<マッチレビュー>
アウェイでの横浜F・マリノス戦、国立競技場でのヴィッセル神戸戦を挟み、東京が約半月ぶりに味の素スタジアムに戻ってきた。リーグ首位の座を争う2チームとの対戦は、内容の面では決して相手にひけをとらず。むしろ、試合の主導権を握った時間も長く、試合終了間際の失点により引き分けが負けに、勝利が引き分けになる展開は、ピッチの中で起きた事象と比較すると東京にとっては非常に厳しいものとなった。
この2戦の悔しさを晴らす今節は、勝点2差で東京よりも順位で上回るアビスパ福岡を相手に迎える。中2日で戦う6日のルヴァンカッププライムステージの準々決勝も同カードのため、10日の準々決勝第2戦まで“対福岡3連戦”となり、8日間で福岡と3試合を戦う。
ルヴァンカップの準決勝進出に向けて勢いをつけるため、そしてリーグ戦でも順位が近い相手との直接対決で確実に勝利して勝点を積み上げるために、ホームでなんとしても勝利したい一戦に臨んだ。
東京は、U-22日本代表に選出された木村誠二選手、野澤大志ブランドン選手、松木玖生選手が揃ってスターティングメンバー入り。リザーブメンバーに土肥幹太選手が入った。
1stHALF—序盤に立て続けの失点
試合はいきなり動く。キックオフと同時に福岡が東京ゴール前にラッシュをかけてくる。ゴール前にしっかりとブロックを敷いて対応していたものの、サイドを多用されて視線を振られるとマークがつかめなくなり、前半2分に右サイドからゴール前を横切るクロスボールを入れられると、ファーサイドで佐藤選手をフリーにしてしまい、押し込まれて先制を許す。
相手の勢いを削いで前に出たい東京だが、前半11分にはセットプレーから崩される。右サイドのスローインをゴールライン際に入れられると、紺野選手が持ち出してペナルティエリア内へ。マイナス方向にパスを入れられると、ゴール目前で山岸選手に強烈なシュートを叩き込まれてビハインドが広がった。
早いうちに1点を返したい東京だが、マイボールを失ったあとの守備への切り替えと帰陣が早い福岡の前に、ゴール前までボールを持ち込むことができない。
流れのなかで攻め手が見つからないなか、セットプレーで好機を作る。前半21分、右サイドでフリーキックのチャンスを得ると、一度撥ね返されたボールがゴール前に高く浮く。落ち際を木村誠二選手がバックヘッドで合わせたが、シュートはクロスバーに直撃した。
前半33分にはセットプレーをきっかけにペナルティエリアに押し込まれ、クリアし切れずに二度三度とシュートを打たれるが、身体を張ってブロックしてなんとか凌いだ。
前半の終盤にはボールを保持して相手陣内で動かしながら攻め手を探るも、有効なフィニッシュへの筋道を見つけ切れず。2点を追う状態で前半を終えた。
2ndHALF—終盤に熊田弾も1点が遠く
立ち上がりから前への推進力と球際での強さを押し出していく東京。相手陣内でもボールを動かすだけでなくゴールへと向かうアクションが増えてくる。
球際で戦うプレーが増えると、相手ペナルティエリア付近でフリーキックのチャンスを得られるようになってくる。後半17分には、右サイドからのフリーキックのチャンス。直前に投入された原川力選手のフリーキックを、同じく途中交代で入ったアダイウトン選手が頭で合わせるがわずかにゴール右へと逸れる。
後半の早い段階で交代カードを切った東京だが、終盤にも交代で戦況の打開を試みる。後半29分には仲川輝人選手に代えて塚川孝輝選手を、ディエゴ オリヴェイラ選手に代えて熊田直紀選手を投入する。最後のカードは後半38分、渡邊凌磨選手に代えて白井康介選手を入れて反撃の手を強めていく。
反撃の一手が実ったのは後半41分。左からのコーナーキックを得ると、原川選手がファーサイドに入れたボールを熊田選手が頭で合わせてゴールに流し込んだ。
その後、アディショナルタイムに突入したあともセットプレーのチャンスが続いたが、シュートは枠を捉えることができず、ゴールを奪えずに1-2で敗れた。
MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF小泉慶/木村誠二/エンリケ トレヴィザン/長友佑都
MF東慶悟(後半15分:原川力)/松木玖生/渡邊凌磨(後半38分:白井康介)
FW仲川輝人(後半29分:塚川孝輝)/ディエゴ オリヴェイラ(後半29分:熊田直紀)/俵積田晃太(後半15分:アダイウトン)
SUBS
GKヤクブ スウォビィク
DF土肥幹太
GOAL
後半41分:熊田直紀
<アビスパ福岡>
STARTING Ⅺ
GK村上昌謙
DF前嶋洋太(後半24分:湯澤聖人)/井上聖也/奈良竜樹/ドウグラス グローリ/小田逸稀
MF紺野和也(後半24分:鶴野怜樹)/井手口陽介/前寛之
FW佐藤凌我(後半39分:田中達也)/山岸祐也(後半15分:金森健志)
SUBS
GK永石拓海
DF田代雅也
MF平塚悠知
GOAL
前半2分:佐藤凌我/前半11分:山岸祐也
[ピーター クラモフスキー監督記者会見コメント]
Q、試合を振り返ってください。
A、非常に残念な結果、そして残念な夜になってしまいました。前半、自分たちのベストなスタートを切ることができなかったのは、自分の責任だと思っています。早い時間帯で失点をしてしまったことで、自分たちの戦い方が難しくなってしまいました。そのなかでも、選手たちが自分たちの特長や粘り強さを出そうとしてくれました。前半30分以降は、自分たちの流れをつかみながらプレーすることができていたと思います。ハーフタイムでの話し合いの後、選手たちが素晴らしい反応をしてくれました。ゴールで流れを変えようとしていましたが、なかなか取れずに厳しい展開になってしまいました。もう少し早くゴールを奪えればよかったと思っています。選手たちは必死になって逆転しようと戦ってくれました。ファン・サポーターのために勝点3を届けることができず、申し訳なく思っています。
Q、ハーフタイムにどのような指示で状況を変えていこうとしましたか。
A、前半30分以降の戦い方はうまくできていたので、それを継続していこうという話と、自分たちの基本的な戦い方を改めて確認しました。こうした厳しい戦いのなかで、選手たちがそれぞれどういったキャラクターなのか、色々なことを試される試合だったと思います。そのなかでも粘り強く戦ってくれましたし、前半の終盤以降から良い形で自分たちらしく前向きにプレーできていました。
ポジティブな点としては、自分たちの流れを掴んだ時に良いフットボールをすることができていましたし、ボールを早く動かす、スペースへ出ていく、危険なところに入っていくということができていました。1点を取ることができればこちらに流れが来ると思っていましたし、もう少し早く1点を取って勝点3を奪えれば良かったです。非常に残念な結果になってしまいましたが、ここからしっかりと立ち上がっていきます。
[選手インタビュー]
<松木玖生選手>
Q、試合を振り返ってください。
A、試合の立ち上がりで集中を欠いてしまったことが2失点に繋がりましたし、後悔しかありません。そのなかで、試合終盤に攻撃の厚みが生まれ、立て続けにセットプレーのチャンスを作り、熊田直紀選手のゴールが生まれました。アビスパ福岡のように守備の堅いチームに対しても勝ち切れることを、プレーをとおして証明していかないといけないと痛感しました。
Q、早々に失点してしまいましたが、ピッチ上ではどのように修正しましたか。
A、福岡は守備の時に5枚のディフェンスを敷くので、攻撃の際に崩すことが難しかったです。前後半をとおして攻撃の形をうまく出せず、終わってしまった印象です。
Q、リーグ戦は3試合勝利がありません。
A、しっかりとこの結果を受け止めることが重要だと思います。ルヴァンカップは試合に絡むことはできませんが、チームとして上をめざしていくためにも課題を修正していくだけだと思います。
<原川力選手>
Q、前半、ベンチから見ていてどのような印象でしたか。
A、前半が始まってすぐに失点してしまい、2失点目もそのままの勢いで取られてしまったのですが、1点を返すと流れが変わることはよくあるので、特に悲観的にならずに問題はないと思っていました。
Q、出場してからは、特長でもあるキックからチャンスが生まれていました。
A、チームとして、後半の入りから空回りしてでもギアを上げて相手に勢いを見せなければいけなかったと思います。1点を取ってからテンポが上がっていたので、後半の最初から勢いを出して、後半開始して20分以内に得点できていれば違う試合になると思っていました。相手に勢いを見せるようなプレーをもっと出せれば良かったと思います。これは一人でどうにかできることではないので、チーム全員で「2失点でも逆転できる」という雰囲気を作らないといけません。どのような局面でも、1点を返せば分からなくなるので、90分間の中で使い分けをしていきたいです。
Q、福岡とはルヴァンカップの2連戦が続きます。引いてくる相手に対してどのよう点を改善して試合に臨みますか。
A、相手が引いた状態でボールを持たせるとテンポが悪くなると思います。相手が今日のように5バックなのであれば、試合を進めるなかで先制点を与えないことが一番大切だと思います。次の試合はレギュレーションが変わるので、1点1点の重みがリーグ戦以上に大切になります。戦い方を考えながら試合に臨みたいです。
<熊田直紀選手>
Q、7月16日に行った鹿島アントラーズ戦以来の出場となりました。どのような意図を持ってピッチに立ちましたか。
A、これまでと比べると、早い時間帯に出場することができました。東京が押し込んでいる時間帯での出場になったので、個人的には絶対に決められると思っていました。チームとしてその次の2点目、3点目をとることができなかったのは、勢いがあっただけにもったいなかったです。
Q、リーグ戦初得点となりました。得点シーンを振り返って下さい。
A、得点という結果を残すのがフォワードというポジションでは当たり前のことなので、これからも得点を取り続けたいと思います。
Q、練習試合から得点を取るなど調子を上げていた印象です。
A、自分としては最低限の結果を残すという気持ちで入ったので、最低限の得点を取ることができたのは良かったと思います。前半の内容がもったいなかったので、すぐに同じ相手と試合がありますから、そこはチームとして修正して次の試合では結果にこだわっていきたいです。
Q、出場がない期間が続いていました。どのような準備をしてきましたか。
A、この夏は練習試合も多く、練習も含めて運動量を増やすなど、攻守の切り替えを意識して取り組んできました。リーグ戦で試合に出場するために個人的に守備強度を高めているので、継続していきリーグ戦での出場時間を延ばしていきたいです。