Q、クラブが大きく変わろうとしているシーズンですが、これまでに東選手が感じる変化はありますか。
A、監督が変わればチームのルールは変わるし、雰囲気も変わっていくものです。昨年までのやり方とは違いますが、これぐらい変わるのは当たり前だと思っているので特に驚きはないです。監督のやりたいことを理解して表現できれば、試合で起用されるだろうし、やることははっきりしていると思っています。
Q、変化はあっても、そこまで構える必要はないということでしょうか。
A、3シーズンやってきたキャプテンではなくなるので、チームのことを考えないわけではないですが、より自分に集中できるようになるので、もう一度自分にベクトルを向けて、もう一回自分のプレーを磨きたいと強く思います。キャンプは自分と向き合う時間がたくさんあるので、ここまで非常に良いキャンプができているなという実感があります。
Q、これまではキャプテンとしてチームに関する言及が多かったですが、これからはより自分のことを話すことが増えると思います。
A、キャプテンというのはとても光栄でしたし、その上で1人のプレーヤーとして与えられた役割を全うしようと一生懸命目標に向かっていました。そういう気持ちはプレーにも表れていたと思いますし、反対にチームが良くないときもそのまま自分の責任として感じていました。僕は与えられた責任に対し全力で取り組む性格で、絶対にごまかしたくないし、すべてを懸けて向かっていきたいと思うタイプです。
Q、今年のキャプテンは森重選手となりました。
A、シーズン前にアルベル監督から「キャプテンを変えたい」と話があり、チームに新しい刺激を加えて変わっていきたい意図があると言われました。僕も自分がキャプテンを務めることでチームに与えるメリットは、もうあまり多くないのではないかと思っていたところでもありました。自分がキャプテンになったときは大きな変化だったとしても、年数を重ねるとチームとしても当たり前になってくるもので、そこに対するプラスが少なくなってきていると思っていました。正直、キャプテンをやって大変だったことは多いですし、3年間やって、もっと自分にフォーカスしたいと思うようにもなりました。めちゃくちゃ気を使ったし、めちゃくちゃチームのことを考えていた3年だったと感じます。最初は自分がキャプテンを任され、みんな驚いたと思いますが、僕の変わっていく姿に周りもスイッチが入って、「あいつキャプテンとして頑張ってるな」と刺激になっていたのかなと自分では思っています。自己満かもしれませんが(笑)。今は思考の大部分を自分に向けられるようになったので、サッカーがとても楽しいと感じています。
Q、キャンプ中の様子でも「東選手の表情が明るい」というコメントもありますし、身体がキレているように見えます。
A.今は楽しいし、反対に森重選手は大変だろうなと思っています(笑)
Q、森重選手は2017年までキャプテンを務め、バトンタッチした後から、さらにプレーの質を高めています。
A、間違えなくいえることは、逃げずにごまかさずにやることが大事だと思います。正直、最初はキャプテンはあまりやりたくないという感情はありましたが、ごまかしてやり続けたとしても、次のステップに進んだときに積み上げがなくなってしまう。キャプテンという役職にとことん向き合ってやり抜いた上で、はじめて次のステップに進めるものだと思っています。向き合い続けることは本当にきついですが、今後のキャリアを考えてもやりがいのあることだったと思います。今は、自分がどうなっていけるか自分自身楽しみで、もちろん毎年プレッシャーはありますし、選手としてしっかりとしたプレーをしていかなければならないと思っています。ただ、今回キャプテンではなくなるということで、一つ集中できる環境が整ったと前向きに感じています。少しほっとした部分はありますし、監督も変わるのでいいリスタートを切りたいです。誰もポジションを約束されているわけではないので、キャンプ初日からアピールしていかないといけないと思っていましたし、ベテランだからゆっくりやろうという考えは全くありません。できることを最大限発揮して、アピールをし続けていきたいです。結果的に、そういう姿が若い選手や周りにも伝染していい刺激になると思っています。また、この3年間で勝つチームの雰囲気や大切なことがわかってきたと思うので、そういう経験はしっかりと今年にも活かしていきたいと思います。
Q、今年のチームも苦しいときがくると思いますが、そのときの東選手の立ち回りはとても重要になってくると思います。
A、そこはキャプテンなど関係なく、経験を重ねてきた自分やベテラン選手がやるべき仕事だと思っています。
Q、アルベル監督がめざすサッカーについてはどう感じていますか。
A.とても面白いと感じています。浸透するには時間がかかるかもしれませんが、監督が望むものを表現できるようになったら、ものすごいサッカーを披露できると思います。ただ2月下旬には開幕します。目の前の勝利を目指しながら、理想的なサッカーをどう追求できるかがポイントになってくると思います。アルベル監督のサッカーには夢があります。誰もが憧れるであろうアルベル監督の理想を表現できたらプレーする側も見ている側も楽しいだろうし、とにかくいいチームを作りたいという気概を感じます。東京のサッカーは面白いな、と感じてもらいながら勝利をつかみにいくというところが、難しいところでありめざすべきところだと思っています。
Q、チームと個人へのフォーカス、そのバランスが整いさらに東選手のプレーに期待できます。
A、自分自身が一番楽しみですし、3年間キャプテンをやってきて、正直、自分だけにフォーカスすることが少なくなってしまっていたことも事実です。。昨年までは自分の調子が良くてもチームが悪いと自分のプレーまでよくなかったかのように感じてしまうこともありました。今年はもう少し自分にフォーカスしてやりたいと思っています。
Q、そのなかで東選手の今年の目標は？
A、数字にこだわりはありません。何ゴール何アシストというものはないです。目標は、常に自分にベクトルを向けること。常に自分を見つめ続けて自分の成長につながる1年にしたい。それが結果としてチームのためになると思うしチームを助けることにつながると思います。もっとうまくなりたいし、突き詰めていきたい。ただ、自分の良さは技術を活かして広い視野で周りを使いながらチームがうまく回るようにすることでもあると思います。そこをしっかりとやりながら、多少のエゴを発揮していきたいなと。それが今までにない自分のプレーにつながればいいなと思います。もちろんたくさんゴールを奪いたいしアシストをめざしたいですが、数字は後からついてくるものなので、終わった時にいい数字が出せていればいいなという感じですね。
Q、技術を必要とする今年のサッカーでは東選手の技術が活きるのではないでしょうか。
A、しっかりとボールをつなぐサッカーを実践しようとしていて、ボールを触る機会が確実に増えているので毎日の練習が本当に楽しいです。
Q、走力の部分も活きてきますね。
A、走ることや戦う部分、やりきる力というのは現代サッカーには必要不可欠だと思います。その点は長谷川前監督のサッカーでみんな鍛えられたと思っています。そのベースは高いものを持っていると思うので、その上でさらに積み上げられればいいなと思います。アルベル監督のサッカーは、相手が来たら、どんどんボールを動かすということを繰り返していくので、完成するまでに時間はかかるかもしれませんが、それを全員ができるようになれば非常にいいサッカーになると信じています。
Q、東選手は、取材はいつも二つ返事で対応してくれていました。
A、面倒くさがり屋なだけで、興味がないだけかもしれません(笑)。仲間を信頼しているということもありますが、相談されたらその人を信じてしっかりと正面から対応する、というのが自分の性格なのかなと感じています。キャプテンのときは人に興味を持たないといけないと強く感じましたし、性格的に「ここだ」というときにパワーを注ぐ力はあると思っています。
Q、一方で、やんちゃなイメージも強いです。(笑)
A、若いときは小川選手のような感じだったかもしれないですね(笑)
Q、小川選手も二つ返事で取材対応してくれます。
A、根が優しいですからね。これからチームを引っ張っていってほしいのは小川選手です。年齢的にも在籍年数的にも長いですし、僕がキャプテンになったときの年齢にも近づいてきました。最初は周りからいじられたりするかもしれませんが、変わる勇気は必要です。最初の苦労を乗り越えられると、また違った世界が見えると思います。僕も昔は練習直前に来てすぐに帰るタイプの選手でした。今では森重選手の次に早く練習場に行って準備をしています。年齢とともに大切なことが見えてきて結果的にそうなっていきました。小川選手にもいろいろな経験をしてもう一回り成長してほしいと思っています。
