鹿島アントラーズの象徴ともいえる10番を背負い、プロ2シーズン目にはJリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞した荒木遼太郎が2024シーズンから青赤のユニフォームに袖を通す。ここ数シーズンは怪我や出場機会に恵まれず、もがき苦しんだ荒木は、復活ではなく、さらなる進化を誓った。
Q、東京からオファーを受けた時の気持ちを教えてください。
A、ボールをつなぐサッカーをしたいと思っていたなか、今の東京のサッカーは自分に合っていると思っていました。スタイルに惹かれたところは大きいです。また、クラブ側と話をさせていただいた時に、「一緒に戦ってほしい」と熱い想いを伝えてくれました。僕自身が求めているサッカーのスタイルにもマッチしていましたし、東京で戦うことを決めました。
Q、今回の移籍にあたり、誰かに相談はしましたか。
A、鹿島アントラーズでチームメイトだった小泉慶選手には相談しました。小泉選手からは「きっと、タロウに合うチームだよ」と言ってもらい、それも加入するうえで参考にしました。また、バングーナガンデ佳史扶選手や松木玖生選手など、東京にはパリ五輪世代の知り合いも何名か在籍しているので、チームに溶け込めるかどうかはそこまで心配していません。
Q、ニックネームは『タロウ』なんですね。
A、中学生の時から呼ばれているニックネームで、とても気に入っています。中学までは『リョウ』と呼ばれていたんですが、中学の同じチームに『リョウ』がいたので、『タロウ』になりました(笑)。東京のみなさんにも『タロウ』と呼んでほしいです。
Q、東福岡高校の大先輩である長友佑都選手もいますね。
A、2年前に日本代表で一緒にプレーする機会もありました。連絡先は知らなかったので連絡はできませんでしたが、あらためて色々とお話を伺いたいですね。
Q、今回の移籍は、鹿島への愛着や恩もあったなかでの決断であり、相当な覚悟もあるのではないでしょうか。
A、まずは、プロサッカー選手にさせてくれた鹿島の方々にはとても感謝しています。ただ、今回の移籍で覚悟を決めたというよりも、自分は毎シーズン、毎シーズン、覚悟を決めてプレーしてきたので、そこの気持ちに大きな変化はありません。
Q周囲からの期待やプレッシャーもあると思います。
A、緊張をすることはあまりないですし、自信はあります。不安はまったくありません。
Q、この2シーズンは怪我に苦しみ、東京での完全復活が待たれます。
A、環境を変えたかったのは事実です。ただ、そうやって多くの人から「復活」と言われますが、2023シーズンは試合に出られていないだけで、すでに自分自身のパフォーマンスは戻っていますし、身体のキレもあります。練習では示せていたと思いますが、試合に出場する機会が少なかっただけと思っているので、自分としては「復活」とは思っていないというのが正直なところですね。試合に出場すれば、自分のプレーを表現できると思っていますし、早くプレーしたいです。
Q、自身の特徴やストロングポイントを教えてください。
A、ゴールやアシスト、ゴール前でのアイデアが武器です。多くのプレーに絡んで、チームに多くのゴールをもたらしたいと思います。
Q、今シーズンの東京のスタイルを継続すると考えれば、トップ下がメインポジションになると思います。
A、トップ下のポジションは攻撃のスイッチだと思っています。トップ下の選手がうまくボールを運ぶことができれば、良い攻撃に繋がりますし、ダメなら止まってしまうと考えています。ただ、やれる自信があります。不安はなく、今から楽しみです。
Q、東京の攻撃陣の印象はありますか。
A、選手それぞれを見ると、サイドには速い選手がいて、前線にはストライカーがいて、タレントは揃っていると思います。鹿島時代に対戦している時から、ディエゴ オリヴェイラ選手は「ストライカーだな」と何度も思いました。仲川輝人選手のスピードは脅威ですし、左右関係なく得点を奪える能力の高い選手だと思います。だからこそ、トップ下の選手が大事になります。うまく周りを生かしながら、ゴールを取ったりラストパスを出せたりできれば良いと思っています。
Q、東京というチームやホームスタジアムとなる味の素スタジアムに対する印象やイメージはありますか。
A、プロになってJ1リーグ初のスタメンが味の素スタジアムでの東京戦だったと思います。その試合でアシストもして、個人的には良いイメージのあるスタジアムです。今でもその印象が強く残っています。
Q、2024年はパリ五輪が開催されますが、U-23日本代表に対する想いはいかがですか。
A、もちろん意識はしていますが、この2シーズン、あまり試合に出られていなかったので、今は先のことよりもピッチに立って活躍することを考えています。それができてはじめて選ばれるかどうかだと思っているので、とにかく試合に出ることに集中して取り組んでいきたいです。
Q、試合出場に飢えているということですね。
A、その表現であっていると思います。
Q、それはプロ入り直後に近い感覚ですか。
A、少し違うかもしれません。今の自分はプレーに自信があるのに出られていない状況なので、ルーキーの時とはまた違った感情です。ここ数シーズンの悔しさを晴らしたい気持ちが強いです。
Q、荒木選手の試合への飢えと近年の東京の勝利やタイトルへの飢えが化学反応を起こせば面白いシーズンになるかもしれません。
A、めざすところが一緒であれば、より良い結果を出せると思っています。青赤のユニフォームを着て、ファン・サポーターのみなさんの前でプレーするのが楽しみです。
Text by 須賀大輔(エルゴラッソFC東京担当)