8/6 C大阪戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.8.05

8/6 C大阪戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<天皇杯3回戦・大分トリニータ戦のレビュー>

“負けたら終わり”の一発勝負で、アウェイの地に乗り込んだ青赤がきっちりとベスト16行きの切符を手にした。

7月16日にクラサスドーム大分で行われた天皇杯3回戦。守りを固める大分トリニータに対して攻め手を探っていた東京は前半18分、白井康介選手が右サイドで鋭い出足からボールをカットすると、長倉幹樹選手、仲川輝人選手とつないでカウンターを発動。ゴール前まで持ち込んだところで仲川選手が倒されてペナルティキックを獲得すると、これを長倉選手が右足で冷静に沈め、早い時間で先制点を奪うことに成功した。


さらに同32分には自陣からのパスワークで大分守備陣を切り崩し、安斎颯馬選手の右クロスから長倉選手がヘディングで狙うと、最後は小泉選手が詰めて追加点。ポゼッションとカウンターを使い分けながら球際の戦い、攻守の切り替えで完全に主導権を握り、前半でリードを広げる理想的な展開でハーフタイムを迎えた。

後半は選手交代で勢いづいた相手にやや押し込まれるシーンも見られたが、要所を締める守備とキム スンギュ選手のファインセーブなどでしのぎ切って2-0のままタイムアップ。カップウィナーに向けて一つ歩を進めた。

松橋力蔵監督は「前後半で少し色が違った部分はありましたが、前半は非常に攻撃的な部分、後半はより守備的な部分、それぞれに良い部分があったことが勝利につながった」と手応えを口にする勝利となった。


<天皇杯ラウンド16のプレビュー>

7月19日に行われた明治安田J1リーグ第24節で浦和レッズに勝利したチームは、オフを経て再始動。中断明けからは酷暑を考慮して練習開始を9:00に早め、セレッソ大阪との天皇杯ラウンド16に向けてトレーニングを積んできた。

オフ明けの練習は、休養から身体を起こすためのフィジカルメニューを行い、そして試合に向けた取り組みを進めてきた“力蔵トーキョー”。チームとしての戦いを振り返りながら、ゲーム形式のトレーニングを中心に選手たちが集中できる状況での練習を意識。6月以降にしっかりと出せるようになってきた自分たちの持ち味を見つめ直し、重点的に反復確認する作業に時間を費やした。

天皇杯は言うまでもなく一発勝負のトーナメント。その先には中3日で鹿島アントラーズとのリーグ戦が控えている。松橋力蔵監督は「ノックアウト方式なので、絶対勝たなくてはいけない。負けないようにすること、勝つことの両方を考えながらの戦いになる」と意気込みながら、大分との3回戦も連戦を考慮したメンバーで勝ち上がっており、「2チーム分以上の選手層がある」と自信をのぞかせる。連戦の初戦であることも考慮しながら選手編成を行う選択も考えられ、そのなかで指揮官がどんなメンバーをセレクトするかにも注目が集まる。


対するC大阪とは今シーズンの明治安田J1リーグで2試合を戦い、ともに引き分けという結果に終わっている。松橋監督は相手の印象について「ボールを大事にしながら、前線のウィンガーの特長をしっかり活かすサッカーである反面、そこを出させないようにしてひっくり返すことができれば、我々の得意な攻撃で仕留めることも十分に想定できる。どちらが多く仕留められるか、しっかり食い止められるか」と試合のポイントを掲げる。常に「目の前の敵が最強の敵」と言い続けてきた指揮官。一戦必勝のノックアウト方式ではその意識をさらに高め、集中した試合運びが求められることになりそうだ。

この試合から新競技規則の『8秒ルール』が適用されることになる。これまではゴールキーパーが手や腕でボールを保持できる時間が6秒以内とされていたが、この時間制限が8秒に変更されて従来よりも厳格にカウントされる形に変更。違反した場合はボールの位置に近いサイドからのコーナーキックで試合が再開される。この変更が与える影響について松橋監督が語る。

「プレーのテンポや質が上がることが望めるルールではあると思いますが、それで後手を踏まないようにしなければいけない。ゴールキーパーがボールを持っている時に前からプレスを受けた場合、つなぐチームでもボールを蹴るシーンが増えてくるとは思う。そこもうまく活かせるように、シンプルに高い地点でどう起点を作っていくかも大事になってくる。ただ、そのルールよりも前に、我々としてはしっかり後ろからつないでいくところがポイントになる」


直近の公式戦5試合で4勝1敗という好成績を残している東京。惜しくも敗れた第23節柏レイソル戦も激闘の末に落としたゲームで、ようやく内容に結果が伴ってきた印象を受ける。中断前に見せていたように、この試合でも球際のバトルを制し、攻守の切り替えで高い意識を見せ、厚みのある攻撃と身体を張った守備で試合の流れを引き寄せたい。

気候や試合展開を考慮しながら速攻とポゼッションスタイルを使い分ける臨機応変さも大きな武器になってきた。中断明けのトレーニングで再確認した“青赤らしさ”をヨドコウ桜スタジアムのピッチでも披露し、東京の強さが本物であることを証明する試合としなければならない。目の前の相手、目の前の試合に勝つ──。その強い覚悟が、カップウィナーへの道を切り開いていく。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、セレッソ大阪とのリーグ戦での前回対戦は引き分けでしたが、今回はノックアウト方式の天皇杯です。相当な数のパターンを試されたのでしょうか。
A、連戦であるという点も考慮していますが、やはりノックアウト方式なので絶対に勝たなければなりません。何としても勝つという強い意志で臨みます。負けないように、そして勝つためにどう戦っていくべきか、正解は分かりませんが、その両方を考えながら選手選考を行いました。

Q、C大阪にはどのような印象をお持ちでしょうか。
A、ボールを大事にしながらも、ウインガーの特長をしっかりと活かすサッカーをしてきます。反面、その良さを出させないように引っくり返せれば、我々にも十分にチャンスが生まれます。我々が得意とする攻撃で決定機を作ることも十分に想定できますし、まさに仕留め合いでどちらが多く仕留められるかが勝負の結果に影響すると思います。

Q、浦和レッズ戦から約2週間空きましたが、どういったところに注力して練習を行いましたか。
A、ゲーム形式の練習を多く採り入れました。そのなかで、細かいところに目を向けながらも、チーム全体の形を変えながらやってきました。長い休みもあったので、コンディションをどのように高めるか、そして自分たちの良さをどうすれば活かせるかという点を、トレーニングに採り入れながら取り組んできました。

Q、数日後にはリーグ戦も控えていますが、明日の天皇杯の位置付け、また大会全体をどのように捉えていらっしゃいますか。
A、自分たちがタイトルを獲得できる可能性が十分にある大会だと考えています。この大会を大事に思いつつも、だからといって天皇杯を優先してリーグ戦を疎かにする、あるいはその逆といった考えはまったくありません。目の前の1試合1試合をしっかりと戦うことで、結果としてポジティブなものが得られると思っています。


[選手インタビュー]

<野澤零温選手>


Q、チームとして、明日の天皇杯に向けてどのような準備を行ってきましたか。
A、守備では、前から出ていく場面と、しっかりとマークを受け渡したりするなど連携などに重きを置いていました。攻撃面では、もっと背後を狙う動きや、前線の連携からゴールに直結する動きなど、ゴールに繋がることに強いこだわりをもって練習してきました。勝つには得点が必要ですし、個人としてもゴールやアシストという数字が欲しいので、もちろん守備でもやるべきことはありますが、攻撃で自分の良さや特長を活かして、チームに貢献したいです。

Q、勝利すれば、2016シーズン以来となる天皇杯ベスト8進出が決まります。
A、勝利することで久しぶりのベスト8進出につながることは選手たちも分かっていますし、良い意味であまり意識をし過ぎず、目の前の一戦に集中するだけです。リーグ戦であろうと天皇杯であろうと、目の前の試合に勝って一つずつ上に行くことが大事だと思っています。チーム全員が貪欲に勝利をめざしてトレーニングもできていますし、あとは試合で発揮するだけです。

Q、個人のパフォーマンスに関しては、途中出場だけでなく先発出場も増え、プレー時間が伸びています。今後、継続して出場するためには何が必要だと思いますか。
A、自分に求められていること以上のことをやらなければいけません。もちろん、それは僕以外の全員がやらなければ、チームとしても上はめざせません。守備の面では、相手を押し出してボールを奪い切る、そこから前向きなプレーにつなげることやプレスバックにも積極的に関わることが重要です。攻撃では、アシストや得点といった数字にもっとこだわりを持ちたいです。低いポジションでのビルドアップに関わることは少しずつできていますし、僕自身のなかでも少しずつ自信はついてきました。自分が試合出場のチャンスをもらっている意味をしっかりと理解して、結果や数字を残してチームの勝利に貢献したいです。


<東慶悟選手>


Q、約3週間の中断が明け、明日はセレッソ大阪との試合が控えています。
A、コンディション不良などもあり、久しぶりの公式戦になります。出場できるチャンスがあれば勝利のためにプレーで示したいですし、自分の存在意義をピッチ上で証明しなければならないと強く感じています。

Q、現在のシステムで戦う上で、東慶悟選手が意識していること、求められていることは何ですか。
A、シーズン序盤は3バックでしたし、現在は4バックがメインで、中盤の選手に対するタスクや求められる役割も違うと認識しています。個人としては、やりやすさを感じていますし、チームが勝利に近付くプレーを選択することが大事になると思っています。

Q、求められる役割とは具体的にどのようなプレーでしょうか。
A、ディフェンスラインが4人の時はハーフスペースや中間ポジションでボールを受けること、特に攻撃面では、サイドへの展開や自ら走り込むことで相手の守備陣形をずらしたりするプレーです。そこを積極的に発揮し、自分の良さをどんどん出すことでチームを勝利に近付けたいと考えています。同時に、守備面も求められるため、決してサボらずハードワークで貢献したいです。

Q、対戦するC大阪とは今シーズン3回目の対戦となります。
A、オーストラリア国籍のアーサー パパス監督が今シーズンから監督になって、細かく試合の映像を追えているわけではありませんが、多少昨シーズンの東京(選手配置やシステムなど)と似ているなと感じています。サイドには速い選手、頂点には得点力のあるストライカーがいて、素早い縦の攻撃が彼らの特長であり警戒しなければいけないポイントです。個の局面で負けないこと、先手を取られてしまうとアウェイということもあり、特に難しい展開になってしまいます。立ち上がりから集中して、試合に臨みたいです。

Q、明日は2016シーズン以来のベスト8進出も懸かる試合になります。
A、私自身も東京では天皇杯ベスト4までしか進んだことがなく、その時はペナルティキック戦でサンフレッチェ広島に負けて決勝進出を逃しました。最終的にはもちろん頂点をめざしますが、まずは目の前の一戦を一つずつ勝っていかなければいけません。明日のC大阪戦の結果は、10日に控えるリーグ戦にも間違いなく関わってきます。ここ2試合の重要な試合の初戦という捉え方もできると思うので、必ず勝利を収めて、良い流れを持ち帰りたいと思っています。