましたか。
A、左サイドでプレーするにあたって自分なりに様々なイメージをして試合に入りましたが、試合の途中から状況や展開に応じたプレーを選択しなければいけないことも多かったです。途中から左サイドにポジションを移すことと、スタートから左でプレーすることではやはり大きな違いがありました。左のウイングでも良さを出していくためにも、素早く順応する能力が求められてくると思いますし、試合の後半に掴んだリズムを継続して、成長させていくことを自分自身に求めていきたいと思います。
Q、プレーエリアが右から左に変わったことで、プレーの選択や動き方も変えているように見えました。
A、見える景色が全く違いますし、ボールを運ぶ際の持ち方、受け方も変わります。ですが、どちらのサイドで出場したとしても、ベースとして求められているプレーや背後への抜け出しを繰り返す動きに変わりはありません。前への意識の部分は変えず、プレーの精度を高めていきたいと思います。
Q、福岡との試合では、攻撃面の停滞感が見える試合になってしまいました。そのような試合展開を打破するために必要なことを教えてください。
A、チームとしての我慢強さが特に求められると思います。シーズン全体で見ても、うまくいく時期とうまくいかない時期のそれぞれがあると思いますし、直近の試合ではそのように感じてしまう試合もありましたが、そのような試合でいかに勝点を積み重ねられるかが、まずは重要だと思っています。根気強く戦うことが今は一番求められていますし、上位との勝点差も2、3試合でひっくり返すことができる位置に僕たちもいます。福岡には敗れてしまいましたが、その敗戦ですべてが終わってしまったわけではありません。そして、連敗だけはしないこと、我慢強く継続性をもって戦えるかが重要だと考えています。
Q、今節の意気込みをお願いします。
A、簡単に失点をしないことと、複数ではありませんが、継続して得点は奪えている状況ですので、先制点を奪って、追加点を奪う流れを呼び込むことが重要だと思います。苦しい時間帯にチーム全体で根気強く戦いたいと思います。
<松木玖生選手>
Q、今節は柏レイソルとの対戦です。リーグ前半戦の対戦ではゴールも決めています。
A、僕個人として柏との対戦には良い感覚があります。前半戦の試合では退場者が出てしまいましたが、前半で3得点を奪った良い試合でしたし、他の選手たちも良いイメージが残っていると思います。前回の対戦では3-3の打ち合いの試合でしたし、お互いの戦術やプレーをスカウティングしたなかで臨む試合ですので、またお互いにパワーアップした良い試合がお見せできると思っています。
前節のアビスパ福岡との試合では負けてしまったので、まずは連敗しないこと、アウェイゲームですが勝点を持って帰ってこられるように頑張ります。
Q、柏とのアウェイゲームで試合を優位に進めるポイントを教えてください。
A、アウェイですが、今シーズンの東京はアウェイゲームで勝点を積み重ねることができています。自信をもって臨み、全員がゴールに向かい、攻撃に厚みのあるサッカーを展開したいです。柏には素晴らしい選手が多く揃っていますが、もちろん自分たちにも高いクオリティをもった攻撃陣がいます。相手の守備を圧倒し、相手のウィークポイントを突いていきたいです。
Q、今シーズンはまだリーグ戦の連敗はありません。意気込みをお願いします。
A、福岡との試合後に、課題のすり合わせもできていますし、チームの状況も良いと思っています。連敗しないことは最低限重要なことですし、柏戦で勝利するだけだと思います。攻撃的に仕掛けるサッカーを継続していきたいです。