11/3 湘南戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.11.03

11/3 湘南戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

リーグ戦5戦無敗。「良い守備から良い攻撃」という東京らしさをベースに結果を出し続け、青赤軍団が約1か月ぶりに味の素スタジアムに戻ってきた。攻め勝つ強さ、守り抜く粘り強さを披露し、見る者の心に響くサッカーで結果を出せるようになっている。今節は今シーズンここまで2勝にとどまっているホーム味の素スタジアムでのゲーム。残り試合が少なくなってきたなかでホームのファン・サポーターに会心の勝利をプレゼントしたいところだ。

今節の対戦相手は湘南ベルマーレ。ハードワークを身上としたサッカーで結果を出し、ボールをつなぐスタイルを採り入れながら現在リーグ戦3連勝中。前節は首位のサンフレッチェ広島相手に劇的な逆転勝利を飾り、残留争いから抜け出そうとしている状況にある。

選手入場で青赤のコレオグラフィに彩られたスタンドも試合を盛り上げる。東京のスターティングイレブンは、ゴールキーパーに野澤大志ブランドン、最終ラインに右から中村帆高、森重真人、岡哲平、長友佑都の各選手が並んだ。ダブルボランチは東慶悟選手、高宇洋選手が6試合連続でコンビを組み、アタッカー陣は右からエヴェルトン ガウディーノ選手、トップ下に荒木遼太郎選手、左サイドに遠藤渓太選手を置き、最前線にディエゴ オリヴェイラ選手を配した。

1stHALF—前半終了間際に痛い失点

まずファーストシュートは東京。前半6分に荒木選手の左ロングスローからエヴェルトン選手がミドルシュートを狙っていく。続く前半10分には荒木選手が振り向きざまに絶妙な浮き球パスで裏のスペースを狙うなど積極的な姿勢を見せる。だが、序盤はボールを奪った後のパスが思うようにつながらず、細かいパスとシンプルなロングキックを使い分けてくる湘南相手に押し込まれる展開が目立つ。

東京は自陣に戻ってのスライディングでピンチを救った東選手が両手でゴール裏を盛り上げる仕草をするなど雰囲気を変えようと試みていく。守備では決定的なピンチこそ許さないものの、攻撃で決定的な形を作ることはできず。中盤でお互いに強度の高いプレーが繰り広げられながら、一進一退の展開が続く。

前半28分にはエヴェルトン選手が高い位置で相手のパスミスを拾って仕掛けようとしたが、素早く挟まれて自由を奪われ、ビッグチャンスは作れない。

東京が身体を張ったプレーでゴールを守れば、湘南もクイックな攻守の切り替えと高い守備意識で対応し、前半30分を経過しても我慢の時間帯が続く。

焦れずにチャンスを狙い続け、「良い守備から良い攻撃」につなげていきたい東京。立て続けに右サイドでセットプレーのチャンスを作るなど、少しずつ押し込み始めていく。前半36分には荒木選手の右足フリーキックからファーサイドの森重選手がヘディング。これはミートせず、枠を捉えることができなかったが、勝機を見いだすべく、全員サッカーでトライを続ける。

前半38分、今度は右サイドから中村選手がロングスロー。これで得た右コーナーキック、エヴェルトン選手の左足キックをニアサイドで遠藤選手が頭でフリックし、ファーサイドの岡選手がヘディングで狙ったが、これは惜しくもバーの上。

しかし、前半終了間際の43分、右サイドをカウンターで破られ、中央から鈴木章斗選手に鮮やかなミドルシュートを決められ、先制点を奪われてしまう。徐々にセットプレーでチャンスを作り、少しずつ押し込み始めたタイミングで痛い失点を喫した。

3分間の前半アディショナルタイムも反撃に出る東京。荒木選手のスルーパスからエヴェルトン選手が飛び出し、相手ゴールキーパーをかわして角度のないところからシュートを放ったが、これは惜しくもオフサイドの判定。さらに終了間際にも荒木選手の左コーナーキックからファーサイドのディエゴ選手が折り返したが、中央で押し込むことはできず。1点のビハインドで前半を折り返すことになった。

2ndHALF—大志のファインセーブも追いつけず

逆転を狙う後半は、ゴール裏からの「何色来たって関係ねえ!勝つのは俺たちだ!」というチャントが響き続けるなかでキックオフ。メンバー変更なく攻勢を強めたい東京だったが、立ち上がりにゴールを揺らしたのは湘南だった。

開始早々の後半4分、ペナルティエリア左寄りの位置でボールを持った畑選手がカットインで中央に持ち込んで右足でファーサイドに流し込むゴール。反撃の出端をくじかれる形でスコアを0-2とされてしまう。

まず1点を返したい東京。エヴェルトン選手のアタックを中心に湘南ゴールへ迫っていく。後半6分には右サイドからドリブルで仕掛けてディエゴ選手のシュートにつなげると、続く同8分には直接フリーキックのチャンスから鋭い左足キックで狙った。

前方への圧力を強めつつ、これ以上の失点は防がなければならない。後半14分にはペナルティエリア内への進入を許しながら、湘南の決定的なシュートを守護神・野澤大志選手が鋭い反応でセーブ。まずはしっかりと守備から盛り立てて試合を作り直していく。その後もボールをつないで攻め込んでいく東京だが、人数をかけた守備で中央を固めてくる湘南の壁に阻まれ、決定機を作ることができない。

ここで試合を動かしたい指揮官が動いた。長友、エヴェルトン、東の各選手に代えて、白井康介、野澤零温、小泉慶の3選手を一気に投入。ピッチを活性化するべく手を打っていく。しかし、5-4-1のブロックでゴール前を固める湘南守備陣の綻びを探っていくも突破の糸口はなかなか見つからず。森重選手が遠目からミドルシュートなど狙っていくものの、決定機には至らない。

後半37分には佐藤龍之介選手と山下敬大選手を同時起用。小泉選手を右サイドバックに移し、センターラインに攻撃的なプレーヤーを配して打開を図る。

終盤にも野澤大志選手が2度のファインセーブを見せてゴールを守りながら、攻撃陣も迫力あるアタックを仕掛けていく。野澤零温選手が果敢に突破を仕掛け、佐藤選手はクイックネスを感じさせるボールタッチから鋭い右クロスを供給。小泉選手も右サイドから積極的なオーバーラップで攻撃に厚みを加える。

5分と表示された後半アディショナルタイム、遠藤選手の左クロスから中央の荒木選手がワンタッチで合わせたが、このシュートは右ポストに阻まれ、こぼれ球を押し込もうとした高選手のシュートもゴールを捉えることはできず、絶好のチャンスを逃したところでタイムアップ。粘り強く戦いながら組織力でも個の力でも相手の守備網を破ることができず、ホーム味の素スタジアムで悔しい黒星。リーグ戦6試合ぶりの敗戦を喫する結果となってしまった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF中村帆高(後半37分:佐藤龍之介)/森重真人/岡哲平/長友佑都(後半20分:白井康介)
MF高宇洋/東慶悟(後半20分:小泉慶)/荒木遼太郎
FWディエゴ オリヴェイラ(後半37分:山下敬大)/遠藤渓太/エヴェルトン ガウディーノ(後半20分:野澤零温)

SUBS
GK波多野豪
DF木本恭生

GOAL

<湘南ベルマーレ>
STARTING Ⅺ
GK上福元直人
DF大岩一貴/キムミンテ/畑大雅
MF鈴木雄斗/小野瀬康介(後半34分:阿部浩之)/田中聡/平岡大陽/(後半24分:奥野耕平)鈴木淳之介(後半45+3分:岡本拓也)
FW福田翔生(後半45+3分:茨田陽生)/鈴木章斗(後半24分:根本凌)

SUBS
GKソンボムグン
FWルイス フェリッピ

GOAL
前半43分:鈴木章斗 / 後半4分:畑大雅


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合の総評をお願いします。
A、自分がいま感じていることを言葉ではっきりと表すことは難しいかもしれません。選手、スタッフ、クラブ全体として勝点3とともにファン・サポーターのみなさんを帰すことができれば良かったのですが、非常に悔しく、痛みを感じています。2度あった決定的な場面で決め切ることができなかった、少しの差だったと思います。自分たちの戦い方、パフォーマンスをもう少しシャープにできたのではないかと感じています。自分たちの良いシーンからチャンスや決定機を作り、ゴールにつなげるという部分が自分たちに足りなかったですし、それはとても残念に思っています。また明日の練習から今日の自分たちに足りなかった課題にフォーカスして、リカバリーとトレーニングを行っていきたいと思います。

Q、国立競技場と味の素スタジアムでの試合では違うチームのようにも見えますが、ロッカールームでの雰囲気やチームのなかで何か違いがあるのでしょうか。
A、選手たちがどのように感じているのかは選手に聞いてもらうのが良いですが、それは誰もがそのように見える明らかな意見だとは思います。それでも、私はそのようには考えずにいきたいです。パフォーマンスを出し切って、ファン・サポーターのみなさんが愛してくれるものを見せる。そこが今日は足りなかったと思います。それは申し訳なく思いますし、非常に悔しく思っています。味の素スタジアムでもう1試合ありますので、そこに向けてすべてを出し切って、ここで勝点3を奪いたいと思っています。


[選手インタビュー]
<エヴェルトン ガウディーノ選手>


Q、味の素スタジアムでの初出場でした。試合を振り返ってください。
A、悪くはなかったと思いますが、ラストパスの精度が低く、ゴールまでつなげることができませんでした。チームとしてもホームで負けてしまい、非常に悔しいです。

Q、周りとの連携がとれていて、守備の貢献度も高かったように見えました。
A、今週は良い練習ができていたこともあり、スタメンでの出場でしたが良い連携ができていたと思います。先ほども言ったとおり、ラストパスの精度や、攻撃の部分で得点につながるプレーを出し切れなかったことなど、全体的な精度が足りず、勝てなかったのだと思います。

Q、次節に向けて、今一番課題に感じている部分は何ですか。
A、試合を重ねていくことで試合への入り方など個人として課題に感じている部分をクリアにしていきたいです。次節はFC町田ゼルビアとの対戦ですが、僕自身の良さをピッチで表現して、次こそは勝利に貢献したいと思います。


<佐藤龍之介選手>


Q、久しぶりの出場となりました。どのようなことを意識していましたか。
A、出場する時には、もうやるしかない状況だったので、逆に目立てるチャンスだと思い、緊張することなく出場することができました。そのなかで、自分の良さを出すために、チームが勝利するために、何が必要かを考えていました。今日は勝利することができなかったので、次回は勝利につながるプレーを求めていきたいです。

Q、出場する際には監督からどのような指示がありましたか。
A、まずは1点を返すことに集中するように指示されました。1点をとることができれば、流れが変わると言われていたので、得点につながるプレーを一番に意識してプレーしていました。

Q、出場機会を増やしていくために、どのような取り組みをしていきますか。
A、今日は久しぶりに出場して、より試合に出たい想いが強くなりました。自分の特長を出すには、まずはボールをしっかりと受けることが重要です。ボールを受けた後、ゴールにつながる鋭い縦へのパスや、ボールを運ぶことなど、なんでもできることが自分の良さです。今日は結果につなげることができなかったので、ゴール前に飛び出すことや、守備でもボールを奪い切ることなど、自分の良さを貪欲に出していきたいです。

Q、次節、FC町田ゼルビア戦への意気込みをお願いします。
A、どの相手も絶対に負けることのできない相手ですが、町田には負けたくないという思いが一層強いです。自分のなかでは、4月に対戦した際に出場して負けたという悔しい思いをしている相手なので、個人的にも勝ちたいですし“東京”というクラブが町田には絶対に負けてはいけないと思っています。自分たちの良さを国立競技場で発揮したいです。国立競技場では、上から試合を観ることしかできていないので悔しい思いをしています。自分はピッチに立ってプレーしたいという思いしかないので、出場する機会があれば暴れたいです。