4/2 東京V戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.02

4/2 東京V戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

昨シーズン、16年ぶりにJ1リーグで復活した一戦は、2戦2分けで決着は今シーズンに持ち越された。同じ味の素スタジアムを本拠地に構える両クラブの一戦が再び幕を開ける。

東京は前節の川崎フロンターレ戦からスターティングメンバーを3選手入れ替えた。前線は佐藤恵允選手をワントップにシャドーにはエヴェルトン ガウディーノ選手を配置。さらに、最終ラインの両脇をエンリケ トレヴィザン選手と木本恭生選手に変更して試合開始の笛を待った。

1stHALF一ケインが裏に抜け出し同点弾

試合前から両チームのファン・サポーターが作り出した熱気で、キックオフから激しい局地戦が繰り広げられた。ボールを保持する東京と、構えてショートカウンターを狙う東京ヴェルディという構図が早々にできあがる。

先制したのは東京Vだった。前半20分に右コーナーキックからニアゾーンにスペースを作られ、林選手に頭で合わされビハインドを負ってしまう。

その3分後だった。反撃に出たい東京は鮮やかな連携から最後は俵積田晃太選手が流し込むも、シュートが相手ゴールキーパーのマテウス選手の足に当たって左ポストを叩いてしまう。


前半43分にこの一戦を「正直めちゃくちゃ楽しみで燃えている」と口にしていた佐藤選手が得意の裏抜けから高宇洋選手の浮き球のパスを引き出して試合を振り出しに戻す同点ゴールを挙げた。

お互いに一歩も引かずに自分たちのスタイルを貫いた熱戦は、ロースコアのドローで後半へと折り返す。

2ndHALF一土壇場のエンリケ弾で勝点1を残す

後半開始早々に再び前線三人で決定機を作る。佐藤選手の背後への浮き球を俵積田選手が収めて時間を作ると、そこにガウディーノ選手が飛び出す。相手ゴールキーパーの好守に阻まれ、こぼれ球を佐藤選手が狙うもシュートは枠の上へと外れてしまう。

しかし、後半7分、野澤大志ブランドン選手がゴール前でボールをさらした瞬間を東京Vの染野選手が見逃さず。不用意なボールロストから勝ち越しゴールを許してしまう。

ここで後半15分、ガウディーノ選手に代えて戦列に復帰したマルセロ ヒアン選手を投入して反撃に出る。さらに、後半26分には仲川輝人選手、東慶悟選手、北原槙選手をそれぞれ佐藤選手、俵積田選手、橋本拳人選手に代えてピッチに送り出す。

交代直後、東選手が左サイドからのクロスに合わせるも、これは惜しくも枠を捕らえ切れない。その後も攻勢を強める東京は、試合終盤に次々と東京Vゴールへと迫る。

そして、アディショナルタイムに突入する間際の後半44分、ついにこじ開ける。右サイドに開いてやや深い位置にいた安斎颯馬選手がファーサイドに向けてクロスボールを送り込むと、エンリケ選手が相手よりも打点の高いジャンプで頭で捉え、ゴール右隅へと流し込んで再び同点に追いついた。


その後はオープンな展開になってお互いにカウンター気味に攻め込み合う展開。そのなかで東京はロングボールも駆使しながら相手陣内深くまで侵入したが、勝ち越しゴールは奪えず。

白熱の一戦はお互いに譲らず、またも勝点1を分け合う結果となった。


MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 野澤大志ブランドン
DF 木本恭生/エンリケ トレヴィザン/木村誠二/白井康介(後半45分:野澤零温)
MF 安斎颯馬/高宇洋/橋本拳人(後半26分:東慶悟)/俵積田晃太(後半26分:北原槙)
FW 佐藤恵允(後半26分:仲川輝人)/エヴェルトン ガウディーノ(後半15分:マルセロ ヒアン)

SUBS
GK 波多野豪
DF 岡哲平/土肥幹太
MF常盤亨太

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半43分:佐藤恵允 / 後半44分:エンリケ トレヴィザン


<東京ヴェルディ>
STARTING Ⅺ
GK マテウス
DF 綱島悠斗/林尚輝/谷口栄斗
MF 翁長聖/平川怜/齋藤功佑(後半38分:稲見哲行)/新井悠太
FW 染野唯月(後半14分:松橋優安)/木村勇大(後半38分:白井亮丞)/山見大登(後半27分:福田湧矢)

SUBS
GK 長沢祐弥
DF 宮原和也/鈴木海音
MF 食野壮磨/山本丈偉

MANAGER
城福浩

GOAL
前半20分:林尚輝 / 後半7分:染野唯月


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、結果は、最後に追い付くことができて勝点1をとることができました。まずはこの勝点1をしっかりと噛み締めながら、また次の準備をしなければいけないと思っています。僕にとっては東京での初めての東京ヴェルディ戦ということで、両チームともにドローでブーイングを受けているというところからも、本当に激しい戦いなんだと実感できましたし、もちろん最初からそれを感じていなかったわけではないので、やはり勝利を届けることができなかったのは非常に残念です。また次に向けて良い準備をしていきたいと思います。

Q、事前に練習をしていた3人目の動きでフィニッシュを狙った場面は再現できていたと思いますが、いかがでしたか。
A、再現性はそんなに高くなかったと思いますが、ただゲームのなかでそれが何度も出るわけではないので。それでも、いくつかのチャンスメイクは流動性のなかで生まれたものだと思いますし、そこを本当に決めきるところまで、一つは決まり、もう一つは決まらなかった。そこでどれだけ精度を高く決められるかというところが、まだまだ課題だと思います。やはり崩しても勝てませんし、ゴールネットを揺らさない限りはそれ(勝利)はないので、そこはずっと求め続けたいと思っています。

Q、後半の選手交代で、ワントップ2シャドーの形に変わりましたが、マルセロ ヒアン選手を入れて、どういった絵を描こうとしていましたか。
A、あのような少しダイナミックなことも、高い位置でどう起点を作るかというところの手法のひとつを加味したなかで、ワイドのところには突破力やスピードで勝負するよりも、良い判断というか人をうまく使いながら、そこで起点をつくることによってサイドの優位性をさらにうまく使えると良いなと思いました。そういう絵を少しは出せたと思いますが、最後のところはまだまだシュートにまで至っていないですし、いくつかはあったと思いますが、それがゴールに結びつかなかったのは少し残念です。

Q、試合開始早々から中盤で構えてショートカウンターを狙う東京Vとボールを保持する東京という構図がはっきりしたと思いますが、そこをどう動かしていきたいと考えていましたか。
A、僕はカウンターが怖くて中央を狙うことをしないのは絶対なしだと、そこをひっくり返すくらいの気持ちをもってやっていかなければいけないと思っていました。ボールを握っている以上そこは表裏一体で、必ずそういったシーンはあります。もちろんそこで潰しきれれば我々のペースになるでしょうし、我々のペースにならない時には相手に良いペースを捕まれるシーンもいくつかあったなかで、僕はそこに対してのトライを求めていますし、トライをしないということはない。言葉にすると「楽な道を歩くな」と。本当にそこをやり切るんだ、やってひっくり返すんだと。その上で次に出てくるような絵というのは必ずサイドに優位性ができたり、そこで我々が準備していたものをもう少し色濃く出せる部分があったのかもしれませんが、そのあたりが前半は少し淡泊だったと思います。後半はキャラクターを変えて、そこを突いていければと思い、交代でこじ開けることを狙いたいと思っていました。

Q、佐藤恵允選手が得点した場面もそうでしたが、最後尾から背後を狙うパスではなく、中盤から背後を狙うパスが今日は目立っていましたが、そこの評価はいかがですか。
A、前半は少し距離があると思ったので、ハーフタイムの指示で、少しそこの距離が長いことを指摘しました。敵陣の近くに入ってから長いボールが有効になってくる。自陣の深いところであれば、もちろん相手のラインの高さもあったので、そこで十分、質で打開できる可能性もあると思いました。そこのプランをウイングバックと3センターのワイドの選手には方法論を少し伝えて、それ以外のところはもうちょっと全体がコンパクトな陣形で敵陣の近くに入ってからそこを狙っていこうと伝えました。その部分を後半は少しは出せたと思っています。


[選手インタビュー]
<エンリケ トレヴィザン選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、同じスタジアムをホームとするチーム同士ということで、非常に難しい試合でした。こちらもチャンスを作ることができましたが、相手もチャンスを作っていたので、どちらに転んでもおかしくないような展開で、非常に厳しい試合になったと思います。

Q、リーグ戦では久しぶりのスターティングメンバー入りでしたが、どういったところを意識して臨みましたか。
A、ここまでなかなか出場の機会はありませんでしたが、いつでも出場できるように準備をしていたので、今日はチャンスをもらえたことをうれしく思っています。私たちはまだ厳しい状況を乗り越えることができていませんし、今日を勝って乗り越えたかったのですが勝ちきれませんでした。それでもしっかりとやるべきことを続けながら、しっかりと休んだあとにまた次の試合に向けて準備していきたいと思います。

Q、得点シーンの振り返りをお願いします。
A、今日のゴールも練習どおりで、安斎選手が非常に良いボールを蹴ってくれましたので、決めることができて良かったと思っています。勝ちたかった試合で勝つことはできませんでしたが、次につなげられる得点だったと思いますし、チームに貢献できたことはうれしく思います。

Q、チームとしての成長の手応えはいかがでしょうか。
A、個人としてもチームとしても良くなってきていると思います。ですが、まだまだ自分も、チーム全体も成長が必要ですし、もっとビルドアップなども良くなっていくことができると思っています。


<佐藤恵允選手>


Q、試合を振り返ってください。
A、相手にボールを奪われた時にも、すぐにプレッシャーをかけて相手にボールを蹴らせることができていました。東京のディフェンスラインには競り合いが強い選手も多くいるので、そこで回収して自分たちがボールを持つ時間を増やして、二次攻撃、三次攻撃に繋げようと思っていました。失点してしまうのはしょうがない部分もあるので、そこは自分が2点、3点と追加点をとって勝利を呼び込むことができる選手になっていかないと駄目だと思っています。

Q、高宇洋選手からの縦パスをうまく受けて、ゴールを決めました。得点シーンを振り返ってください。
A、高選手と普段の練習からすり合わせをしていました。そこがしっかりとタイミングが合い、得点につながりました。もっと回数を増やしていきたいと思います。

Q、4試合得点がとれていない試合が続いていました。この試合に向けてどのような準備をしてきましたか。
A、個人的にはシュートを増やそうと思っていました。攻撃の選手として何が脅威になるのかを考えていました。背後への動きが自分の特長で、その良さを出しつつも相手の嫌がるプレーをし続けていました。相手が食い付いてくるというスカウティングの情報もあったので、チェックの動きで相手のマークをうまく剥がすことができました。チームとしては、縦に早い攻撃が、強みが一番出る形だと思っています。そのシーンを増やすために、いかにボールを動かし相手の隙を突けるかが大事になります。

Q、次節はファジアーノ岡山との試合になります。短い期間ですが、どのような準備をしていきますか。
A、切り替えてやっていくしかないと思います。今日も決め切らなければいけないシーンで外してしまっていたので、連戦ですが、やることを変えずに実直にやり続けることが大事だと思います。今日出た反省点をチームで共有して、すり合わせをして良い物にしていければと思います。


<木村誠二選手>


Q、今日の試合の振り返りをお願いします。
A、川崎フロンターレ戦と同じように、後ろからしっかりとつないで前に運んでいくというトライはしていたのですが、川崎戦はそれを意識し過ぎてなかなか前にボールが運べなかったこともあったので、今日は全体的に少しだけロングボールも多めに、縦へのボールも多めになりました。そのなかで、もう少し良い関わり方ができれば良かったと思います。無理に前に行ってしまいそうな時に、後ろでもう一度ボールをもらって、落ち着いてもう一回ボールを回すということができませんでした。ボールを運んだあとに前線の動きがなかった時のプレーのキャンセルや、ボールをつける位置、見ている位置がまだ狭いのかなと思います。まだまだ試合をやりながら成長させていかなければならない部分だと思います。

Q、ボールを持つことを怖がらないことや、斜め前につけるプレーなど、木村選手の個人的な成長も随所に見られていると思いますが、ご自身の感触はいかがでしょうか。
A、どんな良い選手でもミスはしますし、後ろ向きのミスは良くないですが、松橋監督はチャレンジのパスに対して絶対にやるなとは一言も言いません。チャレンジできる環境があるからこそのプレーだと思いますし、サガン鳥栖でもパリ五輪でもそういったプレーをやってきました。その経験や度胸が、ちょっとした余裕につながっているのかなとは思います。

Q、今日の試合ではカバーリングが冴えていましたが、対人守備についての手応えはいかがでしょうか。
A、しっかりとマークにつけていましたし、今日はミラーゲームだったので掴みやすかったところもありました。相手とぶつかったときのパワー勝負で負けることはなかったので、その点は良かったと思っています。

Q、今日の試合でも勝利することはできませんでしたが、次の試合にどのように修正・改善していきますか。
A、この2試合で3失点、2失点ときているので、まずは失点を減らすことです。今日は前が2点取ってくれているので、攻撃にも良い兆しは見えていると思いますし、少しずつボールを支配することもできるようになっているなかで、どうしても失点があると勝つことができないので、まずは失点をしないこと。今日はセットプレーと、自分たちのミスでやられてしまいましたが、そういったところもチームでしっかりと引き締めて、チャレンジングな姿勢を全員で続けていけるように頑張りたいと思います。