<前節・横浜F・マリノス戦のレビュー>
開始早々に先制点を許しながらの鮮やかな逆転劇。その締めを飾ったのは、ファン・サポーターとの共闘を訴え続けてきた魂のアタッカーだった。
前半4分でリードを奪われた東京だったが、徐々にペースを握って反撃に出ると、前半19分に岡哲平選手が同点弾。後半15分には俵積田晃太選手が中盤から高速ドリブルで独走したスーパーゴールで逆転に成功する。
そして勝利の気配が色濃くなってきた終了間際、背番号39が力強く、そしてエレガントな身のこなしでダメ押しゴールをねじ込む。
右サイドでインターセプトした中村帆高選手が前方へボールを供給。ここに抜け出した野澤零温選手が中央へ折り返し、ゴール前に走り込んだ仲川輝人選手が左足で合わせた。
右からのグラウンダークロスに対して、しっかりと相手ゴールキーパーの位置を確認しながら「右足で合わせるよりも身体を開きながら左足で合わせたほうが確率は高いと思った」と巧みに身体の向きを変えてシュートコースを生み出し、左足のワンタッチで逆サイドに流し込んだテクニカルな一撃。
前半から絶え間なく走ってきた男が、アウェイに詰めかけた多くのファン・サポーターの前で見せた華麗なダンスでリードを2点に広げ、勝利を決定的なものにした。
ベンチからチームメイトが駆け寄って生まれた歓喜の輪。ゴール裏スタンドから大ボリュームで響き渡る仲川選手のチャントに合わせて、波多野豪選手や荒木遼太郎選手、岡選手らと一緒に踊りながら喜びを共有。そして目を閉じながら耳に手を当てて、自らへの声援を全身で受け止めた。
東京にとっては横浜F・マリノスから2020シーズン以来となる勝利。チームはシーズン2度目の3連勝を達成した。
<マッチプレビュー>
東京はJ1リーグ第30節、国立競技場で行われた名古屋グランパス戦で4-1と大勝。実に7試合ぶりの勝利を収めて息を吹き返すと、続く浦和レッズ、横浜F・マリノスとのアウェイゲームを2-0、3-1で制し、今シーズン2度目の3連勝を飾った。この3試合で2得点と攻撃をけん引する仲川輝人選手は「残り6試合でどこまで結果を出して、ファン・サポーターに何を示せるかで来シーズンも変わってくる。AFCチャンピオンズリーグエリートに出場するチャンスもあるので頑張っていきたい」と言葉にした。
今節はホーム味の素スタジアムに帰還し、サガン鳥栖を迎え撃つ。最下位に沈んでいるとはいえ、残留をめざすチームは簡単な相手ではない。選手たちはそれぞれ「気を引き締めて戦いたい」と、必勝を期して臨む構えだ。
3連勝の立役者である東慶悟選手はこの一戦に向け、「楽しみたい」と口にする。自身が先発復帰した名古屋戦から連勝がスタートし、チームと歩調を合わせるように調子を上げてきた。鳥栖戦に出場すれば、味の素スタジアムでのゲームは第2節のサンフレッチェ広島戦以来となる。東選手は「味スタは特別な場所。チームが不調の時は外から見ていて悔しかった。自分たちのホームで、思い切り楽しんでプレーすることが大事」と意気込む。復活の背番号10が、東京のラストスパートを力強くリードする。
今節のマッチデープログラムはこちら
[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]
Q、3連勝で味の素スタジアムに帰ってくることができました。
A、とても嬉しく思いますが、ここまでのパフォーマンスをしっかりと振り返ることが必要です。ゲームパフォーマンスを分析し、良い部分を継続して積み上げることが重要です。強いメンタリティをもって、より良い準備をサガン鳥栖戦にむけて進めていきます。
Q、前節の横浜F・マリノス戦の振り返りをお願いします。
A、交代選手を含め、全員が力強く戦い、勝利に貢献してくれました。開始早々に失点を許してしまいましたが、チームとしての決まりごと、最大限のパフォーマンスを発揮してくれました。あらためて、先制点は試合をコントロールするうえで非常に重要であり、鳥栖戦に向けて、改善しなければいけないところです。試合中に起こりうるであろう様々な場面で、しっかりと流れを掴みとることで試合を優位に運びたいと思います。
Q、4連勝にむけてどのようなチャレンジが必要ですか。
A、今シーズン、連勝を延ばすことができずにいました。もちろん、シーズンを進めるなかで様々なできごとがありました。ですが、いま一番大切なことは目の前にあります。ここまで良い準備ができている手応えがあります。強い信念をもって、ファン・サポーターのみなさんに勝利を届けるために、熱く戦いたいと思います。
[選手インタビュー]
<木本恭生選手>
Q、スタメン出場の浦和レッズ戦、横浜F・マリノス戦では勝利に大きく貢献しました。あらためて手応えを教えてください。
A、連勝に貢献できたことはとても嬉しいですし、何よりチームのパフォーマンスが良いことをピッチ上で感じています。チームのパフォーマンスが良ければ、選手個々の調子も自然と高まると思いますし、今節のサガン鳥栖戦も良い雰囲気で試合に臨みたいです。
Q、しばらく勝利から遠ざかっていたなかで、パフォーマンスが高まった要因は何ですか。
A、第29節サンフレッチェ広島戦の後半から良い意味で“吹っ切れた”と思っています。戦術的なものが3連勝に繋がったことも当然ありますが、一番は気持ちの部分だと思っています。名古屋グランパス戦で勝利したことで、各選手が抱えていたものの荷が下りたようにも感じます。
Q、得点や連勝にフォーカスされがちですが、守備面の手応えはいかがですか。
A、僕らがシーズン開幕から大切にしている高い位置の守備や守から攻への素早い切り替えが、夏場の試合ではうまく表現できていませんでした。僕自身はスタメンで出場した直近の試合では、特に意識してピッチに入っていましたし、高い位置の守備が良い攻撃に繋がっている手応えも感じています。
Q、サガン鳥栖との前回対戦では得点も決め、勝利に貢献しています。相手の印象について教えてください。
A、前回の対戦からお互いに状況が変わっていると思っていますし、進化した姿をピッチで表現したいです。アウェイの対戦では、非常に難しい試合展開でしたが、直近の試合で表現できている良い部分を継続することで、4連勝に近付くと思っています。
<荒木遼太郎選手>
Q、今節のサガン鳥栖戦は4連勝の懸かる試合です。
A、今まで勝っていることを忘れて、目の前の一戦に集中して臨みたいと思います。4連勝という捉え方よりも、目の前の試合、ホームでの試合に“勝ちたい”という気持ちが強いです。今はチームが良い流れに乗っていますし、気を抜かずに戦いたいと思います。
Q、3連勝の要因の一つに守備が良くなっている点が挙げられると思います。
A、前からのプレスのかけ方は常に考えていますし、守備をしながら味方をどう動かして、自分がどうボールを奪いにいくかを意識しています。後ろの選手たちとも常にコミュニケーションをとりながら、より良い守備を求めるようにしています。
Q、横浜F・マリノス戦の逆転ゴールが、まさにその形でした。
A、守備がうまく機能し、それが良い方向に繋がっていると感じています。もちろん、ボールを持つ時間を長くすることが一番良いのかもしれませんが、失点しないことも大事です。たとえ、失点しても今のチームには、取り返すことができる良い流れがあります。良い雰囲気を継続して、次も勝ちたいです。
Q、ディエゴ オリヴェイラ選手との好連携も複数得点に繋がっていると思います。
A、いずれは良くなると思ってお互いがプレーしていましたし、良い関係を築くことができています。関係性や立ち位置が良くなってきていますし、ディエゴ選手から『自由にやって良いよ』と言われています。僕自身もディエゴ選手の位置や動きを見ながらポジションをとるように意識しています。