1/15トレーニング
沖縄・国頭キャンプ4日目の15日、午前はかいぎんフィールド国頭で練習を行い、午後はチームビルディングで結束を高めた。
松橋力蔵監督の一つひとつのトレーニングには戦術的なエッセンスが盛り込まれているのも特長だ。この日行われた、2対2の練習ではゴールが斜向かいに置かれ、守備のスライドの意識を高める狙いもあった。
ここまで選手全員が横一線で、練習中に主力とサブメンバーで分けられることもない。一人ひとりがモチベーションを高く持って、同じ方向を向いて同じ目的を共有して取り組むために、平等な機会が与えられている。また、コンディション作りの観点からも、意図的にそうした方針を打ち出しているという。
選手、スタッフ全員が歩調を合わせ、南国の地で新たなトーキョーは作られていく。
FOCUS ON
沖縄・国頭キャンプ4日目のオフィシャルカメラマンが捉えた「FOCUS ON」は『DJ GO』こと波多野豪を切り取ったこの一枚。その選曲で、キャンプ中の練習前の士気を高め、練習後の癒やしも提供してきた。そんなDJ GOにライバルが現れたという。それがサンバやボサノヴァを愛する『DJ エヴェ』ことエヴェルトン ガウディーノ。選曲を巡り、激しい火花を散らす場面も今キャンプの日常となってきた。
CAMP VOICE vol.4 松橋力蔵監督
沖縄・国頭キャンプも4日目を終え、松橋力蔵監督の求める新たなトーキョーの輪郭も徐々に見え始めた。この日の午前練習後、「技術的なところを求める」という新指揮官に、ここまでのトレーニングについて話を聞いた。
Q、今キャンプでは、選手たちに主体性を求めています。練習中には「オレのアイディアを超えていけ」と呼び掛けていました。
A、僕を超える、超えていないという風に、僕を基準にしているわけではありません。本来持っている力を出した上で、僕から何か提案があれば、選手とコミュニケーションをとりながら(アイディアやアドバイスを)伝えて、その上で自分を活かしてどう超えていくか。成長の足を止めてはいけません。ただ、必ず右肩上がりとはいかないので、そうした上がり下がりの成長曲線もあるとしっかり理解して、少しでも良い一歩を踏み出してもらいたい。僕は、その助けになればいいと思います。
Q、どのセッションでも、選手全員に平等にチャンスを与えているように思います。
A、練習は平等であるべきだと思います。どこまでということはありますけど、どうしても内容によってはそうではないこともあります。キャンプで同じ方を向いて同じ目的を持って取り組むためには、その機会は平等に与えていくべきだと思います。そうするのはコンディション作りも意識したフィジカル的なアプローチの側面もあります。技術的、戦術的な側面でも今はそういう狙いを持って取り組んでいます。選手はモチベーションを落とさないようにしっかり意識を持って取り組んでいるので、我々もそれに応えなければいけないと思っています。
Q、キャンプ序盤から『良いプレーには良い声で応えよう』と話してきました。
A、今は僕らがうるさいかもしれませんが、あれが選手の声に変わってくればすごく良いモノになると思います。もちろんこの世界はそんなに甘いモノではありません。おそらく練習中に厳しい声の方が多くなることもあるかもしれない。そうした指導をけなしているわけでも、否定しているわけでもありません。(チームを)より良くするモノだと思っています。もちろん雰囲気は大切ですし、とかくキレイに安定的に良い雰囲気であればいいが、それと同じぐらい反対側の雰囲気と向き合わなければいけないのが我々の世界だと思っています。それはサッカーの世界だけではなく、ビジネスの世界もそうだと思いますし、きれいごとに丸く収めているわけではありません。そういう厳しい指摘が出てきて、それをしっかりと受け入れられる。そういう雰囲気ができれば、さらに良いモノになっていくのではないかなと思っています。
Q、スライドの意識を植えつける2対2の対人練習をはじめ、それぞれが戦術を落とし込むために考えられたトレーニングが多いように思います。
A、あまり練習を止めることはしません。何か必要な時には止めて伝えますが、できるだけ動きのなかでやりたいこともありながら、やりたいことができないエラーに対しても同時にアプローチすることが大事だと思っています。その整理の仕方を区切ってやるかは工夫しながらやっています。まだまだみんなと共有しなければいけないですし、(練習試合が近いからといって)それほど慌ててはいません。選手がしっかりと取り組んでくれているので。僕の頭の中にあるどこまでということよりも、彼らの充実度とか、そうしたことの方が今は大事だと思っています。そこに少しずつトレーニングの中には(戦術や約束事の)エッセンスを入れているので、それがみんなに浸透したり、染み付いていけば、きちんと「こうで、こうで」と(座学やミーティングを)やらなくても自然とそちらのほうに流れていくと僕は思っています。
Text by 馬場康平(フリーライター)