7/6 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.7.06

7/6 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

前節アビスパ福岡戦で黒星を喫して連勝がストップした東京。再浮上に向けて仕切り直しのゲームとなる。雷雨と大雨の影響で試合開始が30分遅れるアクシデントに見舞われたが、試合時間を調整したことで雨が上がってピッチコンディションも回復。蒸し暑さが残るなかでキックオフを迎えた。

東京はパリ五輪U-23日本代表に選ばれた野澤大志ブランドン選手がゴールキーパーに入り、最終ラインには右から白井康介、木本恭生、岡哲平、徳元悠平の4選手を起用。ボランチには高宇洋選手と小泉慶選手、トップ下に仲川輝人選手が入り、ウイングは右に安斎颯馬、左に俵積田晃太の両選手、最前線にディエゴ オリヴェイラ選手を配した布陣。また、パリ五輪U-23日本代表メンバーの荒木遼太郎選手、キャプテン松木玖生選手をベンチに置いて試合に臨んだ。

1stHALF—開始2分でディエゴールも逆転を許す

試合はいきなり動く。序盤から東京がボールをつないで攻める展開。ゴールキーパーを使って角度をつけたパス交換でプレスを回避。ここで仲川選手が倒されて獲得したフリーキックから右サイドへ展開すると、白井選手が前方にスルーパス。これをゴールラインギリギリで安斎選手が右足でクロスを送り、ゴール前中央で合わせたのはディエゴ選手。開始2分という電光石火の一撃で東京が先制点を奪うことに成功した。 

前半の戦い方や勢いに課題を残していたチームが立ち上がりから積極的な姿勢を見せてリード。古巣相手にゴールを決めたディエゴ選手はベンチに駆け寄り。スタッフやサブメンバーと抱き合って、力強くガッツポーズを見せた。 

前半5分には波状攻撃から高選手が左足のミドルシュート。後半13分には左サイドを突破した俵積田選手がゴール前まで持ち込んで惜しいシュートを放つなど。東京が攻勢を強めていく。

立て続けにチャンスを作った東京だが、直後の前半14分に失点。マテウス サヴィオ選手にペナルティアーク付近から左サイドにピンポイントのスルーパスを通され、ジエゴ選手にニアを破られて同点とされてしまった。 

アウェイで果敢に迫る東京は前半23分、徳元選手が左サイドから大きく右へ展開。斜め方向にディエゴ選手が抜け、一旦ロストしたところから奪い返してコーナーキックを獲得すると、その後はコーナーキックを続けて獲得して相手ゴール前に押し込んでビッグチャンスを作る。だが、相手の身体を張った守備に阻まれ、勝ち越しゴールを決めることはできない。

前半29分には俵積田選手がハーフウェイライン手前から高速ドリブルで力強く縦へ突破。そのままどんどん持ち上がっていき、ペナルティエリアに入り込んでから強烈な左足シュートを放つ。ボールはクロスバーをかすめてゴール上へ外れたが、個の力でチャンスを生み出していく。 

だが前半32分、自陣からのビルドアップを図ったタイミングでボールをロスト。野澤選手が出した浮き球の縦パスが相手に渡ってしまい、高嶺選手がトラップから素早く左足でシュート。ゴールを空けていたところを突かれ、思わぬ形で勝ち越しゴールを許してしまう。

積極的に攻めに出る東京に対して、カウンターでチャンスを窺う柏。早い時間に先制点を奪い、その後もチャンスを作りながら決め切れず、逆に柏の素早い攻撃に苦しめられるシーンが増えていく。東京も粘り強い守備を見せ、前半終了間際には相手のコーナーキックから野澤選手が至近距離のシュートをストップ。このまま前半は1-2で終了し、1点のビハインドでハーフタイムを迎えた。

2ndHALF— テツのプロ初ゴールも直後に勝ち越される

まずは同点に追い付きたい東京。後半も縦への積極的な姿勢を見せ、柏ゴールに迫っていく。後半3分には相手陣内に押し込み、ペナルティアーク付近で木本選手が倒されてフリーキックのチャンスを獲得。ゴール正面、好位置から徳元選手が得意の左足で狙ったが、ボールは惜しくもバーの上へ。後半12分には徳元選手の左コーナーキックから、こぼれ球を白井選手が左足で狙ったが、これも枠を捉えることができない。 

押し込み続ける東京は高い位置でボールを奪取し、高選手がリズムを変えるワンタッチでのつなぎや縦パスでチャンスを作っていく。

後半20分には一気に3枚代えを敢行。1トップに荒木選手、トップ下に松木選手、左ウイングに遠藤渓太選手を投入して攻撃の圧力を強めていく。

守備陣も耐えていく。後半26分、右サイドを崩されてニアサイドを狙われたが、これは野澤選手が横っ飛びでセーブ。これ以上の失点は許さないという気迫のシュートストップで、東京に流れを引き寄せるべく懸命のディフェンスを続ける。

後半30分に右サイドバックに長友佑都選手を送り込むと、同33分に右コーナーキックのこぼれ球をその長友選手が胸トラップから左足シュート。チームメートにもどんどん声をかけ、言葉とプレーでピッチ内の活性化を図っていく。さらに後半38分にはインナーラップでゴール前へ顔を出し、荒木選手、松木選手とダイレクトでパス交換しながらチャンスに絡んでいった。

そして後半43分、左サイドで得たフリーキックのチャンスから徳元選手が鋭く落ちるボールを供給すると、ファーサイドで力強くヘディングを叩きつけたのは岡選手。4試合連続スタメンのルーキーがチームを救うプロ初ゴールとなるヘッド弾を叩き込み、ついに東京が試合を振り出しに戻した。ベンチの波多野豪選手、仲川選手もチームを勢い付けるべく、ゴール裏サポーターを両手で大きく盛り上げ、逆転に向けた空気を作り出していく。

8分間のアディショナルタイムも弛まない攻撃を仕掛ける東京。しかし、押し込まれた時間帯に最終ラインに選手が並んでバイタルエリアを空けてしまい、フリーで浮き球パスを許すと、そのままゴール前の混戦を押し込まれて失点。残り時間わずかというタイミングで勝ち越しゴールを許してしまう。

直後、徳元選手の鋭い左クロスから安斎選手の強烈なダイレクトボレーが枠を捉えたが、相手ゴールキーパーの正面を突いてしまいネットは揺らせず。その後も前線に長いボールを入れながら攻撃を仕掛けたが、反撃は実らず。アウェイで悔しい黒星、そして今シーズン初の連敗を喫する結果となってしまった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF白井康介(後半30分:長友佑都)/木本恭生/岡哲平/徳元悠平
MF高宇洋(後半36分:原川力)/小泉慶/仲川輝人(後半20分:荒木遼太郎)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半20分:松木玖生)/俵積田晃太(後半20分:遠藤渓太)/安斎颯馬

SUBS
GK 波多野豪
DF 森重真人

GOAL
前半2分:ディエゴ オリヴェイラ / 後半41分:岡哲平

<柏レイソル>
STARTING Ⅺ
GK松本健太
DF関根大輝/野田裕喜/古賀太陽/ジエゴ(後半36分:片山瑛一)
MF白井永地/高嶺朋樹(後半36分:熊澤和希)/山田雄士(後半27分:島村拓弥)
FWマテウス サヴィオ(後半27分:戸嶋祥郎)/小屋松知哉(後半15分:木下康介)/細谷真大

SUBS
GK佐々木雅士
DF川口尚紀

GOAL
前半14分:ジエゴ / 前半32分:高嶺朋樹 / 後半45+4分:戸嶋祥郎


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合の総括をお願いします。
A、非常にエンターテインメント性の高いフットボールの戦いだったと思います。自分たちのパフォーマンス、自分たちのフットボールを出しながら、選手たちはすべてを出し切って戦ってくれました。ただ、結果が出ずに非常に残念で悔しく思っています。この試合のなかで自分たちが作っているものを出せた部分もありましたし、まだまだ学んでいかなければならないものもありました。そういったものを自分たちがしっかりと継続して改善していくべきですし、自分たちはまだまだ成長できる特別なチームです。結果を出そうとして、選手たちは激しく戦ってすべてを出し切ってくれたことを誇りに思います。しかしながら、我々はまだ簡単な失点という部分をなくしていかなければなりません。簡単な失点があったことによって、自分たちにとって厳しい戦い、大きな山を登っていかなければならないような戦いになってしまいました。本当に多くのファン・サポーターのみなさんが駆けつけてくれて、我々の背中を押してくれたことに感謝しています。諦めずについてきてほしいと思います。 

Q、前線の選手の特長を活かして相手ゴール前までいけていると思いますが、最後の精度のところをどのように考えていますか。
A、フィニッシュの部分は、自分たちがまだまだ改善しなければならない部分です。相手にとって危険なところやペナルティエリアの中に入っていくことはできているので、それは自分たちが作ってきたフットボールを継続して出せている部分です。今日はその部分で自分たちのフットボールが成長しているところも見せることができました。しかし、まだまだ学んでいかなければいけないこと、改善しなければいけないこともあります。今日は自分たちで勝点をとれたと思う試合の一つでした。自分たちが感じて、成長して、学んでいかなければならないと思っています。


[選手インタビュー]
<岡哲平選手>


Q、プロ初ゴールとなりました。得点シーンを振り返ってください。
A、追いつくしかないという状況でしたし、荒木遼太郎選手と目を合わせてうまく自分が良いポジションを取ることができてフリーになって、良いタイミングでゴール前に入れたので良かったです。そこに徳元悠平選手から良いボールが来たので、合わせるだけでした。 

Q、ボールを持つ時間が長かったですが、なかなか攻めきれない時間が続いていました。
A、スピードアップするところを中盤の選手と連携しながら、もっとうまく攻めることができればよかったです。自分から一発で効果的なパスを出すのは相手ディフェンダーも警戒していたので難しかったですが、すぐにボランチの選手を使い展開してもらいながら、プレッシャーを解放することは意識していました。

Q、相手のサイドからの攻撃に対してどのように対応していましたか。
A、サイドからの攻撃が多く、前節のアビスパ福岡戦では自分のところでやられてしまっていたので、事前の準備と一列前の小泉慶選手との連携を特に意識していました。ただ、何度かマイナスに出されたボールに、ボランチの選手が遅れてプレッシャーにいく場面があったので、そこは自分がボランチの選手を押し出すことをしなければいけなかったと思います。ミドルシュートを打たれたシーンが何度かあったので、そこは改善していかなければならないと思います。

Q、スタメンでの出場が続いています。
A、1試合1試合成長していくことを意識しています。同じミスを繰り返してしまうことは一番よくないと思っています。今はプロ1年目の選手として伸びしろしかないと思っているので、修正して良いものを吸収して成長していくことが大切だと思っています。まだ結果を残せてはいないので、もっとチームに貢献するプレーを増やしていきたいと思っています。

Q、ここから、中3日で天皇杯のジェフユナイテッド千葉戦、そして国立競技場でのアルビレックス新潟戦と試合が続きます。どのように臨みますか。
A、3連敗は絶対にしてはいけないので、まずは天皇杯で絶対に勝利するために自分たちのサッカーを追求して良い準備をしていきたいと思います。


<徳元悠平選手>


Q、ボールを握る時間が多かったなかで悔しい敗戦となりました。試合全体の振り返りをお願いします。
A、ボランチ中心に流動的に相手のスペースや味方の動きを見ながらボールを動かすことをできていました。ですが、最後のシュートの精度やチャンスクリエイト数を増やすことをチームとして求めていきたいと思います。

Q、良い流れで試合を進めていたなかで、立て続けに失点しました。
A、防ぐことができる簡単な失点をしてしまいました。失点シーンにおいて油断していた選手はいませんでしたが、良い教訓にして次に繋げていきたいと思います。

Q、苦しい時間をうまく乗り切り、徳元悠平選手のアシストから岡哲平選手のプロ初ゴールが生まれました。
A、1-2で相手にリードを許す状況でしたが、ボールは持てていましたし、ボランチの選手を中心にボールを出し入れする動きを繰り返すことでチャンスを窺っていました。アシストはフリーキックからでしたが、自信をもって蹴ることができました。同点に追いついた後に3点目を奪うチャンスもありましたが、相手の方が決め切る力が高かったという悔しい展開になってしまいました。

Q、ジュビロ磐田戦の安斎颯馬選手のゴールをアシストしたフリーキックを彷彿とさせる形でした。
A、原川力選手と蹴る前に「最低限ニアサイドにいる相手選手は越えたい」と話していました。そのアドバイスもあり、良いボールを蹴ることができました。磐田戦で安斎選手の得点をアシストした時の良い感触もあったので、強気に狙うことができましたし、ゴール裏のファン・サポーターの声援も力になっていたので、何とか期待に応えたい気持ちで一杯でした。岡選手も良いヘディングで決め切ってくれたので、岡選手にも感謝しています。

Q、来週末には国立競技場でアルビレックス新潟との一戦も控えています。
A、この結果は気持ちの問題で、どのように切り替えていくかが重要だと思っています。三人のキャプテンを中心に選手間でコミュニケーションをとって、しっかりと修正していきたいです。水曜日にある天皇杯3回戦、ジェフユナイテッド千葉にしっかりと勝って、“俺たちの国立”でしっかり勝利を収められるように良い流れを作っていきたいと思います。