青赤の新エースとなり得るストライカーが、サガン鳥栖からの期限付き移籍で東京の一員に加わった。その最大の武器は、圧倒的なスピードと強じんなフィジカル。昨シーズンのJリーグYBCルヴァンカップ3回戦で彼に決められたゴールを記憶している方は少なくないはずだ。2024シーズンは明治安田J1リーグで14ゴールをマーク。抜群の決定力でリーグを代表するフォワードとして名を上げた。新たな得点源として大きな期待を集めるマルセロ ヒアン選手に新天地への想いを聞いた。
──東京への期限付き移籍を決めた理由を教えてください。
昨シーズンのリーグ戦最終節よりも少し前に東京からオファーをいただきました。最初に話を聞いた時が、ちょうどディエゴ オリヴェイラ選手が引退するタイミングで、偉大なストライカーに代わる選手としてのオファーは非常にうれしかったです。クラブからも「早めに返事が欲しい」と言われ、新しいシーズンは東京で活躍したいという気持ちが強くなって移籍を決めました。
──まさに名前が挙がったディエゴ選手に代わる得点源として、関係者のみならずファン・サポーターのみなさんからも大きな期待が寄せられていると思います。
もちろんその期待は十分に感じていますし、みなさんの想いに応えられるように精一杯力を尽くしてプレーしたいと思っています。
──ちなみにディエゴ選手と面識はありましたか。
昨シーズン、味の素スタジアムでの試合(10月5日、明治安田J1リーグ第33節)で声をかけてもらって、色々な話をしました。そこでディエゴ選手から「このまま活躍を続けていれば、もっとビッグクラブにいけるから」と言ってもらえていたなかでの今回のオファーだったので驚いています。
──加入が決まってからは話しましたか。
まだ話はできていませんが、このあとメッセージなどで色々と聞きたいと思っています。個人的には学ぶ姿勢を大事にしていますし、チームに馴染むためには多くのことを知る必要があると思いますので、色々とアドバイスをもらえればうれしいですね。
──これまで東京とは対戦相手として向き合ってきました。どんなイメージを持っていますか。
非常に難しいチームだったという印象があります。サガン鳥栖で一緒にプレーしていたジャジャ シルバ選手からは「東京は非常に良いチームだから、何も心配せずに決めて大丈夫だよ」と言ってもらえました。木村誠二選手や寺山翼選手は鳥栖で一緒だったのでよく知っていますし、今シーズンは東京でチームメイトになれるので、他の選手たちも含めてみんなで一緒に戦って、自分もチームに貢献していきたいです。
──昨シーズン終盤に初めて味の素スタジアムでプレーしました。雰囲気はいかがでしたか。
素晴らしいスタジアムですよね。ファン・サポーターのみなさんが生み出す熱気は、アウェイの選手からすると非常に難しく感じました。これからはホームとして後押しを受けて戦えるので、個人的には非常に有利に働くと思っています。
──来日3シーズン目となった昨シーズン、リーグ戦でキャリアハイの14ゴールを決めました。自身で思う飛躍のきっかけはありますか。
自分の力を常に信じて戦っていました。昨シーズンは鳥栖が私を信じてくれていたことが大きかったと感じています。そのことは自分に良い結果をもたらしてくれたと思っていますし、たくさんのゴールを決めることができてストライカーとして自信もつきました。新しいシーズンは東京のためにもっと多くのゴールを決めたいと思っています。
──2022年夏の来日から2シーズンは横浜FCでプレーして、約1シーズン半で5ゴールという成績でした。個人的に成長を感じている部分はありますか。
正直、横浜FC時代はあまりチャンスがありませんでしたが、鳥栖で自分を信頼してもらえたことが大きなモチベーションになりました。周りが自分の良さを引き出してくれたことが良い結果につながったと思っています。あとは昨年の春に長女が生まれたことですね。それから12ゴールを決めましたから。娘の力は間違いなく大きかったと思います(笑)。
──ご自身のプレーの特長を教えてください。
最終ラインの裏に抜けてゴールキーパーと1対1のシーンを作ったり、ディフェンダーをかわしてシュートを決めたりする形が得意なスタイルです。一番自信があるのはスピードです。スピードを活かしてスペースへ抜け出し、フィニッシュまでつなげる形が一番の武器だと思っています。
──ヒアン選手の力強い突破は昨シーズン5月にJリーグYBCルヴァンカップ3回戦で東京からゴールを奪った時もすごく印象的でした。鳥栖でのゴールシーンを見ていくと、スピードやパワーだけではなくシュートの上手さも際立ちます。
フィニッシュにも自信はあります。パスのもらい方によってシュートまでの形は色々と異なりますけど、ボールを集めてくれれば決める自信はあります。一杯ゴールをとりたいですね。
──東京での移籍初年度、個人的にはどんなプレーを見せて、どんな活躍を期待していますか。
早くチームに溶け込んで私のプレースタイルを分かってもらいたいですし、自分もみんなのプレースタイルを理解したいです。それができれば、たくさんゴールを決められると思いますし、良い結果を出せると信じています。2025シーズンは素晴らしい一年になると期待しています。
──ディエゴ選手と森重真人選手が、昨シーズン対戦した選手で一番印象に残っている選手にヒアン選手の名前を挙げていました。
それはうれしいですね。森重選手とは面識はないですけど、もちろん認識はしています。非常にクオリティの高い選手ですし、フォワードを止めることに優れている選手だと思っています。
──今シーズンの目標を教えてください。
とにかくチームに貢献するような活躍をしたいです。どの選手もそうだと思いますが、東京でタイトルを獲って歴史に残る選手になりたいと思います。
──ちなみにピッチを離れた時は、どんなキャラクターですか。
ピッチ上では闘争心が出るタイプだと思いますけど、ピッチ外では愉快な性格で日本人選手とも冗談を言い合うこともあります。日本の文化にも興味があるので、色々と知っていきたいです。
──ムードメーカーということですか。
普段は冗談を言ったりしますし、基本的には明るい性格だと思います。ただ、試合中は色々なことを要求してもらって構わないですし、自分も試合に勝つためにチームメイトに要求していくつもりです。
──日本での生活には慣れましたか。
問題ないですね。日本での生活は非常に気に入っています。できればこれから何年も日本でプレーしたいと思っています。
──最後にファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
東京のユニフォームを着て、常にチームに貢献することを意識してみなさんの代表として恥じないように戦います。必ず良い結果を出せると信じてプレーしますので、選手たちを信じて応援してくれればと思います。ぜひ、「ヒアン」と呼んでください。
──青赤は好きな色ですか。
これまでは青系のユニフォームでプレーすることが多かったので、きっと東京のユニフォームは自分にすごく似合うと思います。これからは青と赤を大好きになります。
◇マルセロ ヒアン(Marcelo Ryan)選手プロフィール
生年月日:2002年6月8日
出身:ブラジル
身長/体重:188cm/83kg
経歴:ADコンフィアンサ(ブラジル)→ ECバイーア(ブラジル)→ 横浜FC → サガン鳥栖
J1リーグ通算53試合出場17得点/J2リーグ通算9試合出場2得点
Text by 須賀大輔(エル・ゴラッソ)